IS ~黒き魔進~   作:ふくちか

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ドライブが終わった………やっぱ一年見てると終わる時感慨深いですねー


『超加速』

 

「…………」

 

フリーダム・スカイの屋上、そこで優は自身の無力さに打ちひしがれていた。

 

「……クソッ!!」

 

脳裏に浮かぶのは、フリーズロイミュード――――真影壮一と、自分と百合の父、立花英介の変わり果てた姿だった。

 

『…優』

「………俺さ、ずっと、あいつを探し出して倒す…そう思って戦い続けてた。でも………勝てなかったっ!」

 

幼い頃より、父の敵を討つ。それを胸に今まで生きてきた。

だが、結果は――――惨敗だった。

 

「あいつは、フリーズは……俺の手で倒さなきゃならないんだ!!」

『……優』

「…何だよ、ベルトさん」

 

優は手に握ったクリムに目を向ける。

 

『私は君が感じた痛みや苦しみが分かるとは言わない。だが、復讐の為に戦うのは止めたまえ』

「っ!!アンタに、アンタに何が分かるんだよっ!?」

『自分の怨嗟の為に戦って、君の父上が喜ぶのかっ!?』

「…!!」

 

クリムの一言が胸に刺さり、動揺する優。

 

『それだけではない。復讐の為に戦うという事はだ……自分の命すらも顧みずに戦うのと同義だぞ!それで君が死んだとして、チェイスや百合達が喜ぶのかね!?』

「………」

『…私はこのベルトから君の事を見ていたが、君は復讐なんて似合わない優しい少年だ。そしてその優しさこそが、君のエンジンに火をつけるのだ』

「ベルトさん…………」

 

ベルトのモニターに笑顔を映すクリムに、優は隅に残っていた復讐心が氷解していくのを感じた。

 

「そう、かもね……父さんが、そんな事を望む訳、ないもんな」

『そう、その笑顔だよ!それが君に本来の原動力だ!』

「ハ八ッ!…ありがとな、ベルトさん」

『礼などいらないさ。私たちはバディだからね!』

 

 

「優、ここにいたのね」

 

 

と、クリムと優が打ち解けあうと、そこにスコールがやって来た。

 

「あ、スコールさん」

『どうしたんだね?スコール』

「クリム先生の資料を見ていたら、面白いシステムがあったから」

「これは…………!」

『ほう、成長したね。まさか君がこれをも作り上げるとは』

 

クリムが感慨深げに言うと、

 

 

 

「何時までも子供ではありませんよ、先生」

 

 

 

スコールは微笑みながら、恩師に自身の成長を伝えた。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

一方、チェイスと百合は真影が出入りしていたと言う人里離れた研究所の調査に訪れていた。

 

「兄さん、大丈夫でしょうか……」

 

百合が心配げに呟く。

 

「……アイツなら、また立ち上がるだろう。それは、お前がよく知ってるんじゃないのか?」

「…そう、ですね。ありがとうございます、チェイスさん」

 

そう諭すチェイスに、百合は心配げな面持ちではあるが、笑顔を見せた。

 

 

 

「おやおや、侵入者がこんな子供とは……驚きだね」

「「!?」」

 

と、そんな雰囲気をぶち壊すようにして、スーツ姿の男――――真影が姿を現した。

 

「真影…!」

「やはりこの場所は、亡国機業の研究所なんですね!」

「如何にも。君達の後ろにも、その実験体がいるよ」

 

真影が杖でチェイス達の後ろを指すと、

 

 

 

『ヴぁああああああああ!!!』

 

ケージを突き破りながらシーフロイミュードが襲い掛かった。

 

「っ!……変身!」

《シグナルバイク!ライダー!チェイサ―!》

 

奇襲をかわしながらも、チェイスはライドスーツを展開。

チェイサーⅡに変身すると、シーフロイミュードと交戦を繰り広げる。

 

「チェイスさん!」

『百合!お前は真影を!!』

「…ハイ!変身!」

《ピーチエナジ~!ロック・オン…ソーダァ……ピーチエナジ~アームズ!》

 

マリカに変身した百合は真影目掛けて駆け出す。

 

「やれやれ………まぁ、暇潰しにはなるかな」

 

不敵に微笑むと、その肉体を変化させる。

駆け出すマリカに向けて、お得意の猛吹雪を放つ。

 

『くぅ!…まだ、まだです!』

 

強烈な一撃に屈しそうになるも、何とか踏ん張りソニックアローを引き絞る。

 

