IS ~黒き魔進~   作:ふくちか

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連投です。



『驚愕と正体』

「何なのよ、コイツ!?」

「わ、私に聞かないで下さい!!」

 

現在、セシリアと鈴はアリーナに乱入してきた異形のISーーゴーレムと対峙していた。

 

だが、驚異的な力を持つゴーレムによって二人は防戦一方な戦いを強いられていた。

 

現にシールドエネルギーは底をつきかけており、頭から血を流していた。

 

「私、もう、結構ヤバいんだけど……」

「それは、私も、ですわ……!」

 

 

そんな二人に構わず、ゴーレムは追撃しようと突っ込んでくる。

 

ここまでか、と思い目を瞑ると、

 

 

 

《gun》

 

何処からともなく紫の光弾がゴーレムに命中しゴーレムは立ち止まる。

 

何事かと三人が振り向くと、

 

 

 

 

そこには、黒い死神ーーー魔進チェイサーがいた。

 

「ミューゼルさん!?」

「アンタどうやって!?」

 

驚くセシリアと鈴の質問を無視し、チェイサーは二人に言い放った。

 

『コイツは俺が殺る……お前たちは退け』

「何言ってんのよ!」

「ここは協力して戦った方が!」

『そんな様でか?今のお前たちの状態では足手まといだ……』

「「うっ?!」」

 

手痛い言葉を頂き、セシリア達は言葉につまる。

 

『だが、その状態でも出来ん事はない……。お前たちは一般生徒の避難を誘導しろ。それぐらいは出来るだろう……』

「……分かりましたわ!」

「……死ぬんじゃないわよ!」

 

そう言うと、二人はアリーナの客席に飛んでいった。

 

 

『…………』

 

チェイサーがゴーレムを睨むと、それを敵意と感じ取ったのかゴーレムが攻撃を仕掛けて来た。

 

腕に装備されたレーザー砲をかわし、ブレイクガンナーで攻撃するも、その厚い装甲に阻まれる。

 

ならばと、チェイサーは、

 

《Break》

 

ブレイクモードに切り替え、ゴーレムの追撃をかわしながら、ボディに一撃叩き込んだ。

 

それに僅かながらに動きが鈍る。

 

 

それを見逃さずチェイサーはゴーレムを蹴っ飛ばす。

ゴーレムはそのまま壁へと追いやられる。

 

チェイサーは懐からバイラルコアを一つ取りだし、セットする。

 

《Tune chaser cobra!》

『ぶっつけ本番だが、実験の的になってもらうぞ……!』

 

右腕に今度はコブラを模した鞭、テイルウィッパーを装備する。

 

 

 

 

「速く、此方に来てください!」

「怪我はない?大丈夫?」

「は、はい!」

 

客席に戻ったセシリアと鈴は残された生徒の避難に明け暮れていた。

 

「避難誘導ご苦労様」

 

そう言って、セシリア達に人が近づいて来た。

 

「アンタは?」

「私は更識楯無。この学園の生徒会長よ」

「生徒会長……?」

「下級生が頑張ってんのに、私らがサボる訳にもいかないよね、フォルテ?」

「そうっすね~、めんどくさいとか言ってる状況じゃないし」

 

楯無だけでなく、後ろから上級生が二人出てきた。

 

「貴女達は……?」

「私はダリル・ケイシー。そしてこっちが……」

「フォルテ・サファイアっす、IS学園の2年っす!」

「で、セシリアちゃん、鈴ちゃん。貴女達、アリーナにいたはずよね?どうやってここに?」

「えっと、ミューゼルさんがアリーナに入ってきて、私達と戦闘を変わったんですわ」

「私たちに生徒達の避難誘導を任せてね」

「ミューゼル君が?」

「ミューゼルって、あの新入生の?」

「私も見てみたいっすよ~!ミューゼル君!」

 

なんて事を言ってると、

 

「お前たち、無事か?」

「オルコットさん、凰さん、お怪我は?」

 

千冬と真耶が現れた。

 

「はい、私達は無事ですわ」

「でもミューゼルが……私たちに変わって」

「……管制室でも見えた。奴め、止めても全く聞かなかった……」

「ですが、今はミューゼル君に任すしかないですよね……」

「……そう言う事だ」

 

苦々しい表情で呟く千冬と真耶。

 

 

「お、お姉ちゃん……」

 

すると後ろから楯無に声を掛ける人物が現れた。

 

「……簪ちゃん?」

 

楯無の妹の簪だ。

 

「け、怪我とかない!?大丈夫?」

「う、うん。こっちも避難誘導終わったよ……」

「そ、そっか。ご苦労様」

「お姉ちゃんも、大丈夫……?」

「え、ええ。無事よ」

 

何故不仲である簪が積極的に話し掛けてきたのか気掛かりだったが、それを頭の片隅へと追いやる。

 

だがそれでも少し嬉しさを感じていた楯無だった。

 

 

すると、セシリアがあることに気がついた。

 

