ただし蛮野、テメーは逝ってヨシ。慈悲はない
『凍結』
「この度、IS……藍越学園の副担任として赴任します、ナターシャ・ファイルスです。宜しくね、皆♪」
「皆さん、ナターシャ先生は元女性軍人なんですよ~。失礼のないように、お願いしますね!」
『宜しくお願いしまーす!!』
先日の亡国機業の襲撃事件の騒ぎがまるで無かった事になったIS学園。
そして本日赴任したチェイスの恋人、ナターシャ。
「今、ナターシャさんISって言いかけたよな……?」
「もしかして、ISの事を覚えてるのでは…」
「…………後で聞いてみる」
そして唯一それらを覚えているチェイス達。
チェイスはそれを確める事にした。
「久しぶりね、チェイス♪」
「…元気そうだな、ナタル」
時間は経ち、昼休み。
チェイスは真偽を確める為に、ナターシャと共に屋上へと足を運んだ。
「……率直に聞くが、お前はIS、と言うワードを覚えているか?」
「えぇ。でも驚いたわ、急にこの学園の名前が変わってるもの」
ナターシャは手摺に凭れ掛かりながらチェイスの疑問に答えた。
「…?」
「私にはここがIS学園って分かってるけど、上官達はここを藍越学園って言ってたわ。それにーーーーここの教職員や生徒達、それに各国の代表候補生達の記憶からISに関する事柄全てが無くなってる」
「…………あぁ」
「…それともう一つ、IS委員会もこの事件を黙殺してる」
「!」
ナターシャから告げられた事実に、チェイスは顔を強張らせた。
それもその筈、かの女性権利団体も所属しているIS委員会が、ISを破壊されて黙っている訳がないのだ。
「何故、奴等までもが…」
「今回の事件を、彼等はまるで認識していない。恐らくは…………」
「上層部に、亡国機業の刺客がいる…か」
チェイスの挙げた可能性に、ナターシャは無言で頷く。
「これはスコールから聞いたのだけど……彼等はISに深い憎しみを抱いてる。だからこそ、IS学園からISに関する記憶を、何らかの力で操作。そしてその後は…………」
「ISの、破壊…………」
と、呟いた瞬間、屋上に弾が駆け込んで来た。
「チェイス、大変だ!奴等がドイツ軍のIS部隊を襲撃してるって!」
「…分かった。すまないナタル、午後の授業は」
「分かってるわ。真耶には私から伝えておくから」
「…………助かる」
一言礼を告げると、チェイスは弾と共に屋上を後にした。
「気を付けて、チェイス………………」
~~~~~~~~~~~~
同時刻、ドイツ。
「ハァ、ハァ………何なのだ、貴様等は!?」
ドイツ軍、シュヴァルツア・ハーゼは機械集団の襲撃を受けていた。
辛うじて立っているのは、シュヴァルツア・ハーゼ副官、クラリッサ・ハルフォーフ。
だがその専用機、シュヴァルツア・ツヴァイクの装甲には亀裂が走っており、SE残量も残り僅か。
「…ふむ、プロトタイプとは言えそれなりの出力だね」
「…!その、声は……っ」
「シーフ、片付けなさい」
『ヴァァァァァァ!!!』
謎の声の呼び掛けに応じるが如く吠えるのは、腕に鉤爪らしき装備が施された赤いロイミュード、シーフ。
「くっ……!黒ウサギ隊を舐めてもらっては、困るっ!?」
クラリッサはレールカノンによる砲撃を行おうとしたが、シーフロイミュードの鉤爪が心臓に食い込む様に刺さり、一瞬動きが止まってしまう。
だが次の瞬間、信じられない事が起こった。
シーフロイミュードが力一杯に腕を引っ張ると、それに吊られる様にして、シュヴァルツア・ツヴァイクがクラリッサの体から離れたのだ。
「なっーーーー!?」
ISを失った事により空中から地上に落下したクラリッサはその衝撃で気絶してしまう。
「…………ハッ!」
謎の人物は、手から冷気を放つと瞬く間にシュヴァルツア・ツヴァイクを粉々に破壊した。
「これで残るは、シュヴァルツア・レーゲンのみ………………ん?」
《メロンエナジースカッシュ!》
すると何処からともなくオレンジの光波が放たれるも、男はそれを容易にかわす。
「ほぅ、君達が噂の…………」
半壊した地に降り立ったのは、チェイサー達仮面ライダー。
『酷いです……!』
「やぁ、仮面ライダーの諸君。こうして会うのは初めてだね」
『……誰だ?』
見覚えがないのか、首を傾げるバロン。
だがチェイサーは顔を知っており、迷う事無く名前を言った。
『IS委員会副長官、真影壮一だな…………』
「如何にも」
『えっ!?IS委員会の副長官が、何でここに……っ!』
疑問に思ったのか、バロンがそう口にするが、彼の周りにいる下級ロイミュード、そしてシーフロイミュードを見て確信した。
『この事件は、まさかっ!』
