何故なら初期案の時点で電子頭脳化という発想がなかったから(ry
チェイサー達が体育館を飛び出して数時間が経過した。
外からの轟音で混乱していた生徒達も、セシリア達代表候補生によって落ち着きを取り戻していた。
が、それは直ぐに破られる事になる。
ガァァァンッ!!
『!?』
『IS、壊す…!』
『さぁーて、お前達は俺を楽しませてくれるかな?』
『壊す!壊す!げっへっへ!ISは全てスクラップだぁ!!』
体育館の扉が強引に破られ、クラッシュロイミュード、アイアンロイミュード、そして剣を持ったロイミュード、ジャッジ、そして複数のロイミュード部隊がそこから体育館の舞台に飛び込んできた。
「きゃぁぁぁぁぁっ!!」
「か、怪物!?」
「助けてーーっ!!」
途端に混乱にざわめく生徒達。
『うるせぇぞ餓鬼共!!』
その中の蝙蝠を思わせるバットロイミュードが銃口となってる指を向ける。
「そんな事、生徒会長の目の前でさせると思う?」
『ぐぎゃあっ!?』
だがバットロイミュードの死角から専用機、『
「……これ以上のIS学園での蛮行、この生徒会長、更識楯無が許さないわよ?亡国機業の機械兵士さん」
『はっ!ただの人間であるてめぇに、元人間の俺達が倒せるとでも!?』
「えぇ、勿論。ミューゼル君が言ってたわ、貴方達と戦うならば、貴方達を人間と思うな…………って」
『げっへぇ!スゲェ殺気だぁ!』
更識家当主として相応しい殺気は放つ楯無に、クラッシュロイミュードはおどけた口調で返す。
「皆!!今の内に舞台裏に避難しなさい!彼等の狙いはISを持った私だけだから!そうでしょう!?」
楯無は簪やセシリア達を庇うために、敢えて自分だけが専用機を持っていると嘘をついた。
『確かにそうだ…………だが、流れ弾に当たって死んでも、それはソイツの責任って事だ。革命に犠牲は付き物だからなぁ』
「っ………」
『フン、だがお前さんの心意気は気に入ったぜ?後ろの嬢ちゃん等を守るために見栄を張るなんてよ』
アイアンロイミュードの発言に楯無は顔を厳しくさせる。
「そんな犠牲…あっちゃいけない……!」
「簪ちゃん!?」
だがそんなアイアンロイミュードの言葉を否定したのは、打鉄弐式を起動させた簪だった。
「どうして!?隠れてなきゃ……!」
「お姉ちゃん、私も……私だってIS操縦者だもん!それを隠してお姉ちゃんが傷付くのを見守ったら、後悔するから……!だから、皆を、そしてお姉ちゃんも守るために、戦う……!」
「簪ちゃん……」
「そうですわ、楯無さん」
簪の言葉を皮切りに、セシリア達も次々とISを展開させる。
「っ、貴女達!」
「ただ受け身なのも、私の性に合わないしね!」
「ミューゼル君達も頑張ってるのに、代表候補生の僕らがサボってちゃ、ダメだからね」
「私にとって、彼女達は人としての楽しさを教えてくれた…………今ここで、その恩を返すとき!」
「…………で、箒。アンタはどうすんの?」
鈴は甲龍の武装である青龍刀、双天牙月を振り回して、後ろにいる箒に尋ねた。
「…………………私には、まだ戦う理由が見つからない。……だが、力があるのにそれを使わないで、ただ見守るのは、クラスメイトが傷付くのを見守るのは…………嫌だ!」
箒は決意の眼差しで、紅椿を展開する。
「私も戦う!戦いの先に、私の求める答えがあるのなら!」
「よくぞ言ったわ、箒!」
『…………篠ノ之束の妹か、面白い!』
ジャッジロイミュードは剣を構え、嬉しそうに言葉を震わせる。
『なら教えてやるよ……………てめぇらの正義が如何に脆いかを!』
『ISごと壊してやるぜぇーーっ!!』
アイアンロイミュードとクラッシュロイミュードも、戦闘体勢に移った。
「……あの紫の奴は、私がやる」
「だったら手を貸すよ、ラウラ」
アイアンロイミュードを見据えるラウラに、シャルロットが助太刀を進言した。
「これは私の戦いだ!お前を巻き込む訳には……………」
「そんなの関係ないよ。だって、仲間じゃない!…………それに、多分タイマンじゃ勝てないだろうし……ここはタッグ戦の方が良いだろうし、ね?」
「私もシャルロットちゃんの意見に賛成よ」
楯無もシャルロットの意見に賛成した。
「敵の力が未知数な以上、一対一は危険よ。それに、ラウラちゃんの能力は、タッグでこそ真価を発揮する………でしょ?」
「……確かに」
「なら私とセシリアはあのハンマーみたいな奴ね」
鈴とセシリアはクラッシュロイミュードを睨み付ける。
「…………篠ノ之さんは?」
「……私は、奴と戦う。奴も、それを望んでいる様だからな」
箒はそう呟くと、ジャッジロイミュードに単身向かって行った。
