仮面ライダーディケイド − THE LOST MEMORIES − feat インデックス   作:海東

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第8話 電光石火

  甘楽「ねえ、あの噂知ってますか?」

田中太郎「何の噂ですか?」

  甘楽「真夜中に現れる髑髏男の噂ですよ!」

田中太郎「あー、知ってます知ってます。悪いことをしていると何処からか現れて、そいつを呪い殺しちゃうってアレですよね?」

  甘楽「そう、それそれ!」

セットン「髑髏男、呪い……本当なんですか、それ?」

  甘楽「いやいや、あくまで噂ですよ。ウ・ワ・サ」

田中太郎「で、それがどうかしたんですか?」

  甘楽「実はね、見ちゃったんですよ」

田中太郎「見たって?」

  甘楽「その髑髏男ですよ」

田中太郎「本当ですか!?」

  甘楽「本当本当!」

田中太郎「だ、大丈夫だったんですか?」

  甘楽「大丈夫じゃ無かったらここにはいませんよ。それに見たって言っても、何も真正面から見たってわけじゃありませんし」

田中太郎「それでも凄いですね。それで、どうだったんですか、髑髏男?」

  甘楽「それがですね、笑わないで聞いて下さいよ?その髑髏男、何とバイクに乗ってたんですよ!」

セットン「え、バ、バイクですか?」

田中太郎「髑髏男とバイク……、何か結び付きませんね」

  甘楽「昨日の夜中に目の前をビューンって通り過ぎて行ったんですよ。バイクに乗った髑髏男が!あー、後をついて行けば良かったなー!」

田中太郎「ちょっと危険じゃないですか?それこそ本当に呪い殺されちゃうかも知れませんよ?」

  甘楽「でも、気になるでしょ?」

田中太郎「それはまあ、そうですけど」

  甘楽「真夜中の街を駆ける髑髏男!何と素晴らしい響き!!」

セットン「真夜中の髑髏男、ですか……」

 

 

 

「……な、何だてめえは!!」

 

目の前の光景に怪物と化した男は狼狽していた。

突如現れた謎の男が自分が用いたのと同じようなメモリを使い、その姿を変えたからである。

だが、一つ異なっていたのは、謎の男はメモリを直接体に突き刺すのではなく、腰に装着しているベルトへと刺したことであった。

 

「……………………」

 

髑髏を模した仮面に黒い鎧を装着した男は、無言で男とその仲間たちを見回した。

見た目とは裏腹に、不思議と怪物と化した男のような禍々しさや邪悪さは感じられない。

寧ろ、何処か気高さのようなものさえ感じられた。

黒い全身とは真逆な白いマフラーが風になびいている。

 

「……!そうか、てめえが噂の髑髏男か!」

 

怪物と化した男はそう言うと身構えた。

一方で、髑髏の男は特に身構えることなく自然体のまま足を踏み出していた。

無言のまま、目の前の相手へと一歩一歩近付いて行く。

 

「な、舐めてんじゃねえッッ!!」

 

怪物と化した男は右手の鉄球で近付いて来る髑髏の男へと殴り掛かった。

鈍重そうな見た目と裏腹にとても素早い動きである。

だが、髑髏の男はそれを左手で軽くいなすと、そのままがら空きとなった相手の胴体へ蹴りを放つ。

 

「んごっ!?」

思わぬ一撃を食らい、怪物と化した男は後ずさった。

それを見て、髑髏の男は僅かに首を横に振る。

 

「小僧、なっちゃいないな」

「んだとコラァ!?」

 

髑髏の男の言葉に怪物と化した男は激昂し、右手の鉄球で地面を思い切り殴りつけた。

すると、衝撃波のようなものが地面を走り、髑髏の男へと向かって行く。

 

「ハッ!」

 

髑髏の男は素早く横へ飛んでそれを回避すると同時に、ベルトのドライバーから黒いメモリを引き抜いた。

 

「……悪いが、あまり時間を掛けたくないんでな。これで終わらせて貰う!」

 

そう言うと、髑髏の男はベルトの脇にあるスロットへ先程引き抜いたメモリを差し込んだ。

 

