艦隊これくしょん 〜諦めない心〜   作:橆諳髃

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久々にこの作品を投稿させていただきます。

まぁ、性格の部分とか多少変わってしまったかなと書いていて思ったりしましたが、なんとか書けました。

それではご覧下さい。


26話 一緒に帰ろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

安騎尭が榛名から連絡を受けて数分……安騎尭は4体の深海棲艦と対峙していた。

 

「コンナ所ニ人間? 人間ガ何故海ノ上ニ立ッテイラレル?」

「イヤ、ソンナコトヨリモ我々ニハヤルコトガアル」

「ソウダ。人間……我々ノ邪魔ヲシナイノナラ生カシテオコウ。ソコヲドケ」

 

そう言い終わると同時に4体の深海棲艦は只ならぬ殺気を放った。それは、空を覆い尽くす黒雲がさらにドス黒くなり、周りの海が大波を立てるほどのものであった。しかし安騎尭はその中でも平然と立っていた。

 

「……ドカヌノカ? ソレトモ我ラノ殺気デ動ケヌノカ?」

「ドチラニシロ時間ヲトッタ。動カヌノナラコノママ海ニ沈ムガイイ」

 

深海棲艦の1体が安騎尭に向かって砲塔を向け、そして砲弾を放った。それは安騎尭めがけて真っ直ぐ飛ぶ。そして着弾し、爆発した。安騎尭がいた所は黒い煙で覆われていた。

 

「セメテ……楽ニ行クガイイ……」

 

砲弾を放った深海棲艦はそう言い、自分たちの目的を成すために再び移動し始めた……が

 

「ッ! 待テッ!」

 

1体の深海棲艦が手で他の深海棲艦達の動きを制した。

 

「ドウシタト言ウノダ⁉︎ マサカ今更ヤメルト言ウノデハナイダロウナ⁉︎」

「違ウ‼︎ ソウデハナイ‼︎」

「ナラナンダトッ⁉︎」

 

そう言って気付いた。4体の深海棲艦の目が黒煙を凝視する。煙が徐々に晴れていき、完全に晴れる。そこには、服は多少破れていたり焦げていたりするものの、傷一つ付いていない安騎尭が腕を組みながら立っていた。

 

「ナ、何故ダ⁉︎ 当ッタハズダ‼︎」

 

砲弾を放った深海棲艦は唖然としていた。それもそうだ。普通人間に砲弾が当たったなら、当たった人間は確実に死ぬ。それはどんな強靭な肉体を持っていたとしても、目の前で爆弾などが爆発したなら死んでしまう。軽くて重体に成るだろう。

 

しかし、目の前の安騎尭は服が破れたり焦げたりしただけで、外傷は負っていない。

 

「タダノ人間ガ……何故ダ‼︎ 何故平然トシテイラレル⁉︎」

 

深海棲艦達からしてみれば、驚くには十分な材料であった。というより、誰が見ても驚くだろう。

 

「すまないが……ここから先は行かせない。例え君達にどんな目的があったとしても、ここで阻止させてもらう」

 

安騎尭は組んでいた腕をとき、左腕左足を前に出して構えた。右腕はたたんで胴につけ、右足は45度外に向くようにする。

 

「最初に言っておく。俺は君達には一切攻撃しない。ただし、砲弾や艦載機は撃ち墜とさせてもらう」

「……貴様……ナメテイルノカ?」

 

深海棲艦の1体から発せられたその言葉には、物凄い怒気が含まれていた。

 

しかし、安騎尭はそれでも顔の表情も姿勢も変えない。そこには安騎尭の只ならぬ強い意志があった。ここから先は一歩も通さない。艦載機でさえも通さない。といったそんな強い意志があった。深海棲艦達も、安騎尭の強い意志を感じていた。だからこう思う。この人間は何かが違うと。自分達が艦娘であったときに会ったどの人間よりも、正直であり、決めたことは何が何でもする。そして卑怯、卑劣なことは一切しない。そんな人間に思い、そう見えた。

 

だが……

 

「ソレデモ我々ノ邪魔ハサセナイ‼︎」

 

その言葉を皮切りに、深海棲艦達は安騎尭に向かって砲弾を一斉に放つ。空母のヲ級は艦載機を飛ばす。その数は優に50を超える。それらも一斉に安騎尭に向かい、機銃をバラまく。