「……そう、私達亡国機業が起こした物だ」
『っ!?』
真影の放った事実に、全員衝撃が走る。
『…………では、IS学園の全員の記憶を書き換えたのも、貴様か』
「あぁ。私の力だ…………っ!」
真影は静かに肯定すると、その肉体をロイミュードボディに変化させる。
その体は、まるで氷の様に、冷たく、そして恐ろしい形相。
『この肉体での我が名はーーーーフリーズ!』
『凍結の、ロイミュード…………』
チェイサー達は各々の武器を構える。
対するフリーズロイミュードは、ゆらりと手を翳す。
すると、その手からは強烈な吹雪が吹き荒れた。
『なっ、ぐぅ…………っ!』
『つ、つめてぇ……!』
『だ、だったらっ!』
《タイヤコウカーン!マックスフレア!》
ドライブTSはマックスフレアのシフトカーを装填し、炎を発生させる事で対抗しようとする。
が、吹雪の勢いは収まらず、逆にTSFの炎が弱まる始末。
『なっ、これでも駄目、かよっ……!?』
『どうした?それでも立花英介の息子かね?』
『っ!?』
『どうして、お父さんの名前を…………!?』
フリーズロイミュードが口走ったその名前に、ドライブTSFとマリカが動揺する。
『あぁ。彼はとても優秀な警察官だった…………いや、優秀過ぎたね。だからこそ我々の存在にいち早く気付いてしまい、寿命を縮めたのだからね』
『っ…………まさか、お前が!!』
『ふふっ。殺した人間でも、一応は覚えてるさ』
『っ………………!!!』
その一言で、ドライブTSFの中で、何かが切れた。
『アァァァァァァァッ!!!』
《ドライブ!タイプ・デッドヒート!》
《デッドヒート!》
怒りのままにタイプデッドヒートにチェンジ。
ブーストイグナイターを押して高温を放つと、そのままフリーズロイミュードに突進する。
『兄さん!!』
『優、落ち着け!』
『アァァァァァァァッ!!!』
『ぬぅ…!』
渾身の連続ストレートを何とかかわしたフリーズロイミュードは、全方位に吹雪を発生させる。
『っ、ぐぁぁぁぁ!!』
そのあまりにも強烈な一撃に、全員ライドスーツが解除されてしまう。
そしてそれは他のロイミュードをも巻き込んでしまい、シーフロイミュード以外全て爆散してしまう。
『……………君達は、ここで始末しよう』
手に光球を発生させ、止めを刺すべく迫るフリーズロイミュード。
『…致し方ない。トライドローン!』
『!?』
だがその寸前、倒れた優のドライブドライバーから声が響き、空中から両脇に赤と青のユニットが付いたトライドロンが駆けつけてきた。
「えっ!?」
「どうなってんだ…?」
『皆、早く乗りたまえ!』
「えっ、えっ!?」
『早くするんだ!』
言われるがままに、全員無理矢理トライドロンに乗り込むと、光弾を放ちながらフリーズロイミュードを牽制。
『ぐぅ…………!』
『さぁ、行こう!』
「アンタは、一体…………」
そのままトライドロンは空中へと避難し、フリーダム・スカイへと飛び去った。
『あの男、もしや…………』
~~~~~~~~~~~~
「皆、大丈夫?」
「あぁ。だが、寒い……………」
何とかフリーダム・スカイへと戻ってきたチェイス達。
スコールからホットココアを受け取り、全員暖を取る。
「あぁ、生き返る…………」
「って言うかスコールさん。ドライブドライバーが喋ったんだけど、これって一体……」
「…優のドライブドライバーには、とある博士の意識がインプットされてるの」
『それが私と言う訳だよ、立花優君』
またもや勝手に喋ったベルトに、優はココアを吹き出す。
「ブッーーーー!?ゲホッ、ゲホッ………」
『おっと、驚かせてしまったね』
「で、貴方は一体……?」
『私の名前はクリム・スタインベルト。しがない研究者さ』
「とは言うけど、ライドスーツの基礎理学考案者で、私や亡国機業のハートの恩師よ」
『えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?』
スコールから告げられた衝撃の事実に、全員が驚きに包まれた。
IS ~黒き魔進~
スコール「本当に危ない時に、意識を目覚めさせるって」
ベルトさん『だが、憎しみだけでは、フリーズには勝てない。それは君や、百合が一番理解してる筈だよ』
優「俺は…………もう迷わない!行くぜベルトさん!!」
ベルトさん『OK!start your engine!!』
IS ~黒き魔進~ 『超加速』
赤き戦士は、憎しみの向こうに何を見る…………?
《ドライブ!タイプ・フォーミュラー!》
※予告とは違う話になるかもしれないですが、予めご了承下さい