そのおっぱいに顔を埋めた「死ね!」………
「はぁ!」
『くっ!』
IS学園のアリーナ、そこでは訓練機のラファールを纏った真耶と魔進チェイサーがぶつかり合っていた。
真耶は接近ブレードでチェイサーに斬りかかるが、チェイサーは腕の装甲でそれを防いだ。
『むぅん!』
チェイサーはブレードを腕で掴み、真耶の横腹にブレイクガンナーで一撃入れようとしたが、真耶は直ぐにチェイサーから離れたためその攻撃は不発に終わった。
空ぶった体勢のチェイサーに真耶は何と蹴りを放った。
「えい!」
『なっ…!』
完全に油断していたところに想定外の一撃をもらったチェイサーはアリーナの床にまで落とされた。
その隙に真耶はグレネードランチャーを展開し、チェイサーに向けて撃った。
《Tune!chaser bat!》
『…!』
だがチェイサーも負けじとウィングスナイパーでそれを相殺し、
《Tune!chaser beetle!》
『行くぞ…』
今度はホーンジャベリンを装備、爆発により生じた煙を利用し真耶に突貫した。
「甘いです!」
チェイサーの攻撃をある程度予測していた真耶はシールドでチェイサーの刺突を防ぎ、その場から離脱しつつアサルトライフルでチェイサーをシールド毎蜂の巣にした。
『ぬぅっ!』
チェイサーは弾幕を掻い潜ってホーンジャベリンに刺さったままのシールドを真耶のアサルトライフル目掛けて蹴っ飛ばした。
「ッ!」
勢いよく飛んできたシールドを何とか避けたが、
《Tune!chaser cobra!》
『シールドに気を取られたな……ッ!』
「え……?きゃぁ!!」
躱した隙を突き、テイルウィッパーを真耶の足に巻きつけていた。
真耶がはそれに気づくも既に遅しと言わんばかりにチェイサーは真耶を壁に叩きつけた。
「がはぁっ!」
《Execution!》
『終わりだ…!』
《Full break!cobra!》
テイルウィッパーを真耶に向けて解き放ち、シールドエネルギーをどんどん減らしていく。
「あぁっ!」
そしてそのままラファールのシールドエネルギーが尽き真耶の負けが確定した。
それと同時にテイルウィッパーも消えた。
『大丈夫か……?』
床にペタリと座り込んだ真耶にチェイサーは手を伸ばした。
「す、すみません……」
真耶はチェイサーの手を取り、立ち上がった。
だがここでアクシデントが起こった。
「きゃ!」
『ッ!』
勢いをつけて起こしたため、真耶がチェイサーに向かって寄り掛かってしまった。
チェイサーは慌てて踏ん張ろうとするも、重力法則には逆らえず、そのまま二人倒れこんでしまった。
で、今の状態はというと――――
「あっ………」
『……!』
チェイサーが真耶に押し倒されてるような体勢だった。
しかも装甲越しに真耶の豊満な胸の――と言ってもスコールより少し劣るが――感触が伝わり、チェイサーは仮面越しに顔を赤くした。(と言っても見えないが)
『お、おい……』
「………」
チェイサーがどもりながらも退くように言うも、真耶には聞こえていなかった。
と言うより、チェイサーを押し倒してるこの状態に混乱していたため、聞ける余裕がなかったり。
『ミューゼル君を押し倒してる…!?で、でもこれは事故で仕方ないから………!それより重くないかな?さっきの特訓で汗掻いちゃったし……あぅぅ、匂い伝わってる……!だけど私は教師で、ミューゼル君は生徒…!だけどこれは……』
『…い、おい!』
「…はっ!」
チェイサーが大声で言うと、真耶は漸く正気に返った。
自分の下ではチェイサーが呆れたように見上げていた。
「ご、ごめんなさいぃ!!」
真耶は慌ててチェイサーから離れた。
一方のチェイサーは普通な感じで立ち上がり、スーツを解除した。(内心ドキドキだが)
「いや、そこまで気にしてない……」
「あ、あの、私……」
「…そこまで重くはなかったから安心しろ」
真耶の言いたいことを何となく察したチェイスは大して重くなかったことを告げた。
それを聞いた真耶は直ぐに顔を真っ赤にした。
「寧ろ俺の方が謝らないといけない……強く引っ張らなければああならなかった訳だしな」
「……!」
先程の体勢を思い出し、真耶は頭から湯気を出した。
「それと、感謝する……」
「へ?」
「俺の特訓に付き合ってくれて…」
頭を下げてお礼を述べるチェイスにアワアワする真耶。
「べ、別に大丈夫ですよ!私は先生ですから!」
寧ろこうしてチェイスと一緒に居れた事が嬉しい、と心の中で呟く。
