ここで少し訂正しますが、深海棲艦達の台詞を普通にしました。片仮名にいちいち変換するのが面倒なのでそうしたのですが、ダメでしょうかね?
とりあえず、そこも含めて感想などお待ちしております。
それではどうぞ‼︎
深海棲艦達を止め、さらに深海棲艦に攻撃を加えようとしていた艦娘達の攻撃も防いだ安騎尭は、その後自分の所属する鎮守府へと帰るところであった。
ただ、そこには安騎尭だけでなく、4体の深海棲艦達も一緒だった。戦艦級のタ級、ル級、レ級、それに空母のヲ級である。
だが誤解することなかれ……彼女達は鎮守府を攻撃するために安騎尭について行ってる訳でなく、安騎尭に元いた場所へ帰ろうと言われたために、安騎尭に着いて行っている。
しかしながら、深海棲艦達はそわそわしていた。本当に自分達はそこへ帰っても良いのかと。安騎尭を疑っている訳でもないし、完璧に信頼した訳ではないが、頭の中では本当にこのまま着いて行っていいのかという疑問が巡っていた。
それに我慢ができず、ル級が安騎尭に聞いた。
「その……本当に敵である我々が行っても良いのだろうか? 確かに我々は元艦娘であり、その頃の記憶もありはするが……もはや人間の敵になってしまった我々が元の所に戻ったところで……」
「……確かに君達の言いたい事は分かる。思っている事も大体は分かる。それでも安心してほしい。俺が全部責任を持つ。どこから非難されても、俺が全部守ってやるからな」
安騎尭がル級に振り返りながら言う。その時安騎尭の顔は笑っていて、ル級からするとその顔は直視できないものになっていた。と言うよりも、安騎尭の顔を直視できなくなっていた。その原因は、安騎尭が先程一緒に帰ろうと言ってきた時のことで、その時はその言葉に感情が抑えきれず泣いてしまったが、今でもその余韻は残っていて安騎尭の顔を見てしまうとあの時のことが自動的に脳内再生されるようになってしまった。主に安騎尭の笑顔がだが……。
「ん? どうした?」
「い、いや‼︎ 何でもない……」
ル級も何故こんな対応をしてしまうのか自分でも分かっていなかった。そんな時、安騎尭のポケットに入っている携帯から着信音が鳴り響く。安騎尭が確認すると、それは榛名からだった。安騎尭は何だろうと思って通話ボタンを押して自分の耳元に携帯をあてる。すると
『安騎尭‼︎ 大丈夫ですか‼︎』
榛名が大きな声でそう聞いてきた。予想とは少し大きな声だったもんだから、携帯を耳元からつい離してしまった。まぁ、応答はするが……
「あ、あぁ、こっちは大丈夫だ」
榛名の声がどことなく余裕がなさそうだったから優しめに返しておいた。
『あぁ……よかった……安騎尭……榛名はとても心配しました……』
「心配かけてすまねぇな。終わったら早くに連絡すれば良かったかな」
『いえ、安騎尭が無事ならそれで良いんです……何事も無いようで本当に良かったです……』
本当に俺は榛名に心配ばかりかけてばかりだな……。心配はかけたくない。それが大好きな人なら尚更のことで、誰だってそうじゃないかって思う。でも、目の前で助けを求めてる奴がいたら、俺は出来うる限り救いたい。自分の手が伸ばせる範囲で、無理難題だろうがなんだろうが救いたい。
自分にとっての大切な人がそれで俺の事を心配してもそれは思いは変わらない。そうでないと、自分の1番大切な人を……榛名を守れないと思うから。
確かに俺は、昔にした精霊との約束でここから去る事になる。ここからというのは、この世界からという事だ。それが何時になるかなんて分からない。榛名もこの事は知ってる。心配もしてくれる。それでも俺が俺自身であり続けていられるのは、榛名が俺を信じてくれているからだ。榛名が信じてくれるから、俺は俺自身であり続けられる。だからこそ俺は榛名を愛せる。だから俺はいつでもまっすぐ前を向いていられる。榛名が俺を支えているからこそ、そうしていられる。
こうやって支えられている分を、返せたら良いなと思ってはいる。それが来るのかわからないが、今は前だけを見る。それで十分だって思う。
そう思っているからこそ、今やるべき事をやらねぇとな!
