ラブライブ!Э 1/2な俺と9人の女神達との世常 Э 作:カビバラ
「…………」
あたりは静まり返っている、あまりにも非現実的な出来事を目の当たりにして驚いているのだろう。オレはシャワーを止め、落ち着いて二人に近づく。これで分かってくれたはず。俺が風呂場に来た理由を……
「え、えっと。つまりどういうこと……?」
「さっきの男の子がいなくなってなんで……春香ちゃん?」
……あれっ?
「いや、だ、だから……水をかけると……」
「とりあえずお母さん、早く警察呼んでよ」
「う、うん……?」
雪穂は少し落ち着いた様子で大きめのタオルを部分部分を隠すように体にまくり、雪穂のお母さんはおそらく電話を取りに、部屋から出ていった。
というか全然俺の話を理解してくれてないぞこいつら! これだけ言って、見せてしてわかってくれないっていうのは俺の過去にもあんまりないケース。それがこんな大事な場面で起こってしまうとは一体どういうことなのだ……
「だから、水をかけたら男の姿から女の姿にになるんだって!」
こうなったら仕方ない。これ以上証拠を見せようが無いのでしつこく説明しよう。
「えっと……それが?」
「それがってなに」
「女の子同士だからって何しても許されると思っているの?」
「思って……いません」
「それに男の姿からって言うけど、これはつまり自分は女だけど男でもあるんです、ってことを言っていることにもなるよね?」
「……はい」
「どっちが悪いか?」
「オレです」
まずい。怒涛の言葉責め、それも何もかもが正論過ぎて全く言い返せない。
思わず自分が悪いと認めてしまった。いや実際普通に考えれば悪いの俺なんだけど……ど、どうしようか……
「……とりあえず私はここで着替えるから警察が来るまで風呂場の中に入ってなさい、扉は閉めてね」
いや……やっぱりおかしい。覗きとか痴漢とかじゃあなくちゃんとした目的があってここに来て、それでたまたまこうなってしまったわけだから、それで警察どうこうってなるのは納得出来ないし絶対におかしいはず……
「だから話を聞いてよ。本当に、本当に違うんだって」
「あのさ、どんな理由があっても、私の裸を見たっていう事実だけは絶対だからね?」
「それはそうだけど……それとも謝ったら、許してくれる?」
「なにをどうしようと、誰がなんと言おうと絶対に許さない!」
……だめだ。話の一つも聞いてくれないし、これじゃあ何を言っても話に裸を結びつけてきて、まるでキリがない。
「ごめん、こんなつもりじゃなかったけど……」
「え?」
考えるのをやめた俺は、雪穂を無視して洗面所から出て、先ほどは行かなかった高らかに声が聞こえた方向めがけて、一直線に走り出す。
「うっ」
水が全身にかかっているため体が重く、腕も痛んでいているため相当きつい。でもたえて逃げるしかない。
幸運にも雪穂のお母さんはここにはおらず、それ以外の人も見当たらない。
「よし、出口だ……!」
扉を急いで開けようとしたが、独りでに開きだして、また違う別の人が店の中に入ってくる。
「んな?」
お客さんか誰かは知らないが俺みたく体中ベチョベチョに濡れてる女の子で、目が合い、ベチョベチョの俺を見て女の子は当然のように驚く。
「えっと、大丈夫……?」
「いや、その……」
「雨宿り? 急に降って来てびっくりしたよね、お陰で体中ベトベトだよ」
「まてー! 覗きー!」
どうするか戸惑う俺に対して、容赦なく奥から雪穂の大声が聞こえる。
「覗き?」
女の子も真っ先に俺に視線を向ける。
「ご、ごめん……急いでるんで……」
「うぉわっ!」
オレは思わず扉の前に立っていた女の子をドンと押し倒して、豪雨が降り注ぐ16時くらいとは思えないほど暗い外に出て走り出す、まずはほむら屋から離れることを第一に考えて、練馬区からここまで来た道のさらに先へと続く道を、道なりに進んでいく──
▼ ▼ ▼
──それからしばらくして、雨も止みだいぶあたりも暗くなってきて、どこだかもわからない場所で立ち止まり、辺りを確認して、時計を見つける。
「18時25分……」
そうつぶやいた後、俺はその場に倒れ込み、意識を失う………………