「礼代わりと言ってはなんだが、今日の飯は俺が奢る……」
「へ?!そんな…悪いですよ!」
「俺がしたいだけだ……」
渋る真耶を大して気に留めず、チェイスは昼に門前で待つと告げ、シャワー室に入っていった。
「これって………デート!?」
思わぬ形で訪れたそれに真耶は暫く身悶えしてその場から動けなかった。
昼過ぎ、IS学園の門前――モノレール前だが――にて何時も通りの紫の服に身を包んだチェイスの元に、緑のサマーセーターに薄水色のプリーツスカートを着た真耶がやって来た。
「御免なさい、遅れちゃって……」
「いや、問題ない」
何時も通りの抑揚で返すと、チェイスと真耶はモノレールに乗ってチェイス行きつけのレストランに向かった。
実は、スコールとのデートで向かった場所で、チェイスのお気に入りの場所だ。
「何でも頼んでも構わないが、あまりに高すぎるのは……」
「だ、大丈夫ですよ。何かあったの?」
「……以前、弾とカイトの野郎がバンバン注文しやがってな」
「アハハ…」
苦笑いする真耶。
それに対し、チェイスは本当に嫌そうな顔だった。
なんて事を話しながら、真耶はカルボナーラを注文したが、チェイスは何も注文しなかった。
「ミューゼル君、注文は良いんですか?」
「既に食べた……元々はアンタへのお詫びとお礼だ。だから気にしないでくれ」
「むぅ…」
「何故むくれる?」
困惑気味のチェイスに答えず、真耶はそっぽを向いた。
「別に……って何時ものミューゼル君の態度ですよ」
「……そんなに可愛らしくはないと思うが」
「ミューゼル君は可愛いですよ」
男としては微妙な褒め言葉に、顔を顰める。
だが真耶はにこにことしながら、チェイスを見つめながら口を開いた。
「スコールさんやオータムさんもそう思ってるからミューゼル君を可愛がってるんですよ?」
「ふむ……よく分からん」
唸るチェイスを尻目に、真耶が頼んだカルボナーラが届いた。
「じゃあ、いただきますね。ミューゼル君」
「あぁ」
軽くフォークに巻いて一口食べる。
「…美味しいです~!」
「ここの料理は本当に美味いからな」
水を飲みながら、事も無げに呟いた。
真耶はあっという間にカルボナーラを平らげた。
「御馳走様でした!」
輝くような笑顔を見て、チェイスも自然とほほ笑んだ。
レストランを出た後、ショッピングに付き合ったりして、本当の彼氏彼女のようだった。
「ミューゼル君ミューゼル君、今日はありがとう」
真耶をIS学園の向かうモノレールの送り、その前でチェイスにお礼を言う真耶。
「弾とカイトは、ちゃんと勉強してるのか?」
「ちゃんと週3日来てますよ」
「そうか……今日は楽しかった。じゃあ…」
立ち去ろうとしたチェイスだったが、ふと真耶に手を掴まれ、立ち止まる。
「?」
「ミューゼル君、ううん……チェイス君。私、君の事が……」
何とか自分の想いを告げようとするが、中々言葉に出来ない。
チェイスはそんな真耶をじっと見守っている。
「私……君の事が好きなの!」
そう強く言い放つと、間髪入れず真耶はチェイスの唇を奪った。
突然のキスに、チェイスは体を強張らせた。
1分近いキスを終え、真耶は名残惜しそうにチェイスから離れた。
一方のチェイスは未だに混乱していたが、何とか言葉を紡ごうとした。
「………俺は、俺には」
だが、チェイスは彼女の想いには答えられない。
真耶がチェイスを好いているのと同じように、チェイスにも好きな人がいる。
答えようとしたチェイスだったが、真耶は人差し指でチェイスの口を閉じさせた。
「うん、分かってる。チェイス君が答えられないの、分かってるよ」
「なら、何故……」
「後悔したくないから……それと、チェイス君」
「?」
「一番はダメでも、一緒に置いてくれるなら、他の女の子がいても大丈夫だからね♪」
「……は?」
さらりととんでもない爆弾を投下し、真耶は嬉しそうにモノレールに乗っていった。
一方のチェイスは、その意味を理解したのか、頭を抱えていた。
「嘘だろ、オイ……!?」
――――フリーダム・スカイ社長室。
「……彼に対抗するためには、これを完成させないとね」
スコールが何かの設計図を眺めながら、自作のドラゴンフルーツパフェを食べていた。
「…デッドゾーンには、デッドゾーン、か」
IS ~黒き魔進~
チェイス「気分転換に、どうだ?」
オータム「ひょ~、いい部屋!」
ナターシャ「来ちゃった♪」
IS ~黒き魔進~ 『息抜き』
スコール「貴方を愛してる……息子としても、異性としても」