艦隊これくしょん 〜諦めない心〜   作:橆諳髃

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小説本編:3章 ブラック鎮守府撲滅編
29話 勝手な都合を押し付けてんじゃねぇぞ‼︎


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深海棲艦達を保護かに置いて1ヶ月がたった。時たま本部から査察が入ったりしたが、なんの問題もなく終わったりした。

 

本部の方は、こちらが深海棲艦を使って反旗を翻すつもりだと考えている者が多くいるらしく、査察官だけでなく近くの鎮守府にも知らせてこちらに出向かせている様だ。

 

(まぁ、反旗なんて翻すつもりはないし、何よりあちら側が艦娘達や深海棲艦に手を出さないかの方が気になる)

 

まぁ、案の定手を出す者はいたが、そいつらは威圧もしくは手を捻って退場してもらった。それでも俺に殴りかかったり斬りかかったりする奴には、相手が気を失う程の殺気をぶつけて黙らせた。まぁ、流石提督をやってるだけはあると思う。なんせ俺の殺気を受けて気を失う人はいなかったしな。まっ、手加減はしたが……

 

閑話休題

 

今日も査察は入ったが、何も問題ないと判断されて早々に帰って行った。もうそろそろ査察の回数も減るだろう。信頼というよりも、これ以上やっても何も出ないという諦めだろう。査察に行くだけでお金はかかるし、何よりも俺に会いたくないという奴らの方が多いのだろうな。俺は、その方が艦娘達や深海棲艦に悪い虫が付かなくて良いと思っているから良いんだがな。それに、くだらない事を聞かなくて済むし……

 

(加えて艦娘達と過ごす時間が少なかったからな……)

 

榛名達にはまた寂しい思いをさせたと思っているが、まぁ今日で査察も最後っぽいからな、これでいつもの日常に戻るだろう。

 

そう思っていたのだが、どうやらそう簡単に事は進まないらしい。査察が終わったら今度は海の方で事件が起こった。近くの鎮守府で遠征に行っていた艦娘達が正体不明の“何か”に襲われたという情報が入った。幸い艦娘達の中に轟沈した子はいない様だが、このままだと安心して遠征にも行けないというので近日中に討伐隊を組む様だ。その話はこちらの方にも来ているし、こちらとしても鎮守府近海の平穏は保ちたいからな。まっ、俺も前線に出るけど……

 

そう考えていると時間が経つのは早くて、討伐当日になった。こちらから出す艦娘達は、秘書艦である榛名、戦艦大和、重巡の足柄、軽巡の夕張を前線に置き、後方支援に暁、響、雷、電を置く。そして最後に俺は最前線だ。前線はもしもの事があった時のためだ。

 

本当なら俺1人で出向きたいところなんだが……

 

「安騎尭1人で⁉︎ ダメです‼︎ いけません‼︎ もう安騎尭1人だけで行かせません‼︎」

 

と、この前保護した深海棲艦と戦った時の傷を、榛名は自分が俺1人だけで行くのを止めていればと深く思い、今回から榛名達も一緒に行動する様になった。

 

(しかしながら、あの時は血を出していただけでどこも痛くなかったしなぁ……。でも榛名が俺の事を心配してくれることについては……とても嬉しいな……)

 

「安騎尭、どうかしましたか?」

 

そう考えていると、隣にいる榛名がそう聞いてきた。俺の方が少し背が高いから、例え水上に浮いていた状態でも榛名は俺の顔を見上げる形になる。その見上げてくる顔が可愛くて仕方がない。だから俺は頬を少し赤くした状態で答えた。

 

「いや……まぁ……なんだ? 今回の討伐についても、俺1人が出れば何の問題もないのになって思ってさ。そうしたら、榛名達に被害が及ばずに済むのになって……」

「もぅ‼︎ 安騎尭はまたそんなこと言って‼︎ ダメです‼︎ もう安騎尭1人だけで行かせません‼︎」

「でもな……」

「安騎尭はどうせ、榛名達を傷つけたくないっていうつもりでしょうけど、榛名達は安騎尭に傷ついてほしくないんです……。だから……一緒にいさせてください……」

 

榛名はそう言って安騎尭に抱きつく。これまで安騎尭の事を物凄く心配しており、1人で行かせることを本心では良しとしていなかった。

 

だから今回は安騎尭が1人で無理しないように見張るという訳ではないが、安騎尭が傷付かないように自分達で安騎尭を守るという思いでこの場にいた。

 

「……分かった。榛名がそこまで言うなら、俺はもう止めはしないよ。でも、もし榛名が傷ついてしまいそうになった時は、俺が体を張って守るからな」

「安騎尭が傷ついてしまうのは……変わらないのですね……」

「悪いな……。でも、これだけは俺の中でも譲れないんだ……」

「まったく……安騎尭は……でも、榛名は安騎尭のそんなところが好きですけどね」

 