 

『スカル マキシマムドライブ!』

 

 

何処からか声が響いた。

と、髑髏の男はそのまま高く飛び上がる。

 

「ハァ!!」

 

空中でキックの体勢を整えると、そのまま相手目掛けて急降下した。

 

「ハアアアアアアアアア!!」

次の瞬間、怪物と化した男の体を髑髏の男のキックが貫く。

あっという間の出来事であった。

髑髏の男は綺麗に着地を決めると、屈んだまま帽子へと手を伸ばす。

 

「ぐわああああああああ!!」

 

その背後で怪物と化した男は叫びと共に爆発した。

すると、直後に彼の体からメモリが勢い良く空中へと放り出されると粉々になり、その残骸をアスファルトの地面に撒き散らす。

 

「あが……あがが…………」

 

先程まで怪物だった男は元の姿に戻ると、地面に倒れ込んでピクピクと体をひくつかせていた。

爆発こそしたものの、命に別状は無い模様である。

そのまま、ガクッと気を失ってしまった。

 

「……………………」

 

髑髏の男はゆっくりと立ち上がると、次の相手はお前たちかとでも言うかのように目の前の男たちを見回す。

 

「ひ、ひいいいいいいいいい!!」

 

怪物と化していた男の仲間たちは一斉に情けない声を上げると、蜘蛛の子を散らすようにその場から去って行った。

リーダー格の男があっさりと敗れ去ったのだから無理も無い。

髑髏の男はそれを見て取ると、ベルトからメモリを引き抜いた。

直後、彼の姿も元に戻る。

 

「……何なんだ?」

 

目の前の出来事を一通り見終わった後に静雄はそう呟いていた。

人間が怪物へ変身したというのもそうであるが、それを退けたのもまた同じ様に変身した者であった。

果たしてこの人物は敵か味方か。

静雄は警戒を怠らない。

 

「……大丈夫か?」

 

謎の男は静雄の方を振り返るとそう気遣いを見せた。

静雄は怪訝な表情で男を睨み付けている。

二人は互いに暫く見つめ合った。

そのまま緊張の時間が一秒一秒と過ぎてゆく。

どのくらい経っただろうか。

謎の男の方が先に口を開く。

 

「……いい目をしているな、若造。どんな苦難が待ち構えようとも、自らの力でそれを乗り越えようとする。そんな人間の目だ」

 

突然、そんなことを言われ、静雄は何だか拍子抜けしてしまった。

まるで、父親か恩師にでも褒められたような気分になる。

何となくではあるが、静雄は目の前の男は敵では無いと思い始めていた。

謎の男はフッと笑うと、静雄の側まで来てその肩に手を置く。

 

「だが、無茶は感心しない。時には退くことも肝心だ」

「オッサン、あんたは何者だ?」

「俺か?」

 

謎の男は静雄の視線から目を逸らさず、真正面からしっかりと見る。

 

「俺の名は鳴海ソウキチ。探偵だ」

「探偵、だと?」

「ああ」

 

鳴海ソウキチと名乗った男は頷いた。

と、急に踵を返し、倒れた男の側へと歩いて行く。

 

「……起きろ、小僧」

 

鳴海ソウキチは、屈み込んだ後に男の顔を軽く叩いた。

 

「……ハッ!」

 

目を覚ました男は、ぼんやりとした視界の中に鳴海ソウキチの姿を捉えたようで急に顔を強張らせた。

それに構わず、鳴海ソウキチは男へ尋ねる。

 

「小僧……お前に聞きたいことがある。そのメモリ、一体何処で手に入れた?」

「ひ、ひぃぃぃぃ!」

 

男の口からは悲鳴が漏れた。

威勢の良かった先程までとは一転して、恐怖におののいている。

 

「い、命だけは、命だけはお助けを……!!」

「……別にお前を取って食おうってわけじゃない。こちらが聞くことにちゃんと答えてさえくれればそれでいい」

 

鳴海ソウキチはそう言うと、男の肩をしっかりと掴んで落ち着かせた。

 

