ラブライブ!Э 1/2な俺と9人の女神達との世常 Э   作:カビバラ

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序章
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「……さて」

 

 日付は3月31日。

 出る前にあたりをちょろっと確認し、この時の時刻は深夜2時すぎ、荷物もバックに色々とつめこみ、準備は整う。

 いつもはうるさいはずの道場周辺もすっかり静まり返っていて、ぽんぽんと見える街灯が唯一の道標、こんな夜遅くに何をしているのか? と言われれば、俺はこう答える。

 

 この俺 天道春樹【てんどう はるき】もうすぐ16歳、只今より家出をはじめます!

 

 と。いうことで今日、俺は家出をする事にした。

 それも数日や数週間そこらではなく、一生。

 理由は簡単に説明すれば、親の道場を引くのが嫌だからだ。

 

 俺の両親は二人とも昔から道場を経営していて今じゃ世界でもトップクラス、無類の強さを誇り最強の夫婦と言われている。そんな親の間に生まれた長男が俺なため、半強制的に道場の跡継ぎをすることになっているのだ。

 

 だけど俺は両親みたく、無差別に人を殴ったり蹴ったりする事が嫌いだから、何度も引き継ぐことを断っているが一向に了承が得られないので色々と考えた結果、今に至る……

 

「おい。行かないのか?」

「はっ?! す、すみません。色々と考え事を……」

「顔がニヤニヤしていてとても気持ち悪いぞ」

「そう……ですか?」

「まぁいい、それじゃあ着いて来い」

「は、はい!」

 

 ……うん、色々とまとめたい事はあるが、1つずつ丁寧に。

 

 まず、今回家出をするに至って、唯一俺に協力してくれたのが今話していた人、名前は響良牙【ひびき りょうが】さん35歳。武術における実力は天道夫婦に引けを取らないほどに強い。

 

 良牙さんは父さん以外には親切で優しく、今回の家出に関しても無条件で色々と手伝ってもらうなど、頼りになる人。

 

「あれっ、良牙さん? 向かう場所あっちでは」

「えっ?」

 

 あ、それともう一つ、良牙さんは極度の方向音痴と言う事を忘れていけない。大変なことになりかねん……

 

「もうじゃあ、僕に着いてきてください」

「俺に命令するのか!」

「任せてもいいですけどちゃんと着けるんですか?」

「──そりゃあいつかは着くだろう」

「1ヶ月後とか1年後と言うのは論外ですよ」

「ぬぐっ……」

 

 そしてもう一つ、俺には親の遺伝子の引継ぎによって生まれつきある呪いにかかっている、言うなれば変身能力。

 それがなんなのか簡単に説明すると、冷たい水をかぶると”女”になって、暑いお湯をかぶると”男”になるという物。

 

 数十年前の聞いた話になるけど、俺の父さんが高校生?の頃に中国にある、今はなき呪泉郷【じゅせんきょう】と言う場所に行って、その時に事故で呪泉郷にある池の内の一つである、娘溺泉【にゃんにーちゅあん】 という呪いの池に落ちた結果、この呪いにかけられたんだと。

 

 今現在、この呪いから元に戻る方法は1つもなく、俺はこの状態で生きることを余儀なくされているのだ。

 

「……じゃあお前は一体何年で着ける?」

「だって練馬から千代田でしょ。僕らの徒歩速度なら数時間もかからないかと」

「はは、冗談もほどほどにしておくんだな」

「騙されたつもりで着いてきてくださいよ」

「着けなかったら家出をした事を言い触らすぞ」

「着くから別にいいですけど」

「二言はないな?」

「勿論」

「いいだろう。絶対無理だし着いて行ってやる」

「どうも……?」

 

 そして最後、家出をするということは当然住める場所がなくなる。ので必然的に低予算で住み込みができてかつ、親との関わりがなく、目の届きにくい場所が必要になってくるのだが、ここに今まではつまづいていて家出をしたくても出来ない状態だった。

 

 ……しかし、日本全国を何十年とさ迷い続けていて、そのお陰?で知り合い顔見知り等の関わりなど、とにかく人脈が広い良牙さんの存在が幸を期し、俺は家出をして泊めてもらえる場所をこっそり良牙さんに相談して、同じ東京の千代田区にある家を進められた。

 そこは普通の家に店も経営しているらしい為軽い小遣い稼ぎも多分やろうと思えばできて、家にも住めてまさに一石二鳥と言ったところ。

 

 これで家出の条件は全て揃った。十数年の間耐えてきたツキがようやく今になって顕になってきたということなのだろうか。

 ……いや、かといってまだ安心出来るわけでもない、ついてからどうするか、どうなるかはまったくわからないし、親はあとを継がせるために必ず俺を連れ戻しに来るだろう。

 だがそれでも絶対に道場には戻らない。

 

「じゃ行きますよ、ついてきてくださいね!」

 

 新しい場所で新たな人生を今日から始める、そう決めたのだから!

 





以下は作中に出てきた呪泉郷【じゅせんきょう】の解説です。知ってるという方はスルーでOK。

大小100以上の泉が湧いている秘境。修行場としても使われており、幾つかの泉には修行用の竹が立ててある。
各々の泉には悲劇的伝説があり、最初に落ちた者の姿を記憶しているため、それ以降に泉に落ちた者は水 (呪泉郷の水だけでなく、普通の水でも) を被るとその姿に変身してしまう呪われた体質になる。元の姿に戻るにはお湯を被る。

因みに天道春樹の父親が落ちた泉は娘溺泉【ニャンニーチュアン】と言う名前で1500年前に若い娘が溺れたという悲劇的伝説がある泉。それ以来その娘溺泉に落ちた人間は皆若い娘の姿になってしまう。
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