夕食の時間になるまで俺は榛名に膝枕をして頭を撫で続けた。榛名は目を細めながら気持ちよさそうにしている。それにいつの間にか寝息まで立てていた。
俺はその様子に可愛いなと思いながら榛名の頰をツンツンとつついてみる。
「ん……う〜ん……」
榛名は顔を歪めて起きそうになるが、また頭を撫でると、気持ちよさそうな顔をして眠った。
「俺も……安心して寝ている時はこんな顔してんのかな……」
そう独り言は呟いて考えるが、それはすぐに止めた。誰が男の寝顔を自分で想像して良い気分になるだろうか? 答えは否で、例え自分の顔であっても嫌になる。
ただ……それで良い気分になる奴は、軽度から重度のナルシストだろうな……。別にどうでも良い事には変わりないが……
「っと、そろそろ夕食の時間だな。お〜い、榛名〜」
「う、う〜ん……あきのり? おはようございましゅ……」
榛名さん……最後の最後噛んでますよ? まぁ、俺にとっては可愛い事に変わりないし、逆にレアだし俺得だし。
「もうそろそろ夕食の時間だから、食堂に行こう?」
「は〜……えっ⁈ もうそんな時間ですか⁉︎」
「あ、あぁ、その通りだが? まっ、行こうぜ」
俺は榛名に右手を差し出した。榛名はそれを戸惑いもせず左手をだし、俺の手を握ってくる。そこから提督室を出て、食堂に向かった。
食堂に着くと、既に結構の人数が集まっていた。前提督の元だったら、あり得ない光景だろう。でも俺は、この光景が嬉しい。初日よりも皆の顔が生き生きしているように見えるし、楽しく日々を過ごせているのなら俺は言う事はない。
(確かに交流が少ない艦娘もいるが、少しずつ話していこう)
「あら提督。それに榛名さんも」
「食堂のお世話ご苦労。1人で大変ではあろうが……」
「いいえ、私が好きでやっている事です。それに、私が養成学校へ手伝いに行ってた時の方がもっと忙しかったですよ?」
鳳翔が言っている事は事実だ。なんせ養成学校は国に最低で1つ、最高で6つと定められてある。そんなために、各地域から提督志望者が続出する。倍率でいうと、何十倍にもなるとかで、入学者人数も多い。それ+在校生だから、必然的にマンモス校と同じ扱いになるわけで……
(俺も1の名前を覚えるのに苦労したな……なんせ1クラス70人とかザラでもなかったし、同じ苗字も多かったからな……)
それに比べ俺の苗字は脩鴑で、1人も同じ苗字はいなかったし、担当教師でさえも読めなかったよな……
「それで、ご注文は何になさいますか?」
「あぁそうだったな。俺は唐揚げ定食で。榛名は?」
「じゃあ榛名は日替わりでお願いします」
「唐揚げ定食と日替わりですね。少し待っててくださいね」
そうしていると、俺たちが頼んでいたものが来た。それが乗せられているお盆を持ち、テーブルに座る。俺が座ったのは6人席のテーブルで、隣には榛名が座った。それでいただきますをしようとした時
「あの……提督、私も提督の隣に座ってもいいですか?」
そう言ってきたのは、今日デートに誘った足柄だった。俺は良いよと言って足柄を隣に座らせる。そして合掌をして夕食を食べ始めた……のだが……
「提督、コップの中身が空のようですから、お水注ぎますね」
「あ、あぁ、ありがとう……」
とまぁ、俺の空になったコップに水を注いでくれるまでは良かったのだが……
「提督、はい。アーンしてください」
「……えっ?」
「で、ですから……アーン、してください」
足柄が何故か俺の皿から唐揚げを箸でとって俺にアーンしてきた。だが、何故急に?
「あ、足柄? そのな、アーンしてくれるのは正直嬉しいんだが、どうしてしようと思った?」
「どうしてって……特に理由は無いんだけど……」
「けど?」
「わ、私がそうしたいから……よ。だから……アーン、して?」
上目遣いで足柄は唐揚げをこちらに向けてくる。可愛いと思ったのは……仕方無いと思う……
「……アーン」
「……はい。……なんだか、照れてしまうわ……」
足柄は自分の赤らめた頬を手で包んでいた。しかし、そんなに恥ずかしがるなら何故そうしたんだと思うのだが……
「あ、安騎尭……」
「ん? どうしたは「アーン」んぐ⁈」
今度は榛名からアーンをされた。しかも強引に……
(というかよくもまぁ喋っている途中の俺の口に入れれたよな……)
まぁ、ありがたくいただくのだが……
「榛名……さっきのは強引すぎるんじゃ……」
「あっ……その、ごめんなさい……。足柄さんのを見ていると、榛名もやらないとと思って……」
「やるのは構わないが……さっきのは強引すぎるぞ?」
「ご、ごめんなさい……「だからさ……」えっ?」
「もう1回だ」
「えっ……して良いんですか?」
「さっきのはいきなりすぎてよく味わえなかった。だからもう1回だ」
「……な、なら……あーんして下さい……」
「分かったよ。アーン……」
「はい、あーん……。なんでしょう……2回目ですけど……なんだか恥ずかしいです……」
「恥ずかしいって……俺が小さい時は良くやっていただろう?」
「っ⁉︎ そっ、それとこれとは違いますよ‼︎ うぅ……」
「まぁまぁ、そんな顔せずに、な? 食べようぜ?」
「は、はい……」
そうして夕食を再開した安騎尭たちだった。
どんどん路線がずれているような気もしますが……後々からでも修正していきます。