艦隊これくしょん The Bridge 君でないとだめなんだ   作:Piyodori

53 / 53
夢の通ひ路

 タロタロ泊地、早朝。生暖かい東風が吹く湾内の真ん中に錨泊した戦艦日向の後甲板で、ナス提督は久々にブライヤー製のパイプに火を入れて口の端にくわえた。ナス提督は、生前はヘビースモーカーだったが、この世界に来てからはよほどリラックスしているとき、もしくは強いストレスを感じる時か、いずれかの場合でしかパイプに火を入れることは無かった。

「おや、珍しいな……」

愛用の煙管筒から煙管を取り出しつつ日向が下甲板から上がってきた。日向は器用に煙管の先に刻み煙草を詰めるとマッチで火を付ける。二人とも言葉は交わさずとも、直近の戦況のことを思っていることは判っていた。

 空母翔鶴は昨日、ブ島の六〇台地にある飛行工場建設地へ残存攻撃機を束ねて第二攻撃を強行、最初の攻撃より遥かに少ない打撃を敵に与えるのとの引き換えに、ほぼ全ての攻撃機、爆撃機を失った。また海上では敵潜水艦による執拗な攻撃を受け、航空機の離発着に支障が発生し、損傷うけて帰還した機体の一部が無事に着艦できなかった。

 継続的な空撃を維持するため、GF司令部は近隣の島々の基地航空隊から攻撃機と爆撃機を動員するとともに、整備中や故障中の機体をかき集めて再度攻撃隊を編成する準備をはじめており、空母翔鶴も一旦、シューズ・ベラ島へ帰還することになった。

 おそらく、これまで通りの空撃では、攻撃の度に航空機の損耗がうなぎ上りに増えることは判っていたが、さりとて何も手を打たねば敵の飛行場建設が進んでしまうため、海軍は大きなジレンマに直面していた。

 二人はしばらく無言で煙をくゆらせていたが、日向が前甲板の方を振り返った。

「鳳翔だ」

提督も振り返ると、舷梯から甲板へ上がってきた鳳翔が、おはようございますと声をかけお辞儀をした。

「お二人とも、お煙草が済んでからでよいので、少しお話が」

日向と提督の二人は顔を見合わせ、すぐに煙草の灰を煙草盆の灰皿に捨てて鳳翔に向き直った。

 鳳翔は手短に、自身の作戦行動について意見具申した。それは、空母翔鶴支援のため、臨時で自分をシューズ・ベラ泊地へ派遣してほしいというものだった。「翔鶴ちゃんはこれまで、単独で派遣されてから三ヶ月以上、一人で主力空母として戦線を支えてきました。本来は意思決定者である提督が傍にいてしかるべき重要な役割を今もたった一人で背負っています。司令部の航空参謀の方がついてくださっているということですが、それでもきっと……。彼女の直属の提督は未だお具合が悪く本土の病院に後送されたと伺っています。わたくしにできることは一緒に出撃して対潜支援をしたり、傍にいて支えてあげたりすることくらいですが、ここでじっとしていること以上には、きっと彼女の力になってあげられるかと思うんです。僭越なのは重々承知のうえですが、どうか一度、考えてみてはいただけないでしょうか?」

ナス提督は軽くうなずきながら、無言で鳳翔の言葉を聞いていた。そして意見を促すように日向に視線を送る。

「うん、良いのではないか。敵潜水艦による妨害も多いというし、翔鶴にとっても、GFの航空参謀なんぞよりずっと心強いんじゃないか?」

日向がそう言うと、ナス提督もうなずき鳳翔に向かって言った。

「私も同意見です。すぐに司令部に意見具申し許可を仰ぎます。彼らもよもや反対しないとは思うので準備を。護衛には島風と夕張を付けます。日向、二人に出撃準備の指示を」

「承知した」

「提督、日向さん、本当にありがとうございます」

鳳翔は二人に頭を下げて、出撃準備のため舷梯の方へ歩いて行った。

「私はこれから司令部に行って許可をもらってくる」

「ああ……。わたしも夕張達に……、おや?」

そう言いかけて日向はふと艦尾方向に見える大ドック建屋へ目を止めた。

 建屋の入口からタグボート二艘に曳かれ戦艦が舳先からゆっくりと泊地へ出てくるところだった。塗りなおしたダークグレーのペンキが朝日に照らされ、ひときわ明るく、そして船体をより滑らかに見せた。

「扶桑……。修理が完了したか」

 工廠は山城牡蠣による集団食中毒により、稼働がほぼ休止する事態に陥っていたが、軽症だった作業員から少しずつ現場に復帰しはじめ、修理が完了していた戦艦扶桑と山城がようやく大ドックから搬出できるようになった。ただ、症状が重かった作業員や工作艦娘の明石は依然入院中で、艦船の修理は予定より大幅に遅れていた。

