艦隊これくしょん 〜諦めない心〜   作:橆諳髃

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テスト期間中なのに私はこんな事をしてて良いのだろうか……。

ともかくご覧下さい。


35話 R-15 私に甘えて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕張から夕黒、張雪を受け取った翌日の事だ。俺は本部から討伐任務を依頼された。その任務は、赤城達を助けた時に現れた謎の黒い物体の討伐だ。

 

この討伐任務は、先の討伐任務で黒い物体(ここからは司令部がつけた名前で深海怨〈しんかいえん〉と呼ぶ事にする)に有効な攻撃を与えられた鎮守府にのみ与えられる任務だ。任務の格付けとしては特別任務に相当される。

 

まっ、こういうような任務は大体が前線で活躍している鎮守府ぐらいなんだが、今回こちらにもそういう任務が通達された。

 

(今の所深海怨に対する決定打は海軍側には無いという判断か……)

 

実際に討伐任務で艦娘達は深海怨に有力な攻撃はできていないようだった。まぁ、深海怨の攻撃手段の1つである艦載機は深海棲艦と同じようなものではあったし、他にも似通っている部分があるだろう。それに、あの自然治癒力は最初に討伐した物だけかもしれないし、それが無ければ普通に艦娘達にも対抗できる。

 

しかし気になる点はある。確かに深海怨は海から現れた物だろう。ここは深海棲艦と同じと判断して良さそうだ。だが問題は、最初の討伐任務で深海棲艦と一緒に動いていないという事だ。同じ深海から出てくるのであれば、同じ時に同じ場所に出現するだろう。だが奴は単体だった。あそこには奴と艦娘以外いなかった。

 

(……いや、これは推測の域を出ない。たったの1回で決め付ける事でも無いし、この任務で少しでも情報を得ようか)

 

 

 

そして今は討伐任務真っ最中だ。今回深海怨の大きさは最初のと比べて小さくはあったが、複数確認できた。奴らも陣形にはなっていないが、それっぽいような事をしてまとまり移動している。だが移動速度は遅く、艦娘達から攻撃を受けるとすぐに陣形を乱していた。それに今回の深海怨は最初のような自然治癒力は低かった。自然と治りはするものの、一瞬では無い。個別に集中攻撃すれば普通に倒せるようだな。

 

そうやって移動しながら観察していると、目の前から深海怨からの砲弾が飛んで来た。

 

「提督、危ないわ‼︎」

 

後ろから足柄の声が聞こえたと同時に、夕張から貰った日本刀、夕黒を抜刀して砲弾を下から上へと縦に斬る。斬られた砲弾は俺の両側面を通過して爆発した。

 

「もう……肝が冷えたわ……。大丈夫? 提督?」

 

足柄が俺の横まで来て心配してくれた。その顔は本当に不安だというような顔をしており、目も少し潤んでいた。

 

「あぁ、心配かけて悪いな。俺は大丈夫だ。少し考え事をしていてな」

「考え事なら後からでもできるでしょう?」

「あぁ、足柄の言う通りだ。悪かったよ」

「もぅ……提督にもしもの事があったら……」

「そこも心配いらない……つっても、心配するよな……」

「当たり前よ‼︎ その……私だって……提督の事好きなんだから……」

「……そうだったな。本当に悪かった……」

「分かってくれれば……それで良いの。それに榛名も私も、それに皆もそう思ってるだろうし……」

 

足柄が俺の事を好きだと言うことは、任務に行く前に本人から聞いた。今日の秘書艦は足柄という事もあり、彼女も張り切って俺と一緒に事務仕事をしてくれた。そのおかげで午前中にやる事は全てやり終えて、後は午後からの任務と書類を片付ければ仕事は終わりだ。

 

その仕事が終わった午前中に足柄が俺に言いたい事があると言い出した。その内容は、俺に好意を抱いているという事だった。他人から好意を抱かれ、そして告白されるという事は、未だに恥ずかしくはあるが嬉しくもある。勿論足柄の告白も嬉しかった。ただ本人は俺の事情も知っているがために内心は複雑だろう。それでも俺は受け入れる。何人に好きだと告白されても、俺は全部に答える。俺に告白をしてくれた足柄にはありがとうと言って抱きしめた。本人は一瞬驚いていたが、すぐに俺の事を抱き返してくれた。

 

午前中にそういう事があったせいか、足柄は今まで以上に心配した顔に見えた。まぁ、悲しい思いだけはさせたくは無いな。できるだけ。

 

「そうだな。皆にあんまり心配かけるわけにもいかないし、サクッとこの任務を終わらせて帰るぞ!」

「「「はい‼︎」」」

 

少し遅いが、今回の編成を説明しよう。今回は俺を含めて4人が参加している。重巡の足柄、軽空母の鳳翔、そして駆逐艦の暁だ。今回榛名にはお留守番をさせている。長門に至っては……今頃残った駆逐艦の子達と遊んでいるんだろうな……。今回に関しても長門は、俺が暁を指名した時に「代わりに私が行く‼︎ 駆逐艦の子にもしもの事があったらいけないからな‼︎」と言ってきた。

