IS ~黒き魔進~   作:ふくちか

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夏休み編です


『逢瀬』

太陽輝く7月、IS学園では夏休みに突入しているこの日、チェイスはある人物と水族館前で待ち合わせしていた。

 

「お待たせ~、ミューゼル君」

 

その正体は、IS学園の生徒会長、更識楯無だ。

彼女の髪と同じ水色のサマージャケットに、胸元の開いたシャツ、そして同じく水色のミニスカートを着こなしていた。

 

「……どうかな?似合ってる?」

「………あぁ」

 

恥ずかしげに聞いてくる楯無に、チェイスは事も無げに似合ってる趣を伝えた。

 

「そっか……///」

 

途端、楯無の顔は真っ赤に染まった。

 

「………行くぞ」

 

そんな楯無に構わず、チェイスは楯無の手を握り、エスコートする。

 

「えっ、ミューゼル君?!」

「………逢瀬はこう言う事をするのが当たり前と聞いたが?」

 

いきなり手を握られたショックで気が動転する楯無だが、チェイスがそっぽを向いて言った言葉に自然と頬が緩んだ。

 

『もしかして、勉強してくれたの………?』

 

自分とのデートの為にうんうん唸るチェイスを想像すると、胸が高鳴った。

 

 

「そ、そうね!今日は一杯お姉さんを楽しませてね!!」

「………ふっ」

 

照れ隠しに言った言葉に、チェイスはただ微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわ~、ミューゼル君大胆~………」

「………あの~、更識さん。何で俺まで?」

「暇そうだったから……」

「それだけかよ………」

 

そんな二人をこっそりと後ろから見守る簪と数馬、そしてバイラルコア達だった。

 

「シャークの奴、水槽眺めてんな~………。あ、カメレオン!何処行くんだ!?おいィィ!ゴメン更識さん!後から合流しよう!」

 

新しく作られたカメレオンバイラルコアがするする人混みを通り抜けて何処かへ行ったため追いかける羽目に。

 

 

 

『数馬と簪、何してんだ………?』

 

勿論そんな二人に気づいていたチェイスだった。

 

 

 

 

「うわ~凄~い!」

 

大きな水槽にいる彩りの魚達に楯無は大興奮。

だがチェイスはと言うと、

 

「……………」

 

ナポレオンフィッシュと何故かにらめっこしていた。

 

「何してるの、ミューゼル君………?」

「因縁を付けられたから、睨み付けた……」

 

憮然とした態度で呟くチェイスに苦笑い。

 

「それに魚なんて食うだけだからな……」

「もう、ロマンがないんだから~」

 

食う事にしか興味ないチェイスには、魚の綺麗さがよく分からないのだった。

 

 

 

 

 

 

「ゼェ、ゼェ…………やっと捕らえた……!」

「……大丈夫?御手洗君」

 

やっとの思いでカメレオンを捕まえ息切れしている数馬に、水を渡す簪。

その傍らでは、バイラルコア達がピョンピョンはしゃいでいた。

 

 

 

 

 

「…………アイツ等」

 

ハァと溜め息を吐くチェイスの腹がぐぅーと鳴り響いた。

 

「…………お昼、食べよっか?」

「………すまん」

 

取り敢えず、昼食を食べる為、外に出る二人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「実は、お姉さん弁当作ってきたんだ~」

 

楯無は鞄から弁当箱を取りだし、チェイスに差し出した。

 

「忝ない………」

 

チェイスはペコリと頭を下げて、弁当箱を受け取った。

中には、彩りのおかずが輝いていた。

 

「………いただきます」

 

丁寧に挨拶をすると、凄まじい勢いで弁当を食べる。

 

「よっぽどお腹空いてたんだ~」

 

楯無は水筒のコップにお茶を出して、チェイスの傍に置いた。

 

「………そう言えば、今日は何故俺を誘った?」

「え?」

 

お茶でご飯を流して、チェイスは気になった事を尋ねた。

 

「ん~、強いて言えば、お礼かな?」

 

楯無は少し間を置いて、そう言った。

 

「俺は礼を言われる様な事をした覚えはないぞ………」

「ううん。貴方の言葉のお陰で、簪ちゃんは前向きになったし、頻繁に私との模擬戦を申し込んで来たしね」

「俺は切欠を作ったに過ぎない。そうなったのはお前達が歩み寄ったからだ……」

 

そうぶっきらぼうに吐き捨てると、チェイスは再び食事に入る。

 

「どう。お味の方は?」

「悪くない……」  

 

それを聞いて満面の笑みを浮かべる楯無に、チェイスも微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イルカショーか~。行く?ミューゼル君」

「構わない」

 

昼食を食べ終え、二人はイルカショーを見に行く事に。

 

 

そしてこの後、チェイスがイルカと戯れたり、楯無と一緒に餌を上げたり、ぬいぐるみを買ってあげたりして、あっという間に夕暮れ時になった。

 

 

 

 

「今日はありがとう、ミューゼル君」

 

イルカのぬいぐるみを大事そうに抱えて、楯無は礼を言った。

 

「礼を言うのは俺の方だ……」

「え?」

「良い羽休めになった……ありがとう」

 

親しい者にしか見せない穏やかな顔で、楯無に逆に礼を言った。

その笑顔に、楯無の胸は大きく高鳴る。

 

「う、うん……///」

 

その顔を直視出来ず、楯無は顔を反らす。

だが、このまま終わってしまうのは嫌だと本能が叫んでいた。

 

「み、ミューゼル君。その………目、瞑ってくれる?」

「………?あぁ」

 

言われた通り、目を瞑るチェイス。

 

 

 

 

 

「…………………っ!」

 

暫くして、唇に柔らかい感触がした為、チェイスは驚いて目を見開いた。

すると、眼前には楯無の端正な顔が。

 

「………ん」

 

1分近いキスを終えるように、楯無は顔を離す。

 

「もう、目を開けちゃ駄目なのに……」

 

仕方ないと言った感じで苦笑いを浮かべる楯無。

対するチェイスは未だに状況が飲み込めていない様子だった。

 

「お前、今………」

「………後、これから二人きりの時は、刀奈………そう呼んでね」

 

耳元で囁く楯無にチェイスはぎょっとする。

 

「それは、お前の本当の名前か………」

「うん……」

 

暫くその場に佇んでいると、楯無の方からチェイスの手を引いた。

 

「さっ、行こ!帰るまでがデートよ!」

「お、おい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良いのかい、更識さん。これで……」

「うん。お姉ちゃんの幸せは私の幸せだから」

「………チェイスの本命は」

「うん、分かってる。でも、それでもお姉ちゃんは諦めないと思う」

「………そっか」

 

  

 

 

 

 

 




IS ~黒き魔進~

???「約束通り、これは貰っていくよ」

チェイス「ただの泥棒、ではないと言う事か………」

ハート「まさか、な………」

IS ~黒き魔進~ 『怪盗 序』


黒き追跡者はその瞳に何を写す……?
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