長いようで短い夏休みの終わったIS学園では、初日から授業が始まる。
だがその前に全校集会があるのだ。
「くそっ、何で初日から授業あんだよ……イテテ」
頭に包帯を巻いた弾は、体育館の中で痛みと戦いながら一人ぼやいた。
「やっぱりIS操縦者は多い方が良いからじゃないか?増やすって意味でさ、早めに覚えさせた方が良いだろうし」
同じく腕に包帯を巻いた数馬がそれに答えた。
カイトと立花兄妹は、申し訳なさそうに二人を見ていた。
「ゴメンよ。まさか亡国機業のボスと戦ってたなんて………」
「俺達だけでも気付けたら……」
「すみません…」
「良いって、もう気にすんなよ」
「誰だっていきなりボスが戦い吹っ掛けるなんて思わないしな」
等と話し合ってると、壇上に生徒会長の楯無が上がった。
「あの人……簪さんのお姉さんだ」
「ホントだ………生徒会長だったんだ」
「皆、おはよう。私は更識楯無。一学期はゴタゴタが続いて挨拶出来なかったけど、私がこのIS学園の生徒会長よ。今回話す内容は、今月に行われる学園祭ーーーー今回のみ特別ルールを取り入れるわ、その名も!」
壇上の巨大なスクリーンにチェイス達男子生徒の顔写真が映された。
『『『ええええええええ〜〜〜〜〜〜っ!?』』』
割れんばかりの叫び声に、ホールが冗談無く揺れた。
一方の弾達は耳を防げず、暫く動けなかった。
「静かに。学園祭では毎年各部活動ごとの催し物を出し、それに対して投票を行って、上位組は部費に特別助成金が出る仕組みでした。しかし、今回はそれではつまらないと思い……上位の部活動に男子生徒諸君を強制入部させましょう!」
「「「「はぁぁぁぁぁぁあっ!!?」」」」
いきなり言われた弾達は、揃って反論の声を上げた。
まぁ、無理もないことだが。
「「「「「それ…凄く良いです!!!」」」」」
しかし体育館の女子達は満場一致で賛成、圧倒的な賛成数に弾達はぐうの音も出ない。
「ち、ちょっと待てよ!帰宅部っていうアレは無しなの!?」
「あのね、この問題は貴方達が部活動に入らないから苦情が殺到してるの。貴方達が部活動に加わってたら取り消せたけど……と言うか帰宅部なんてないわよ!」
「うぐ………!」
数馬の反論も楯無の正論に完封される。
「これも運命、なのか………?」
「ッつーかここにいないチェイスが怖い……」
「確かに……」
「アイツ怒るぞ、絶対…!」
「ハハ………」
早くも諦めた弾達は、チェイスの怒れる様を想像し溜息を吐いた。
それに対し、優の妹の百合は苦笑いを溢す他なかった。
『そう言えば、ミューゼル君がいないわね……この間の事が原因なの?』
楯無も笑顔で手を振りながら、何故かこの場にいないチェイスに思いを馳せていた。
一方のチェイスはと言うとーーーー
「はい、チェイス」
「あ、ありがとう……」
フリーダム・スカイの病室にて、スコールから手厚い看護を受けていた。
しかもミニスカナースのコスプレで。
「なぁ、母さ…スコール………俺は何時までこの上なんだ?」
「取り敢えず、一週間はベッドの上よ」
こうなった原因は、無論この間のデッドヒートだ。
魔進チェイサーのシステムにもダメージはあったが、それ以上にチェイスへのダメージが大きかったため、一週間近くは動いてはならない。
勿論、魔進チェイサーも暫くは使用禁止。
それも含めて無茶したために、チェイスはスコールに起きた時に物凄く怒られた。
「以前にも言ったわよね、あまり無茶はしないでって」
「あ、あぁ……」
「言っても聞かない様な悪い子には………」
スコールは妖艶に微笑むと、ナース服のボタンを外して胸を見せつけた。
「お仕置きが、必要ね♪」
「え………ま、待ってくれ。まだ体が…!」
「大丈夫、優しくするから…」
「ちょーっと待ったー!!」
何やらイケない雰囲気の中、何故か黒のナース服を着こなしたオータムがバン!と扉を開けて登場した。
「あら、オータム」
「チェイスの看病なら、私も混ぜてくれよ!」
「こ、この様でか………!?」
「心配掛けた分、ここは踏ん張り所だぜ?」
「そういうこと、ね?」
ここでチェイスは悟った。
あ、終わった……と。
そこから先はチェイス達のみぞ知る……。
「では、本日の授業はここまでです!皆さん、あまり夜更かししてはダメですよ~」
真耶の号令によって、今日1日の授業は終わった。
弾達はこの後どうするかを話し合ってると、真耶が弾達の方に向かってきた。
「どしたんすか?山田先生」
「あの……ミューゼル君は無事なんですか?」
そう心配そうに聞いてきた。
先日にあったハートロイミュードの襲撃事件の際、傷付いたチェイスの介抱をしたのは真耶だった。
「あー………一応無事っちゃ無事ですよ」
「でも、まだ安静でいないと駄目らしいから、一週間は来られないですよ」
「そうですか………でも良かったぁ」
心から安堵した様な溜息を吐く真耶に、弾達も嬉しくなる。
「やっぱり山田先生は優しいっすね」
「そ、そうですか?」
「それはそうだろ。だって山田先生はチェイスの事ーーーー」
「い、言わないでください///!」
「ミューゼル君入院してるの!?」
「ってアンタ何処から現れた!?」
騒がしくもありながら、弾達は二学期初日の学園生活を終えた。
その頃、スコールはと言うと……
「スコール、何でマッハドライバーもう一台作ったんだ?」
「敵は確実に強くなってるわ。それに……魔進チェイサー自体、プロトタイプよ」
「っ!まさか………」
「えぇ。チェイスの協力で戦闘データは取れたし、魔進チェイサーの………パワーアップに繋がると思ってね」
研究室にて、オータムととある会話をしていた。
そしてデスクには、黒いシグナルバイクとマッハドライバーが置かれていたのだった………
IS ~黒き魔進~
カイト「メイド喫茶か……」
弾「新しい力、試すか……!」
ハート「襲撃日はーーーーーーーーだ」
IS ~黒き魔進~ 『学園祭・序章』
黒き追跡者はその瞳に何を写す……?