グダグダなので、納得できないところもあるでしょうが、何卒御了承願いたく存じます。
それではどうぞ。
朝食をとった後、僕は再び浜辺に来ていた。
明美さんからあの子は艦娘だと教えられて、ひょっとしたらと思って戻ってきた。
「確かこの辺りだったはず……あっ、あった‼︎」
僕はあの子が打ち上げられていたところまで行く。
そこにあったのは、大きな鉄の塊。
多分これはあの子のものじゃないだろうか?
僕はそう思って戻ってきた。鉄の塊と言っても、形は崩れてはいない。
昔に父に読んでもらった本にあった大砲みたいな形をしていた。
多分これらは元々一つの物だったんだろう。今はパーツがバラバラな状態だけど、とにかく小屋に運ぼうと思った。
僕はそうやって鉄の塊を持とうとする……んだけど
「お……重い……」
想像以上に重かった。これらを全部運び終えるのに結構な時間と体力が必要ではなかろうかと少年は思ったが、やるのならば中途半端なところで終えるのではなく、最後までやり遂げろ。
両親の教えを思い出し、精一杯運んだ。
その頃……小屋のベットで横になっている少女がいた。
起きる気配を見せる。
「……んん、う〜ん……」
少女はゆっくりと目を開けた。覚醒仕切っておらず、視界がぼやける。
まず最初に視界に飛び込んできたのは、木でできた天井だった。
窓からは陽の光が差し込んでおり、室内もそれなりに明るかった。
「こ……こは……私は一体……」
つぶやきながら辺りを見回す。
椅子が2つ、テーブル1つ、大きな本棚が1つ、小さな調理台に、外に通じる扉以外のドアが2つあった。
すると、外に通じる扉が開く。
突然の事に身構える少女。
この少女は、一見したら普通の人にしか見えないが、普通の人よりも力は強い。
少女は、何が来ても対処できるように身構えていた……が
「よいしょっ、よいしょっと……ふぅ〜、やっと全部運び込めた‼︎ あっ……」
そこから現れたのは1人の少年だった。予想外のこともあって、少女はキョトンとした。
少年の方はというと、少女が起きていることに気付いて、同じような反応をしていた。そして、少年の顔は急に明るくなる。
「お、起きたんだね‼︎ 良かった〜‼︎ ずっとあのままだったらどうしようかと思ったよ‼︎」
明るい顔のまま少女に近づく少年。これにも少女はびっくりしていた。
「あっ……ご、ごめんね。驚かせちゃったよね……」
それに気づいた少年はすぐに謝って顔を俯かせる。
この反応を見た少女の方も、何か言葉をかけなければと思ってあたふたしながら少年に向かっていう。
「あっ、えっと、その……だ、大丈夫ですから。と、とりあえず顔をあげてください」
少女の言葉で顔を上げる。さっきの明るい顔がまるで嘘のように、今では少し泣きそうな顔をしていた。
(どっ、どうしよう……初対面なのにいきなり子供を泣かせるとなったら、私立ち直りそうにないよぉ〜……)
心の中でそう思って、どうにか現状を打破しようとする少女だが、かける言葉が見つからない。
それであたふたしていると、右腕に痛みを覚える。
「だ、大丈夫⁉︎」
その様子を察知した少年は、少女の右腕を優しく持つ。
「ちょっとごめんね」
そう言って右腕に巻いた包帯を解く。
朝薬を塗ったばかりではあるが、ここは薬草で有名な町。簡単な切り傷なんかは、調合した塗り薬で2時間あれば元に戻る。
少女に薬を塗ってその時間はとっくに過ぎていて、普通ならば治っているはずであった。
だが少年は包帯をとって驚いた。未だに傷が完治していない。
自分が調合のミスをしてしまったのだろうかと思ったが
「私の傷は、塗り薬で治るような体ではありません……」
「えっ……」
少女は申し訳なさそうに言った。多分自分が負った傷を、この少年が治療してくれたのだろう。
だが、残念ながら艦娘の体はそう簡単には傷は癒えない。紛れも無い事実だった。
一生懸命に治療をしてくれた少年には申し訳ない言葉だったと思った。
「どうすれば癒えるのかな……」
「えっ……」
「どうしたらその傷を癒せるのかなって……僕は、まだ小さいし、大きな事はできない。少しの、自分のできる範囲でしかできることは無いってわかってるけど……でも、それを言い訳にして中途半端に終わりたくないんだ。だから、どうやって治せるのか教えてくれない……かな?」
少年は瞳を真っ直ぐにして少女に言った。そこには、純粋な思いしか宿っていなかった。下心云々ではなく、真っ直ぐな思いだった。
少女はこれに答える。
「治すためには……特殊な設備が必要なんです。入渠と言って、特殊な水に浸からなければ治らないんです……」
少女は、これにも申し訳なさそうに言った。確かに言うだけなら簡単ではあるが、ここにはその設備がない。さらには、入渠に使われる水も無い。
少年は、少女の右腕に包帯を巻き直す。
「……分かった。なら、僕に任せておいてよ」
「えっ……で、でもここにはそんな設備が……」
「無かったなら、代わりの物を用意すれば良いだけだよ。効き目は遅くても、時間をかければ癒える。だから……ね」
少年は笑顔で言ってきた。
どうしてこの少年は、そこまで笑顔で居られるのだろうか?
