艦隊これくしょん 〜諦めない心〜   作:橆諳髃

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新生活も始まり、ドタバタしていてなかなか投稿ができずにいました。

それと、最近になってやっと艦これをする事ができて、没頭していたらいつの間にかとなっていました。

楽しみにしていた方達には申し訳ないと思っています。

変わらず不定期更新ではありますが、何卒宜しくお願いします。

それではどうぞ。


8話 覚悟

あの後は、榛名さんと一緒に小屋に帰った。

 

足を怪我していたようだったから、肩を貸して歩くのが普通だったんだろうけど、身長的な意味もあってそれができなかった。なので……

 

「安騎尭さん……榛名は……この体勢が恥ずかしいのですが……」

「そ、そんなこと言われたって……こんな方法でしかできないんだから仕方ないって思うんだけど……」

「でも……これじゃ安騎尭さんに負担をかけてしまいますし……」

「そこも心配しないで。一応毎日浜辺を走ってきたおかげで会う前よりも体力はそこそこあるし、精霊と契約したおかげもあってか、筋肉量もそれなりに上がっているようだから。それに、榛名さんは軽いからへっちゃらだよ」

 

そう言ったら榛名さんは顔を背けてしまった。何で顔を背けたのかは僕にはわからないけど、顔は赤くなっているんだろうなってことは分かった。

 

(だって、耳まで赤くなってるし……榛名さんって分かりやすいな〜)

 

今の僕たちの体勢は、僕が榛名さんをお姫様抱っこをしているといったもので、体格差的に無理があるんじゃないかと思われるかもしれないけど、思ったよりすんなりといった。

 

(でも何で榛名さんは顔を背けたんだろう? 僕何か変なこと言ったっけ?)

『……君ってどこか抜けてるよね〜』

(そ、そうかな?)

『その自覚がない時点で抜けていると思うよ〜』

 

ノームがいきなり入ってきてこう言ってきたんだけど……僕にはさっぱりわからなかった。

 

そこからは無言で、そのまま小屋に到着した。

 

小屋には、夕食を作りに来た明美さんがいて、こんな夜遅くまでどこに行っていたのかと叱られてしまった。

 

これも訳を話したらどうにか許してもらえたのだけど、今回の深海棲艦の砲撃音は町の方まで聞こえたらしく、明日の早朝から町長が緊急委員会を開くらしいとの事で、この町に艦娘がいる事がバレてしまうかもしれない。

 

「このままだと、貴方がこの子を匿っている事が知られて、もうこの町にはいられないかもしれないわ。それが、ここの掟であるから、町長の娘である私にもどうしようもないわ……だからしばらくは大人しくした方が良いと私は思うの……」

 

今この場で話しているのは僕と明美さんで、榛名さんには薬草を染み込ませたお湯に入ってもらっている。

 

榛名さんもこの町の掟は知っているから、町の方にまでは行ってはいない。

 

でも僕は、窮屈だなと思っていた。艤装をつけなくて、洋服を変えれば、艦娘とバレる事はない。怪しまれる事なく買い物もできるとは思うけど……

 

浜辺から来たという事はすぐにバレてしまう。

 

ここから町に出る道はたったの1つしかない。だから、例え変装したとしても、見知らぬ人が通ったという事はバレる。

 

その道を通るのは、僕や明美さん、野山に薬草を取りに行く人達だけだ。

 

だから結果的に怪しまれてしまうのが目に見えていて……

 

(でも……このままの生活を続けていくなんて……僕は良くても榛名さんが窮屈だよ……どうやら、覚悟するしか無いよね……)

 

「僕は……これじゃダメだと思う。このままじゃ何も解決しないと思う。だから僕……決めたよ。僕は……」

 

後の言葉を聞いて、明美さんは驚いたと同時に僕を叱った。この道は決して簡単なものなんかじゃ無い……命を落としてしまう選択である事は僕にも分かっている。

 

でも僕は……もう約束をした。世界の危機を救う事を。ただ、それだけでこの道を選んだ訳じゃ無い。

 

僕にとって大切な人を守るために……自分をどれだけ犠牲にしようともやり遂げる。

 

