艦隊これくしょん 〜諦めない心〜   作:橆諳髃

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14話 日常

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下衆どもをたたきのめした後、榛名と手を繋ぎながら鎮守府に帰っていた。帰っている間は、特に変わった会話をした訳ではないが、榛名が凄く甘えてきた。俺の腕に抱きついてきたり、抱きつきながら俺の肩に頭をのせてきたりと、それはもうすごい甘えようで……

 

(こうやられていると凄く恥ずかしいな……)

 

俺は帰る最中にはほぼこういう事しか思えなかった。

 

鎮守府に帰った後、俺と榛名は夕食の準備をする。それも艦娘全員分だ。

 

「安騎尭、大丈夫ですか? 今日は着任早々色々とこなして疲れているのではないですか? 夕食作りは榛名に任せて安騎尭は少し休んでください」

 

榛名はそう気遣ってくれた。でも俺はここで休む訳にはいかない。この鎮守府に所属している艦娘達は20人に満たないが、それでも結構な量になる。いくら何でも榛名1人に任せる訳にはいかない。

 

「いや、俺は大丈夫だ。それに、2人でやった方が早く済むだろ?」

「安騎尭がそう言うなら……でも、あまり無理はしないでくださいね?」

「あぁ、気遣ってくれてありがとな」

「いいえ、榛名にはこれくらいしか……」

「いや、榛名には昔から支えられっぱなしだからな……礼を言うなら俺の方だ。昔から俺と一緒にいてくれてありがとうな、榛名」

「い、いえ‼︎ 榛名の方こそ、安騎尭には良くしてもらって……」

 

榛名は顔を赤くしながら俯いていた。

 

そんな様子を食堂の入り口からこっそりと見られていることには気付いていたが、そんな事は放っておいて夕食の準備を進めた。

 

 

 

 

side 長門

 

 

 

私は食堂のドアからこっそりと中の様子を覗いていた。提督と秘書艦である榛名が夕食の準備をしているようで、私達の分も作っているようだ。だかこの光景を見て思う事がある。それは……

 

 

 

(まるで夫婦ではないか……)

 

そう、夫婦にしか見えないのだ。あんなに仲睦まじく作業をして、それに加えて榛名の方は顔を赤くさせながら作業をしている。もう夫婦でいいのではないかと思う。

 

因みにこの様子は私だけが覗いている訳ではなく……

 

「はわわ……」

「なっ、なんなのかしらあれは‼︎ まるで夫婦じゃない‼︎」

「……」

 

そう、この鎮守府に所属している艦娘全員が覗いているのだ。中には顔を赤くするものまでいるが……

 

(というよりもあの提督はハイスペックすぎる……)

 

心の中で長門はそう思うしかなかった。確かに長門がそう思うのも無理はない。安騎尭は料理に加えて掃除もでき、また短時間で食堂さえもリフォームしたという事を目の当たりにしたのだ。(リフォームしたところは安騎尭から言われた通り覗いてはいないが……)

 

前の提督と比べると差は歴然……いや天と地以上の差があるだろう。

 

(あぁ……私達が所属した時、最初からこの提督であったなら、あんな苦しい日々を過ごさずに済んだのに……)

 

様子を見ながらそう思っていると……

 

「おーい、そこから覗いている艦娘達。そろそろ夕食の支度が済むから入って来い」

「「「っ‼︎」」」

 

長門達は驚いた。まさか自分達が中の様子を覗いている事がばれていたという事を。

 

 

side out

 

 

 

 

 

食堂のドアの隙間からこちらを見ている視線に対しては最初から気づいていた。まぁ、普通に見てくるだけだったので放っては置いたが、もうそろそろ夕食の準備も済むので

頃合いを見て呼んだ。そうしたら入り口からぞろぞろと入ってきた……というより

 

(全員じゃねえか……まぁ、こうな光景は見た事なくて当然か……)

 

「今日は皆同じメニューで申し訳ないが、我慢してくれ」

「いや、それは別にいいのだが、私はここに所属してこんな風に食事した事がないから……」

 

長門がそんな風に言う。まぁ皆初めて戸惑っているんだろうな……

 

「初めての事で戸惑うだろう。でも今日からはこれが日常になる。だからこれは俺からの願いなんだが、相手に負けても良い。逃げて帰っても構わない。ただこれだけは約束して欲しい……生きて帰ってきてくれと。俺は君達にそう願う」

 

それを聞いた艦娘達は聞き入っていた。彼の言葉を……彼の声を……それほどまでに彼の声が優しいものだったから。彼の声が、安心させてくれる声であるから。だから皆聞き入っていた。それが短い言葉であっても、そこに優しさが含まれていたから彼女達は聞くことができた。

 

「今までの事を考えたら何を甘ったれな事をとは思う。だけど俺は、誰1人として欠けて欲しくない。だから俺は、皆には生きてまたこの場に戻って欲しい。さて、この話はこれぐらいにして、お腹すいただろう? ご飯にしよう」

 

俺はそこで話を切り上げて、夕食を全員分の器に盛り付ける。

 

「皆自分の分はあるか? あるようだな。なら、いただきます」

「「「いただきます!」」」

 

この合掌が、俺がこの鎮守府に来て初めての食事になった。

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