 戦艦扶桑を眺めていた日向は思い立ったように言う。

「提督、夕張、島風に命令を伝えたら、わたしはちょっと山之上病院まで行ってくる。そう長くはかからない。『眠り姫』に会ってくる。昼前までには戻る」ナス提督は一瞬怪訝な表情を浮かべたが、すぐに日向の云わんとすることを理解してうなずいた。

「ああ……、わかった。何かお土産でも持って行っていくといい。私はカメヤマ提督とここの会議室で、例の件について調べることになっている」

「わかった、戻り次第合流する」

二人はそう言ってうなずくと、内火艇を繋いでいる舷梯へ歩き出した。

 

 

 日向は内火艇で提督を陸まで送り、その足で自分の艦にいる夕張と島風に出撃準備の命令を伝えた。泊地で退屈していた島風は喜んだが、日夜工廠に入り浸って遊んでいた夕張は露骨に嫌な顔をした。ただ今回は正式な提督命令なので、うなだれながら出撃準備に取り掛かり始める。

 再び内火艇桟橋へと戻ってきた日向は、司令部庁舎の電話を借り、交換手へ、山之上病院へ繋ぐよう求めた。応対に出た職員と二言三言やり取りし、病棟の看護師に代わってもらった。

「そうか。頭の艦橋の角度は? ああ、艦の方は『完治』している。わかった、ありがとう」

日向は受話器を置くと、いくつかの持参品を風呂敷に包み、くろがね四起を一台借りてハンドルを握ると、一路山頂の病院を目指した。

 

 

 

 山之上病院にエントランスにくろがねを止めた日向は風呂敷包みを手に受付を通り、教えられた病室へとやってきた。引き戸を軽くノックするが、想像した通り返事はない。日向が引き戸を開けると、個室のベッドの上には、点滴が何本か繋がれた扶桑が横たわり、目を見開いたまま天井を見つめている。

「だめよ、山城……、どの指揮所にもエチケット袋くらい用意して差し上げないと……」

相変わらず意味不明な言葉をつぶやいているが、色白の美しい顔と頭の左上に付けた艦橋型の艤装を見て日向は思わず笑みをこぼした。艤装の角度は完全に元の角度に戻っていた。

「眠り姫、そろそろ起きる時間だ。妹が寂しがっているぞ」

日向は小声で扶桑に声をかける。何度か日向が呼びかけると、死んだ魚のようになっていた双眸が徐々に光を取り戻し始めた。扶桑は何度か瞬きすると声を出す。

「あ、あら……、ここは……?」

扶桑は不安そうに病室内に視線を巡らしはじめた。

「おはよう眠り姫。いい夢だったか?」

「ひ、日向? どうして? ここは? 駄目ね、何も思い出せないわ……」

慌てて起きようとする扶桑を制し、日向は廊下へ出て看護師に扶桑の意識が戻ったことを知らせた。

「ここはどこなのかしら? どうしてここにいるのかも、わからないの」

「ゆっくり思い出せばいい。それに山城もここにいるから心配しなくていい」

「それは良かったわ……」

扶桑は少し安心したように、目を閉じた。

日向は持参した風呂敷包みをベッドわきのキャビネットに置いて包みを解いた。

「退院まできっと時間がある。戦闘詳報を持ってきた。わたしの口から聞くより、自分で読んだ方が良かろう。わたしは、水を汲んできてやる」

日向はそう言って水差しを手に廊下へ出た。

 看護師を伴って日向が病室に戻ると、扶桑は目を血走らせて黒表紙綴じの戦闘詳報のページをめくっている。

「そんなにすぐに読まなくてもいいぞ」

扶桑はしばらくページをめくると、青い顔をして冊子を持ったまま掛け布団に顔を埋めるように突っ伏してしまった。

「ちょっと、扶桑さん、大丈夫? 先生、先生~!」

看護師が医師を呼びに慌てて廊下へ飛び出していく。扶桑はゆっくりと顔を上げる。その顔は真っ赤だった。

「正気を失っていた方が良かったわ……。わたくし達は、またあなたに恥ずかしいところを見せてしまったのね……」

「そう思うか? だが、この戦線での戦いはまだ終わっていない。姉妹揃って次の戦いで汚名を返上すればいいさ」

日向は腕時計を見てから言った。

「そろそろお暇しよう。間宮羊羹を一本貰ってきた。退院まで二~三日かかるだろうから、山城が元気になったら二人で食べてくれ」

「ねぇ日向、この……、この戦闘詳報に書かれている事は、特に山城に起きたことは本当のことなのね?」

扶桑は背中を向けかけた日向に問いかけた。

「ああ、わたし達は大体そうだったと考えている。真実は山城に聞けばはっきりすることじゃないか」

日向はそう言って微笑むと、大事にしてくれと言い添えて病室を後にした。日向は閉鎖病棟にいる山城の様子も見ていこうと思ったが足を止めた。

――山城のことは、姉君に一任するか……

日向は一度病室を振り返ってから、エントランスへ向かった。

 日向が去って一時間後、扶桑が医者に頼み込み閉鎖病棟にいる山城を見舞うと、日向の予見通り、山城は一瞬で正気を取り戻し、大泣きしながら姉に抱きついた。

 