だから、どれだけ反論されても、貶されても、僕はこの道を曲げない。曲げたくない。

 

叱られた後は、明美さんを説得して、明日の緊急委員会に出させてもらう事になった。

 

明美さんは呆れてはいたけれども、その後はいつもと変わらずに夕食を作ってくれた。

 

作ってしまった後は帰ってしまったけど……帰り際もいつもと一緒で、笑顔で帰っていった。

 

帰って数分後に、風呂から榛名さんが上がってきた。

 

傷ついた体は、すっかり元に戻っていた。

 

万能薬は本当に凄いなと改めて思った。

 

それはそれとして、僕たちは夕食を一緒にとった。そこでは、あまり会話とかもなくて、何となく気まずかった。

 

食べ終わって食器を洗う時も無言で、後は寝るだけとなった。

 

なんでだろう? 小屋に帰るまではこんなに気まずくは無かったのに、どうして今会話が全くないんだろう?

 

そんな事を考えながらベットの中に入る。そして目を閉じて眠る体制に入るのだが……なかなか眠れない。

 

そうしていると、ベットの中に誰かが入ってきて僕の事を抱き締めてくる。そして頭も撫でられる。

 

入ってきた人物は、勿論榛名さんで、榛名さんの体に密着しているから甘い匂いが鼻孔をくすぐる。

 

ゆっくり振り向くと、榛名さんが笑顔を浮かべながら僕を抱き締めて、撫でていた。

 

「は、榛名さん?」

 

名前を言ってみたんだけど、すぐに返事は返ってこなかった。そこから数分して、やっと榛名さんは口を開いてくれた。

 

「榛名は……考えていました。どうして榛名は、安騎尭さんにあんな酷い事を言ってしまったのかって……」

「……僕は……もうその事については気にしてないよ。あれは、僕が完全に悪かったんだから」

「いいえ、安騎尭さんはちゃんと考えてやったんですから。でも榛名は、それが心配で……それであんな事を言ってしまったんだと思います。それに……」

「それに?」

 

榛名さんは顔を少し顔を赤らめて口を開いた。

 

「……それに榛名は……榛名は……安騎尭さんの事が……す、すすす……」

 

後半になってから少し言いにくそうになっていたけれど、僕は榛名さんが何を言いたいのか分かった。

 

だから僕は、榛名さんの唇に自分の人差し指を当てて言わせなくする。

 

「っ⁈」

「榛名さん、榛名さんの気持ちはよく分かったよ。会ってそんなに日は立ってないけれど、それでもすごく嬉しいんだ。まぁ、これが僕の勘違いだったらとても恥ずかしいんだけど……」

 

僕もいつの間にか顔を赤くしていたようで、目がキョロキョロしていた。

 

その様子を見て、榛名さんは笑っていた。これで少しだけ、緊張がほぐれたのかなと思う。

 

「ふふふ、安騎尭さん可愛いです」

「えっ……えぇっ⁉︎」

「いつもは、凄く大人っぽい事を言ってて、仕草も全く子供っぽくなくて、でもたまに、今みたいな子供っぽい仕草が出て、それが凄く可愛くて……って何言ってるんでしょうね……」

 

言い終わった後、照れ笑いをしていた。それが……その顔が僕にとっては可愛く見えて……いつの間にか僕の方からも抱き締めていた。

 

「あ、安騎尭さん……?」

「僕……言うよ。僕は……このままでいたくないから……この結果がどうなっても……僕は受け止める。それに、僕も後悔したくないから、だから言うよ」

 

一拍開けて言う。

 

「榛名さん……僕は、僕は貴女の事が好きです。できる事なら……ずっといたいって……そう思ってる。だから、僕と一緒にいてほしい……」

 

僕は最後まで言い切って目を瞑った。これで後悔なんてない……いや、後悔はするかもしれないけど……

 

それでも言わないよりかは良いって思った。

 

そうやって沈黙の時間が流れて、僕は心の中で勘違いだったのかなと思い始めた。

 

榛名さんが言おうとした事は、こんな事じゃなかったんだなと思えてきたら、自分が自惚れているように感じた。凄く滑稽に思えて、心の中で自分の事を嘲笑していた。

 

