上手くは書けないですが、どうにかします。
それではどうぞ。
野山の奥から帰ってきた後は、自分で傷薬を塗って包帯を巻いた。
包帯や届かない患部は榛名さんにして貰ったけど……
(今日初めて会った人に自分の裸を他人に……しかも女性に見られるのは恥ずかしい……)
「よし‼︎ これで安騎尭さんが怪我をしたところは全部しましたね‼︎ では、服を着せますね‼︎」
「えっ⁈ それぐらい自分でできるよ‼︎」
「ダメですよ‼︎ 今は私よりも貴方の方が重症なんですから‼︎ 怪我人は大人しくして下さい。」
僕は榛名さんに言われて口を閉ざすしかなかった……
昼間に僕が言ったことをそのまま言われてしまって、しかもそれが本当の事だから何も言えない……
「フフフ……ちゃんと大人しくしてくれてますね。少し痛いかもしれませんけど、バンザイして下さいね」
言われた通りに万歳していると、上から服を着せられる。
「よくできましたね。えらいえらい」
そう言って頭をナデナデされる。
なんだか、とても恥ずかしい。顔も段々と熱くなってきた。
「安騎尭さん、顔が赤くなってますけど、どうしたんですか?」
「い、いや、なんでもないよ……」
「まさか熱があるんですか⁉︎ 少しじっとしてて下さい‼︎」
榛名さんは僕の前髪を手でかきあげると、自分のおでこを当ててきた。
(っ〜〜〜‼︎)
目の前に榛名さんの顔がある。
目を閉じた状態でじっとしている。こうして見ると、榛名さんの顔はとても整っていて、いつの間にか見惚れてしまっていた。
「熱は……特にないようですね。あら? 固まってどうしたんですか?」
その一言でやっと我に帰った僕は、何でもないと言って慌てて目を逸らした。
榛名さんは僕の反応を見て頭を傾げていた。
そこで僕は思い出す。傷の手当をしてくれたとはいえ、榛名さんも傷を負っている。確か……入渠だったかな? それに使われる水を作らなきゃいけない。
(と言っても、どうやって作るんだろう……? 確かに僕が撮ってきた万能薬は水に抽出できるし、傷も治るだろうけど……どれくらいの効果があるのか見込めない……)
でも、やる前から諦めるのは嫌だったので、僕はシャワールームに行って、浴槽にお湯をはる。
はるまでの間は、万能薬をすり潰して出来るだけ粉末になるようにする。
そこから時間が経って、浴槽に丁度良くお湯がはられているところに、粉末状にした万能薬を入れる。入れた後は掻き混ぜて、均等になるようにした。
いつもは、透明なのに、今日は若草色になっていた。手を入れると、凄く気持ちがいいように感じた。
「榛名さん、一応できたんだけど……どうかな? 入ってみてくれないかな?」
「できたんですか‼︎ 凄いです‼︎ 安騎尭さんて何でもできてしまうんですね‼︎」
「い、いや、なんでもはできないよ……ただ、僕にできることをしただけだから」
僕がそう言うと、玄関が開いた。明美さんが夕食を作りに来てくれて、ついでに榛名さんの着替えも用意してきてくれた。
最初に僕を見たときは、驚いていて、理由を話したらこっぴどく叱られてしまった。
でも、自分でしたことだし、何よりも後悔なんてものはない。
誰かの為に負った傷なら、それは誇っても良いことで、それで逆に心配はさせてしまうけど、でも悔いなんてものはなかった。
「安騎尭さん、その……1つお願いしても良いですか?」
「な、何かな?」
榛名さんが少し上目遣いなような目をして僕を見ていた。なんだろうと思って首を傾げていると……
「安騎尭さんも一緒に入りませんか? なんと言いますか、私の為に負って下さった傷ですし……それに、安騎尭さんの傷も早く癒えるかもしれませんから……ですから……ダメ……ですか?」
この断りにくい雰囲気は一体なんなんだろう……
「あら‼︎ それは丁度良いんじゃないかしら‼︎ 一緒に入っておいで‼︎ その間に夕食を作っておくから」
うぅ……明美さんにまで許可を出されてしまった……
「ねっ‼︎ 一緒に入りましょ‼︎」
結局僕はなすがままにされてしまった……
今はシャワールームにいる……
本当なら1人で入っているんだけど……
「はぁ〜……気持ちが良いです……この調子なら直ぐにでも治りますね」
俺が入っている隣で気持ちよさそうに言っている榛名さん……
浴槽自体そんなに広くないからどうしても肌が密着してしまう……
確かに気持ち良いのは事実だが……(湯船に浸かっていること)だけどこれじゃ、落ち着いて入れない気が……