 

対して安騎尭は

 

「ハァァァァッ‼︎」

 

飛んでくる砲弾に対して真正面から殴りつける。砲弾は殴られた影響で爆発する。その爆発は安騎尭を巻き込むが、安騎尭は構わず次々飛んでくる砲弾を殴る。そこに混じってくる鉛玉も殴って粉砕する。

 

深海棲艦達はそれに唖然とするが、砲撃の手を緩めない。艦載機も安騎尭の真上に移動して爆弾を投下する。安騎尭は自分に向かってくる砲弾に意識が向いていて、上から落ちてくる爆弾には気付いていない……と思われたが

 

「ッラァァ‼︎」

 

安騎尭の頭上に迫っていた爆弾は、安騎尭の蹴りをもろに受け、爆薬を包んでいた鉄の筒は砕け、その砕けた衝撃で爆弾は爆発した。それでもなお安騎尭は迫り来る砲弾、鉛玉を殴り潰す。

 

そこで深海棲艦達は不意に思い始めた。目の前にいる人間の行動に。目の前の人間は今もなお自分達が放つ砲弾や鉛玉を殴っている。自分が爆発に巻き込まれても御構い無しにだ。それで思った。この人間は自分たちの放つ砲弾が見えている。砲弾より早く飛び交う鉛玉でさえも見えている。見えているならば、避けるのも容易いのではと。なのにこの人間は避けない。自分達の攻撃を正面から迎えている。

 

こう考えている今でも、目の前の人間は砲弾を殴り、鉛玉を殴り、上から降り注ぐ爆弾などは蹴り潰し、艦載機も隙あらば墜としている。

 

そしてもう1つ思うことがある。自分達に攻撃を一切してこない。見る限り、この人間には深海棲艦と対峙する能力がある。それも何体とも渡り合える能力を持っている。なのに人間はこちらに一切攻撃をしてこず、防戦的な事をしている。

 

(何故ダ⁉︎ 何故コノ人間ハ一切攻撃シテコナイ⁉︎)

 

深海棲艦の1体がそう思ったところで、自分が搭載している弾丸数が残り少ない事に気付く。砲撃を続けて数十分経った頃である。残りの深海棲艦達も残弾数が少ないのか、安騎尭に砲撃するのを止めた。ヲ級の放った艦載機も残り少なく、こちらの弾薬は既に尽きていた。

 

一方の安騎尭は、爆発をもろに受けて服はボロボロであり、砲弾や鉛玉を殴っていた手は少し黒く煤けており、血も出ている。頭からも少し血は流れていたが、闘気は薄れる事なく、普通に波がたっている海の上に立っていた。

 

深海棲艦達の方は残弾も残り僅かであり、戦意もほぼ無いに等しい。このまま安騎尭に砲弾を放っても、結果は先程と同じであろう。安騎尭の方は、所々怪我をしているが、まだまだいけるといった状況である。

 

この勝負は、誰が見ても明らかであり、軍配は安騎尭の方に上がるだろう。だが、深海棲艦達は納得できなかった。

 

「何故ダ……何故我々ノ邪魔ヲスルノダ……我々ハ……我々ハタダ……「自分達を苦しめた人間に復讐したい……だろ?」ッ‼︎ 何故ソレヲ⁉︎」

「そんなの、君達の砲弾を受けてみて分かるよ。君達の攻撃は、憎しみでいっぱいだって事。しかも、たった1人に向けての憎悪だって事も分かった。それで、君達が向かう先には自分達を散々傷付けた人間がいる……だから俺がここにいなかったら、真っ直ぐ復讐する人間の所に行って自分達が受けた傷や屈辱を存分に味あわせる。そんなところだったんだろ?」

 

深海棲艦達は安騎尭の言葉を聞いて口を閉じる事しかできなかった。実際に安騎尭がこの場にいなかったらそうしていたからだ。だから否定する事ができなかった。

 

「でもな……復讐しても、君達には何も残らないんだぜ? ただ残るんだとすれば、一瞬の喜びとそれ以上の虚しさだけだ」

 

安騎尭は静かにそう言った。深海棲艦達には普通に聞こえていた。それでも、自分達の中では譲れない事もあった。

 