「もう一度聞くぞ。あのメモリを何処で手に入れた?」

「……か、買ったんだよ。へ、変な男から」

「変な男……そいつは何者だ?」

「し、知らねえ!」

「……隠すと為にならんぞ?」

 

男はふるふると首を振った。

 

「ほ、ほ、本当に知らねえんだって!そいつの話もネットの裏サイトで知ったんだし……」

「そうか。ならばその裏サイトのURLを教えてくれないか?」

 

鳴海ソウキチに言われるや否や、男は慌ててスマートフォンを取り出して操作を始めた。

 

「こ、これだ!このサイトだ!!」

「見せてくれないか?」

「あ、ああ……えっ?」

男は悲痛な声を上げた。

 

「う、嘘だろ!?つ、繋がらねえ!!」

 

スマートフォンのディスプレイには『not found』の文字が映し出されていた。

鳴海ソウキチは「やっぱりな」という表情で帽子を被り直す。

 

「……そう易々と尻尾は掴まさない、か」

「う、う、嘘じゃないからな!?」

 

男は今にも泣き出しそうな顔になり、帽子で素顔の隠れた鳴海ソウキチを見た。

 

「本当に裏サイトがあったんだって!信じてくれよ!」

「……………………」

「……そ、そうだ!思い出した!そいつ、『ミュージアム』がどうたらとか言ってたんだ!」

「ミュージアム……だと?」

 

鳴海ソウキチはその言葉にピクリと反応した。

そして、少しだけ考え込むと男に再度確認する。

 

「そいつは確かにミュージアム、と言ったんだな?」

「あ、ああ!マジモンのマジだ!」

「……分かった。お前はもう行っていいぞ。これに懲りたら、二度とお前の街を泣かせるような真似はするな」

 

鳴海ソウキチがそう言うと、男は足をもつれさせながら、転がるようにこの場から去って行った。

それを見届けると、鳴海ソウキチは立ち上がり、静雄の方へ向き直った。

しかし、特に何も言わずに背を向けてその場から去ろうとする。

静雄は思わずその背中に声を掛けた。

 

「おい、オッサン!」

「……何だ、若造?」

 

鳴海ソウキチは静雄に背を向けたまま答えた。

静雄は少しだけ不機嫌な表情になる。

 

「その若造ってのは止めろ。俺には平和島静雄って名前がある」

「そうか。それはすまなかった。では、何だ静雄?」

「あんたは一体何なんだ?それに仮面ライダーって何だ?」

「……これ以上、お前は深入りしない方がいい」

 

それだけ言うと、鳴海ソウキチは振り返ることなく歩き始めた。

その時、彼の行く手を塞ぐように一台のバイクが止まる。

乗っていたのは、猫の耳を模したようなヘルメットを被った人物であった。

着ているライダースーツから浮き出る体格から察するに女性のようである

 

「……………………」

 

ライダーは無言で鳴海ソウキチのことを睨み付けるように見ていた。

何やら言いたそうな雰囲気である。

 

「……お嬢さん、そこをどいてはくれないだろうか?」

 

鳴海ソウキチは少し困ったような顔をした。

彼女は相変わらず無言である。

どうしたものかと鳴海ソウキチが思案していると、彼女は徐にPDAを取り出し、指でカタカタと打ち込んだ。

その作業が終わると、それの液晶画面を鳴海ソウキチに見せる。

 

『彼に何をした?』

鳴海ソウキチは静雄の方を振り返った。

 

「お前の知り合いか?」

「……ああ」

 

静雄はそう言って、彼女の方へ歩き出そうとした。

しかし、まるで酔っ払っているかのように体がふらつき、思わず地面に膝をついてしまう。

その様子が先程あの男から受けたダメージが決して軽いものではないことを証明していた。

 

「大丈夫か?肩くらいなら貸すぞ?」

 

鳴海ソウキチは膝をついたまま動かない静雄に向けて言った。

静雄はいらないとばかりに手を払うと、無言で立ち上がる。

そして、ふらつく体のまま歩いて行った。

彼女の側まで辿り着くと、呟くように口を開く。

 

「……このオッサンが何者かは知らねえ。けど、悪い奴じゃないのは確かだ」

「……………………」

 

