機動戦士ガンダム Silent Trigger   作:ウルトラゼロNEO

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活動報告にも書かせていただきましたが、この度は誤投稿の件、誠に申し訳ございませんでした。私に出来ることは二度とこんなお粗末な出来事を起こさぬよう頑張らせていただきますので今後もよろしくお願いします。


パナマベース─未来は誰が掴む─

 

「それでは師匠……。行って参ります」

 

 ギアナの地にて、短くも、それでいてえ濃密な精神鍛錬を終えたフェズは目の前のヤマトに頭を下げて、コアランダーへ乗り込む。

 

「フェズさん、もう行っちゃうの?」

「悪いね、リン……。アタシを待ってる奴らがいるからさ。少林寺拳法の稽古頑張るんだよ」

 

 コアランダーの近くでリンが寂しそうに上目遣いでフェズに話しかけると、フェズは柔らかい笑みを浮かべて、彼女の頭を撫でる。

 寂しい気持ちに変わりはないが、邪魔をするつもりもないと寂しさを堪えながらリンは発進の邪魔にならないように数歩下がる。

 

「フェズよ、我々は神ではない。救えない命だってある……。だが諦めない限りはその手を伸ばせ。最後まで抗うという覇王不敗流の教えを忘れるな」

「ええ。それでは」

 

 目を閉じ腕を組みながら、覇王不敗流の教えを改めて伝えるヤマトに確かに頷いたフェズはコアランダーを操作して、その場を飛び立っていくのであった。

 

「フェズさん、大丈夫かな……」

「……」

「って……ちょっと!?」

 

 見送りながらリンは心配そうにフェズを案じているとヤマトは踵を翻し、静かに愛機であるマスターガンダムへ向かう。

 一体、どうするつもりなのかとリンも慌てて、その後を追うのだった。

 

 ・・・

 

「海中だからって……ッ!」

 

 一方で初めての水中戦で表情を険しくさせながらもレーアはエクシアを巧みに操作して近くのアッガイ二機へ向かっていくが、アッガイ二機は同時に腕部ミサイルランチャーを撃ち始める。

 泡を引きながら接近する無数のミサイルにレーアは息を呑みつつもシールドでガードするが、直撃した影響で海面では水蒸気爆発も起こった。

 

「やったか……ッ!?」

 

 アッガイのパイロットは沸きあがる水泡で前方が見えない為、撃破したと思わず呟くが、その期待とは裏腹にエクシアが水泡から飛び出してくる。

 

「いっけぇえっ!」

 

 レーアが叫びを上げながら素早く接近してGNソードを展開すると、一回転しながらその勢いで一機目のアッガイを両断し、素早く近くのアッガイへ標的を移す。

 至近距離のエクシアに息を飲むアッガイのパイロットだが、エクシアは腰部のビームダガーを素早くアッガイに投擲することによって、動きが鈍くなったところをすかさずGNソードで袈裟斬りで切り捨て、爆発させる。

 

「……エクシアの太陽炉の性能に助けられたわね」

 

 初めての海中戦は流石に気疲れがドッと出てくるが、何よりエクシアの汎用性に助けられた部分が大きい。

 それを自覚しているからこそ、ヘルメットのバイザーを上げ、汗を拭いながら己も翔だけではなく強くならねばと実感するのだった。

 

 ・・・

 

 一方でティアのヘビーアームズは大型のビームガトリングと胸部ガトリング砲で迎撃し、その無数の銃弾にズゴック二機も直撃する。

 ガトリングが直撃している隙にホーミングミサイルを素早く射出する。ミサイルはズゴックに直撃し再び水蒸気爆発が起こった。

 

「これで……ッ!」

 

 視界が利かない状況下はヘビーアームズもズゴック二機も同じだ。

 ティアは味方機であるブレイカーFBとエクシアは近くにいないことを素早く確認すると、ガトリングを発射することによってトドメを刺す。

 

「……また兄さんには数撃ちゃ当たるなんて言われるんだろうな」

 

 水泡が消え、視認できる頃には蜂の巣と化したズゴックの残骸が無残にも海の底に沈んでいた。その光景を見つめながらティアはため息をつくようにうな垂れるのだった。

 

 ・・・

 

「クソッ……!」

 

 更にブレイカーFBの方では縦横無尽に動き回るズゴックとアッガイに苦戦を強いられていた。

 ハイパーバズーカを撃っても無誘導の為、直撃することも掠る事すら出来ない。翔の額には尋常じゃない程の汗が吹き出る。

 

「うあぁっ!!?」

 

 動き回るズゴックは素早くブレイカーFBに近づき突進してくる。

 シールドで防いだものの直撃を受けたブレイカーFBのコクピットは激しく揺れ、悲鳴を上げる。

 そのままブレイカーFBに組み付いて、クローでブレイカーFBのメインカメラを掴み、爪痕のような傷をつける。

 

