機動戦士ガンダム Silent Trigger 作:ウルトラゼロNEO
本日の相手はアウドムラ所属のシャイニングガンダム。しかし、この戦いに翔は自ら名乗りを上げ参戦するのです。戦いを嫌っていた彼の目的とは?
-バッ-(上着を脱ぎ捨てる音)
それではガンダムファイトォッレディーゴー!!
グレートキャニオン-実力の差!ガンダムブレイカーFBVSシャイニングガンダム!-
「地球に降りたんだ……!」
「ええ、そうね」
無重力の宇宙から地球へ降下したアークエンジェル。
ガラスを守るシャッターが開き、太陽光で目が眩むが、視界が回復した時、澄み渡るような青い空が一面に広がっていた。
更に重力を感じ始めた事で地球へ来た実感を感じる翔はどこか嬉しそうで、その様子を横目にレーアは微笑ましそうに見つめる。
「も、もう手は良い……」
「あらっ、もう少し握ってても良かったのに」
レーアが自分を見て、微笑んでいるのに気付き、手を握られている状況を改めて恥ずかしさを感じたのか、翔はバッと手を離すと、対してレーアは意地悪な笑みを浮かべていた。
そんな二人の和やかな雰囲気を壊すようにけたましい警報が鳴り響いた。
「警報!?」
「ブリッジに行ってみましょう!」
翔とレーアは顔を見合わせると事態を確認するため、ブリッジへ向かう。
・・・
「なにかあったの!?」
ブリッジへ到着したレーアと翔はブリッジが緊張感が包まれているのを肌で感じる。
だが状況を知ろうとレーアが問いかけると艦長席で困り顔のルルが振り返る。
「えっと……なんでも今度の地上作戦で共に戦う部隊の方の一人が模擬戦をしたいと……」
「はぁっ?」
あまりの内容に、今までずっとクールな印象を受けていたレーアが素っ頓狂な声を上げた。
「これからの合同作戦に備え、なんでもこちらの実力が知りたいそうだ」
「……はた迷惑な話だ。自分の実力に自信があるからなんだろうけど」
そこにスパッとマドックが口を挟むと、翔は面倒臭そうな表情を浮かべ小さくため息をつく。
「……俺、行きますよ」
ため息をつきながらも、自ら模擬戦への参加を表明する翔にその場にいた者は全員、驚く。
戦いが嫌いなこの青年が真っ先に名乗り出るとは思わなかったからだ。
「これからの戦いに備えて、今の自分がどこまでやれるか知りたいんです。自分の力を過信して死ぬなんてゴメンですから」
「ふむ……いかがなさいますかな、艦長代行」
「翔君がそこまで言うなら止める理由はありません。それに模擬戦であれば余程のことがなければ命の危険もないと思いますし……今回のことは翔君に任せます」
だが、翔には翔の理由があっての行動だった。
マドックがルルへ指示を仰ぐと、模擬戦ならば大丈夫だろう、と高を括ったルルは翔を一瞥し、翔は頷いて格納庫へ向かう。
・・・
「来たか。艦長に言われて演習仕様の兵装にしておいたぞ」
「どうも」
格納庫にてルルの指示でガンダムブレイカーFBの兵装が変更されていた。
作業員を撤収させながらグレイがリフトを使ってコクピットへ向かってくる翔へ声をかけると、翔は礼を口にしながらコクピットへ乗り込む。
《翔、今回は一人だから私がアドバイスするわ》
《私達、だろ。翔、胸を借りるつもりで戦え。お前はまだ素人なんだからな》
コクピットへ乗り込み、計器を操作しているとブリッジにいるレーアとカレヴィからそれぞれ通信が入り、頷きながら操縦桿に手を添える。
《進路クリア! 発進どうぞ!》
「ガンダムブレイカー・フルバーニアン、行きます!」
カタパルトデッキまで到着したブレイカーFBにオペレーターからの通信後、翔はペダルを踏み込み発進するのだった……。
・・・
「ふふっ、どうやら発進したみたいだね! じゃあこっちも行こうか!」
アークエンジェルよりも下降に位置し、飛行する赤き超大型輸送機……アウドムラからブレイカーFBが発進したことを目視で確認した紫色の髪の女性はニヤリと笑みを浮かべる。
(アウドムラか……。果たしてどんな機体が出てくる)
一方、翔は降下しながら通信を入れてきたアウドムラのハッチが開いたことを確認しながら、どんな機体が出てくるかとモニターを見つめ続ける。
「……」
(生身の女……? って飛び降りた!?)