「心配ばかりかけて悪いって分かってる。榛名には耳にタコができるくらい言ってるのも分かってる。けど、それでも俺の事を支えてくれるか?」
『安騎尭……ふふ、急に何を言い出すんですか? 榛名は安騎尭の事が大好きです。そんな大好きな相手の事を、信じたり支えないでどうしろと言うんですか? 榛名は、安騎尭がそう言わなくたって、いつでも支えてあげます。貴方がいつまでも前を向いていられるように……』
「ありがとうな、榛名。俺も榛名の事が大好きだ」
『安騎尭……』
榛名は電話越しでトロンとした声音で安騎尭の名を口にした。さっきまでの心配がどこかに吹き飛んだかのようだった。しかし、この後安騎尭が言った事にまた安騎尭の事を心配してしまった。
「それでだな、鎮守府に向かっていた深海棲艦達についてだが……」
『……どうかしましたか?』
「その……なんだ。俺の鎮守府で預かる事にしたよ」
『……えっ……えぇ⁉︎』
榛名の声は鎮守府全体に聞こえたという……
そして安騎尭が鎮守府に戻ってきた。当然付いてきた深海棲艦達も一緒にだが……。
安騎尭は先にシャワーを浴びにシャワールームへ行く。先程負った傷はというと、完治とまでいかないが既に塞がっていた。この辺り安騎尭も人間をやめてしまっていると思って仕方がない。
一方の深海棲艦達は提督室に通されていた。しかしながら当然監視役は付くが……。
監視役に付いたのは、榛名は勿論の事、戦艦級の長門、重巡足柄、軽巡の夕張、そして軽空母の鳳翔であった。戦力的に心配に見えるかもしれないが、安騎尭と戦ったばかりであり、弾薬もほぼからの状態である深海棲艦達。逆に、こちら側には弾薬がフルで搭載されてある。もしも少しでも怪しい行動をしたらいつでも行動できるようにしてある。
しかしながら深海棲艦達はその素振りを見せない。じっと座っているだけである。何かあるのかと思う榛名達ではあるが、丁度その時安騎尭がシャワーから戻ってきた。
「待たせてすまないね。君達もさっきまで戦って疲れているだろうに、先に汗を流させてもらって……」
「い、いえお気になさらず……我々もこうして何もされずに向かい入れてくださって……」
「それはさっき済んだことだ。今は深海棲艦でも、元はここが君達の居場所だったわけだし……」
「それでも……我々はあいつの……あの憎ったらしい人間が指揮をとっていた場所を私達の居場所だと言いたくありません……」
「……ならば、どうしてもここに来たのですか?」
榛名がそう問う。元が心安らぐ場所であったなら、ここに戻ってきたいと思っても仕方ないと思う。しかし彼女らの言い分は違う。辛い場所であると言った。ならば何故ここに来たのか? それにル級が答えた。
「私が……私達がここに戻りたいと思ったのは、提督……貴方に心を打たれたからです」
「俺に?」
「はい。私が知る限り、貴方みたいな優しい人に出会ったことがない。私は艦娘であった頃から、あの憎い人間しか見た事がありません。だから人間の事なんて分からない。誰が優しくて誰が悪い奴なのか私は判断がつかない。それでも貴方は……貴方だけは優しい人だと分かる。そして貴方みたいな人が……私が艦娘でいた時の提督であって欲しかった……」
ル級は涙を流しながら言った。他の深海棲艦達もそれに誘われて泣いていた。心の内では、ル級と同じことを思っていたのだろう。目の前にいる人間が、自分達の提督であったならと……。
「だから我々を……ここにおいて欲しい‼︎ 難しいという事は、艦娘であった私達にも分かっている‼︎ 人間が私達を……深海棲艦を嫌っている事も分かっている……それでも私は‼︎ 私達は……貴方の元にいたい‼︎ こんな醜い姿になったとしても……私は……」
「……」
安騎尭は深海棲艦達の願いを静かに聴いた後、静かに椅子から立ち上がり、深海棲艦達の前まで歩み寄る。そして
「こんなに泣いてたら、綺麗な顔が台無しだ」
「えっ……」
安騎尭はル級の涙を自分の親指の腹で拭っていた。
「醜くなんてないだろう? こんなに綺麗な顔してどこが醜い?」
「その……青い眼とか……白い肌とか……」
「肌が白くて醜い? そんなわけねぇよ。大体、女の子ってのは白い肌に憧れるもんだ。それに青い眼だって、どこも醜くない。俺から見れば綺麗な眼だ。ほら、どこも醜いところなんてないだろう?」
「うっ……うぅ……」
安騎尭の言葉を聴いたル級は、たまらず嗚咽をもらした。右手で口を塞ぐ用にしてなんとか嗚咽を耐えようとするが……
「我慢することなんてない。泣きたい時は泣けよ。人であろうが艦娘であろうが深海棲艦だろうが、素直が1番だからな」
「うぅっ……うぅ……」
安騎尭は泣いているル級をそっと優しく抱き締める。そして、他に涙を流している深海棲艦達も自分の胸に抱き寄せ、子供をあやすように背中を順番に優しく叩いた。
そして深海棲艦達は思う。自分達が死ぬまでこの提督の元にいようと……
後半部分において、若干どころかほぼ艦娘達が蚊帳の外にいたような……。
という事で、艦娘達を蚊帳の外状態にして申し訳ないです。特に監視役に付いた艦娘のファンの方々に対しましては本当に申し訳ないなと思います。
それでは、今日はこの辺としましてまた次回にお会いいたしましょう。