「安騎尭さん……」

 

長かった沈黙の中、榛名さんの口が開いた。

 

「榛名は……安騎尭さんにそう言ってもらえて幸せです。私も……できる事なら安騎尭さんと一緒にいたいです。ずっとずっといたいって思います。でも私は艦娘で……また深海棲艦と戦う日が遅かれとも必ず来ます。だから、ずっと一緒にいる事は難しいかもしれません……だから……」

 

榛名さんが言いたい事は……良くわかる。自分達が、自分達の存在が深海棲艦と戦う為に生み出された存在だという事を。そこには当然命の駆け引きもあって、必ず無事に帰れるかなんてわからない事。

 

なら僕は……僕の答えはこれだけだ。

 

「なら僕は貴女を守ります。そこに、自分が軍に所属しているからだとか、僕が一般人だからとか関係ない。僕は、僕がやりたい事をやる。それが僕の全てだから……だから、僕に貴女を守らせて」

 

榛名さんは瞳を潤ませていた。そして、僕をぎゅっと抱きしめる。榛名さんの肌に直に触れる。榛名さんが震えている事がわかる。

 

どうして震えていたかは、小さい僕にはまだわからなかったけど、これから分かっていこうと思った。

 

「安騎尭さんは……やっぱりバカです……自分から危険な道に行くなんて……」

「そうだね……自分でもそう思うよ。でも、これが僕の選んだ道だから」

 

榛名さんは、抱きしめていた腕をといて僕を見つめた。僕も榛名さんを見つめる。

 

「……分かりました。私も、覚悟を決めます。榛名は、安騎尭さんとずっと一緒にいます。貴女に危険が及ぶなら、私は貴方をそれから全力で守ります。それと……私も貴方の事が好きです。だから……榛名を、安騎尭さんの側において下さい」

「うん……なら僕も。僕は、貴方を災厄から守るよ。例え死んででも。守り続けるから」

 

その言葉を最後に、僕と榛名さんは微笑みあって一緒に寝た。

 

翌朝になって、僕と榛名さんは町長の家に行った。榛名さんには、行く前に伝えておいた。

 

榛名さんはこのことを聞いて、僕の心配をしながらも、僕が何を言われても変わらない事を分かって付いてきてくれた。

 

そこには既に他の役員の人達もいて、今回の処理をどうしようかという話が行われていた。

 

でも僕の中では既に決まっていた。僕はその事を町長に言って、町長はそれに驚く。

 

そもそもこの町が艦娘にも深海棲艦にも関わらない事をつくる掟を作った要因は僕にあったようで、僕の親が早くに亡くなった事にも関係しているようだった。

 

でも、今更言っても過去なんて変わらない。僕の親が深海棲艦の所為で亡くなったとしても、それも過去でとうに過ぎ去った事だ。今更どうしようもない。

 

だから僕は、もうそんな思いをする人がいなくなるように歩いていく。

 

僕が町長達に進言した事は、僕がこの町から去る事。そうすれば、もう今回のような事は起きない。町長達は僕の所為ではないというけど、もう決めた事だった。

 

町長は最後に、僕は僕の親にそっくりだと言われ、これからの事について聞かれた。

 

僕はその事について話して、町長はしぶしぶながらも納得してくれた。

 

そして僕と榛名さんは部屋を後にして小屋に戻る。そして身支度を整えて小屋を出る。

 

そこから町を出るところまで行った。町の出口付近には明美さんがいて、気をつけて行ってらっしゃいと言われた。

 

僕は町の外へと足を踏み出す。そして振り向いて、行ってきますと言ってから榛名さんと一緒に町を出た。




少しシリアス回になりましたが、下手だなと自分で思いました……ハイ……

それはともかく、更新できて幸いです。

さて、ここで話は変わりますが、自分の中で1章が終わりましたので、次からは2章へ‼︎ と続けていきたいのですが、箸休め的な話を書いてもいいのではと思い、番外編も書きます。

読者目線では面白くないと思われるかもしれませんが、そこは温かい目で見てくだされば幸いです。

では、またの機会にしましょう。
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