「ちょっと箒ちゃん!…………もう、仕方ないわね!だったら……」
「私とお姉ちゃんで、雑魚討伐………………」
更識姉妹は、亡国機業の下っぱロイミュードを相手取る事に。
「箒ちゃんには言いそびれたけど…………皆、深追いは禁物よ。そして…………死なないで!以上よ!」
「「「「「はい!」」」」」
各々戦うべきロイミュードを引き付け、学園を守るための戦いの火蓋が、今切って落とされた。
「アイツ…………以前にラウラが暴走した時の姿に似てる」
「……だからこそ、私は奴を倒す」
アイアンロイミュードを引き連れ、シャルロットとラウラは、体育館近くのグラウンドにて、アイアンロイミュードと対峙していた。
「じゃあ、アイツと戦うのを決めたのも、それが理由?」
「あぁ、奴は言わば力に驕れた私とも言える。奴を倒して、私は過去の自分を乗り越える!」
力強く宣言するラウラの言葉を聞いていたアイアンロイミュードは、やれやれと嘆息する。
『てめぇが俺を倒す…………?それは無理だな。何故なら、俺はてめぇらより強い!!』
「…………そうかな?思いは時として、物理的な強さをも上回るんだよ!」
近接ブレードを構えたシャルロットが、アイアンロイミュードの言葉を否定した。
ラウラはシャルロットを頼もしそうに見詰める。
「……私の背中、任せたぞ。シャルロット!」
「OK!」
『へん!なら……………………行くぜぇぇぇぇ!!!』
狂気に彩られた叫びを放ち、アイアンロイミュードは腕を伸ばして二人同時に攻め立てる。
「っ!」
「はっ!」
シャルロットは即座に盾を展開し防ぎ、ラウラは急上昇してそれをやり過ごす。
『あめぇんだよ!』
「っ!?」
だがそれを見越していたのか、アイアンロイミュードは伸ばした腕を屈折させ、拳をラウラにヒットさせる。
「ぐあっ!」
たったの一撃でシールドエネルギーを大きく消耗しながら、ラウラは地面に激突する。
『撃ち取ったりぃ!!』
「ラウラ!…っ!」
『次はてめぇだ!』
アイアンロイミュードは接近してシャルロットと肉薄しようとするが、シャルロットはそうはさせまいと近接ブレードを巧みに使い、アイアンロイミュードの接近を許さない。
『ちぃっ!!』
「そこっ!」
『ぬっ?………こんなもんかぁ!?』
シャルロットは自身の得意とする技能、高速切替を使い、アイアンロイミュードの隙を縫うようにアサルトカノン、『ガルム』で銃撃。
動きを止めることは出来たが、あまりダメージはない。
「まだだよっ!」
だがシャルロットは怯むこと無く、近接ブレードを再び展開し、アイアンロイミュードを切り裂く。
『効かねぇよ、そんなブレード!』
対してダメージを見込めない様子だが、シャルロットは不敵に微笑む。
「確かにそうだね…………でも、僕は一人じゃないよ?」
『あん?………………っ!』
シャルロットの言葉に疑問を抱くが、気付くとアイアンロイミュードは体の自由が利かなかった。
『な、んだ……………こりゃ!?』
「私が何時戦闘不能になったと言った?」
シャルロットの後ろで、手をアイアンロイミュードに向けて翳すラウラが、そこに立っていた。
『てめぇ、倒した筈じゃ…………!』
「私があの程度で倒れると思うな!シャルロット!」
「うん!」
シャルロットはアイアンロイミュードに向けて盾の裏に内蔵されたパイルバンカー、『灰色の鱗殻』をアイアンロイミュードの無防備な体に撃ち込んだ。
『がっーーーーーーーっ!!』
体に連続で杭を撃ち込まれ、アイアンロイミュードはあちこちから紫電が流れ出ていた。
しかも追い打ちでラウラのレールカノンの一撃も貰ってしまう。
シャルロットは、最後の一発を撃ち込むと、ラウラに近接ブレードを投げ渡した。
「ラウラっ!」
「任せろ!」
近接ブレードを手に掴み、ラウラは瞬間加速でアイアンロイミュードとの距離を一気に詰める。
「以前の私は、他人との関わりを拒絶し、全てを独りで成し遂げようとした愚かな女だった!だが今は違う!共に競い合う仲間と共に!お前達を、私達の平穏を脅かす悪を、討つ!!!でゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
『がぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!』
自身の専用機のエネルギーを込めた必殺の一撃に、アイアンロイミュードのコアに亀裂が走った。
『………へへっ、そうかい…。なら、絶対に立ち止まるな、よ…………最後にてめぇらと戦えて、良かっ…………た……………………………!