『たぁ!』

『っ!……流石は、立花英介の娘だね』

 

フリーズロイミュードは手に氷の剣を精製すると、マリカと切り結ぶ。

 

『はぁぁ!!』

『むぅんっ!』

 

 

 

一方のチェイサーⅡも、シンゴウアックスを振り翳す。

が、シーフロイミュードの鉤爪が伸びたかと思うと、一瞬にして奪い取られた。

 

『なん、だと……!』

『ヴぁああああ!!』

『ちぃ!』

《gun》

 

シンゴウアックスの一撃をかわしながら、ブレイクガンナーの射撃により一瞬怯ませる。

 

《Tune chaser beetle!》

 

その怯んだ隙を利用し、ビートルバイラルコアを装填。

ホーンジャベリンを駆使し、シーフロイミュードに確実に傷を負わせていく。

 

『はぁ!』

『グガァァ!!』

 

エネルギーを込めた刺突攻撃を食らい、シーフロイミュードは地面を転がる。

すると、転がりながらシーフロイミュードはその肉体を元の人間体へと姿を変えていった。

 

 

 

「ヴぅ………ヴぅ…!!」

『子供、だと…!?』

 

その正体は、黒の眼球に金の瞳、そして流れる様な銀髪が特徴の少女だった。

 

 

彼女の名はクロエ・クロニクル。

嘗て束が育てていた少女――――だがチェイス達がそれを知る由もなく、戦っていたロイミュードの正体が少女だという事実に驚愕していた。

 

 

『ふむ、まだ感情面での縛りが緩いか……イカロス!』

『っ!キャア!』

 

フリーズがそう叫ぶと、一陣の風とともにイカロスロイミュードが駆けつけた。

 

『ったくよ、人使いが荒いぜ?真影先生よぉ』

『すまないね。だが今は彼女をブレンの元へ』

『了解っと』

 

イカロスロイミュードは羽ファンネルを展開すると、チェイサーⅡ目掛けて一斉掃射した。

 

『むぅ!?』

《Tune chaser turtle!》

 

だが直撃する寸前にタートルバイラルコアの武装、シェルディフェンダーにより直撃は免れるものの、煙の中には既にイカロスロイミュードはいなかった。

 

『酷いです!あんな小さい子供まで利用するなんてっ!!』

『酷い?……ならば今のIS科学者達はもっと酷い!』

『がはぁっ!』

 

怒りをぶつけるマリカを、それ以上の気迫でたじろがせたフリーズロイミュードはチェイサーⅡ達に語り始めた。

 

『今も何処かで、幾千幾万の名もなき孤児達がIS実験により命を落としているのだ。それに比べて、私の実験は彼女一つで事足りた。犠牲という意味では、私の方がまだ優しいほうだとは思わんかね?』

『……例え一人で済んだ、だと?……真影!人の一生を踏みにじる行為を平然と行う貴様は、あまりに醜いっ!!』

《ヒッサツ!マッテローヨ!》

 

シグナルチェイサーをセットすると、腰を深く落としてシンゴウアックスを構えるチェイサーⅡ。

 

『そんな罪悪感は………立花英介を殺した時に捨て去ったよ!!』

《イッテイーヨ!》

『てあぁぁ!!』

 

超低温の猛吹雪を放ち、チェイサーⅡを凍て付かせようとするフリーズロイミュード。

だがチェイサーⅡはそれをギリギリでかわし、一瞬にしてフリーズロイミュードの懐に潜り込む。

 

『なっーーーー』

『ぜあぁぁあぁぁぁぁぁ!!!』

《フルスロットル!》

 

ほぼゼロ距離からアクロスブレイカーを叩き込んだ。

 

「がぁぁっ……!!」

《オツカーレ》

『チェイスさんっ!』

 

当然発動者のチェイサーⅡも無事で済むはずなく、スーツが解除されて地面を転がる。

慌ててマリカが駆け寄るが、

 

 

『ふふっ、見事だったよ………だが!』

『っ!?危ない!!』

 

突如煙から放たれた冷凍光線からチェイスを庇い、マリカも壁に叩き付けられる。

 

「百合!!…………!」

 

 

煙が晴れると、そこには

 

 

 

『だが、この私を倒すには、何もかも程遠い』

 

無傷のフリーズロイミュードがいた。

 

「な、に………!?」

『君達が今まで戦っていたのは、私の氷人形だよ』

 