 

確かに仲間思いである事は良い事なのだが……長門の場合は別のベクトルな気がする。まぁ結局暁は今回参加すると言って引かなかったために、長門は渋々下がったみたいな感じだったな。暁曰く、先日の討伐任務では役に立てなかったから役に立ちたい、との事だった。

 

俺からしてみれば役に立ってないとは思わないのだが……本人がそう言うのならそうなんだろう。それに何事も経験は必要になってくるし、暁にとって今回の任務は良い機会になるだろう。

 

「それじゃ、これから二手に分かれる。まずは俺と足柄がこの海域を真っ直ぐに突っ切り、この深海怨達に指示を出しているであろう頭を潰す。足柄は俺のサポートに回って欲しい。頼めるか?」

「えぇ! 勿論良いわよ‼︎ 提督には指一本触れさせないわ‼︎」

 

さっきの表情から一変して頼もしい事を言ってくれる。まぁ、触れるのは多分俺からなんだろうけど……。

 

「後の鳳翔と暁は、後衛からの援護を頼む。鳳翔は艦載機を飛ばして深海怨を殲滅。暁は鳳翔のサポートに回ってくれ」

「分かりました!」

「私に任せといて‼︎」

「よし‼︎ なら早速行動を開始するぞ! 皆無理すんなよ‼︎」

「それはこっちの台詞よ‼︎」

「まぁ……確かにそうですね」

「仕方ないんじゃ無い?」

「……返す言葉が見つからないな……。と、ともかくさっさと終わらせるぞ‼︎」

「「「はい‼︎」」」

 

その返事を皮切りに各自が一斉に動き出した。俺と足柄は敵を正面から突破する。その動きを察知した深海怨はこちらの進行方向に集まりだして進行の妨げをする。そしてこちらに向けて砲弾を一斉に飛ばしてきた。

 

俺1人であるなら普通に砲弾は斬って捨ててそのまま移動するが、後ろの足柄に被弾するのは俺としてはよろしくない。いや、我慢ならないな。だから……。

 

「来い‼︎ セルシウス‼︎」

 

俺がそう言うと、俺の側に青い光が集まって形を成していく。やがて人の形になり、氷が割れるような音が響く。その音が響いたと同時に、俺の目の前にセルシウスが現れた。髪は自分の体くらいに長くて青い。肌の色は髪の色よりも薄いが青く、顔はキリッとしている。そして特徴的なのが耳で、物語に出てくるエルフのように長くとんがった形をしていた。

 

「呼びましたか? ご主人様?」

「あぁ。俺に力を貸して欲しい」

「その頼み癖、治らないのですか?」

「他の精霊達からも散々言われてるよ……」

「はぁ……まぁ昔からそう言うのは変わりませんし、今は緊急のようですからこれ以上は言わないです。では、貴方に力を授けます‼︎」

 

俺はセルシウスと手を合わせる。そうすると彼女はその場から消え、俺は氷の力を宿す。その力を刀にも譲渡しこちらに直撃するような砲弾を斬っていった。斬られた砲弾は、斬られた箇所から凍りついて海に落ちる。これで足柄に被害は及ばないし、彼女も攻撃に集中できるはずだ。

 

「さて、今度はこっちから行くぞ‼︎」

 

安騎尭は脇差である雪張を抜き、そちらにも氷属性の力を付与する。そして技を放つ構えをした。

 

「冷・魔人剣双牙‼︎」

 

夕黒を左側で下から上に振り切り、雪張を右側で下から上に振り切る。そこから氷の力を纏う衝撃波を2つ放つ。その衝撃波は海を割きながら進み、衝撃波が通った所はあまりの冷気の強さに凍りつく。それは衝撃波にかすったり当たったりした深海怨も該当した。一瞬の内に凍りつく。それを見ていた足柄もそうだが、他の鎮守府に所属している艦娘達も唖然としている。

 

「何ボサッとしてる‼︎」

 

安騎尭が周りに叱咤しながら夕黒を横に振るう。すると、凍っていたもの全て儚い音を出しながら砕け散った。

 

「立ってるまんまだと敵の的に成りかねないぞ‼︎ 自分に誇りがあるのなら、それを自分なりに示してみせろ‼︎ そんでもって、早々に決着を着けるぞ‼︎」

「「「は、はいっ‼︎」」」

 

安騎尭の叱咤に、周りの艦娘達は咄嗟に返事をしてしまう。しかし、そこからの動きは叱咤される前とは違った。各々が自分にあった戦い方をしていた。戦艦級は自分の火力をものに言わせて深海怨を一撃で轟沈させる。重巡に至っても、戦艦よりも火力に劣るが、平均的よりも高い火力で深海怨を圧倒。空母は爆雷と雷管による空からの攻撃で複数撃破を狙い、軽巡と駆逐艦は持ち前の身軽さから速さで深海怨を翻弄し、各個撃破する。