榛名はそう言ってさらに強く安騎尭を抱き締める。安騎尭は榛名の頭を優しく撫でる。

 

そんな様子を見ている前線組はというと……

 

「戦場に来ても提督と榛名は惚気るのか……。少しは緊張感を持って欲しいのだが……いや、緊張しているから惚気ているのか?」

 

長門は安騎尭の状況について真面目に考察していた。

 

一方の夕張と足柄は……

 

(榛名さん提督に抱きついて良いなぁ〜……それに頭も撫でてもらってるし……私もあぁされたいなぁ〜」

「夕張、考えてる事がそのまま口に出てるわよ?」

「えっ⁈ 私口に出てた⁉︎」

「思いっきり出てたわよ。まぁ提督には聞こえてないようだけど」

「うぅ……提督に聞かれてたら恥ずかしいよぉ……」

「まぁ……わからなくも無いわよ? 私だって、提督に抱き着きたいし……あわよくば撫でられたいし……。でもこれが提督に知られたとなったら……恥ずかしいわ///」

 

そんなガールズトークをしていた。しかしながら両者とも今の発言を安騎尭に聞かれたら恥ずかしいと思っている。しかし2人は、その発言が安騎尭の耳にまで届いている事をまだ知らない。

 

「さて、もうそろそろ作戦時刻だな。各自複従陣で周囲を警戒しつつ目標地点に向かうぞ‼︎」

「「「「はい‼︎」」」」

 

安騎尭の指示により、榛名達は複従陣で目標地点に向かう。勿論安騎尭を先頭にしてだ。安騎尭は腕を組み、仁王立ちのまま海の上を移動していた。榛名以外の艦娘達ももう驚きはしないが、他の鎮守府に所属している艦娘や提督からすると驚きのあまり言葉も出ないだろう。

 

安騎尭達は目標地点へと近づいていく。今の所変わった所はなく順調に進んでいた。しかし、進んでいる途中に変化が生じた。安騎尭が進んでいる途中に、複数の砲撃音がなる。それに応じるようにまた複数の砲撃音がなる。それを皮切りに砲撃の応酬が安騎尭達のところにまで鳴り響く。

 

「チッ‼︎ まだ作戦開始には早いだろうが‼︎ どこの馬鹿だ⁉︎ もう始まってしまったのは仕方ないが……榛名‼︎」

「はい⁈」

「俺は先に行ってる‼︎ 榛名達はこの速度を維持して目標地点に進め‼︎」

「えっ⁈ でもそうすると……」

「余計な被害は出したく無いんだ‼︎」

「……分りました……。でも、私達が行くまで無茶はしないでくださいね?」

「あぁ、努力するよ」

 

そう言って安騎尭は海を蹴って空へと飛び出した。

 

 

 

 

安騎尭が空に飛び出して数分、目標地点に着いた。そこに広がっていた光景は……

 

「……何だあのどでかい奴は?」

 

安騎尭が見たのは、複数の艦娘を相手にする巨大な黒い塊だった。その黒い塊には沢山の砲塔が付いていた。しかも360度全範囲に対応できるようになっていた。そして艦載機を飛ばせる発射口も複数あった。

 

「あれはもはや深海棲艦ではなくて要塞だな……」

 

そう思っていると、艦載機が何機かこちらに向いて飛んできた。そして機銃をこちらにばら撒いてくる。

 

「飛行速度も遅いし俺を捉えるのも遅い……おまけに俺を正確に捉えれても無い。数は多いが所詮烏合の衆か……」

 

安騎尭は艦載機に向かって垂直落下をする。そしてばら撒かれた弾は手でどんどん掴んでいく。そして安騎尭と艦載機が交差する時

 

「お前達がばら撒いた弾返すぞ」

 

安騎尭はそう言って指の間に1発ずつ挟み、腕を振って弾を放つ。片手で1度に放てるのは計4発。両手で計8発放てる。

 

そして安騎尭が放った弾は正確に艦載機に正確に向かい、そして艦載機の装甲を貫く。自分の放った弾で装甲を貫かれた艦載機は次々と爆発していき、それは安騎尭の手から弾が無くなるまで続いた。そして安騎尭の手から弾が無くなる時は、上空にいた艦載機は半減していた。

 

安騎尭は弾を放ち終わり、静かに海の上に着水した。

 

「艦載機の精度はイマイチ、しかしながら数だけは多い……。艦娘達からすれば酷だな」

 

安騎尭はそう言った後に後ろを振り向く。後ろには疲弊した艦娘達がいた。目立った怪我はしていないが、残弾数は少ないだろう。

 