フリーズロイミュードが自身の右隣にゆらりと手を翳すと、その場に氷の塊が現れ、更に一瞬の内にフリーズロイミュードの外観を形成した。

 

「!」

『さて、他の仲間達が駆けつける前に、始末させてもらおうか………』

 

フリーズロイミュードはそう言って、手に氷の塊を作り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと待てよ」

 

と、その止めの一撃を制止する声が響いた。

 

『?………君は』

「兄、さん…………!」

「優………」

 

声の主は優だった。

その手にはドライブドライバーと青いシフトカーが握られていた。

 

『君か………』

「フリーズ。俺はアンタを倒す」

『フッ、復讐の為かね……?』

「…違うさ」

 

ドライブドライバーを腰に装着し、アドバンスドイグニッションを捻る。

 

「確かに今まではそうだった。でも……今は違う。お前によって、これ以上俺達と同じ悲しみを味わって欲しくないから!他の人達の平和を守る為に!もう誰一人、凍結させやしない!!!」

『良くぞ言った、優!』

「………ベルトさん、ひとっ走り付き合えよ!!」

『OK!Start your engine!』

 

青いシフトカーをシフトレバーに変形させ、シフトブレスに装填する。

 

 

 

 

 

 

「変身!!」

《ドライブ!タイプ・フォーミュラー!》

 

青いエネルギーフィールドに包まれ優の体に鎧が形成される。

変身が完了すると、両腕にタイヤが二つ付いた。

 

 

「な…!」

『何だ、その姿は!?』

『………さぁーて。追いつけるなら、追いついてみろ!』

 

腕を軽く鳴らすとドライブ・タイプフォーミュラー(以下TF)はフリーズロイミュード目掛けて一気に駆け出した。

 

『舐めるな!』

 

その動きを止めようと吹雪を放つが、

 

 

 

《フォー・フォー・フォーミュラー!》

 

ドライブTFは冷静にシフトレバーを三回動かした。

すると、ドライブTFのスピードが、肉眼は勿論、フリーズロイミュードですら追えないほどのスピードに。

 

『なっーーーー!!』

『隙だらけだぜ!!』

『ぐがぁぁぁぁ!!!』

 

ハンドルブレードとの併用で四方八方からフリーズロイミュードを切り裂き、ダメージを蓄積させていく。

ドライブTFは高速移動を終えると、痛そうに首を摩っていた。

 

『いって~。これG掛かり過ぎじゃね?あまり守られてないよ!』

『まぁ安心したまえ!フォーミュラーのアシストシフトカーも開発中だろうからね。それよりも!』

『あぁ。来い、トレーラー砲!』

 

ドライブTFの呼び声に答えるが如く、粒子が集まり、やがてそれはトレーラーを模した大型の大砲を形成した。

 

『フリーズ、いや――――真影壮一!呪われた過去と一緒に……振り切らせてもらうぜ!!』

《フォーミュラー砲!ヒッサーツ!フルスロットル!》

 

シフトライディングスロットにシフトフォーミュラーを装填。

更にコンテナ部分のシャッターゲートパネルにシフトスピード、シフトワイルドを装填。

 

 

ハーフミラーにFULLの文字が浮かび上がると、トレーラーキャノンにエネルギーがチャージされる。

 

『ぐ、うぅ…………!!』

『くらえぇぇぇ!!!』

《フルフルフォーミュラー大砲!》

 

必殺技、トレーラーインパクトはフリーズロイミュードが悲鳴を上げることも許さずに研究所を跡形もなく吹き飛ばした。

 

 

「………ふぅ~」

『Nice drive!』

「おうっ、イテテ………」

「やり過ぎだろ………お前」

「兄さん!!」

「イテテテ!良いじゃんか別にー!!」

 

 

この後、別の場所を調査していた弾達と合流した優達は、フリーズロイミュードを倒した喜びのまま、フリーダム・スカイへと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

優達が去って暫らく後――――

 

 

『ぐっ!はぁ、はぁ…!!』

 

何と、フリーズロイミュードは生きていた。

何とか瓦礫を退かし、フラフラになりながらも立ち上がる。

 

 

『許さん、許さんぞ………立花優!!』

 

 

 

怒りに身を震わすフリーズロイミュードの肉体が、僅かに金色の光を放っていた事は、本人も気づいてはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





IS ~黒き魔進~

チェイス「記憶が戻ってない……という事は」

ベルトさん『フリーズは、生きている!』

数馬「修学旅行か~」


IS ~黒き魔進~ 『旅行』

黒き追跡者はその瞳に何を写す……?
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