そう思ってならなかった。
「ところで……まだ名前を聞いていなかったよね? 良かったら聞かせて欲しいんだけど……」
「そ、そうですね‼︎ なら私からさせていただきますね。私は、金剛型戦艦、3番艦の榛名です。助けていただいてありがとうございました」
「いや、お礼なんて要らないよ。僕にとってのやるべき事をしたまでだからね。次は僕の番だね。僕は脩鴑、脩鴑安騎尭《しゅうど あきのり》だよ。えぇっと〜呼び方は……」
「榛名で構いませんよ」
「じゃあ僕も安騎尭で良いよ。よろしくね、榛名さん」
「よろしくお願いします。安騎尭さん」
握手を交わす。
「ところで、お腹減ってないかな?」
「いえ、私は……」キュルルル
「減っているようだね」
「あっ……す、すみません……」
榛名は顔を真っ赤にさせて俯く。
安騎尭は少し苦笑いしながら明美さんが作った朝食を持つ。
「大分時間が経ってるから冷めちゃってるけど……もし良かったら食べてよ」
「で、でもそれって……」
「大丈夫だよ。僕は済ませちゃったし、だから食べさせてあげるよ」
「それは申し訳ないです‼︎ 自分で食べ「怪我人は大人しくすること‼︎ 良いね?」は、はい……ではその、お願いします……」
「うん‼︎ じゃぁまず1口目から、あ〜ん」
「あ……あ〜ん……お、美味しいです‼︎」
「うん、良かった‼︎ って言っても、自分で作ったわけじゃないんだけど……」
「どうかしましたか?」
「あっ、いや、なんでもないよ‼︎ ほら、どんどん食べてね。はい、あ〜ん」
「あ〜ん……」
僕はその調子で榛名さんに朝食を食べさせた。その後は、また眠くなったのか寝てしまったんだけど、僕は本棚から本を取り出していた。
「確かここら辺に載っていたはず……あっ、あった‼︎」
僕はすぐさま籠を背負って野山に向かった。昼食の方は既に明美さんが作ってくれていたのでそれを食べた。
(少しの間だけ留守にしちゃうけど……戻ってくるからね)
僕は野山の奥を目指して進んだ。そこは、この町の人でもほぼ立ち寄らない場所だった。
何故ならそこは、凶暴な動物が沢山いるからだ。大人でも特別な用がない限り立ち寄らない。昼間であっても、陽が差し込みが弱く、薄暗かった。
少年が小屋から出て1時間……山の奥へと続く道にいた。
そこも十分に薄暗く、草が高く生い茂る。その草むらからガサゴソとなる度に、少年はビクつく。
大人でさえもここはあまり通らないのだ。10歳にも満たない少年がビクつくのも無理はない。
何時ももそれぐらいのことで来た道を戻るが、少年は足を止めない。前に進む。
(怖い……でも……榛名さんが治るにはこれしかない‼︎)
内心でそう思いながら奥へ奥へと進む。
どれくらいの時間が過ぎたのだろうか?それほどまでに歩いた。
少年は息を切らしていたが、その目に諦めは無かった。前へ前へと進む。
そして、目的地に辿り着いた。
「あ、あった‼︎ これだ‼︎」
少年は走ってそこに向かう。
そこには、若緑色に輝く草花が咲いていた。
それは、この町でもほぼ見かけることが無い薬草だった。
効能は、どんな傷にも効く。用途も様々で、水に効能を抽出することもできる。
安騎尭は籠に一杯になるまで摘んだ。これで榛名さんの傷が治る。後は帰るだけだと、そう思っていた……
「グルルッ……」
少年は顔を真っ青にする。振り向くと、そこには大きな熊がいた。
熊は前足を振りかぶって少年を殴る。
呆然としていた少年は、熊に殴られて地を転げる。その時に背負っていた籠も壊れて、摘んだ薬草が散乱する。
少年の頭を恐怖だけが支配する。目の焦点が段々と合わなくなってくる。
(ここで……終わりなのかな……?折角……榛名さんを治せると思ったのに……こんなところで終わるの……?)