亡国機業に…………………栄光あれ!!!』
そう手を広げ力強く叫ぶと、アイアンロイミュードは爆発を起こし、その場から消え去った。
「…………彼も、人だったんだよね」
「あぁ、だが…………立ち止まって詫びるよりも、進んで行った方が、奴も気分が晴れるだろう」
「……そうかもね」
罪悪感を拭いつつ、二人はその場に座り込んだ。
『おぉぉぉぉぉ!!』
此方はセシリア、鈴のコンビ。
だがクラッシュロイミュードのパワーに圧され、防戦一方な展開に。
「このままじゃじり貧よ!」
「ですがあれほどのパワーをまともに受けたら!」
「…………だったら、援護ヨロシクっ!」
「鈴さん!?」
そうセシリアに短く告げると、鈴は双天牙月を握り締め、クラッシュロイミュードと真っ向からぶつかる。
『ゲヘヘ!俺と真正面からぶつかるなんてよぉ!命知らずも良いとこだぜ!』
「だったらその命知らずのパワー、受けてみなさいっ!!」
『げっへっへ!!』
クラッシュロイミュードの両腕のハンマーと、鈴の青龍刀が火花を散らす。
が、やはり人間を辞めてるクラッシュロイミュードの方が、やや優勢だった。
『そんな貧弱な力で俺様に勝とうなど、三万光年速いぜ!』
「光年は時間ではなく距離ですわっ!」
『ブヘェ!』
セシリアが鋭い突っ込みと共にビットからビームを放ち、クラッシュロイミュードを怯ませる。
「隙ありぃ!」
その隙に鈴は機能増幅パッケージ、「崩山」により2門から4門に増えた龍咆から通常時の不可視の弾丸ではなく、赤い炎を纏った弾丸を放つ。
拡散衝撃咆となり破壊力が向上した龍咆をまともに全弾喰らい、クラッシュロイミュードは情けない悲鳴を上げる。
『ぐぇぇぇぇ!!!』
「きたねぇ花火、ですわね!」
追い打ちとばかりにセシリアも、夏休みの特訓のお陰でビットと他の兵器との連携が可能となったので、ビットとライフルの連続集中砲火により更にダメージを負う。
『ぐへぇ!こ、こうなったら……………おりゃぁ!』
「「っ!?」」
追い詰められたクラッシュロイミュードは、奥の手と言わんばかりに重加速を発生させ、二人はまともに動けなくなる。
セシリアは直前にビットからビームを撃つも、それは軽々しく避けられる。
『げっへっへ…………いてぇのは一瞬だから安心し…………………ぐぎゃあっ!?』
だが突然の背後からの一撃にダメージを受け、重加速が解除される。
それは当然、セシリアと鈴の解放を意味していた。
「まさかセシリア、アンタ…………」
「…何とか、上手くいきましたわ」
セシリアは先程撃ったビームを、"曲げた"のだ。
それは、先日にチェイスから教わった偏向射撃。
あれからチェイスの教えを受け、セシリアは何回かに一回の頻度ではあるものの、偏向射撃を使えるようになっていたのだ。(重加速はあくまで体の動作が鈍くなるだけであり、思考などのスピードが衰える訳ではない)
『ぐ、ぐおおっーーっ!!』
立ち上がり怒りの咆哮を上げるクラッシュロイミュードだが、鈴の衝撃咆によりコア周辺の障壁を崩され、更にセシリアのビット全てを一点に集中させた一撃によりコアを破壊され、断末魔を上げることなく爆死した。
「ふぅ………」
「やるじゃん、セシリア!」
「決まって良かったですわ…………」
ホッとしたようにセシリアはその場に座り込んだ。
「皆、無事かな…?」
鈴もセシリアの隣に座り込み、全員の安否を気遣った。
一方、体育館ではーーーー
『うおおっ!』
「っ……!」
スパイダーロイミュードの攻撃を超振動薙刀、『夢現』で防ぐ簪。
その高速振動を活かし、そのままスパイダーロイミュードの腕を切断。
『ぐぇぇぇぇ!!!』
「私の後ろには、守るべき人達がいるっ!守る物があってこそ、ヒーローは強くなる!」
更に背中に搭載された2門の荷電粒子砲、『春雷』でスパイダーロイミュードをブッ飛ばす。