 

 

 その朝、トビウメ提督はいつものように重巡加古内の士官室にある長ソファーで寝入っていた。加古が扇風機を用意してくれていたのだが、それでも艦内は蒸し暑い。寝苦しく浅かった眠りが、脳裏にむくむくと夢が立ち上るのを手助けしたのか、トビウメ提督は前世とこの世界の半年間の記憶がない交ぜになった世界にいた。

「お前は何をやってもダメな奴だな」

「写真家になりたい? まともに勉強もできなかった奴が、そんな夢みたいなこと言っているんじゃない」

「君、もう少し覇気がある人間でないと、社会では通用しないぞ」

「君だって会社勤めをしたことがあれば判るだろう?」

忘れたい、不愉快で消し去りたい声と顔が責め立てる。そして急に場面が変わった。陽の光が差し込むヤムヤム泊地の司令官公室、今すぐ帰りたい懐かしい場所だった。

「貴様、さっきからこそこそと、一体何を書いているんだ?」

懐かしい顔、凛々しくも優しい声、光を反射して輝く艶のある黒髪……。艦娘の那智が執務机の上のわら半紙を覗き込んだ。

「な、何でもないよ。ただのいたずら書きだから、き、気にしないで!」

「ん? スモーク、煙幕のことか、この円陣は艦隊だな?」

書きかけのわら半紙を那智はひょいと摘まみ上げた。

「那智さん、お願い、勝手に見ないでって」

「煙幕で敵艦隊を囲む……。もしかして貴様が考えた新戦法か? ふむ……」

那智は神妙な顔で提督のいたずら書きを見つめた。

「いや、だから、本気にしないでよ……」

「いいや、気晴らしに聞いてやるから説明してみろ。大丈夫、どんなに馬鹿げた作戦だって笑ったりしないから」

那智は笑って言った。笑われるより、むしろ怒られるのが怖かったのだが、トビウメ提督は不承不承、自分の『妄想』を那智に説明した。

「なるほど、敵の視界を煙幕で遮断して取り囲み、一挙に殲滅するのか……」

「実は、鯨のなかにはアジやニシンの群れを、仲間と協力して泡のカーテンで包み込んで動けなくしてから、がばーっと口を開けて一斉に襲い掛かるという戦略的な狩りをするのがいてね。戦闘にもそういうのが参考になったりしてなんて……。煙幕って、いわばここにあるカーテンみたいな物でしょ。それを上手くつかえたらなぁって……。いや本気じゃないから。そう、お遊びで……」

そう必死に取り繕おうとするトビウメ提督とは対照的に、那智はちょっと感心したようにうなずく。

「煙幕の有効な活用方法か……。確かにこの戦法をそのまま海戦で使うには、敵の艦隊が小規模で、彼我に大きな速力差があるという前提が必要となりそうだが、そういう状況は限られるだろう……。でも、この発想は悪くない。煙幕をもっと効果的に使えれば、戦術の幅はきっと広がる」

トビウメ提督の予想に反し、那智は何故だかうれしそうに言った。

「それにしても、鯨の狩りと戦闘を結び付けるなんて、貴様も妙なことを考えるな?」

トビウメ提督は、那智の言葉をどこまで真に受けるべきか迷いつつ言う。

「そもそも、深海棲艦って動物とか魚みたく見えることない? 大型艦の指揮ユニットはともかく、潜水艦とか駆逐艦って一見機械で船なんだけど、時々挙動が生き物なのかなって……。そう思ったら、独特のクセとか行動パターンとかもありそうだし……。そういえばペンギンっているでしょ? ペンギンは高速で泳ぐとき、深いところにいるサメやアザラシからの襲撃を防ぐため、泳ぐときはジグザグに之字運動したりするんだよ。人類が潜水艦も魚雷も発明するはるか前からそうやって生きてきたんだから凄いよね」

那智は少し目を丸くして驚いた顔をして笑う。

「そうなのか? 伊達にカメラで鳥や動物を追い回しているわけじゃないんだな。よし、この煙幕作戦はわたしが手を入れてやる。それと、新しい策を思いついたら必ずまた教えてくれ。必ずだぞ」