艦娘達の方はというと、いきなり空から人が降ってきたことに驚いていた。

 

「さて、榛名からあまり無茶するなって言われてるし……まっ、攻撃はいくらかさせて貰うが」

 

安騎尭が言い終わると同時に、黒い塊から砲弾が幾つか飛んできた。しかし

 

「さっきの艦載機もそうだが……お前の行動は何もかも遅い‼︎」

 

飛んできた砲弾を安騎尭は殴って返す。そして最後の砲弾は上に弾き、安騎尭も上に弾いた砲弾のところまで跳躍し、弾を黒い塊目掛けて思い切り蹴り飛ばす。

 

安騎尭が弾いた弾は全て黒い塊に命中した。最後に蹴り飛ばした弾に至っては、相手の装甲にめり込む形で着弾して爆発した。爆発によって生じた黒煙がその場を包む。

 

安騎尭はというと、また静かに海の上に着水していた。しかし目線は黒煙を睨んでいた。黒煙が晴れると、そこには無傷の黒い塊がいた。

 

「最後の砲弾は装甲にめり込んだはずだ。しかしめり込んだ跡すらない……ということは……」

 

安騎尭はある推測を頭の中に導き出し、技を放つ構えをした。足を肩幅くらいに広げ、左足は前に真っ直ぐと向かせる。右足はそれの斜め45度ぐらいに開く。そして右腕を後ろに引き絞る。次の瞬間

 

「魔神剣‼︎」

 

安騎尭は引き絞った右腕をまるでボウリングの玉を転がすように真っ直ぐ下からすくい上げるように振り切っていた。安騎尭の右腕から放たれたのは、縦に鋭く伸びた衝撃波で、衝撃波が進む度海は谷を作るように斬り裂かれる。そして衝撃波が黒い塊に当たり、縦に真っ二つにした。それでも安騎尭は視線を黒い塊から外さない。

 

すると、安騎尭の技で真っ二つになった黒い塊は瞬時に再生した。

 

「やっぱりな……再生能力持ってたらいくら艦娘でも倒せないわな……」

「安騎尭‼︎ 大丈夫ですか⁈」

 

そこに榛名達が到着した。

 

「こっちは何とも無い。それより後ろにいる艦娘達に補給が必要だ。一応あの子達に後退して補給してもらうように言ってくれ」

「分りました。それでその後はどうすれば良いですか?」

「その後はそこにいる黒い塊の討伐だ。ただしあいつはどうやら深海棲艦では無いようだ。それに加えて再生能力も持っている」

「深海棲艦以外の新たな敵、という事か?」

「今の所はその様だ」

「でも、再生能力のある奴にどう戦えば良いの?」

 

足柄が安騎尭に聞く。安騎尭は顎に手をやって少し考え

 

「少しだけ試したいことがある。力を貸してくれるか?」

「そんなの当たり前です‼︎ それで私達は何を「ちょっと⁈ あれ‼︎」っ⁈」

 

榛名が聞こうとすると夕張が遮り、指を指していた。安騎尭達がそちらの方を見ると、中破ないし大破した艦娘が黒い塊に特攻を仕掛けようとしていた。

 

「まさか特攻する気なの⁉︎」

「少し待ってろ」

「安騎尭⁉︎」

 

安騎尭は特攻を仕掛けようとする艦娘の方に飛び出していた。それと同じタイミングで黒い塊は特攻する艦娘に砲撃する。その砲撃もそこまで正確ではなかったが、特攻する艦娘は既にボロボロの状態だ。1発でも当たれば轟沈してしまう。

 

そして砲弾と艦娘の距離が徐々に狭まり、いくら安騎尭でもそれに間に合わないだろうと思われたが

 

「させねぇ‼︎」

 

安騎尭は空を殴り付ける。するとそれは拳圧となり艦娘に当たるはずだった砲弾を弾いた。そして安騎尭は特攻する艦娘を止めた。安騎尭が止めた艦娘は空母の赤城だった。

 

「何やってんだ‼︎ 死ぬ気か‼︎」

「離してください‼︎ 私はこの作戦で死なないといけないんです‼︎」

「んなっ⁈」

 

それは安騎尭を十分に驚かせるものだった。

 

「私は……この作戦で死なないと……加賀さんを……」

 

赤城は涙を流しながらそう言った。安騎尭は、この赤城が所属している鎮守府で何かあったのだと一瞬で分かった。しかし今は作戦行動中だ。目の前の黒い塊を討伐しなければ先に進まないと考え

 

「君が所属している鎮守府で何が起きてるかは知らないが、君は死ぬ必要はない」

「……事情も知らないで……勝手な事を「あぁ‼︎ 勝手な事は最初から分かってるさ‼︎」っ⁈」

「それでも君が死ぬ必要なんてねぇ‼︎ 君自身、死にたくなんて無いだろうが‼︎」

「……はぃ……」

「ならここは俺に任せとけ‼︎」

 