モニターを最大望遠でアウドムラの開かれたハッチを見続ける翔はそこから紫色の髪の女性がブレイカーFBを一瞥すると、迷い泣く飛び降りる姿を目撃し、目を見開く。
すると直後に女性に続くように小型の飛行メカ……コアランダーが発進する。
「出ろォオッ!! シャイニングゥッガンダアアアアァァァァァーーーームウゥゥツ!!!!!!」
紫色の髪の女性は指を鳴らし高らかに叫ぶと、女性の下へ飛び込んだコアランダーへ乗り込む。
「下から接近警報!? おいおい……あのコアランダーといい、まさか……ッ!」
すると女性の鳴らした指が合図となったのか、グレートキャニオンから一機のガンダムが飛び出し、女性のコアランダーとドッキングを果たす。
「アンタが相手になってくれんだね! アタシの名はフェズ、そしてコイツはシャイニングガンダムだ」
「……如月 翔、この機体はガンダムブレイカー・フルバーニアンだ」
ドッキング後、身軽なファイタースーツを装着した紫色の髪の女性……フェズは翔に通信を入れると、互いにそれぞれ己と愛機の名を名乗る。
「なら、翔! アンタに改めてガンダムファイトを申し込むよ!》
「シャイニングガンダム……。厄介な相手だけど不足はない」
フェズの活気ある言葉に翔もどこか釣られて心なしか、声量を大きくしながら答える。
「ならば……ッ! ガンダムファイトォオッ!!」
「レディィイッ!」
「「ゴォォォオッ!!」」
互いに高らかに叫ぶことで戦いの火蓋は切って落とされた。
「ペイント弾かい! 律儀に演習仕様にしたんだねぇっ!」
先に仕掛けるたのは翔だ。
ブースターを素早く吹かし、シャイニングの周囲を飛び回りながらビームライフルで射撃するブレイカーFBにフェズは射撃された弾がペイント弾であることを素早く見抜きながらも最小限の動きで回避する。
《翔、相手は接近タイプよ! 下手に接近を許せば危険よ》
「だろうな!」
レーアからのアドバイスが聞こえるが、そんなことは分かりきっている。
翔はバーニアを巧みに利用しながら、一定の距離を保つ。
「ちょこまかと!!」
飛び回るブレイカーFBにシャイニングは自身に装備されている射撃兵装であるバルカンとシャイニングショットを放つが、やはり避けられる。
「──超級ゥッ!!」
「ッ!」
このままでは埒が明かないと、まるで翼を広げた鳥のように両腕を広げ、なにやら構えのようなポーズを取るシャイニングに翔はとある技を連想して息を呑む。
「覇王ォッ……電影弾ッ!!」
「くぅっ!?」
するとシャイニングは回転を始め、自分の頭部以外をエネルギーの渦で覆い、突撃するとブレイカーFBは猛スピードで突進してくる頭部を露出した光弾に面食らったのもあって反応が遅れ、シールドでガードする。
「まったくいつも思うが、コクピットの中はどうなってるんだ!?」
「おっと!」
ファイタータイプのMSはモビルトレースシステムと呼ばれるシステムを採用し自身の動きがそのままMSの動きになるというものだ。
なので頭部以外が回転する超級覇王電影弾に対しての疑問を口にしながら翔は手の空いている腕部のガトリングを放つも、シャイニングは既の所で技を止め、避ける。
《その技はブラフだ! ソイツの目的は懐に飛び込むためだぞ!》
「ッ!?」
「気づいたところで遅いよ!!」
カレヴィからの通信にしまったとばかりに反応する翔だが、既に上空からビームサーベルを引き抜いたシャイニングが襲いかかってきていた。
「へぇ、今のに対応するかい!」
素早くビームサーベルを引き抜いてシャイニングのサーベルを受け止めるブレイカーFB。
その対応の速さに感心しながらもシャイニングはそのまま鍔迫り合い中のブレイカーFBを蹴り飛ばす。
「ぐうぅっ!!?」
衝撃がコクピット内を襲い、落下していくブレイカーFBにシャイニングは追撃しようと追ってくる。
「ゥッ……!! 負けて……たまるかぁっ!!!」
なんとか体勢を立て直したブレイカーFBは超級覇王電影弾を受け止めたことでボロボロのシールドをシャイニングへと投擲する。
「こんなもの……ッ!?」
シールドを払いのけようとするシャイニングだが、それは囮だったことにすぐに気付いた。
何故ならば、その後ろでブレイカーFBは素早く接近し、ビームサーベルでシールドを貫き、目くらましの意味を持たせながら、シールドごとシャイニングへ突き刺そうとする。
「あがぁっ!!?」
間一髪でビームサーベルを掠めるだけに留まったシャイニングだが、翔は素早くビームサーベルの出力を止め、ペダルを踏み込むとシールドごとシャイニングへタックルを繰り出し、シャイニングのコクピット内のフェズは衝撃で苦悶の声を上げる。
「ッ……! バルカァンッ!!」
タックルを続けるブレイカーFBにバルカンを放つことでブレイカーFBを引き剥がさせた。
「アンタ、中々やるじゃないか!」
「ソイツはどうも……。だけどアークエンジェルにいる他の二人はもっと強いよ」
「ハハッ! そいつは心強いね! 今度の地上作戦の時はアテにさせてもらうよ!