「だから、私は挫けない…………お姉ちゃんや、皆がいるからっ!」
「……嬉しい事言ってくれるじゃない、簪ちゃん♪」
カッコよく決めた簪の後ろから、楯無が嬉しそうに抱きついた。
「お、お姉ちゃん?!」
「んふふ~!よーし、お姉さん張り切っちゃうぞ♪」
簪成分(by楯無)を補充した楯無は、意気揚々と下級ロイミュード軍団相手に向かって行った。
『相手は一人だ!やっちまえ!』
『『『『うぉぉぉぉぉっ!!!』』』』
息づくロイミュード軍団の期待を粉砕する様に、楯無は特殊ナノマシンによって超高周波振動する水を螺旋状に纏ったランス、『蒼流旋』を使い、次々と凪ぎ払っていく。
『ぐあっ!』
『ぶぉっ!?』
『げへぇ!?』
「たぁぁぁっ!!」
『『『『ウワァァァァァ!!!』』』』
更には蒼流旋に設けられた4門のガトリングガンにより蜂の巣にされる。
『な、なんて奴だ……』
『これが、更識楯無…………!』
何とか生き残ったロイミュード達の周りに、霧が立ち込めていた。
「残念。もう終わりの時よ」
楯無が不敵に微笑み、指パッチンをするのと同時に、 簪も打鉄弐式最大の武装、『山嵐』
から48発の独立稼動型誘導ミサイルを発射させた。
そして楯無の指パッチンが合図で、ロイミュードの周囲で水蒸気爆発攻撃、『
体育館の外、そこでは紅椿を纏った箒と、ジャッジロイミュードが剣を交えていた。
「はぁっ!」
『…!』
箒の雨月、空裂とジャッジロイミュードのブレードジャッジが火花を散らし、そしてまたぶつかる。
「……1つ、聞いて良いか?」
『?』
箒は一旦剣を下ろすと、ジャッジロイミュードに疑問を投げ掛けた。
「貴方の剣はとても真っ直ぐだ…………そんな剣を巧みに使う貴方が、何故亡国機業に?」
ジャッジロイミュードが放つ剣捌きは、剣道全国大会優勝者の箒ですら見惚れる程の物。
そんな彼が、何故亡国機業というテロ組織に荷担しているのが、箒には不思議でならなかった。
ジャッジロイミュードは少し間を置くと、箒の疑問に答えた。
『…………決まっている。ISという悪を、それに取り付かれた奴等を、この世から駆逐するため……俺が剣を振るうのは、ソレだけだ!』
それを聞いた箒は確信した。
「そうか…………やはり貴方は、この間迄の私と同じだ!」
雨月をジャッジロイミュードに向け、自分が抱いた思いを吐き出した。
「悪を徹底して非難し、やり直させる権利すら奪い、見殺しにする…………以前の私と、全く同じ考えだ。だがっ!」
箒は接近してジャッジロイミュードに斬りかかる。
ジャッジロイミュードはそれを難なく受け止めるが、箒の力により徐々に圧されていた。
『っ!?』
「例えどんな悪人でも、更正の権利がある!それを奪う権利は、私にも!お前にも!あるはずがないっ!!」
『がっ!』
そしてとうとう箒の剣が、ジャッジロイミュードを捉えた。
雨月は刺突攻撃の際に、レーザーを放出する機能があるので、それによりジャッジロイミュードは腹部にダメージを負う。
「…………お前のその歪んだ剣では、誰も裁けはしない!その剣ーーーー今ここで折る!!!」
『舐めるなぁ!!』
ジャッジロイミュードは電気を刀身に纏わせ、箒を切り裂こうとするが、箒はなんと雨月と空裂を捨てると、それを片手で受け止める。
『っ!?』
「そんなお前に、革命と宣い犠牲を物ともしないお前達にーーっ!!」
箒は紅椿の要たる『展開装甲』を使い、両腕の装甲をエネルギーブレードへと可変させる。
「正義を語る資格なんて、ないんだーーっ!!」
『ぐぁぁぁぁぁぁ!!!』
高エネルギーを纏ったブレードによる一刀両断で、ジャッジロイミュードのコアごと切り裂いた。
「………………これは、以前の私との、決別の戦いだったのやもしれないな」
爆炎を瞳に映しながら、箒は一息ついた。
『それに気付かせてくれて、ありがとう…………ミューゼル』
今回も予告なしです