「ナラ……ナラ、ドウシロトイウノダ‼︎ コノ痛ミ‼︎ コノ憎シミヲドコニブツケロトイウノダ‼︎ 我々ハ……アンナ人間ニ好キ勝手ニ弄バレ、ソシテ簡単ニ捨テラレタ‼︎ ソンナ事ヲサレテ、憎ムナトデモイウノカ⁉︎ ソンナ事ハ無理ダ‼︎ ダカラ我々ハ「だったらよ」ッ⁉︎」

「そんなに痛みや憎しみが自分の中に渦巻いているってんなら、俺に全てぶつけて来い‼︎ それで君達の憎しみが晴れるんなら、俺は体を張って力になってやるよ‼︎」

 

深海棲艦達は、安騎尭が一瞬何を言っているのか分からなかった。それもそうだ。ただの人間が、自分達に力を貸すと言っているのだ。そんな事は、絶対にありえない事であり、やってはならない事だ。人間が、深海棲艦に何らかの形で力を貸すというのは、海軍から見ると裏切り行為に等しい。そんな事を安騎尭は何のためらいもなく言ってのけたのだ。だから深海棲艦達は安騎尭の言葉の意味を一瞬理解できなかった。

 

そして、同時にこう思う。何故この人間は、自分達にそんな言葉をかけるのかを。考えてみるも、当然ながら浮かばなかった。だから深海棲艦の内の1体が、警戒は解かないながらも、安騎尭にさっきの意味を聞いた。

 

「何故貴様ハ、我々ニソンナ事ヲ言ウノダ? 貴様ト我々ハ初対面。ソレニ敵同士ダ。ナノニ何故ソンナ事ヲ言ウ?」

 

その問いに、安騎尭は考える素振りも見せずに答える。

 

「それは、俺が君達が憎んでいるであろう提督の後任だからだよ」

「後任……ダト?」

「あぁ。俺は、君達が憎いと思っている提督の後任で、元間娘だった君達が所属していた鎮守府で提督をしている。それで先に言っておくが、俺も君達と同じくあんな奴は大嫌いだ。でも、君達には復讐なんてさせない」

「ッ⁉︎ 何故ダ‼︎」

「そんなの決まってる。君達の手を汚したくはない。たとえそれが深海棲艦であったとしても、元は今俺が所属している鎮守府の艦娘だったんだ。だから、君達が負ってきた痛みや憎しみを、あの屑がやってきた諸々のつけも、俺が全部清算して背負ってやる‼︎ だから、君達が背負っている奴に対する復讐心その他諸々の苦しかった事も、全部俺にぶつけて来い‼︎ 俺が全部まとめて背負ってやるからよ‼︎」

 

最後まで言い切った安騎尭の顔は、笑っていた。それを見て深海棲艦達は思った。自分達がまだ艦娘だった時に、目の前にいるこの人間が自分たちの提督であったならと。そうしたら、こんなに苦しい思いもしなくて済んだのかもしれないと。

 

だがそれも遅い事で、今は深海棲艦になってしまった。こんな醜い体になってしまった。頭の中で今まであった復讐心と、目の前の安騎尭の笑った顔が混ざり、どうすれば良いか分からなくなってしまった。

 

そんな時、自分達の後方から砲撃音が聞こえた。そして、自分達の近くに着弾し水柱を立てる。後ろを振り返れば、6体で編成された艦娘達だ。ここで起きた異変を察知して来たのだろう。しかも、戦艦クラスが4体と空母級が2体だ。残弾数がフルであったなら多少は戦えたかもしれないが、安騎尭に殆どの弾を使ってしまったため、満足に戦えない状況である。

 

この状況下でどう凌ごうかと思っていた時、自分たちに向かって砲弾が幾つも飛んでくる。それも直撃コースだ。そして艦載機も飛んでくる始末で、自分達にはもはや艦載機と対峙する能力も残っていなかった。

 

ここで自分達は沈むんだと思った。そう思って目を瞑った。しかし

 

「んな事させねぇ‼︎」

 

今まで自分達と対峙して来た人間が前に立ち、飛んでくる砲弾を殴って違う所に弾いていた。これには自分たちも驚き、本来味方である筈の艦娘達も驚いていた。

 

