それでは18話、どうぞ。
Side.紫稀
私はキティを連れて麻帆良に来ている。麻帆良祭の期間だと知っていたからだ。
と言うより私達はいつでもここに来ていいと思うんだがね、土地の持ち主として。
ただ土地を貸しているだけなのに、借りている側の正義の魔法使い(笑)たちが我が物顔で歩いているのが気に入らないな。いっちょ、シメるかなー。いや、やめとこう。やることあるし。
今年は1978年。原作1巻開始の24年前だ。
原作で描かれていた麻帆良祭の武道会で超は25年前と言っていたのだから間違いなく今回の武道会にナギは出場するだろう。絶対にすると思うんだ、あの自称最強なら。
だから、世界には自分より強者がいることを教えてやろうと思うんだ、無手だけで。
武道会の時は手加減に手加減を重ねてわざと引き分けに持っていこうと思うんだ、うん。
そして武道会が終わったら人目がないところでボコボコにしてやろうと思うんだ、成長させるために。
「てことで、いってきまーす」
「おい!待て!!てことでってどういう意味だ!!どこに行く気だ!?」
おいおいキティ。今から手加減に手加減を重ねて一般人より少し上のレベルの身体能力で武道会に無手で参加してくるんだよ、調子に乗った魔法使いのガキにお灸を吸えるために。
「いやいや!どういう理屈だよ!?それと人前なのにその名で呼ぶな!!」
「いいじゃないかよ、キティ。可愛いんだから」
あっ、真っ赤になった。いつも沢山言ってるのに人前だと恥ずかしいのかな?まぁーいいや。お姫様抱っこして連れて行こうっと。
『キャー』『お姫様抱っこなんて初めて生でみたー』『うらやましー』
なんだか周りが騒がしいな。どうでもいいか。
さてと武道会に参加しますかねーっと。キティに応援してもらおうっと。いや、決勝を引き分けにする気なんだから応援意味ないか。
Side.end
Side.ナギ
よっす。俺はナギ・スプリングフィールド、10歳だ。
本来10歳なら魔法学校で勉強するんだが、その勉強の仕方が俺に合わなくて中退してきたんだ。そして俺は今、麻帆良ってところに来ている。なんでもじいさんがここの学園関係者と友達らしいんだ。
それでやってきたら麻帆良祭って言う学校でやるお祭りの時期だったらしい。じいさんの友達の名前は聞いてメモしてあるから後回しでもいいと思ってお祭りを楽しんでるところだ。
そんで、小耳に挟んだんだが武道会って言うのがあるらしいんだ。詳しく聞いてみたところ何でも俺たち、魔法使いのための大会らしい。それならつえーやつがいるかと思って参加することにしたんだが。
はっきり言って拍子抜けだった。呪文は禁止って話だったから素手だけで戦ったんだ。だけど、予選から準決勝の相手は瞬動で近づいて一発殴っただけで終わっちまった。張り合いがなさ過ぎるんだ。
この様子じゃ決勝の相手も弱いんだろうなー。つまんねーぜ。こうなったら速攻で終わらせて武者修行の旅に戻るかな。
あーあ、つえーやつと戦いたいぜ・・・。
Side.end
Side.other
『今大会も残すところあと一試合、決勝戦だけとなりました!決勝まで駒を進めたのは二人の少年!どちらが今大会最強の名を手に入れるのか!ではそろそろ入場してもらいましょう。まずはここまで一撃で対戦相手を圧倒してきた10歳の少年、ナギ・スプリングフィールド選手—————ッ!!』
アナウンサーの言葉と共に入場するナギに観客は興奮して叫ぶ。
『そしてこちらも少年!名前以外は不明ですが決勝まで上がってこられる実力は本物!神儀紫稀選手—————ッ!!』
そして紫稀の登場により更に観客の盛り上がりは最高潮に達する。
『それでは決勝戦————』
「おいガキ」
「あ?んだよ?」
紫稀の言葉に構えなら返事をするナギ。
「あんまり油断してると———」
『Fight!!』
「終わるぞ?」
「なっ!?」
試合開始と共に紫稀は瞬動で一気にナギの懐に入り右拳で殴った。
ナギは殴られた勢いのまま舞台端まで飛ばされるが、耐え切る。
「お前っ!まさか今までの試合全て手加減してたのか!?」
「あー今までのやつらでは私に本気を出させることは不可能だからな。手加減に手加減を重ねて自分と同格だと思わせてたんだよ」
紫稀に瞬動で迫りながらナギは疑問を口に出す。
ナギの近いとも遠いとも分からない疑問に、律儀に答える紫稀。
その言葉を理解したのか強敵を前にしたかのような笑みをこぼすナギ。
「だったら本気で来いよ!つえーやつと戦いたかったんだ!」
「やれやれ、本気ってどういう本気だよ。無手での本気か?