そう言い安騎尭は赤城をお姫様抱っこし、榛名達の元へ戻る。

 

「安騎尭‼︎」

「榛名、やってもらいたいことがある」

「分かってます。それで何をすれば?」

「榛名達は丁度あの黒い塊の真上に砲弾を放ってくれ。砲塔を全て潰す」

「えっ⁈ でも提督、あいつには再生能力があるんじゃ?」

「任せておけ。俺に考えがある。それと、赤城の保護も頼んだ」

「分りました‼︎」

「それじゃあ、カウント5から合図する。0になったと同時に砲弾を打ち上げろ‼︎」

「「「「了解‼︎」」」」

「いくぞ‼︎ 5、4、3、2、1、0‼︎」

「撃てェ‼︎」

 

長門がそう叫ぶと同時に榛名達は黒い塊の真上目掛けて砲弾を打ち上げる。安騎尭も同時に跳躍する。

 

「イフリートォ‼︎ 力を貸してくれ‼︎」

「いくぞ‼︎我が主‼︎」

 

安騎尭はイフリートを呼び出し、炎の力を自身に宿す。そのタイミングで榛名達が打ち上げた砲弾が安騎尭の方に飛んでくる。安騎尭はそれを目視すると、自分の両足に炎を纏わせる。そして

 

「緋炎鳳連脚(ひえんほうれんきゃく)‼︎」

 

安騎尭は砲弾を炎を纏った足で黒い塊の方へと蹴り飛ばす。蹴られた砲弾は炎を纏って黒い塊の砲塔部分に直撃する。黒い塊は自らの再生能力で砲塔を治そうとするが、治そうとする箇所が炎で焼かれて再生が出来なかった。そんな中でも安騎尭は砲弾を蹴り飛ばし、黒い塊の砲塔を全て潰した。

 

「後はテメェ本体だ‼︎」

 

安騎尭がそう言って海中へと垂直落下した。海の中は日の光が指して青く綺麗だったが、黒い塊の真下はというと

 

「俺の予想した通りな」

 

海上に浮いている黒い塊よりもでかい塊があった。まるで氷山の一角である。そしてその黒い塊からは

 

「シズメェ……」

「ワガクニニエイコウヲ……」

「ダイニホンテイコクニエイコウヲ……」

 

(なるほど……昔の対戦で無念に散った人達の怨霊か……」

 

「シニタクナイヨォ……」

「サミシィヨォ……」

「クルシイヨォ……」

「……そうだよな」

 

安騎尭はその怨霊達の声にこたえる。

 

「死にたく無いよな? 寂しいよな? 苦しいよな? なら、俺が弔ってやるからな。安らかに逝けよ」

 

安騎尭がそう言うと、黒い塊から幾つもの光が出て行き

 

[ありがとう……]

 

その光は海の中から出て行き、空に上がっていった。

 

〔貴様ァァッ‼︎〕

 

「勝手な大人の都合で未来ある子供の命を存外に扱ってんじゃねぇぞ‼︎ そんな奴は、俺が修正してやる‼︎」

 

安騎尭はそこで言葉をきり、右手人差し指を立てて手の甲を黒い塊に向けて上を指す。

 

「業火に焼かれて消え去れ‼︎ エクスプロージョン‼︎」

 

黒い塊の下に赤く光る魔法陣が展開され、そこから大きな火柱が何本も発生して黒い塊を突き刺していく。黒い塊は突き刺されるたびに苦しそうな叫びを上げる。そして最後に黒い塊の真下からさっきの火柱よりも大きな火柱がたち、黒い塊を焼きながら海上に押し上げる。それと同時に安騎尭も海上に上がり、そこから空高く跳躍した。

 

「閻火(えんか)……」

 

安騎尭は右の拳を強く握り

 

「業滅焼(ごうめつしょう)‼︎」

 

右手を突き出す形で黒い塊目掛け落下する。突き出した右手は、真紅の炎を纏っており、安騎尭が落下する度にその炎が安騎尭自身を包んみ込むような状態だ。それはまるで一筋の赤い流星が流れ落ちるようなものだった。

 

そして安騎尭は真紅の炎を纏った右手で黒い塊を貫き、貫かれた黒い塊は断末魔を上げながら真紅の炎に焼かれて消えた。




技名は魔神剣とエクスプロージョン以外自分で考えたものです。技名に使われている漢字は、ただカッコいいなと思っただけで付けました。

読みにくいと思った方、すみません。

それと、今回も色々と詰め込んでしまいましたが、自分の中では満足はしています。

それでは、また近い内にお会いしましょう。
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