IS ~黒き魔進~   作:ふくちか

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前半は普通ですが、後半から…………シリアスです


『襲撃』

 

「……疲れた」

 

あれから真耶達の付き添いで様々な模擬店を回ったチェイスは、くたくたに疲れていた。

 

「お疲れチェイス。でも良い報いだよ」

「何怒ってんだカイト…………?」

「お前にゃ一生わかんねーよこのリア充が!」

「???」

「…もういーや」

 

投げやりに呟く数馬。

とは言え、もう夕方になっており、客も少なくなっている。

 

と言うか何故か教室にいるのはチェイス達男子だけだ。

 

「ボチボチ片付けかな……」

「いいえ、メインイベントはこれからよ!」

 

一組の扉を勢いよく開ける人物が現れた。

生徒会長の楯無だ。

 

「更識さん?」

「どういう意味っすか?メインイベントって」

「まぁまぁ、ついてきて!」

「おい、押すな…!」

 

あれやこれやと楯無に連れてこられたのは、IS学園の体育館。

そこでチェイス達は白い王子様風の衣装と王冠を手渡され、言われるがままに着替える。

 

「皆よく似合ってるわ~!じゃ、これからなんだけど………皆のアドリブに期待するわ!」

「お、おい!ちょっと!」

「何か嫌な予感が……」

 

取り敢えず舞台に上がると、それなりに観客も多く、どうやら劇でもやるらしい。

 

『それでは只今より、生徒会主催の劇『シンデレラ』をお送りいたします』

「シンデレラ………」

「似合わねぇ……特にチェイスが」

「殺すぞ、数馬」

「お、落ち着こうぜ、チェイス……」

「楯無さんかよ、ナレーション」

 

楯無のアナウンスから始まり、中央のチェイス達にスポットライトが浴びる。

 

『昔々、あるところにシンデレラという可愛い少女が住んでおりました』

 

ここまでは普通だった…………そう、"ここまで"は。

 

 

 

 

 

 

『否、それはもはや名前ではない。幾多の舞踏会を抜け、群がる敵兵をなぎ倒し、灰燼を纏うことさえいとわぬ地上最強の兵士たち。彼女らを呼ぶにふさわしい称号……それが『灰被り姫(シンデレラ)』!!そして今宵もまた、血に飢えたシンデレラたちの夜が始まる。五人兄弟の王子の冠に隠された隣国の軍事機密を狙い、舞踏会という名の死地に少女たちが舞い踊る!』

 

 

 

 

「………………は?」

「おかしいな、僕の知ってるシンデレラと何か違う」

「最近のシンデレラは物騒だなー」

「数馬、あからさまな棒読みは止めようぜ」

「…………何か、足音が聞こえるんだけど」

 

何処か変なナレーションを聞いて皆首を傾げるも、何やら大勢の足音が聞こえてきたのでそちらを振り向くと、

 

 

 

『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』

 

 

恐らくIS学園の女子生徒の殆どが、ウェディングドレスを纏い、剣やら銃やらで身を固めて男子達に襲いかかってきた。

 

「「「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!?」」」」」

 

驚くチェイス達であったが、女子生徒達は剣で斬りかかって来たり、遠距離から撃ってきたりと様々な方法で迫ってくる。

 

「ミューゼル君!」

「覚悟っす!」

「ぬぅ!」

 

チェイスはいきなりドレスを着たダリルとフォルテに襲われるが、何とかそれを往なしていく。

 

が、この二人だけで終わるはず無く、

 

 

「え~いっ!」

「っ!…………山田教諭?」

 

今度は後ろから真耶の追撃が襲い来る。

 

「ミューゼル君!何も言わずにその王冠を渡して下さい!」

「な、何故………?」

「こういう場所じゃなきゃ!」

「スコールさんに優勢に出れないっす!」

「だから……」

「「それを頂戴!(下さいまし!)」」

「!?」

 

突如、背後からビームと銃弾が撃たれた。

チェイスが振り向くと、そこにはセシリアとシャルロットが。

 

「オルコット、デュノア………お前らもか!?」

「そ、そうですわ!」

「僕らだってミューゼル君の事好きなんだから!」

「っ!」

 

まさかこんな場所で告白されるとは思ってなかったチェイスは驚きで動けなかった。

 

