そして短いです
その日、世界中の人間の記憶から、ISに関するキーワードが消えた。
理由は言うまでもない。超進化したフリーズロイミュードによる影響だ。
これにより、世界中の人間はISを認知できない様になってしまった。
そんな中、フリーダム・スカイは失意のどん底にあった。
「兄さん、兄さん…………うぅッ!!」
既に冷たくなって動かない立花優に、妹の百合は未だに泣き付いていた。
その周りには、チェイス達もいた。
が、百合に掛けるべき言葉が見つからず、立ち往生していた。
フリーズロイミュードが超進化したその瞬間に、優はチェイスを庇って、殺された。
特に、自身を許せないと感じていたのはチェイスだ。
泣いている百合を見ていたチェイスは、無言でその部屋を出ていった。
それを見て、弾は慌てて止めようと駆け寄る。
「おい、チェイス!」
「……離せ」
「何処に行く気だよ!?」
「決まっている。真影の所だ」
そう言い放つチェイスに、弾達は呆気に取られた。
「真影って……お前、居場所知ってるのか!?それに、アイツは世界の御偉方の一人なんだぞ!簡単に会えるか!」
「関係ない」
「関係ないって……」
「俺のダチを殺しておいて御偉方だと……?偉いのなら、何をしたって良いと言うのか!?」
チェイスは普段の冷静さも忘れ、激昂する。
呆気に取られた仲間達に構わず、チェイスはその場を出ていった。
それと入れ替わる様に、今度はスコールが入室した。
「スコールさん、チェイスが」
「分かっているわ。彼の気持ちは、理解できるから……」
スコールの目元は、真っ赤だった。
それは彼女も泣いていたと言う、動かぬ証拠。
スコールは優の遺体を見つめた後に、腰にまだ巻かれていたドライブドライバーに触れた。
優が死んだのと同時に、機能を停止してしまったドライブドライバーだったが、何故か優が死んだ後も外れないのだ。
だから仕方なく、こうして巻いたままなのだ。
『クリム先生………………』
ベルトを撫でていると、スコールは僅かに違和感を感じた。
撫でていた時に、僅かではあるが、優の腹周りがほん暖かくなったのだ。
『………………もし、ドライバーが外れないのが、クリム先生が原因だったら!』
スコールの中には、とある仮説が生まれていた。
それは、「優の心に、クリムはデータを融合させて仮死状態にし、優の命を繋ぎ止めてるのではないか?」と言う突拍子もないことだった。
だが、そう考えると、優の腰から何時までもドライバーが外れないのにも、理由がつく。
何せ、データと融合しているのだから。
『ベルトに人格データを写したり、やはり、貴方は飛び抜けた科学者ですね。クリム先生!』
スコールはシフトカー調整室に入り込んだ。
「超進化おめでとう、フリーズ」
とあるビルの屋上。
そこにいたのはハートとフリーズロイミュード。
『フッ、これで我らの計画は現実味を帯びている。そうだねハート?』
「あぁ。その為に、幼い命が失われるのが痛いが…………全ては革命のためだ」
『君も迷いを振り切り始めた様だね…………フフフ』
《シグナルバイク!ライダー!チェイサー!》
が、そこへ乱入者が現れる。
チェイサーⅡだ。
『ハァァァッ!!』
シンゴウアックスを振りかぶり、フリーズロイミュードに襲い掛かるが、フリーズロイミュードはこれを難なくかわす。
『見つけたぞ…………真影ッ!!』
『ほう、これはこれは』
「チェイス・ミューゼル…………」
チェイサーⅡは怒りを隠さずにシンゴウアックスを振り回すと、再びフリーズロイミュードに向かって加速する。
対するフリーズロイミュードも小さく浮かび上がり、チェイサーⅡを迎え撃った。
IS ~黒き魔進~
フリーズロイミュード『君では私を倒せない!』
百合「兄さん……帰って来て!!」
ハート「お前は……ッ!?」
IS ~黒き魔進~ 『再誕』
「もうお前には凍りつかない……絶対にだ!!」