「あのー織斑先生……」

「どうした?」

「何故篠ノ之さんの首を……?」

「中継室に向かってる所を引っ捕らえただけだ」

「「「「「…………」」」」」

 

ここにいる全員があ、コイツ馬鹿だと思った。

 

 

 

 

 

『行くぞ……』

 

そう言うと、チェイサーは腕を振るいテイルウィッパーをゴーレム目掛けて叩きつけた。

 

余り効いた様子は見せていないが、チェイサーの狙いは別にあった。

 

叩きつけた箇所、右腕にテイルウィッパーが巻き付いていた。

 

 

ゴーレムがそれに気付くよりも早くに、チェイサーはゴーレムの右腕を引きちぎった。

 

『まだだ……』

 

すると、今度は胴体に巻き付け、そのままゴーレムを振り回し、アリーナの地面に叩きつけた。

 

途端、ゴーレムから火花が飛び散る。

 

 

 

だが、チェイサーは追撃の手を緩めない。

 

《Tune chaser spider!》

 

即座にバイラルコアを入れ替え、ファングスパイディーを装備、そのままゴーレムに接近して、ゴーレムの左腕、両足を引き裂いた。

 

 

『……所詮はこの程度か』

《Tune chaser bat!》

 

ゴーレムを空中に蹴っ飛ばし、更に腕に蝙蝠を模した新たな装備、ウィングスナイパーを装備する。

 

《Execution!》

 

腕を失い、更にはスラスターを破壊されたゴーレムに最早逃げ場はなかった。

 

選択肢は、目の前の死神の処刑を受けるだけであった。

 

 

 

 

 

《Full break!bat!》

 

そのまま一気に溜め込んだエネルギーをゴーレムのコアに撃ち込んだ。

 

必殺の一撃、エグゼキューションバットを受けたゴーレムは大爆発を起こした。

 

 

 

『これは……亡国(ヤツら)ではないな……』

 

爆炎をその瞳に写しながら、チェイサーは踵を返した。

 

 

 

 

 

 

「……え?」

 

篠ノ之束は動揺していた。

まさか自分お手製のゴーレムがここまで無惨に破壊されるとは、思っても見なかったからだ。

 

「何なの、いっくんのこの強さ……?!こんなの、私の知ってるいっくんじゃない!」

 

束は今の一夏、チェイスに恐怖を抱いた。

 

 

 

 

 

あの後、チェイスは千冬によって事情聴取を受け、そのまま部屋に帰ろうとしていた。

 

「待ってたわよ、チェイス・ミューゼル!」

 

と、ここで鈴がチェイスの前に立ち塞がった。

 

 

「何の様だ……」

「話があるの。屋上に来てくれる?」

 

どうやら真剣な事らしい。

チェイスは断らずに鈴についていった。

 

 

 

「ゴメンね、疲れてるのに……」

「……あの程度、戦いの内に入らん」

「そ、そう……」

 

沈黙が支配する中、鈴が口を開いた。

 

「1つ、確認しときたい事があるの」

「……」

「アンタの本当の名前って、織斑一夏?」

 

チェイスの本当の名前を口にした。

そのまま鈴は黙りになる。

 

「……らしいな」

「……!」

「俺は、織斑一夏、らしい……。だが、俺にはその記憶が全くない。それに何故俺の名を知っている?俺は記憶が無くとも過去俺に関わった者を目にすると頭痛に襲われる……。だが、お前からは何も感じない……」

「そりゃそうよ。直接的に関わった訳じゃないもの。噂でアンタの名前を聞いただけ。……悪い意味で」

 

と言って、顔を背ける鈴。

だがチェイスには大方予想がついていた。

 

「……織斑千冬の面汚し、下らない罵詈雑言なのだろうな……」

「……そうよ。アンタ記憶が無いけど、取り戻したら、織斑一夏として生きるの?」

「……」

 

途端、黙りになるチェイス。

鈴は慌てながら、手を振る。

 

「べ、別に言わなくてもオッケーだから!」

「……俺は、記憶が戻っても、チェイス・ミューゼルとして生きる。そう決めている」

「……!」

 

チェイスはこのIS学園に来て、人前で初めて穏やかな顔を見せた。

 

「もう俺の手は、決して拭えない血で染まっているからな……。だから戻る気はない。それに……今が、チェイス・ミューゼルとして生きている今が凄く楽しいからな……」

「……そっか、それでいいんじゃない?」

 

そう言って、鈴はニシシと笑う。

 

「ゴメンね!時間取らせて!今度はアンタとも戦ってみたいわ!」

「……俺はオルコットの様に温くはないぞ」

「上等よ!」

 

そう言うと、鈴は屋上を後にした。

残されたチェイスはただ一人、暫く黄昏ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




IS ~黒き魔進~

真耶「今日は転校生を紹介します!なんと二人です!」

シャルル「君が、ミューゼル君?」

ラウラ「貴様とは、楽しめそうだな」

IS ~黒き魔進~ 『金と銀』


黒き追跡者はその瞳に何を写す……?
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