そこにフェズから通信が入り、翔を気に入ったのか、声を弾ませるフェズの声に翔もどこか楽しそうに答える。
翔の言葉にフェズはアークエンジェル隊の強さをある程度、認めていた。
「けど今は決着を着ける時だ!」
「望むところ!」
強さは認めるが、今は模擬戦の最中だ。
そしてその模擬戦も終局を迎えようとしていた。
「アタシのこの手が光って唸るゥッ! お前を倒せと輝き叫ぶゥッ!!」
(来るか、あの技がッ!!)
フェズがなにやり前口上を叫びだすと翔はその内容からある技を連想して身構える。
「シャァァァァイニングゥッ!!! フイィンッッガアアァァァァァァァァァァァァアーーーーーーーァアッッッッ!!!!!!!」
するとシャイニングはアームカバーのカバーを解放、ショルダーカバーとレッグカバーを開放し、頭部のフェイスカバーを展開させ機体性能が大幅に上昇するスーパーモードへ変化すると液体金属に包まれたエネルギーを纏った緑色に輝いた右手……シャイニングフィンガーをブレイカーFBに向けて突撃する。
「やれるかッ……!」
直撃する直前に全てのブースターとバーニアを利用して僅かに飛び上がったブレイカーFBはもう一本のビームサーベルを引き抜くと両手で二本併せ持つ。
「こんなものオォォッ!!!」
両手で持つ二本のビームサーベルを同時に出力最大で巨大なビーム刃を出しシャイニングへ斬りかかるとシャイニングを駆るフェズは空気を震わすように叫びながらシャイニングフィンガーでビーム刃を受け止める。
「グゥゥッ……!!!」
「ッ……!!」
両者の膨大なエネルギーのぶつかり合いは拮抗し、周囲にスパークを発生させる。
だが、そんなことよりも二人は目の前の決着を優先していた。
「ウッオオオオォォォォォォォォォォーーーーーッッ!!!!!!!!」
フェズは勝つのは自分だとばかりに咆哮を上げる。
その気合に突き動かされたようにシャイニングは出力を上げ、ブレイカーFBのビーム刃を握りつぶすようにかき消すと、そのまま突っ込んでくる。
「ッ……?」
シャイニングフィンガーの直撃を受けると感じた翔は咄嗟に目を瞑るが衝撃はいつまで経っても襲ってこない。
「勝負あったね。良い勝負だったよ、これなら安心して背中を任せられる」
ゆっくりと目を開ければ、ブレイカーFBの頭部のギリギリのところで手を止めたシャイニングの姿があり、フェズは翔の強さを認め、快活な笑みを浮かべるのであった。
(……シャイニングはまだ本気を出していない。あの余裕や機体の状態を見てもわかる)
シャイニングガンダムをある程度理解し、その知識通りの機体であればシャイニングガンダムはまだ更なる力を秘めている。
また余裕ある声色のフェズとは対照的にいっぱいいっぱいの翔はフェズの実力が己より格上であることを実感する。
「また挑戦させてください。俺、強くなります……。今度は俺が勝ちたいから」
「おっ、良いね。そう言うチャレンジ精神は嫌いじゃないよ。さっ、地上作戦に備えて合流しようじゃないか」
消耗の激しい翔を見兼ねてかシャイニングはブレイカーFBを支えると接触回線で再戦を望む。
その翔の心意気に感心しブレイカーFBを引っ張ってアークエンジェルへ向かうのだった…。
今回は殺し合いではなくあくまで学び自身の実力を知る意味で模擬戦を翔にさせました。なので純粋に全力を出した翔的にはスポーツ感覚に近い感覚での戦いでした。
Gガンはガンダム作品で一、二を争うくらいには好きな作品です。終盤のシュバルツの回には声優さんの熱演もあって涙も出ました。
後ゲームのシャイニングガンダムは一式揃えても超級覇王電影弾は使えませんが、あくまでフェズは免許皆伝の実力者として使えたということにしてます。一応、フェズの流派は流派東方不敗を準拠としています。弟子があの技を使っていたので…
今後の展開はこの後、合流し本編通りグレートキャニオン攻略作戦が始まります。その前にカレヴィはフェズに翔とレーアを任せる形で一時期離脱しますが…。