「「「「「覚悟!!」」」」」

「ちぃ!!」

 

結局チェイスは5人を始め、更に複数の女子に追い掛けられる事に。

 

 

 

 

『何でこういう時に参加できないの!?羨ましい~!!』

 

楯無は舞台裏でマイクを握り潰す勢いで握りながら悔しがっていたことを、チェイスが知る由もなかった。

 

 

 

 

 

「チェイス、爆発しろ!!ってうわぁぁぁ!!」

 

弾も弾で追い掛けられる中、必死に叫ぶ。

 

「俺には好きな人がいるんだぁぁぁぁぁ!!!」

『知るかぁぁぁぁ!!』

「知ってくれェェェェェ!!!」

 

だが景品である王冠を取れば男子と同室になる権利が得られる事で頭が一杯な女子達に通じるはず無く、血眼で弾を追い掛ける。

 

 

「御手洗君、もらったぁぁぁ!!」

「うぃっ!?」

 

数馬は真剣での一刀両断を何とかかわす。

 

「くっそー……こうなりゃ強引に振り切るしかねぇな!」

 

と言いながらマッハドライバーを腰に付けると、

 

 

 

 

『王子様はとある悪い魔女から、自らの剣を手に取ると電流が流れる呪いを受けてしまったのです!』

「は?……………ぐぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

楯無のアナウンスを聞いてその意味を理解した数馬に強力な電流が流れた。

 

 

要するにISーーーーライドスーツも使えないのだ。

 

「数馬ーーっ!!」

「数馬が死んだ!」

「この人でなし!」

「い、生きとるわ……………!」

「だったら王冠を外せば………!」

 

何とか生きてる旨を伝える数馬を見て、別の場所で追い掛けられていた優は、王冠を外そうとした。

 

 

が、

 

 

 

『王子様にとって国とは全て。その重要機密が隠された王冠を失うと、自責の念によって電流が流れるのです!』

「え?………あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

外していた為に優も数馬同様に強力な電流を浴びてしまう。

 

「優ーーっ!!」

「優も死んじゃった!」

「この人でなし!」

「"も"って何!?俺、死んでねーから!!」

「勝手に、殺さないでくれよ……!」

 

フラフラと立ち上がりつつ、落ちていた武器で対応するが、いくら女子を倒しても、また次の女子が襲い掛かってくる。

 

 

 

『『『『『どうするよ、オイ!?』』』』』

 

 

5人の心が1つになったその時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドォォォォォォォォォンッ!!!

 

 

 

体育館の外から爆発音が響き、全員の動きが固まった。

 

「な、何…今の?」

「花火……にしては大きすぎるよね?」

『今の方角は恐らく、ISの保管室……………まさか!』

 

周囲や客席にどよめきが走る中、チェイスは何やら嫌な予感を感じ取った。

 

「更識!専用機を使えば電流が流れる装置を今すぐ解除しろ!!」

『え、えぇ!分かったわ!』

 

楯無も何かを悟ったのか、ふざけ無しで装置を解除した。

 

「弾、数馬、優、カイト、百合!」

「「「「「おう(はい)!」」」」」

 

その場の弾達と客席にいた百合に呼び掛けると、全員ライドスーツを纏う。

 

 

『変身!!』

 

《Break up!》

《シグナルバイク!ライダー、マッハ!》

《ドライブ!タイプ・スピード!》

《レモンエナジーアームズ!Fight power!Fight power!Fi-Fi-Fi-Fi-F-F-F-F Fight!》

《メロンエナジーアームズ……!》

《ピーチエナジ~ア~ムズ!》

 

各々変身完了すると、体育館の外に向けて飛び出した。

 

『鈴さん、ラウラさん!ここは任せました!』

「よ、良く分かんないけど…」

「任されたぞ!」

『お願いします!』

 

マリカは一緒にいた鈴とラウラ、そしてセシリアとシャルロットに体育館の人達を任せる。

 

『山田教諭、ケイシー、サファイア、オルコット、デュノア……不用意に動くな』

「っ!」

「でもどうして!?」

「うちらも専用機持ってるし……」

『敵の狙いは恐らく、ISの破壊だ!専用機を持っているお前達も狙われる………外の奴等は俺達が片付ける!だから騒ぎが収まるまではここにいろ!良いな!?』

「わ、分かった!」

「気を付けてください!」

 