彼女は再びPDAに何かを打ち込むと、それを鳴海ソウキチへと見せた。

 

『事情を説明して欲しい』

 

鳴海ソウキチはこくりと頷き、被っていた帽子に手をかけた。

 

 

 

「ヒィーハッハッハッハ!!」

「キーッヒッヒッヒッヒ!!」

「フィーーーーアーーーーーー!!」

 

仮面の怪人たちが士たちの乗っているワゴンを取り囲みながら、次々と下卑た笑い声を上げた。

その数は十人、いや二十人は超えている。

全員が勝ちを確信しているようであった。

 

「オラァ!出て来いよ!」

 

誰かがそう叫び、ワゴンの車体へ蹴りを放った。

すると、それに続けとばかりに他の者たちも一緒になって暴行を加えていく。

 

「や、止めろ!蹴るな!!」

 

渡草が悲痛な声を上げた。

しかし、そんな思いが連中に届くわけもなく。

なおもワゴンには攻撃が加えられ、社内がガタンガタンと揺れていた。

思わずインデックスは「キャッ」と悲鳴を上げる。

 

「ヒャハハハハハ!」

 

連中の一人が狂ったように笑いながら、ワゴンの扉を力付くでこじ開けた。

 

「ぶっ殺してやるぜ!!」

 

まるで、これから獲物を食わんとするおとぎ話の狼のような様子で男たちはワゴンの中へ入ろうとした。

その時、士の拳が先頭にいた男の顔面を捉える。

 

「ぐあっ!?」

 

殴られた男はそのまま吹っ飛ぶと、地面へ仰向けで倒れた。

同時に士はワゴンから素早く出ると、倒れた男の上へ降り立つ。

 

「ぐえっ!!」

「まるで蛙みたいな声を出したな。いや、今のお前らは蛙よりも醜いか」

「て、てめえ!!」

 

士の物言いに男たちが一斉に色めき立った。

皆が士を敵意の眼差しで睨み付ける。

 

「お、おい!」

 

助手席からニット帽の男が士を心配して声をかけた。

士は無言で手だけ振って返すと、一枚のカードを取り出してそれを翳す。

 

「……やれやれ。どうやらお前らには、力の差ってのを見せつけてやらないといけないようだな」

 

そう言い放つと、何時の間にか腰に装着されていたバックルの中に取り出したカードを入れた。

 

「変身!」

 

 

『KAMEN RIDE』

 

『DECADE』

 

 

掛け声と共に士は仮面ライダーディケイドへと変身した。

 

「!?何だありゃ!?」

「嘘ぉ!?」

「変身しちゃったッスよ!?」

「な……何なんだあいつは?」

 

ニット帽の男を始め、インデックスを除く全員が士の変身に驚きを見せていた。

そんな彼らを尻目に、士は手をパンパンと払った後、ライドブッカーを剣へ変形させて手に持つ。

 

「……俺のメモリブレイクは少し痛いぞ。歯を食いしばりな!」

 

そう言うと、士はワゴンを取り囲む仮面の怪人たちへと次々に斬り掛かっていった。

ライドブッカーの刃が彼らの急所を捉えていく。

 

「うわああああああ!」

「ぐはああああああ!」

「ぎゃああああああ!」

 

士に斬られた者たちは、叫び声と共にその場へ倒れ込んでいった。

すると、次々と爆発が巻き起こっていく。

後には、元の姿へと戻った彼らが無様に倒れており、地面には粉々になったメモリの残骸が散らばっていた。

士はライドブッカーの刃を手で払い、残った他の連中を見回す。

 

「どうだ?お前らもやられたいか?」

「ぐっ!?」

 

どうやら連中は、目の前で仲間たちがあっさりとやられていったのを見て尻込みしているようであった。

 

「おい、てめえら!!」

そんな彼らを一喝するような怒声が周囲に響いた。

と、ガタイが良く厳つい風貌をした男が前に出て来る。

堂々とした雰囲気から見るに、男は連中のリーダー格のようだ。

彼だけは他の連中とは異なり、仮面の怪人の姿にはなっていない。

 

