仮面ライダーディケイド − THE LOST MEMORIES − feat インデックス   作:海東

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第20話 転入編 Ⅷ

「!!」

 

士の姿を見たメデューサは思わず動きを止めた。

 

「貴様、その姿……魔法使いだったのか!?」

「それ、さっきも聞かれたぜ?」

「……なるほど、な。フェニックスを倒したという謎の魔法使いというのはお前のことか」

「魔法使いってのも悪くは無いが、生憎と俺は仮面ライダーだ。それも通りすがりの、な」

「そんなことはどうだっていい!!同胞の敵を討たせて貰うぞ!!」

 

メデューサの咆哮と共に蛇が今度は士へと向かって行く。

士はライドブッカーを振るい、その蛇たちを次々と叩き落としていった。

そして、隙を見るやライドブッカーを銃モードに変え、もう片方の手でカードをバックルへ投げ入れる。

 

『ATTACK RIDE』

 

『BLAST』

 

銃口から放たれる銃弾の数々。

その一撃一撃が先程の司波達也の銃撃とは比べ物にならない破壊力を持っていた。

防ごうとしたメデューサの蛇をも吹き飛ばし、更に浅くないダメージを与えている。

 

「……凄い性能のアーマーだな」

 

士の攻撃を見た司波達也は思わずそう呟いていた。

彼にとって、いやこの世界にとってディケイドの力というものは目の前のメデューサ同様に明らかな異物である。

彼の持つ銃も中々のものなのだろうが、比べるべくもないと言ったところか。

司波達也の感嘆の声が聞こえたのか、士はマスクの下でニヤリと笑ってみせる。

 

「このまま行くぜ!」

 

銃モードのライドブッカーより再度光弾が発射されると、それらは次々とメデューサへ着弾していった。

彼女の体から激しく火花が散る。

 

「くっ!!」

 

予想外にダメージを与えてくる士に対して、メデューサは苦い表情を見せた。

恐らくは自身と同等かそれ以上の者を相手にした経験が然程無いのだろう。

故に、苦戦を打開する術をなかなか見つけられずにいるようであった。

その心の隙を士は見逃さず、止めとばかりに必殺技のカードを取り出す。

 

「これで止めだ!!」

 

その時、士の目の前が突然爆発した。

抉れた地面からは黒煙が立ち上る。

不意の出来事に思わず士は後ずさっていた。

 

「何だ……?」

「情けないぞ、ミサ」

 

聞き覚えのある声が士たちの耳に入る。

高圧的な響きを含み、自身が頂点であると疑いを持たぬような声。

視線を向けると、そこにいたのは笛吹であった。

 

「こんな奴らに何を手間取っている?」

「す、すみません。ワイズマン」

「フン。まあ、いい」

 

笛吹は申し訳なさそうにしているメデューサを尻目に言った。

その物言い、その態度。

正に格上といった佇まいである。

ゆっくりと歩を進めているところにも相手の余裕が伺えた。

 

「笛吹鳴……」

 

士は相手の名前をボソッと呟いた。

これから戦う相手を改めて認識するかのように。

 

「ラスボス自らお出ましってところか」

「貴様、姿こそ変わってはいるが、あの転入生だな?」

「だったらどうする?」

「新参者に場を荒らされてばかりではこちらも立つ瀬が無くてな」

 

笛吹は顔を顰めると、腰の辺りへ手を置いた。

 

『ドライバー、オン』

 

その声と共に笛吹の腰にベルトが出現し、装着される。

バックルの形状は真藤ハルトのものに酷似しているように見えた。

 

「貴様に格の違いというものを見せてやろうではないか」

 

笛吹は不敵に口の端を持ち上げると、指輪を付けている方の手をバックルへ翳した。

 

『チェンジ、ナウ』

 

次の瞬間、紋章のようなものが現れて笛吹の姿が変わっていく。

だが、その姿はフェニックスやメデューサのような怪物じみたものではない。

まるで、白いフードを被った魔法使いのようであった。

 

「白い魔法使い、だと?仮面ライダー……なのか?」

 

士はすぐに真藤ハルトのことを連想した。

彼が変身する仮面ライダーウィザード。

目の前の白い魔法使いはそれによく似ているように見える。

 

「この場で貴様を処刑する」

 

『コネクト、ナーウ』

 

白い魔法使いとなった笛吹はそう言ってベルトに指輪を翳すと、何処からか現れた魔方陣へ手を伸ばし、そこから笛のようなものを取り出した。

それは笛にしては大きめのサイズで、先端に鋭い刃が付いている。

笛というよりは笛の形状をした剣と言った方が正しいように思えた。

 