那智はそう言ってにっこりと笑った。とても綺麗だけどちょっと怖いという印象だった那智を、トビウメ提督は初めて可愛らしいと感じた瞬間だった。

 場所が急にどこかの喫茶店に変わった。外は大雨で、稲光がテーブルの向かいに座った那智の顔を一瞬だけ照らした。今さっきの表情とは打って変わり、那智は怒りと悲しみ、苦しみに必死で耐えるような顔でトビウメ提督を睨んだ。

「貴様はここでわたしを捨てた。わたしに役立たずの烙印を押した」

「ち、違う、僕は、そうじゃない! 今回のことは……」

慌てて否定するが、那智はそれを遮って言った。

「いいか! この世界では、わたしも貴様も、ただの役立たずなんだ。まともに戦えない重巡と船を指揮することもできない愚か者のせいで、これから大勢の人間と艦娘が死ぬことになるんだぞ!」

那智が鬼のような形相で責めた。トビウメ提督は恐怖といたたまれなさのあまり息が止まるかと思った。

 一瞬後、場はあの最後の海戦で船酔いを起こした山城の戦闘艦橋に変わっていた。すでにその場に那智の姿はなく、怒りと狂気に満ちた眼差しを向ける山城が立っていた。

「ややや、山城さん、ど、どうしてここに……」

「お前のせいでこんなことなったんだ! 姉様はどこだぁ!」

山城はトビウメ提督に掴みかかった。

「や、やめてよ! お、お姉さんの事なんか、知らないよ! 助けて! 那智さん!」

山城に襟首を締め上げられて息ができなくなり、思わず助けを呼ぶ叫び声を上げた。

「司令! 起きてください、司令!」

 聞き慣れた声に呼ばれて、トビウメ提督はまるで貼りついていたような上下の瞼を引きはがすように目を開けた。ぼやけた視界のなかで不知火が必死で自分の体をゆすっているのが判った。

「あ、ぬいぬい……」

「司令、酷いうなされかたでしたよ。大丈夫ですか?」

不知火は青い顔をしてトビウメ提督の顔を覗き込んだ。

「ちょっと、夢見が悪くて……」

トビウメ提督が重い体を起こそうとすると、すかさず不知火が肩を貸して起き上がらせてくれた。

「脂汗もひどいじゃないですか。一体、どのような夢をご覧になっていたのですか?」

「え? いや、夢だから、そのすごく嫌な感じだったんだけど、どんなだったかは忘れちゃった」

「そうですか……」

なんともみっともない話なので、そうはぐらかした。不知火はそれ以上問うのをやめたが、トビウメ提督がうわ言で那智の名を口にしたのは聞いていた。

「今何時?加古は?」

「〇九三○です。加古さんはまだお休みのようです」

体のだるさを考えると、もう少し寝ていたかったが、あの恐ろしい夢から救い出してくれたことには感謝するべきかもしれないと思った。口とは裏腹に、夢の様子はしっかり脳裏に刻まれてしまった。もう那智は自分の艦隊に戻ってくることはなく、数か月前にヤムヤム島の執務室で自分に見せた、夢で見たあの笑顔をもう見ることは叶わないのだろう。そう思うと、改めて強い喪失感に襲われた。

 一方、不知火は提督が目を覚まし安心したものの、なぜかばつが悪そうに黙って立っている。ようやく頭がはっきりしてきたトビウメ提督は秘書艦にたずねる。

「どうしたの、何かあった?」

戦線は緊迫の度を増しており、いつ何時、事態急変の知らせが届いてもおかしくはない。だが今朝ばかりは秘書艦不知火の歯切れが悪かった。

「それが、その、お客様が来てまして……」

「えぇ~、誰? 司令部関係? それともカメヤマ提督かナス提督の?」

「いえ別の、プライベートで是非会いたいと、すでに内火艇で上の甲板に……」

一瞬慌てたトビウメ提督は急に顔をしかめる。

「嫌だよ。僕はもう、余計な人には会いたくないんだけど」

「それが……。金剛さんと摩耶さんがいらしてて……。どうしても司令にお礼が言いたい、と……」

「え。金剛さん?」

――そういえば、金剛さんは海戦でのケガがやっと治ったんだっけな……

相手が艦娘と知り、トビウメ提督は少し態度を軟化させた。

「支度もできてないし、アポもないから、ちょっと時間を変えられない?」

「それが、摩耶さんはどうにでもなるのですが、その、金剛さんは自由奔放な方で……。それに、不知火としても、実は金剛さんには、前の世界でいろいろお世話になっていて、その、申し訳ありません……」

