世界の枠から外れた者   作:裂やん

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今回で過去京都編終了かな?

大戦期に入らないとゼクトは影の薄い子!!
そんな16話、どうそ。


第16話

Side.紫稀

 

 私達が京都に来てから既に一月が経った。

 

 私は神鳴流の鍛錬で運動不足になることはなかったが、キティとゼクトはのんびり観光しかしていなかった。

 

 そういえばゼクトだけは観光してるとしか知らないんだよな・・・。一体何してるんだろう?ゼクト曰く「観光じゃよ、観光」としか聞いてないし。謎だ。

 ゼクトって見た目子供にしか見えないから色々と危険な気がする。主に相手が。幻術でも使って何かしてたりするのかな?いや、もう考えるのやめとこう。意味がない。

 

 キティはって?大抵は一緒にいるけど、それが何か?

 

 

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 京都に腰を落ち着かせた頃は京都に攻め入ろうとする妖の類の退治をキティとゼクトと手伝ってみたのだが、5日もしないうちに数が激減していた。なんでも強力な鬼が京を護ってるとか妖たちの中で話題になったらしい。『吸血鬼』だから鬼であることは間違いないんだけどな。

 そんな感じで妖も中位以下は殆ど来なくなり、来るのはもっぱら上位相応の実力を持った輩ばかり。まぁー攻めて来る数が減ったために妖1体に対応する人数が増えたので以前よりも安全になっているとか。それでも一騎当千な妖もいるわけで、その時には私達が対応していたりしていた。

 

 まぁー何だかんだ言っているが、運動不足にならないためにキティとゼクトには魔法球内で発散してもらっているわけだ。1日に1,2時間程度。

 

 そして魔法球内でキティとはイチャイチャしていたんだ。

 あれだね。原作でナギたちがイチャイチャしてたのを読んで「リア充爆発しろっ!!」って言ってて悪かったよ。今の私とキティもそんな感じなんだ。

 

 すまん、現実逃避もいい加減にしておこう。

 

 2週間くらい前に素春殿と素香に魔法球の存在がばれた。

 

 自分にも使わせて欲しいと素香が言い出したのでしょうがなく使わせることに。勿論魔法球の仕組みは教えてある。それである魔法具を創造しなくてはいけなくなったわけだよ。どんな効果のだって?簡単だろ、そんなもの。

 

 魔法球内でどんなに過ごしても外に出たら外での時間分しか老いない腕輪。

 魔法球内で4,5日過ごしたとしても出れば4,5時間分しか肉体年齢に影響を与えないってことだよ。完全に限定不老効果でもよかったけど流石にやりすぎはよくないと思ったからこんな感じに。

 外でも使用可能な不老の腕輪なんかも創る気もなかった。女性の永遠の夢だろうとそれは摂理に反すると思うんだよね、不老不死な私が言うのもなんだけど。

 

 魔法球自体に不老の効果与えてもよかったんだけど、それだと意味がないと思ってからやめておいた。あっ、倍速は24倍速。1時間が1日になるあれ。

 

 まあー私は神鳴流を習得するために魔法球は使う気はなかったわけなんだけど、なし崩し的にばれた日から使うことにした。だから今では全ての奥義を使える。

 

 そういえば初対面の翌日に素香には弟子にしてくれって頼まれたわけだけど、それは断った。断ったけれど、実戦形式の手合わせ程度ならするといって妥協はしてもらった。それに一つだけ条件を出されたわけなんだけど、大したことではなかった。

 呼び捨てにしてほしいとだけ。恐らくけじめというかそんな感じなんだろう。弟子にはして貰えなかったけど手合わせはしてもらえるのだから、と言ったところかな?

 

 

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 とりあえず後半の2週間は魔法球で毎日4,5時間過ごしていた。素春殿もたまにストレス発散とか手合わせをしにやってくるので入るときだけ腕輪を貸しておいた。

 そんな感じに過ごして私は既に神鳴流史上最強の座についてしまったわけだ。2位は素香。3位に素春殿だ。

 

 魔法球内でのも含めて約70日ほど鍛錬を続けていたからか素香の才能が完全に開花したわけだ。初日に私の2割ほどでの力を耐えるくらいしか出来なかったのをばねにしたのか、慢心を捨て一心不乱に修行していたからだろう。

 素春殿のほうも初見のときよりも力をつけている。今なら二人とも5,6割程度を解放した状態の私と対面しても立っていることは出来るだろう。手合わせも10分程度なら出来るようだし、上位の妖にもさほど苦労せずに戦えるだろう。

 

 

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 そういえば私達が神鳴流の鍛錬をしているとき、キティは町に出ていて武術家のおっさんに会ったらしい。何となく面白そうだったから、そのおっさんの技術を盗んでやるとか言っていた。

 大体1週間くらい前に完全に物にしたようで後は錬度を高めるだけらしい。魔法球内で反復しているのを見て分かったのだが、どうやら合気柔術だったようだ。正史ならあと200年は先だった気がするが、私というイレギュラーがいるのだから正史とはかわるわな。どうでもいいけど。

 

 

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 まぁー一月。当初の予定より若干早かったが神鳴流を免許皆伝してしまったのでしょうがない。京を離れることにした。

 

 だが、問題が出来た。

 