体を必死に動かそうとする。だが、思うように力が入らない。
恐怖が抜けない……体に力が入らない……
(ハハッ……やっぱり僕には……無理だったのかな……誰かの助けになる事なんて……必死に……必死になってやってきたのに……)
少年の目から涙が溢れてくる。目の前に恐怖と絶望が広がっていく感覚がした。
それに対抗できない自分に、悔しさが募っていく。
(ごめんよ……榛名さん……傷を治せそうにないよ……)
そう思って目を閉じた時、ある光景が浮かんだ。
まだ両親が生きていた時、途中で何かを投げ出そうとしたのを、父が叱責する場面だった。
『安騎尭、自分がやろうとしたことには責任を持て。お前にはまだ難しい話なのは分かる。だが、途中で投げ出せば、お前はきっと後悔する。だから安騎尭、やろうとしたことを、最後までやり通せ。どんな結果になろうとも、それはお前が頑張った証だ。だから頑張れ‼︎ 安騎尭‼︎』
(そう……だったよね、父さん……ありがとう……父さん‼︎)
安騎尭は、力を込める。確かに頭の中には恐怖が渦巻いている。だが、それでも立ち上がる。
「ぼ、僕は……」
膝が震える。目の前に熊が迫っている。
「僕は……僕は……」
熊が睨む。だが少年はそれをじかに受け止めて睨み返す。
「僕は……諦めない‼︎ うぉーーー‼︎」
安騎尭は熊と正面からぶつかった。
時刻は夕方。夕焼けの日差しが、小屋の窓から伸びている。
「うっ、う〜ん……ふぁ〜……」
榛名は眠りから覚める。未だ眠そうな目を手でこする。
「おはようございます、安騎尭さん……って、安騎尭……さん?」
小屋の中には安騎尭の姿が無い。
榛名の頭に悪い予感が横切る。
(まさか……何かに巻き込まれたんじゃ……安騎尭さんを探さなくちゃ‼︎)
ベットから出るが、足にも激痛が走る。そこにも包帯が巻かれているものの、傷は癒えていない。
(艦娘なのに……これぐらいの傷で動けないなんて……)
艦娘であっても、傷が癒えないのであればどうにもならない。例え小破の傷であっても、当たりどころが悪ければ機能に支障をきたす。
(何もできないなんて……嫌‼︎ 早く安騎尭さんを……)
そう思っていた時、扉が開いた。
そこに顔を向けると、血だらけの安騎尭が立っていた。
その光景に榛名は言葉を失う。
安騎尭は、右手を弱々しく上げながら手に持っているものを見せる。
「えっ……」
榛名はそれが何なのかわからなかった。安騎尭は口を動かす。
「これ……万能薬……これで榛名さんの傷も……治るよ……」
笑顔でそう言った。榛名の目から、自然と涙が出てきた。
安騎尭に近づいて、そして泣きながら抱きしめた。
「は、榛名さん……?」
「どこに行ってたんですか‼︎ 私は……心配したんですよ……安騎尭さんが何かに巻き込まれたんじゃないかって……もし戻ってこなかったら……私……‼︎」
榛名は子供のように泣きじゃくる。安騎尭は突然の事に呆然としたが、自分の事を心配してくれていた榛名に自分からも抱きついた。
「ごめんね……心配させたよね……1人にさせてごめんね……」
榛名の背中をさする。
子供をあやすように、不安が取れるように……
遅くなってしまいましたが、今回はいかがだったでしょうか。
現実にはあり得ないことですが、私にとっては一応は満足した形でこの回は終わったかなと思っています。
納得はいかないかもしれません。しかしながら、それでも読んでくれた方には感謝します。
それでは……