何だかんだ話しながらも瞬動を駆使しながらお互い攻撃しては防がれて、防いでは攻撃してを繰り返す。それは試合が終了する15分間続いたのだった。
観客やアナウンサーを置いてけぼりにした高速戦闘による試合は引き分けで終わり、今大会の優勝は二人という形で幕を閉じたのだった。
Side.end
Side.紫稀
思ったよりナギが弱かった。いや、私が圧倒的過ぎるのか。
私はナギの実力に結構期待していたので裏切られたような気分になった。
だから表彰式が終わってすぐ、キティと合流して再び麻帆良祭を楽しむことにした。
したのだが。思わぬ邪魔が入った。
「なーなー。今度は使える手札を使って全力で勝負しよーぜ?」
そう、ナギだ。ナギに邪魔されている。
どうやらナギは私が魔法を使えると気付いたようで、しつこく勝負、勝負と言ってくる。
「勝負しよーぜー?いいだろー?なー?」
「えーい、貴様さっきからしつこいしうるさいぞ!?邪魔だ!!どこかいけ!?」
キティが遂にキレました。怖いです。でも可愛いな。写真写真っと。
「シキも何をしている!?お前も何か言ってやれ!?」
「えーとキティの写真を撮っている。それと言おうとしたら先にキティが言ったから」
「他人の前でその名を呼ぶなー!!」
キティはからかうと楽しいからなー。他人がキティをからかったら殺すけど、私のは愛があるからいいよね?」
「何をいっとるかー!!人をからかうな!?」
「あれ?まさか口に出てた?まぁーいいか、本音だし」
「なーなー勝負してくれよー」
あれ?お前まだいたの?忘れてたわ。
「ひでー!ずっといたのにお前らが急に二人で話し始めたんだろうが!?」
「私も忘れていた。とっとと失せろ、ガキ」
「あ?お前こそガキじゃねーか」
「殺すぞ?私のほうが貴様より年上だ」
「あっそ。どうでもいいわ。そんで勝負してくれよー」
「あーもうしつこいな!?一回だけ勝負してやっから静かにしろ!?」
「おっしゃ!んじゃ、早速やろーぜ!?」
「待て、ここじゃ人目がある。ついてこい」
いい場所あったかなー?