 

 

 

 

 

 

「止まりなさい!この怪物!」

『怪物ぅ?それはISに取り付かれたてめぇらだよ!おらぁぁぁっ!!』

 

教員用のISを纏った女性教師の銃撃の嵐に怯まず、ハンマーを模した異形ーーーークラッシュロイミュードは腕のハンマーを勢いよく振るい、女性教師に叩き付けた。

 

「がっ、ぁぁっ……!!」

 

絶対防御を無視して襲い来る痛みに顔を歪めると、クラッシュロイミュードは更に高熱を纏わせ、女性教師ごとISを破壊した。

 

『げっへっへ!俺のノルマは達成だな!』

 

 

 

 

 

 

 

「く、来るなぁぁぁ!!!」

『クククッ!今の俺の肉体は最高級!そんな玩具で壊せるかよ!』

「いやぁぁぁぁ!!」

 

別の方角では、複数の教師相手にたった一人で圧倒的戦闘力を見せつける、紫の手甲を着けた異形ーーーーアイアンロイミュード。

 

『はっはっはぁ!そんな玩具に盲信した事を悔やんで逝けェ!!!』

「か、体が………!」

「遅く、なってっ!?」

『えぁぁぁぁっ!!』

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」

 

重加速によりまともに動けないところを、鈍く重いパンチを受け、ISは大破。

女性教師達はISから投げ出され、そのまま絶命。

 

 

その他にもIS学園保有の訓練用ISが、次々と亡国機業の機械生命体ーーーーロイミュードにより破壊されていく。

 

 

 

 

 

 

「くっ!一体何が………!」

 

その中で、千冬はそれらの事を対処しようと動くも、動けば動くだけ状況も悪化していく。

 

 

「分からないか?………IS学園はもう終わるのさ」

「っ!誰だ!?」

 

その時、後ろから聞き覚えのない男の声が聞こえ、千冬が振り向くと、そこには真紅のコートを着た男が千冬の眼前に仁王立ちしていた。

 

「俺はハート……………今このIS学園を侵攻している亡国機業のトップだ」

「…亡国機業!」

「さて、本題に入ろうか……………むんっ!」

「…っ!」

 

ハートはその体をロイミュードボディに変化させると、千冬にガントレッドを投げ渡した。

 

「これは……?」

『篠ノ之束の遺作だよ。名は"白式"…………嘗て貴様が乗っていたISーーーー"白騎士"のリニューアル品だ』

「っ…………待て、遺作だと?どういう意味だ!?」

『……篠ノ之束はもうこの世にいない。俺が、殺した』

「っ!?」

 

ハートロイミュードから告げられた事実に、千冬は激昂した。

 

「……貴様、よくも私の親友を!!!」

『…………たった一人の友を奪われただけでこの怒り様……。その怒りを貴様等にぶつけたい人間は、大勢いるというのに』

「何…!」

『嘗て貴様等が起こした、"白騎士事件"…………あれによって大勢の人間が死んでいる!!』

「なん…だと……!?」

 

そんな事はない、あの事件で死傷者は……

 

 

 

『あの日貴様が往なしたミサイルで、沢山の人間は死んでいる。そして、今尚後遺症で苦しむ人も大勢いる!それを知ろうともせずに、貴様等が平穏を享受している…………俺はそれが許せん!!そして、ISという玩具に、女尊男卑という下らん幻想に取り付かれたこの世界が!!俺は腹立たしくてならんのだ!!!』

 

ハートロイミュードの怒りを肌で感じた千冬は圧倒されていた。

この男の怒りは、言っている事はーーーー事実だと、千冬は感じ取った。

 

『…………だが、この怒りは試合でぶつけよう。織斑千冬、そのISを纏い、俺と戦え』

「………貴様が負ければ?」

『俺が負ければ亡国機業の負け、そして貴様が負ければIS学園の…………ISの負けだ』

「…………良いだろう、受けて立つ!」

 

 

千冬はガントレッドを嵌めると、ハートロイミュードを伴い、普段は使われていないアリーナへと向かって行った。

 

 

 

 

 

そして今、IS学園を守るため、壊すための決戦がーーーー

 

 

 

 

 

 

始まろうとしていた。

 

 

 

 

 




今回は予告無しです
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