トビウメ提督もようやく頭がはっきりしてきて、不知火の言わんとするところを理解した。

――寡黙なぬいぬいが、あんな賑やかな金剛さんと親しかったとはね……

「わかった、すぐ支度するからちょっと待ってもらっていて。ラムネか麦茶でもお出しして」

トビウメ提督はそう言って立ち上がると、鏡に向かって髪の寝ぐせを直し始めた。

「ありがとうございます。承知しました」

不知火はきりっと敬礼すると甲板にもどっていった。

 身だしなみを整え、第二種軍装姿になった提督が不知火に連れられ、後部甲板に上がると、二人の艦娘が天幕の下のデッキチェアにこしかけていた。

「ハイ! トビウメ提督、グッドモーニング、デース!」

「おい、二十分も待たせるなよ!」

不知火の言う、急な来客こと、金剛と摩耶だった。トビウメ提督は一応提督らしくきりっとした敬礼を返してから、やや姿勢を崩した。

「金剛さんケガが治ったと聞いてましたが、お元気そうで何よりです」

「イエース! 一時は三途リバーが見えるかと思いましたが、今は完全回復デース。これも、トビウメテートクと那智のお陰ですよ。二人がいなかったら、今頃、ワタシも摩耶ちゃーんも海の底だったね。それにヌーイの活躍も聞いています。今日はそのお礼に参上しました。改めてサンキューネ!」

「まぁ、あん時はあたしも乗ってた提督も救われたクチだから、一応、礼を言っとくぜ」

金剛と摩耶は口々にそう言って頭を下げた。トビウメ提督と不知火は恐縮して慌てて手を振った。

「いや、僕はできることをやっただけで……」

顔を起こした金剛は少し寂しそうな顔をして港内を見回した。

「本当は那智にも会ってサンクスを伝えたかったのですが……。残念ネ……」

すると摩耶が少し苛立ちを露わに言う。

「聞いたぜ、戦艦が欲しくて那智をトレードしちまったって。ちょっと酷すぎるぜ。そんなクソなことすっから、ああいう事故になったんだよ」

摩耶は歯に衣着せぬ発言は、メンタルがボロボロになっているトビウメ提督には、まるでアッパーカットをまともに受けたかのようなダメージを与えた。返答に窮し絶句するトビウメ提督と、摩耶に反撃すべきか判断が付かない不知火より先に叫んだのは摩耶だった。

「あ痛ぁ!」

金剛が軽くゲンコツで摩耶の後頭部を小突いたのだ。軽くはたく程度に見えたが、摩耶は悲鳴をあげながら後頭部を押さえてしゃがみ込んだ。

「摩耶ちゃーん、ワタシたちはサンキューを言いに来たネー。あまりバッドなワードを使ったら、霧島に言いつけちゃいますヨー」

金剛は笑顔を崩さず摩耶に言う。摩耶は狼狽を隠さず、涙目でうめく。

「金剛さん、そりゃ無しだろ! 霧島の姉さんはそういう冗談通じないんだって……」

「だったら、すぐトビウメ提督にソーリーするネ」

摩耶は後頭部をさすりながら、バツが悪そうにすいませんでしたと言って頭を下げた。

――でも、ここ一番って戦いで、一度も使ったことがない武器で勝負に出て、上手くいく方が本来おかしいんだよなぁ。摩耶さんの言う通りかもしれない……

トビウメ提督が気落ちした表情でそう思い巡らせているのを見た不知火は、とうとう我慢できなくなり摩耶の襟首に掴みかかって、恐ろしい形相で睨みつけた。

「お礼を言いに来たというから無理を押してお通ししたというのに、司令がすっかり落ち込んでしまったではないですか? どう始末つけてくれるんですか? 事と次第によっては沈めますよ」

不知火がドスを利かせた小声で摩耶にささやく。

「だ、だから、悪かったって謝ってるだろ……」

そこで金剛が割って入った。

「まぁまぁ、ヌーイもゲットイージーネ。それにトビウメテートクも元気出してくださーい。前のワールドと違って、こっちでは多くの事でやり直しのチャンスがあるネ! 最後に勝てばオールクリアーですよー!」

金剛はトビウメ提督にそう言ってウインクしながらグーサインを送った。

――やり直し……

 確かに、金剛の言うように、この世界では多く事にやり直しが可能なことも多かった。ただ、先程見た夢でトビウメ提督は、スコールと雷鳴まっただなかの喫茶店で那智が一瞬見せた、失望と悲しみに満ちた表情をありありと思い出した。

――あんな顔をさせてしまった那智さんが、ここに戻ってくることは無いんだ……

「ただ、トビウメテートク。艦娘とその艦には、緒元ではとても図りきれないパワーを持っていマース。もしワタシがいつも一緒にいるバーニング・ラーブな、テートクと一緒だったら、この前の海戦のように、敵に後れを取ることはナッシングだったかもしれません」