「な、何をしているんですか⁉︎」

 

艦娘達の第一声はそれだった。それは当然の反応で、人間や艦娘の敵である深海棲艦をあろう事か人間が庇うという事実が信じられずにいた。この世界の常識では考えられなかった。しかし、今この場で深海棲艦達を庇う安騎尭だけは違っていた。

 

「そんなもん決まってる。俺はこの子達を守る‼︎ 確かに今は深海棲艦だ。だが‼︎ この子達は俺の所に昔所属していた艦娘達でもある‼︎ 俺は昔のこの子達との接点なんて持っちゃいない。どんな子であったかも知らない。間接的にその子達の提督である程度だ。それでも、俺の所に所属していた艦娘だっていう事実は変わらない‼︎ だから、この子達が道を踏み外したり踏み外しそうになった時は、提督である俺がきっちり面倒を見なきゃなんねぇんだよ‼︎ だから、この子達には指一本触れさせねぇ‼︎」

 

そう言いながら安騎尭は自分が立っている海に拳を叩きつける。すると、安騎尭を中心に波が揺れ始め、段々と大きくなる。そして艦娘達は気付く。自分達が徐々に安騎尭達から離されている事に。

 

「こっ、これは⁉︎」

「君達には悪いが、自分達の鎮守府近海まで戻ってもらう」

 

安騎尭がそう言っている途中にも、波は段々早くなり、艦娘達は押し戻されていく。慌てて深海棲艦達に狙いを定めて砲弾を放つ。幾らかは外れてしまうだろうが、致命的なダメージは負わせる事ができるだろう。そんな甘い考えを持っていたが……

 

「させねぇって言ってんだろうが‼︎ 烈破掌‼︎」

 

安騎尭は直様飛んでくる1つの砲弾に掌底を食らわせる。そこから赤い気が収束し始め、やがて弾けるように爆発する。すると砲弾は跡形もなく消滅した。それだけでなく、飛んでくる全ての砲弾が消滅した。これには艦娘達も唖然とし、守られる形であった深海棲艦達も何も言えなかった。艦載機に乗っていた妖精も、安騎尭がした技を見た影響で艦娘の所に戻る。そんな中でも、艦娘達を押し戻す波は速さを変えず、逆に早くなっていた。

 

それに気づいたところで、艦娘達は射程距離外まで流され、急ぎ前に進もうとしても、もはや波の速さには抗えずなすがままに流されて行った。

 

艦娘達の影も見えなくなり、安騎尭は深海棲艦達に振り返る。そこでやっと我に返った深海棲艦の1体が口を開いた。

 

「何故我々ヲ助ケタ?」

「何故助けたか? 聞いてなかったのか? 君達は深海棲艦でも、元は俺が所属しているところの艦娘だったんだ。上司が下の連中を助けるのに理由はいらねぇ。それでも納得できないって言うんだったら……そうだな。元君達の屑提督の後任である俺が、その無能な上司が残して行った諸々のツケを全部清算する。痛みも悲しみも憎しみも恨みも全部、俺が清算する。だから助けた。それによ……」

 

安騎尭は深海棲艦達に右手を差し出しながら言う。

 

「間接的にも俺の家族には変わりねぇ。姿が変わったって俺は気にしねぇ。だからさ……一緒に帰ろうぜ? 君達がいた所にな」

 

その光景を見て深海棲艦達は、膝を曲げて泣き崩れた。




なんか無理やりに詰め込みましたね。でもこんな終わらせ方ぐらいしか思いつかなかったので、こんな風に書かせていただきました。

さて、ここから安騎尭がした技の説明に入らせていただきます。

烈破掌は、テイルズシリーズに出てくる技であり、相手に掌底を食らわせ、そこに気を溜めて爆発させるといったものです。爆発した後相手は吹き飛ぶ程度ですが、この作品では威力をオーバー気味に書いています。本来は相手を跡形もなく消滅させる技では無いです。嘘かよ⁉︎ と思った方やテイルズファンの方には申し訳ないなと思いますが、なんかこう言うのもカッコ良いよなと思って書かせていただきました。

とまぁ、今回はこんな感じで締めくくらせていただきます。

最後まで読んでくださった方、ありがとうございました‼︎
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