 素香と試合っていないのだ。本来なら試合っていたはずなのだから問題でもなんでもないわけなんだが、素春殿に言われて京を離れる前日に試合うことになった。

 

 まぁー素香の成長具合を確かめたいから断る理由もなかったのだけどね。

 

 

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 そうして試合の日。私は【木刀・無銘】を持ってキティとゼクトを連れて試合場に向かう。

 

Side.end

 

 

 

Side.other

 

 紫稀達が試合場ついた頃には、大勢の神鳴流剣士や陰陽師といったそっち方面の関係者でごった返していた。

 

 見物人達は紫稀の姿を確認してすぐに道を空けていく。その先には既に素春と素香が待っていた。

 

「素春殿、素香。待たせたな」

 

「いや、私達も少し前に来たゆえそれほど待ってはおらぬ」

 

「そういうことなので、大丈夫です」

 

「そうか。なら見物人も待っているようだし始めよう。エヴァ、ゼクトは下がっておけ」

 

「わかっておる」

 

「わかってる」

 

 会話を少しで切り上げ試合のために精神を落ち着けせる紫稀と素香。素春は審判を、エヴァとゼクトは素春の後ろに立つ。

 

「ふむ、素香。私は4割ほど力を解放する。油断や手加減と言うわけではない。私の場合抑えても抑えなくても技量は全く変わらんから、解放による威圧感で動けなくなってもらっても困るからな」

 

「分かってます。紫稀殿は覚悟を持ったものに手加減をすることやされることが嫌いであることはこの一月の付き合いで十分に知ってますから」

 

 この一月の手合わせによって二人はそれなりにお互いを熟知していた。

 

「ならいい。力を解放することによる発する威圧感は全て抑えるがな。見物人たちに気絶されても困る」

 

「それでは始めましょう」

 

「それでは神鳴流歴代最強・神儀紫稀と神鳴流歴代2位・青山素香の試合を執り行う」

 

 素香の言葉を合図に素春が試合の開始を宣言する。

 

「それでは、はじめっ!!」

 

 素春の宣言と共に相手に迫る二人。その剣速は常人では視界に捉えることすら不可能な程だった。

 それを視認することが出来たのは一握り。エヴァとゼクトは当然として、神鳴流当代3位の素春を始め神鳴流当代7位までの実力者5名と高位の陰陽師数名のみ。エヴァとゼクト、素春以外は辛うじて捉えられる程度であるが。

 それ程までの速度で斬岩剣や斬鉄閃など神鳴流奥義で肉薄する二人は拮抗していた。

 

 2700年もの歳月を最大限に活用し多種多様な分野を弛まぬ努力で続けてきた紫稀。

 

 そして、その紫稀が来るまで神鳴流歴代最強の剣士になれる程の才能を秘め、この一月でその才能を開花させた素香。

 

 二人の剣技は全くの互角であった。

 

 紫稀が右上から袈裟切りをすると、素香は最低限の動きでかわし即座に瞬動で紫稀の後ろを取り一閃。それを紫稀は振り返りざまに【木刀・無銘】で受け止め弾き飛ばす。そしてそのまま追撃する。

 

「斬空閃!」

 

 斬空閃を紙一重でかわした素香は瞬動で紫稀の目前まで迫り、手に持った木刀に気を変質させた雷を纏わせて振り下ろす。それに紫稀は気を変質させた炎を纏わせて下から振り上げる。

 

「雷鳴剣!!」

 

「炎斬剣!!」

 

 一瞬競り合うも、上からの振り下ろしの勢いで素香が打ち勝つが、紫稀は即座に瞬動で下がる。

 

 ここまで全くの互角であり、お互いにダメージと言うダメージはない。だが、素香は体力の限界が近づいていた。

 

 それもそのはずで、いくら天才と言えどその身は人である。

 人であってその身も人の素香には、人であって人外である紫稀の速度についていくのはかなり厳しいものがある。

 それを無理をして実行していたのだから精神的に疲弊してもおかしくない。そして次の一手で最後となる。

 

「素香、今お前が出せる全力でこい!」

 

「この刃、あなたの身に届けて見せます!」

 

「いくぞ!!」

 

「はいっ!!」

 

「神鳴流神儀型炎系最終奥義———」

 

「神鳴流決戦奥義———」

 

 お互いの全力を持って最後の一撃を繰り出す。

 

「極・焔冥剣!!」

 

「真・雷光剣!!」

 

 両者の剣がぶつかる。それによって出た余波が見物人たちを襲い、周辺に土煙が立ち上る。

 

 そして暫くして土煙がだいぶ薄まると人影が2つ。1つはまっすぐに立ち、1つは木刀で支えながら立っていた。

 

 それから土煙が完全に晴れたとき立っていたのは紫稀であった。素香は既にボロボロで仰向けで倒れていた。

 

「素香。お前の刃はこの身に届いたぞ」

 

 言葉を発した紫稀の右腕には一筋の小さな刀傷が出来ていた。それを確認した素香は、微笑んでいた。

 

「一矢、報いたでー」

 

 そう言って素香は気を失うように眠ったのだった。

 

 

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 試合は紫稀の勝利で終わった。

 この試合は神鳴流が存続する限り後世に語られていくのであった。

 

Side.end




若干の戦闘なり。

次回からゼクトとは別行動。
そして大戦期前の伏線張りかな?

紅い翼《アラルブラ》とどこで合流させようか・・・。
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