某国のとある研究所…………
「し、侵入者だ!」
「奴をISルームに近づけるな!!」
そこでは日夜ISに関する違法実験を行われていたが、この日に何者かの襲撃を受ける。
「死ねぇ!!」
ISを纏った部隊が侵入者に向けて一斉射撃を行うも、
《gun》
その者は、マシンガンから放たれた銃弾を容易く撃ち落とした。
「な、何ですって!?」
「こんなことって!」
『…………』
《Break》
唖然とする中、襲撃者は手元の拳銃を操作し、IS部隊に突っ込み殴り付ける。
そのスピードはハイパーセンサーを用いても、見切れない位、速かった。
「あぐぅ!」
「うごっ!!」
「がはぁ!……」
絶対防御をも越えるダメージに操縦者達は皆気を失う。
『…………』
襲撃者はそのまま進み、ある部屋のドアを殴って開いた。
『…………見つけたぞ』
「お、お前は!?」
その中にいた研究員は慌てふためくが、それに構わず拳銃を突きつける。
『研究所内のIS部隊は全て沈黙させた、今から俺の質問に答えろ。妙な真似をすれば……殺す』
「ふ、ふざけるなァ!誰が貴様の言うことなど!!」
研究員は手に持ったスイッチを押すと、その瞬間、爆発が起きた。
その研究員はISを解析して作ったスーツを着ていた為ダメージはなかった。
「ハハハ~!!ざまぁみ……」
襲撃者に対する罵りは、それ以上は出てこなかった。
何故なら、言い終わる前に眉間を目の前の無傷の襲撃者に撃ち抜かれたから。
倒れ伏し、そのまま動かなくなった研究員を無視し、襲撃者はモニター等もチェックする。
が、全て先の爆発で使い物にならなかった。
『……チッ、してやられたか』
『おいチェイス、そっちはどうだ?』
『駄目だ、データは全て吹っ飛んだ』
『そうか……じゃあ、また後でな』
『あぁ……』
襲撃者ーーーチェイス・ミューゼルは天井を壊し、其処から飛び去る。
後に生き残ったIS部隊はチェイスをこう呼んだ。
”黒い死神”ーーーと。
チェイスがこの様な裏仕事を養母であり、恩人であるスコールに頼んだのは数日前だった。
「スコール達の仕事は違法実験とかをしてる奴等を拘束するんだよな?」
「えぇ、そうよ」
「俺にその仕事を手伝わせてくれないか?」
チェイスのこの発言にスコールとオータムは目を真ん丸にする。
が直後、スコールは真剣な顔でチェイスに尋ねる。
「チェイス、私達の仕事は唯の仕事じゃないの。相手を殺す事だってあるし、自分の命が無くなる時もある……その手を血で染める覚悟があるの?私としては出来れば貴方にそんな道を歩んで欲しくないの……」
「…………俺の命はスコールに拾われた、だったらスコール達の為に死ねるなら本望だ」
「チェイスッ……」
「それに覚悟なら、ある。これに誓っても良い」
チャッ、とブレイクガンナーを懐から取り出す。
「俺にしかない取り柄で、スコールに恩返しが出来るし、オータムにも借りを返せる。そう考えれる限りは、心配はいらない」
「…………」
「勿論、死ぬつもりはないさ。こういう形以外で、ちゃんと恩を返したいからさ」
そしてその日から、チェイスは『フリーダム・スカイ』の実働部隊に配属された。
「良く考えると、チェイスが配属されたらあの子も喜ぶかもね」
「あの子……?」
「チェイスより前に拾った奴でな、そいつも男なんだよ。年もお前と近いし、仲良くなれるぜ、きっと」
「今は別任務でいないけどね」
そうして、今に至る。
「と言うわけだ、データは取れず終い……悪いな」
「すまない……」
「気にしなくても大丈夫よ、二人とも」
スコールは微笑みながら、二人を労る。
「それはともかく、チェイス」
「?」
「体に異変はない?」
心配そうに尋ねる。
若干過保護な養母に苦笑いしつつ、異常はないと答える。
「大丈夫だ、問題ない」
「そう……良かったわ」
そうして、チェイスを抱き寄せる。
仕事終わりには必ずされるこれに、チェイスは複雑な思いになる。
何せ抜群のスタイルを誇る絶世の美女であるスコールにハグされるのだ。
普通の男なら天にも昇る心地よさだが、チェイスにとっては、義理とは言え母親だ。
その様な感情を抱いてしまうが、相手は母親、そんなことは駄目だという葛藤が生まれてしまうからだ。
チェイスも立派な男なのだ。
『スコール、なげぇぞ!羨ましい……。私も負けねぇからな!』
『柔らかい、それに良い匂いだ……っていかん!相手は母親だぞ!』
オータムは羨ましそうに、スコールを見つめ、チェイスは何時もと同じく自分の煩悩と戦っていた。
同日同時間ーーー
「見つけたぞ!!」
「スコール・ミューゼルの事、洗いざらい吐いてもらうわよ!」
『悪いが、恩人を売る真似はしない』
「なっ!」
その者は目にも止まらぬスピードで、IS部隊を手に持った赤い矢の様な武器で彼女らを切り裂いて行く。
「きゃああ!!」
「くそッ!増援を……!」
『させるか!』
弓を引き、矢を空に向けて放つと、その矢は分裂し残った相手を撃ち抜いた。
『沈黙、完了っと』
すると、その者は何処かに連絡を入れる。
『僕だ……。あぁ、やはり日本政府の女性利権団体の連中だったよ。……大丈夫だよ、所詮機械に心を奪われた連中だからね。あぁ、今から帰投する』
その者は連絡を切ると、空へと飛び立つ。
『父さん……僕はこの力で、母さんを守り抜くよ、必ず!』
IS ~黒き魔進~
色川カイト「僕は色川カイト、宜しく、チェイス」
チェイス「友……俺にもかつていたと言うのか?」
オータム「良い友達だな、お前ら!」
IS ~黒き魔進~ 『友』
《メロンエナジーアームズ!》
黒き追跡者はその瞳に何を写す……?