「随分と楽しそうな武器だな」

「ハーメルケイン。貴様を殺す武器だ。覚えておけ」

「そうか。なら、こっちは……」

 

士はそう言うと、一枚のカードを取り出してベルトのバックルへ入れた。

 

『KAMEN RIDE』

 

『HIBIKI』

 

すると、笛のような音色と共に士の体が紫の炎に包まれる。

それが消えると士は全身が鈍く紫色に光る鬼のような姿へと変わっていた。

 

───仮面ライダー響鬼。

 

その名の通り“鬼”と呼ばれ、肉体と心を鍛えることで変身することが可能となる仮面ライダーである。

 

『ATTACK RIDE』

 

『ONGEKIBOU REKKA』

 

士は腰の両サイドに装着された太鼓の撥のような武器を両手に持って構えた。

それは音撃棒と呼ばれるもので、先端には清めの音を発する鬼石という鬼の形をした石が付いている。

仮面ライダー響鬼は音撃棒を使い、清めの音を以って魔化魍と呼ばれる物の怪を倒すのである。

 

「楽器には楽器ってとこかな?」

「舐めるな!!」

「行くぞ!!」

 

二者は同時に地面を蹴り、間合いを詰めると互いに武器を振り回した。

士の音撃棒、笛吹のハーメルケイン。

それぞれがぶつかり合う度に鈍い音が辺りに響いた。

鍔迫り合いのような形になると、笛吹の方が口を開く。

 

「……なるほど。多少はやるようだな、転入生!」

「お前に褒められたところで、何も嬉しくは無いけどな」

「ククク」

 

笛吹は何かを思いついたかのように後方へ飛ぶと、士と距離を取った。

そして、ハーメルケインを持っていない方の手につけられた指輪をベルトへ翳す。

 

『エクスプロージョン、ナーウ』

 

直後、士の目の前で爆発が起きた。

 

「ッ!?」

 

吹き飛ばされた士はそのまま地面を転がる。

爆発自体は小規模のものであったが、地面を大きく抉っていた。

まともに食らえば、その威力が決して小さく無いということが分かる。

 

「やりやがったな!」

 

それでも士は、土埃を払いながらすぐに立ち上がった。

 

「なら、こっちはこれだ!」

 

返す刀で、士は一枚のカードをベルトへ投げ入れる。

 

『ATTACK RIDE』

 

『ONIBI』

 

すると、士の顔の部分から物凄い勢いで炎が噴射された。

炎は一直線に笛吹へと伸びていき、その全身を包もうとする。

 

「くっ!?」

 

笛吹は咄嗟に転がるように横へ飛んで交わすと、再び指輪をベルトへ翳した。

 

『エクスプロージョン、ナーウ』

 

再び、士の目の前が爆発する。

 

「はあっ!!」

 

爆煙を切り裂くように、今度はバスケットボール大の火炎弾が笛吹へ向かって飛んで行った。

それは士が音撃棒を振って発生させた烈火弾と呼ばれるものであった。

 

「そんなもの!!」

 

笛吹はハーメルケインを振り回し、烈火弾を真っ二つに斬る。

斬られた烈火弾は笛吹の後方で地面へ着弾し、大きな火柱を上げた。

火の粉が舞い散る中、笛吹はその眼差しを真っ直ぐ士へと向けている。

 

「これ程までとはな。想像以上だぞ、転入生」

「そうか」

「だが、遊びはこれで終わりだ。次は仕留める」

「奇遇だな。俺も丁度そう思っていたところだ」

 

士と笛吹はそう言い合うと、互いに構えた。

次の一撃で決着させる。

二人の佇まいからその意思を強く感じたのか、周囲の者たちにも一様に緊張が走った。

長い時間が経過したようにすら思えたが、実際にはまだ十秒も経っていない。

そんな感覚を皆が共有していた。

両者の足が同時に動き出す。

 

「はああああああああ」

「はああああああああ」

 

まるで獣の咆哮のような声を上げる両者。

──決まる。

誰もがそう思った、その瞬間のことであった。

 

「貰ったよ!!」

 

突如、二者の間に闖入者が割って入ってきた。

その姿を見たメデューサが思わず口を開く。

 

「お前は……グレムリンッ!!!?」

「ふふっ……」

 

不敵な笑みをメデューサへ返したのは顔と胴体の緑色が目立つ怪物であった。

グレムリンと呼ばれた怪物。

その凶刃は笛吹の胴体を貫いていた。

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