「いや、さすがにそれは盛りすぎじゃん? 痛ぁ!」

呆れた摩耶が口を挟んだ瞬間、先程よりもやや強めのゲンコツが再び後頭部に炸裂した。

「バーニング・ラーブを甘く見ると、痛い目に遭うネ」

 そうして金剛は、呆気に取られているトビウメ提督と不知火に別れを告げた。

「でわ、トビウメテートク、ヌーイ、次の作戦は一緒に頑張りまショー!」

金剛は、呆そう言うと、頭を抱えて悶絶している摩耶を引きずり、舷梯を降りて行った。

 

 

 その日も晴れた日だった。軍令部から提督が着任予定との連絡を受けて以来、高雄は日々、胸の高まりを抑えられずにいた。以前から高雄と懇意にしている妙高は数年前に直属の提督を迎え、秘書艦として新たに先の世界から着任した提督を公私にわたり支えつつ、充実した日々を送っていると聞いていた。とうとう自分にも直属の提督がやってくる。高雄は胸をときめかせてその時を待っていた。

 あの日、鬼怒に呼ばれ、高雄は司令部から靴が脱げそうになるのも構わず、砂浜に倒れている、第二種軍装姿のマツエダ提督の元へと駆け寄って行った。

 艦娘のなかには、着任前の提督に対し、容姿や能力などについて、いろいろと期待を募らせる者もいなくはなかったが、高雄は、部下である艦娘達やこのメジロ諸島の島民を思いやってくれる、やさしい提督が来てくれさえすればいいと願っていた。果たして、新たにメジロ泊地に着任したマツエダ ヒロヨシ提督は、高雄が期待していた以上に、高雄好みの容貌、物腰の人物だったので、初対面から高雄はマツエダに親近感を抱いて仕える事になった。

 マツエダ提督は、着任当初こそ新しい世界に戸惑いを覚えていたが、高雄が手取り足取りこの世界や提督の職務について教導したため、すぐに仕事と泊地での生活に慣れ、責任をもって基地と艦隊の運営に取り組むようになった。元々、物静かで真面目かつ穏やかな性格のマツエダ提督を、高雄すぐに気に入り、真心をもって支えるようになった。

 二人が二人三脚で艦隊を運営するようになって数か月経った頃、南海の孤島故、季節感の薄い常夏のメジロ泊地だが、暦のうえで十月も下旬に差し掛かった頃、マツエダ提督は、普段明るく朗らかな高雄が元気をなくしている事に気が付いた。実は、艦娘になってからは毎年、この時期になると酷い憂鬱と悲しみ、罪悪感に襲われるようになっていた。

 マツエダ提督はすぐに高雄の不調に気付いた。ある夜、執務室でいつものように書類仕事を処理している間、提督一時部屋をあけた合間に高雄はふと、前世であの姉妹艦を立て続けに失った数日間の記憶に襲われ、無意識に目から涙が零れ落ち、万年筆で書いた書類のインクが零れ落ちた涙で滲み、台無しになった。

「あら、嫌だ、わたしったら」

高雄は慌ててハンカチで書類に落ちた涙を拭き取ろうとしたが、書類のインキはかえって広い範囲で滲んでしまい、使い物にならなくなってしまった。

 そこへちょうど部屋へ戻ってきたマツエダ提督は、高雄の異変を察知し、慌てて机に駆け寄った。

「高雄ちゃん、どうしたの? そんな決裁書はいいから、ちょっとこっちへ。ほら」

マツエダ提督はすぐに高雄をソファーで誘い、並んで腰をかけた。高雄は手袋で顔の涙を拭いながら提督にあやまった。

「ごめんなさい提督……。わたし、こんなことで」

「高雄ちゃん、ここ数日、急に元気がなくなって心配してたんだ。私で良ければ相談してほしい。私で都合が悪いようなら、せめて鬼怒君に話してみてほしい」神妙な顔でそう言うマツエダ提督に、高雄は無理やり笑顔を浮かべようとしながら、そんな大した事じゃないんです、と前置きして語り始めた。

「わたし、重巡高雄は前の世界のあの戦争で、昭和十九年十月、レイテに向けて連合艦隊として出撃したんです。でも出撃からしばらくして、フィリピン向かう途中、妹の愛宕、摩耶が潜水艦の魚雷攻撃で目の前で沈んでしまいました。そしてわたしも魚雷を受けて航行出来なくなってしまったんです。連合艦隊は唯一残った姉妹艦の鳥海含む連合艦隊は、わたしをおいて先に進み、その後数日のうちに鳥海を含む多くの艦船が沈みました。わたしはなんとか機関をまわしてたった一人、ブルネーに戻って、損傷を直すこともできないまま最後はシンガポールの岸壁で終戦を迎えたんです。わたし一人をおいて、たった一回の海戦で姉妹がみんないなくなり、わたしだけが生き残る……。それがとても無念で、悲しくて、恥ずかしくて……。毎年この時期になると、そのことばかり思い出してしまって……」

