7月某日、とある博物館………
「逃がすなー!!追えー!!」
大量の警察の包囲網を颯爽と駆け抜ける者がいた。
白のシルクハットに同じく白のマントという奇抜な出で立ちのこの男は、最近世間を賑わしている怪盗だった。
「止まれ!怪盗ルパン!!」
警官が拳銃を向けて怒鳴るも、目の前の男ーーールパンは止まらない。
「くそったれぇぇ!!」
やけっぱちになった警官部隊がルパンに向けて発砲するも、
「………ふっ!」
ルパンはマントを翻すと、いつの間にか姿を消していた。
そこには無数の弾が落ちているだけだった。
「な、何だ今の……!?」
「今、時間がゆっくりになった様な……と言うより、重く感じた?」
「それより、ルパンは!?」
警官たちが血眼になって探すと、
「ふははは!!警察諸君!私はここだ!」
突如として嘲笑を含めた叫びが聞こえ、そちらを一斉に振り向くと、ヘリコプターから吊るされた縄梯子にぶら下がるルパンの姿が。
「る、ルパンです!!」
「おのれぇ、ルパン!!」
「君たちでは相手にならんよ!では約束通り、バラージの石は頂いていく!さらばだ!」
警察部隊を嘲笑いながら、ルパンは闇夜に姿を消した。
そして、翌朝の朝刊の一面は、
『鮮やかなる現代のルパン!警察をものともせず盗み出す!』
「へー、怪盗とかいるんだなぁ」
IS学園の寮部屋でニュースをぽけーっと見ながら、弾は呟いた。
「そういうのフィクションだけかと思ってたけどな~」
「でも以前も活躍してたらしいね、このルパンって怪盗」
弾のルームメイトのカイトは顔を拭きながら、洗面所から現れた。
「マジで?」
「と言っても僕らが生まれる前らしいけどね。母さんから聞いたんだ」
「ふ~ん。じゃあ結構お爺さんってことか」
「にしてはアグレッシブだけどね」
「確かに」
と言ってると、弾の携帯が鳴りだした。
「もしもし。……スコールさん?…はい、分かりました」
「どうしたの?」
「向こうに戻ってきてくれってさ」
「…?何だろう」
コンコン
「はい!……ってチェイス?」
「支度は出来たのか?」
「あぁ。俺は出来てるけど……」
「ちょっと待って!すぐ着替えるから!」
「まだ寝間着だったのか………」
結局優と百合、数馬も待たされ、全員遅れて到着する羽目に。
「遅かったわね。何かあったの?」
「全部カイトのせいなんです……」
「ホントにごめん……」
面目ないと縮こまるカイト。
「まぁいいわ。それより、今はこれよ」
スコールは今朝の新聞を机に置いた。
「…今日の新聞、ですか?」
「と言うより、ルパンに注目しろという事か…?」
「チェイス、正解よ」
スコールは懐から写真を取り出した。
そこには、ある男が写っていた。
「その人は?」
「ゾルーグ東郷。今世間を賑わしている、現代のルパンの写真よ」
「えっ、若っ!?」
「と言っても、これは15年前の顔写真。今はこんなに若々しくないはずなの」
「へぇ~、こんなにイケメンなんだな」
数馬と弾はまじまじと写真を見つめる。
「と、顔云々はここまでとして、皆この新聞はちゃんと読んだかしら?」
「……警官部隊が極端なまでの重加速のようなものを感じた」
「見たのか、チェイス!?」
「暇だったからな……」
驚く弾に事も無げに返すチェイス。
「そう。重加速というのは、普段と比較するとまるで時間が遅く感じる現象のことなの。これを引き起こすという事つまりは……」
「亡国機業が噛んでるかもしれん、という事か?」
「流石チェイス。呑み込みが早いわね」
チェイスの発言に頷くスコール。
「確かに、亡国機業の戦闘部隊も、重加速を引き起こしていたな……でも警官部隊が感じたのは、体の動作が遅くなるというよりは、体全体が重く感じたんじゃなかったっけ?」
「そう言えばニュースでも言ってましたね」
優と百合も自らの体験などで例を挙げていた。
「どちらにしても、ただの泥棒では無いという事だな……」
チェイスが言った言葉に全員の表情が引き締まる。
「ルパンは今夜も予告状を送ってきてるわ」
「じゃあ、そこで待ち伏せしてれば……」
「ルパンが何者か、分かるって訳だね!」
「決まりね。では、貴方達に仕事よ」
スコールの言葉に、全員がそちらを向いた。
「ルパンの捕獲、以上よ!」
「「「「「「はい!!」」」」」」
「ルパン……か」
とある場所にあるホテルの一室、そこではハートが新聞の一面を眺めていた。
「まさか、な…………」
そう思案顔で呟くハートだが、その顔は何かを確信したような雰囲気だった。
IS ~黒き魔進~
チェイス「現れたな、コソ泥……」
弾「あれは、何で……!?」
ゾルーグ「ライドスーツを使えるのは君達だけではないのだよ」
IS ~黒き魔進~ 『怪盗 中』
《Lupin!》
黒き追跡者はその瞳に何を写す……?