「たった一人にビビって足も出ねえのか!?」

「で、でも……」

「でもも糞もねえ!!たかだか一人、囲んでボコっちまえば楽勝だろうがよ!!」

 

男は咆えるように言った。

そして、やれやれといった感じで首を振ると、士のことを睨み付ける。

 

「おい、趣味の悪いピンク野郎!今度は俺が相手だ!」

 

そう言うと、男はUSBメモリを取り出してそれを指で押した。

 

 

『ウェザー!』

 

 

声が響くと同時に、男はそのメモリを耳たぶへと差し込んだ。

すると、男の姿は一瞬で髷を結った白い怪人と化す。

 

「てめえなんか一分でぶっ殺してやるよ!」

 

言い終わると同時に男は手を前へと突き出した。

すると、そこから雷のようなものが発射される。

その直撃を受け、士は胸から火花を散らした。

 

「ぐっ!?」

「つかさ!」

 

インデックスが思わず声を上げると、士は『大丈夫だ』と右手を振った。

そして、すくっと立ち上がってみせる。

 

「……今のは、ちょっとだけ効いたぜ」

 

士は煙の上がる胸をさすりながらそう言った。

思わぬ一撃を食らっても焦った様子はまるでなく、あくまで余裕の態度を変えてはいない。

 

「どうした?この程度か、ピンク野郎?」

 

笑っているのか、男はその巨体を小刻みに揺らしている。

今の攻撃で自身の力の大きさを自覚したようで、こちらもまた余裕を感じているようであった。

そして、今度は周囲に竜巻を発生させる。

 

「これで終わりだ!!」

「そいつはどうかな?」

 

士は不敵にそう言うと、カードを一枚取り出した。

そして、そのカードをバックルの中へ差し込む。

 

 

『KAMEN RIDE』

 

『FAIZ』

 

 

電子音と共に士の姿が変わった。

黒い鎧とギリシャ文字のΦを模した仮面。

全身にフォトンストリームを巡らせ、フォトンブラッドをエネルギーとして戦う仮面ライダー。

 

───仮面ライダーファイズ

 

それが士の今の姿であった。

士は手をパンパンと払うと、再びカードを一枚取り出して、それを男の前に翳して見せる。

 

「……お前、一分で俺を倒す。とか言ってたな?」

「だったら何だゴラァ!?」

「なら、俺は十秒でお前ら全員片付けてやるよ」

 

そう言い放つと、そのカードをバックルに投げ入れた。

 

 

『FORM RIDE』

 

『FAIZ ACCEL』

 

 

装甲の一部が展開し、複眼の色が黄色から赤へと変わった。

これがファイズのアクセルフォームである。

士は右腕のスタータースイッチを押した。

 

 

『START UP』

 

 

電子音と同時に士は超加速した。

そして、連中一人一人を次々と叩きのめしていく。

 

「な、何だ!?」

 

男は驚愕していた。

目の前から士が消え、直後に仲間たちが次々と倒れる。

そんなのを目の当たりにして驚かぬ者はいない。

何が起きたのかさえ理解出来てはいないだろう。

五秒も経った頃には、仮面の怪人だった者たちが全員地面に突っ伏し、元の姿へ戻っていた。

 

「ど、何処だ!?何処にいやがる!?」

 

男は何が起きているのかさっぱり分からないようで、みっともなく狼狽していた。

と、その時、男の目の前に士が現れる。

 

「!?」

 

士はパンチ、キックと数え切れない程の打撃を放った。

男は為すすべなくそれを受け続ける。

 

「ぐああああああああああああああああ」

『スリー...トゥー...ワン...』

「ハアアアアアアア!!」

 

最後に士はハイキックを男の側頭部へと放った。

 

『TIME OUT』

 

電子音と共に士は変身を解き、元の姿へと戻った。

次の瞬間、男はそのまま地面へ倒れ、爆発する。

同時に男が差していたメモリは空高く舞い上がり、そのまま空中で粉々となった。

 

(……この世界での俺の役目、何となくだが見えて来たぜ)

 

背後で男たちが全員地面へ寝ている中、士は振り返ることなく、そのままワゴンに向かって歩を進めた。

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