「ありがとうございます」
「えっ?」
「榛名のために、危ないところまで行って……こんなことまでしてもらって……」
顔をこちらに向けてそう言ってくる。その顔がとても綺麗で、僕は一瞬見ただけで顔を逸らした。
親と一緒にお風呂に入った記憶は確かにある。
でもあれは親子関係であって、恥ずかしいものではなかった。僕も自然と入っていたし、違和感も覚えなかった。
けど今の状況は違う……
今日知り合ったばかりなのにも関わらず、一緒に入っている。
しかも、外見からしたら5歳以上は絶対に離れているし、何よりも他人と入ること自体が初めての経験だということは間違いない。
(それに付け加えてこんなにも綺麗な顔立ちで見られたら……)
また自然と顔が赤くなる。
「安騎尭さん……どうして顔を背けるんですか?」
「えっ……?」
「ちゃんと榛名の顔を見ていないような気がして……もしかして、榛名のことがお嫌いですか……?」
悲しげな表情で言ってきた。少し気にかかってたんだろうけど、僕は決してそんな理由で顔を背けているわけじゃない……
「榛名さんの事、嫌いじゃないんだよ。ただ……」
「ただ?」
「その……笑わないで聞いて欲しいんだけど……榛名さんの顔があまりにも綺麗で、可愛くて……だから、見られたらあまりにも恥ずかしくなってくるというか……」
歯切れの悪い言葉でしか返すことができずに、頭の中は混乱していた。
榛名さんはというと、最初はキョトンとしていたけど、頬を赤く染めて嬉しそうにしていた。
「そう……だったんですね。とても心配しました……もし、安騎尭さんが榛名のことを嫌いだったらどうしようって……不安でした」
「そ、そんなことないよ‼︎ 第一に、榛名さんが僕に何か悪いことをしたわけじゃないし、そっ、それに……」
「それに……?」
(だ、ダメだ……言えない‼︎ 口が上手く動かない‼︎)
「えっと……その……」
言い淀んでいると、途端に頭を優しく抱き寄せられた。
顔に榛名さんの肌が触れる。目の前には、榛名さんの胸があって、今自分がどんな状態であるのかが分からなかった。
そしてゆっくりと髪を撫でられる感触がする。
「無理に言おうとしなくても良いんです。落ち着いてからでも大丈夫ですし、時間はありますからね」
そう言われて、優しく髪を撫で続けられる。こうしていると、なんだか落ち着いた気分になってきた。緊張もいくらか解れた。
密着しているとかの意味では同じはずなのに……何でだろう? 心が安らかな気分になって、今だったら口が上手く動く気がした。
「僕は……ね」
「はい」
「僕は、榛名さんの事……嫌いじゃなくて、寧ろ好きなんだと思う。確かに今日初めて会った。でも、榛名さんと接して、貴女が優しいってことが分かって、今ではこうされていて少し恥ずかしいけど……嫌なんかじゃない。嬉しくて、それで落ち着けていて、もう少しだけこうされてたいなって……」
正直にこんな事を言うのは恥ずかしかったけど、でも言えて良かったとも思う。
そう思っていたら、いつの間にか榛名さんに強く抱きしめられていた。
一瞬で何が何だか分からなかった。
「……榛名は……そんなこと言われて嬉しいです。私も、安騎尭さんのことが好きです。助けてもらっただけでなくて、優しくしてもらって……言葉では言い表せないほどの思いがして、つい抱きついてしまいました……なんだかこうしていると、弟ができたような感じがして、とても嬉しく感じます」
「弟……?」
「はい、榛名は四人姉妹のうちの三女で、上に2人の姉と下に妹が1人いるんです。でも、私達艦娘には、姉妹はいても兄とか弟はいません。だから貴方の事を弟だって感じるのかもしれませんが」
そうだったんだ。榛名さんには3人姉妹がいて、話しぶりからすると楽しく過ごせていたらしい。
なら……あの嵐の日に、厳密に言えば昨日になるかもしれないけど、その時に離れてしまったのかな? もしそうだったんなら……どうにかその姉妹のところに帰してあげたい。
僕にできる範囲で、力になりたいと思った。
でも今のままじゃ何もできない……
だから……自分自身が強くならないと……少しでも、強く……
でも今は……
「榛名さん……もう少しだけ、こう甘えていても良いかな?」
「っ‼︎ はい‼︎ 安騎尭さんがいいと言うまでしてあげますよ‼︎」
今は少しでもこのままでいたいと思った。
なんとか仕上がりましたが……やっぱり難しかったです……
それではまた……