マツエダ提督はこの世界に来るまで、あのアジア・太平洋戦争についての知識は、社会科の教科書レベルでの知識しか無かったが、提督の仕事をするにあたって、最低限指揮下の艦娘らの艦暦は学んでいた。高雄の言うように、レイテ沖海戦、もしくは捷一号作戦の悲惨な結果についても複数の書籍や報告書を通じて理解しており、すぐに高雄の云わんとする事がわかった。

「高雄ちゃん、もし罪悪感を感じるとしたら、それは違うと思う。もちろん、辛くて悲しい事実だったことはその通りだけど、少なくとも妹さん達の運命に何か責任を感じるのは違う。むしろ、高雄ちゃんは、自分の艦に乗っていた人を必死にシンガポールまで無事に連れ帰ったんだ。それはとても誇りにするべきことだと思う」

マツエダ提督は、重巡高雄が潜水艦の雷撃を受け、航行不能に陥った後、乗員の努力で、再三敵潜水艦の追い打ち攻撃を受けつつもなんとか機関を回復し、ブルネイへの帰投に成功した顛末を知っていた。

 高雄はそれを聞き、はっとした表情で提督を見つめた。確かにあの日、自分も、そして自分に乗っていた人々も必死の思いでなんとか艦を動かし、浮力と推力の維持に努めながらなんとかブルネーへの帰還を果たしたのだった。高雄は涙を流しながらも、ようやく自然な笑みを浮かべた。

「確かに…提督のおっしゃる通りかもしれませんね。とても大切なことを忘れていました……」

「いろんな事情や運命によるものもあったと思うけど、私は終戦まで生き残った高雄ちゃんのような艦の艦娘には、特に強い敬意を抱いているよ」

高雄は思わず胸元を押さえた。胸の中が熱くなった。自分は提督に決して多くを望んでこなかったが、自分の元に来てくれた提督は、あの過去の悲劇を含めて、自分たちの事を理解し導いてくれる提督だと確信した。高雄は、こんな素敵な提督が自分の上官であってくれて良かったと心から思った。そんな高雄のマツエダ提督に対する好意が、上官に対するもの以上に大きくなるのにあまり時間はかからなかった。

 軍令部が「ケッコンカッコカリ」という制度を発表したのはしばらく経ってからの事だった。一定の高練度に達した艦娘と提督が、愛情や信頼関係で特別な絆を結ぶことで、機械としての設計時の緒元を大きく超える力を発揮できる可能性があるという触れ込みだったが、実際は艦娘と人間の事実婚を公的に認定する制度のような運用のされかたをしていた。高雄が姉のように慕っている妙高が、ケッコンカッコカリ制度で提督と夫婦関係になったという知らせを聞いたのはそれから間もなくのことだった。

 高雄は以前から妙高とその提督の関係は知っていた。妙高が仕える提督は高齢で、実際に前の世界では妻がいた。妙高との距離は非常に近かったものの、ケッコンカッコカリ制度の導入後も、なかなか妙高に指輪を渡そうとはしなかったそうだが、妙高は何も言わず傍で支え続け、結果的にこの世界での実質的な妻として迎えられた。

 高雄にとって、妙高と提督の関係は心から憧れるもので、いつか自分もマツエダ提督と、妙高らのような関係を築くことを夢見ていた。

 いつの間にか、場所は朝の執務室に変わっていた。高雄はいつものように朗らかな笑みを浮かべて提督に挨拶しようとしたが、室内にはお互いの執務机に寄りかかりながら和やかに会話している提督と那智がいた。無防備だった高雄の心が一瞬、抵抗と警戒の衝動に襲われたが、高雄はすぐにいつも通りの穏やかな自分を必死で取り戻して、二人に声をかけようとしたが……。

「那智君、そろそろどうだろう。これを受け取ってくれないか? 戦力としての艦娘としてだけじゃない、この世界で共に生きていく、一人の相棒、伴侶として、艦娘としだけじゃなくて、人として私と一緒にいてくれないだろうか?」

マツエダ提督は笑顔を浮かべつつも真剣な声で那智に言った。戸口でそれを聞いた高雄は絶句した。提督は深紅のベルベッド生地で覆われた小箱を開けてみせた。中には朝日を反射する指輪が収まっていた。