Side.end
Side.other
紫稀はナギについて来るように言って、貸し出してない土地の方に来ていた。
「この辺でいいか。ここなら麻帆良の魔法使い達は来れないから存分に出来るぞ」
(そういえばここでまともに戦闘するの初めてか?あの時は戦闘と言うよりも蹂躙だったしな)
貸していない麻帆良の3分の1の土地には紫稀とエヴァと二人が許容した人間以外は入れないようになっている。
今回は麻帆良にいる魔法使い達に横槍を入れられたくないためこっちにまでやってきたのだ。
「んじゃ、始めますか。希望通り手加減に手加減を重ねてではなく手加減だけしてやるよ」
そう言って紫稀は【
「それじゃ俺からいくぜ。
どこからかアンチョコを取り出しながら呪文を詠唱するナギ。それに対して紫稀は。
「うへっ、アンチョコないと魔法も使えないのかよ」
「うるせー。———
そんな漫才みたいなことをしつつナギが呪文を唱え終わるのを待ち、狙うよう紫稀も魔法を放つ。
「「『
お互いの『千の雷』が拮抗したのは僅か一瞬。その後は紫稀の雷がナギの雷を飲み込み消える。
「おいおい、無詠唱で俺の完全詠唱の『千の雷』に打ち勝つのかよ」
「当たり前だ、積み重ねてきた歳月が違う。と言うかお前はアンチョコやめろよ。だから術式が滅茶苦茶で威力が下がるんだろうが」
「うっせーな!覚えんのが面倒なんだよ!?それに魔法なんて使えればいいじゃねーか」
紫稀の指摘に軽く逆切れするナギ。そしてその他の魔法も入り交じった近接戦闘が始まった。
と言っても紫稀は魔法は
それに対してナギは、『
それをそれなりに離れた場所で(アーティファクトを使用していれば近くてもほぼ安全)観戦していたエヴァとチャチャゼロ。
「中級以上の魔法の術式が殆ど意味を成してないな。あれでは魔力で無理やり発動させてるようなものじゃないか」
「ケケケ、アンナ動キジャア、旦那ニハ何時マデ経ッテモ勝テナイナ。旦那ハアソンデルゼ」
そう言いながら二人はこの状況を肴に酒を飲んでいた。後でそれを知った紫稀は仲間はずれにされたと言いながら泣いたとかいないとか。どっちか知らんけど。
「なぁー飽きたんだがもうやめないか?」
「いやだね。やめるにしても一発くらいは当ててからだ!!」
「あっそ。面倒だから次で最後にしようか」
「そうだな。残った全力で一矢報いてやるぜ!?」
ナギの方がそろそろ限界だったようで、紫稀が提案するとそれに乗り最後の勝負の準備をするナギ。
「。
残っている魔力を全て使い呪文詠唱をするナギを尻目に紫稀も最後の一撃の準備をする。
「契約に従い我に従え闇の魔王 来れ光を閉ざす闇———」
「———
「———全てを飲み込みし暗き黒!———」
「『
「『昏き闇!!』」
ナギは最初に使った『千の雷』にこめた魔力の2倍を込めた『千の雷』を。
紫稀はそれよりも若干少ない魔力を込めた『昏き闇』。
いつもなら紫稀の『昏き闇』が圧倒していただろう。だが、今回は紫稀は遊んでいたためナギが込めた魔力よりも若干少ない魔力を込めて迎え撃った。
だからナギの『千の雷』と、紫稀の『昏き闇』は拮抗した。そしてその拮抗は爆発と共に終わり、周辺は爆煙に包まれた。
数分後煙が晴れたときには二人とも立っていた。
しかし二人の状態は明らかに正反対。片やボロボロ、片やほぼ無傷。勝敗は完全に決していた。
「ふーん。爆発の余波とはいえ私の体に傷を数個作るか。まぁー十分なんじゃないか?」
「なんで、あんな、爆発の中で、ほぼ無傷、なんだよ、てめぇ!」
紫稀は冷静に状況を分析し、ナギはあまりの理不尽さに吼えていた。
「そう吼えるな。過程はどうあれ私に一発当てることが出来たんだ。十分だろ?やめていいよな?」
「納得できねーけど、もうそれでいいわっ!!流石にもう動けねーし」
そう言ってナギは仰向けに倒れる。
「で、お前はアンチョコやめとけよ?いつまでもアンチョコ使ってるようじゃいつか死に掛けるぞ?」
「そう、だな。頑張って、みるわ・・・」
紫稀の指摘に答えつつも力尽きて眠りだしたナギ。それをどうしたものかと眺める紫稀。
そして、「仕方がないか」と言ってナギを持ち上げエヴァの元に向かう。
その後エヴァと合流した紫稀は貸している側の土地に建てられた宿泊施設に向かい個室と二人部屋の二部屋を取り、個室の方にナギを放り込んでメモを残してエヴァと二人部屋の方に向かうのであった。二部屋とも紫稀が武道会の賞金で払ったわけなのだが。
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因みにナギは朝まで起きることはなく、起きたときに「夕飯食い損ねたーっ!」と叫んだとか叫んでないとか。
Side.end
最初からナギが上位の上クラスにいるわけで。
感覚系の天才ってマジ手に負えねーです。