 

「さっきと動きが変わったな。やればできるじゃないか。足柄、俺達も行くぞ」

「はい‼︎ 提督‼︎」

 

それから安騎尭達も正面突破を難なくこなし、指揮をしているであろう深海怨を轟沈させた。それを機に残りの深海怨も殲滅していった。

 

その帰り道の事……。

 

「今日は足柄がMVPって所かな」

「えっ? 私⁉︎」

「あぁ。俺からすると、他の鎮守府の子達も良い動きをしていたが、その中でも足柄、君の動きは他の子とは全く違った。他の子は確かに自分の持ち味を生かして深海怨達と対峙していた。でも君は、戦艦より火力が劣るといっても深海怨を一撃で倒していた。それだけじゃなくて、重巡でありながらも速さでも敵を混乱させて各個撃破してた。これはそう簡単に行える事じゃないし、周りを把握していないとできない事だ。だから今日のMVPは足柄だ」

「そ、そう……なのね。でも私、無我夢中っていうかその……偶々のような感じがして……」

「例えそれが偶々のものであっても、その感覚を覚えて繰り返せばその動きは身に着く。だからまぁ、これからも頑張って欲しい」

「う、うん。私、頑張るわ。それでね……提督……」

「ん? どうした?」

「その……提督にお願いしたい事があって……。べ、別に今じゃなくても良いの。できれば鎮守府に帰ってからで……」

「そうか。分かった。鎮守府に帰ったらな」

「うん。ありがとう」

 

提督と足柄がそういう風に話しているのに対し、後ろで見ていた暁は頬を膨らませており、鳳翔はそんな暁を宥めていた。

 

それから安騎尭達は鎮守府に戻り、提督室に戻った。勿論足柄も一緒にだ。そして提督室で2人きりになった時、足柄は安騎尭にお願い事を言った。

 

「提督、お願い事言って良いかしら?」

「あぁ、良いぜ」

「ならまずは、ソファに座りましょう?」

 

足柄にそう言われ、安騎尭は言われた通りにソファに座った。足柄も安騎尭の隣に掛ける。

 

「次は……わ、私の方に寄りかかって……」

「あ、あぁ……」

 

そして安騎尭は足柄の方に寄り掛かる。すると足柄は安騎尭の頭を自らの胸の方に抱き寄せた。安騎尭の顔に、女性特有の甘い匂いと、足柄の大きめで柔らかい胸の感触が襲った。

 

「あ、足柄⁈」

 

この突然の事に安騎尭も驚いていた。それに対して足柄は顔を赤らめながら答えた。

 

「提督の事、前々からこういう風に抱きたくて……。提督の過去を聞いた時から、こうしたいなって……」

「……そうか」

「それでね……変な事言って申し訳ないなって思うんだけど、貴方のお姉さんになりたいなって思って」

「俺の……お姉さんに?」

「気を悪くしたらごめんなさい。でも私、提督の過去を聞いて、それで提督が幼い頃に親を亡くしたって聞いた時から、寂しかったり辛かったよねって思って……。榛名が提督と一緒に暮らしてからは寂しかったりはしなかったんだろうけど、それでもその間は寂しかったんだろうなって……だから……関係ないって分かっていても、私は貴方の姉になりたいの」

「……」

 

安騎尭は足柄のその言葉になんと答えれば良いのかが分からずに黙り込んだ。しかしながら、足柄がそう思ってくれる事が嬉しかった。だから安騎尭は言った。

 

「なら……少し甘えても良いかな?」

「っ‼︎ えぇ‼︎ 私にめいいっぱい甘えて‼︎」

 

この時、安騎尭は少し素直になった。榛名と一緒にいる時はいつも通りに過ごしていた。それは安騎尭にとって普通に素直に振舞っていた。しかし他の艦娘達に対しては、果たして自分が素直になっていたのか時折わからなかった。だから足柄のその言葉を聞き、安騎尭は足柄を強く抱いた。

 

「よしよし……良い子良い子」

 

足柄はそう言いながら安騎尭の頭を優しく撫でた。安騎尭はとても恥ずかしくはあったが、それと同じくらいとても嬉しかった。




書いていて所々主人公がキャラ崩壊してないかと思ったりしました。他のキャラも同様にそう思えてしまいますが……。

ここで技の説明です。
冷・魔人剣双牙(れい・まじんけんそうが)は氷を纏った衝撃波を2つ放つ技です。一応オリジナルです。魔人剣双牙はテイルズの技ですが、属性を纏う魔人剣はあまり聞いたことはありません。(私は)間違えていたら申し訳ないです。

とまぁ今日はここで終わりたいと思います。それではまた……。
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