――提督、どうして……

那智ははにかんだように笑い、やや頬を赤く染めてうつむいた。

「ああ、わたしも貴官に一生ついていく……」

それを聞き、提督は嬉しそうに那智の左手を手に取るとやさしく白手袋を外す。

――やめて、マツエダ提督はわたしが……

高雄は声を絞りだそうとしたが、どういう訳か喉が潰れたかのように声を発することができない。

そんな自分にマツエダ提督と那智が気付き、無遠慮で幸せそうな笑顔を向けた。「あ、おはよう、高雄ちゃん。良かった。実はね、私と那智君はケッコンすることになったんだ。高雄ちゃんにはこれまで一番世話になったから、一番に知らせようかと思ってたんだ」

「ああ、高雄のおかけで、わたしは最高の伴侶を見つけることができた。礼を言うぞ」

最愛のマツエダ提督と那智が、自分がもっとも聞きたくない言葉を、とても幸せそうな笑顔で言った。

――こんなのは嫌! わたしは、わたしが一番、マツエダ提督のことを!

「ダメ!」

高雄はそう叫ぶと共に、真っ暗な自室のベッドの上で飛び起きた。まるで風邪をひいた時のように全身汗まみれで、両目からとめどなく涙が溢れていた。

「良かった……、全部、全部夢ね……」

高雄は、悲しさと安堵がない交ぜになった心持ながら、気分が落ち着くまで目を閉じて深呼吸した。とても怖ろしく、そして悲しい夢だった。

 2ピース寝間着は汗でじっとりと肌に貼りついている。真夜中だったが、喉が渇いていたし、この寝巻のままで寝るわけにもいかず、高雄はベッドから体を起こした。

 高雄はスリッパをつっかけると、静かに個室のドアを開け、廊下へ出た。艦娘寮自体は寝静まっていて静かだが、実は南方地域の密林は、昼間より夜の方が虫の音や獣の遠吠えなどでかなりうるさい。基地の裏山のようになっているジャングルからは今日もそんな夜の喧騒が、艦娘寮の廊下にまで響いていく。

――提督はもうお休みになっているかしら?

提督の部屋に押しかけて、先程の悪夢が本当に夢だったことを実際に確認したい思いにも駆られたが、高雄にそんな無茶ができるわけもない。

 顔を洗い水を飲むため、夜間ずっと電灯が灯っている洗面所へとやってきた高雄は、思わずひぃっと悲鳴じみた声を上げた。というのも、そこには寝間着がわりの浴衣を着た那智が洗面台の鏡に向かって立っていたからだ。

「ああ、高雄か……。驚かせてしまったか?」

那智は少し驚いた様子ながらも、落ち着いた声で言った。高雄にとって今一番会いたくなかった相手だったため、つい素っ頓狂な声を上げてしまったが、高雄はすぐに平静を取り戻そうと狼狽を隠しながら首を振る。

「い、いいえ、まさか……。誰もいないと思っていたので……」

高雄はぎごちないつくり笑みを浮かべる。

「そうか……。今日は特に蒸して暑いな。途中で起きてしまった。それにしても、高雄もすごい汗だな……」

那智は少しだけ頬を赤らめて高雄から視線を逸らす。高雄が不思議に思って自分を見直すと、汗で寝間着が体に張り付き、体のラインがすっかりあらわになってしまっている。高雄は真っ赤になって汗を吸った寝間着の生地を摘まんで肌から剥がそうと身をよじった。

「シャワーでも浴びた方がいいかもしれないな。冷蔵庫に麦茶が冷えていたから、飲むといい。じゃあ、おやすみ」

「ええ、那智さんも……」

那智はそう言って顔を手拭でふくと洗面所を後にした。

 残された高雄は洗面台の蛇口をひねり手を濡らす。なま温い水が高雄の両手をつたって流しに落ちる。那智が去るとともに鏡に映る高雄の顔から笑みが消えた。高雄は自分のひどいかっこうを鏡で見つめた。

――汗をかいていても、那智さんは颯爽としていて、スマートだったわ……。もしかして提督は本当に那智さんのことが……

高雄は水道の蛇口から流れる水を見つめながらそう思った。ただただ不安でならなかった……

 一方、那智も堅い表情で自室へと続く真っ黒な廊下をゆっくりと歩きながら、先程の高雄の顔を思い出していた。那智は高雄が一瞬見せた、気後れと怯えの色を見逃さなかった。高雄が自分に何がしかのわだかまりを抱き始めていることは間違いないだろう。そしてその理由がマツエダ提督であることも……。

 もし、これが那智の早合点出ない限り、今までの那智なら色恋の事など、下らないとばかりに無遠慮な態度でいれば良かったのだが、今の那智は、自分が精神面でも立場の上でもかなり弱っていることを自覚していた。それに、自分の居場所を失うことへの怖れも手伝い、那智は自分がどうするべきか、身動きが取れなくなっていくのを感じていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。