「舐めるな……よッ!」

 

 シールドを捨てたブレイカーFBはそのマニピュレーターでズゴックの腰部を殴りつけると、凹んだ箇所にそのまま腕部ガトリングを発射して、ズゴックが小破する。

 

 そのままメインカメラを掴むクローの間接部を掴み、そのまま無理やり引きちぎる。

 拘束が外れたことにより自由になったブレイカーFBはビームサーベルを引き抜いてズゴックの両足を切断し、地面に倒れるズゴックのクローを足で踏み潰す。

 

「やれるか……!」

 

 残ったアッガイとの戦闘が始まる。

 最後の一機となり行動を移そうとするアッガイにハイパーバズーカで迎撃する。

 意図的にアッガイの近くの岩場にぶつけると岩場は破壊され四方八方に細かくなった小岩が散弾のように吹き飛ぶ。

 激しく吹き飛ぶ小岩が直撃し、動きが制限されるアッガイに素早くブレイカーFBが近づき、バズーカを発射すると、撃墜には至らなかったものの中破には成功する。

 

「これで武装は使えない……っ! ここは基地の近くなんだろう? 後は拾ってもらうのを祈るんだな……!」

 

 腕部のガトリングで残った武装を破壊するブレイカーFBはそのままアッガイとズゴックを放置するとエクシアとヘビーアームズと共に海面へ浮上する。

 

 ・・・

 

「聖拳突きィイッ!!!」

 

 海面から飛び出した三機のガンダムはいまだ続く戦闘の様子を目の辺りにする。

 海岸基地ではZプラスはWR状態でガフランに突撃し、迎撃のビームをかわしつつ変形、MS形態となって突撃の勢いを殺さずにマニピュレーターを突き出してガフランを撃破する。

 

「うおっ!?」

「護衛機も全滅たぁな……。自分が情けないぜ」

 

 一方、XDVとプロトゼロを同時に相手をしているにも関わらず、優位に立っていたケンプファーは鍔迫り合いの最中であったプロトゼロを蹴り飛ばし、カイリはセンサーで味方機の識別信号が海中の二機を除いていないことに気づき、己の無力さを噛み締める。

 

「チィッ……! ガンダムが6機も相手ってのは分が悪いな」

 

 海中から浮上してきたブレイカーFBとヘビーアームズがガトリング砲を駆使して援護射撃を開始すると全てのブースターを使い、滑るような軽やかな動きでガトリング砲を全て避けたカイリは状況を冷静に分析する。

 

「引き上げさせてもらうぜ……。命あっての物種だ」

 

 大切な部下を失った悔しさはあるが、ここで感情的に動けばまず自分がやられてしまう。

 それなら一度は基地に戻り、残った部下と来るべき時に弔い合戦を行った方がまだ有用である。

 ショットガンを捨て、ケンプファーのジャイアントバズⅡを地面にありったけ発射することによって爆風を起こし、その隙にその高機動力を活かして戦線を離脱する。

 海中にいる部下の回収も考えたが、今の状況でガンダム6機の中を装甲の薄いケンプファーで突破して回収して帰投するのは得策ではないと素早く判断をしたのだ。

 去りゆくケンプファーに追撃も考えたが、ここはコロニー軍にとって大きな基地の周辺。深追いは禁物だ。

 

「グラン……」

「っんだよ、カレヴィ。随分辛気臭ぇ顔してんじゃねぇよ」

 

 そんな中、グランにカレヴィが通信を入れる。

 グランが見るとそこには申し訳なさそうな表情を浮かべるカレヴィだったが、グランはそのことが心底可笑しそうに豪快に笑う。

 

「サテライトキャノン分の借りは返してもらったぜ。これで貸し借りなしだ」

「しかし……」

「俺が良いっつてんだ。それで良いだろうに。もうすぐフリーデンが来る。ここに橋頭堡を築くからその後にアークエンジェルを迎えよう」

 

 あえてカレヴィを気遣って軽口を言うグランに対し、やはり申し訳なさがあるのか表情を曇らせるカレヴィ。そんなカレヴィを見兼ねてため息気味に話すのであった。

 

 ・・・

 

「……なにか2人の間であったのかな?」

「カレヴィの様子からそうなんだろう。もっとも俺達には知る由もないが……」

 

 フリーデンの姿が見え、こちらに向かってくるのをモニターで確認しつつXDVとプロトゼロの通信を傍受していたショウマは近くの翔に通信を入れると翔も気にはなっているのか、プロトゼロの方向を見つめる。

 

「──カレヴィ・ユハ・キウルはかつてプロトゼロの暴走でグラン・ライスター少尉のガンダムXと交戦、プロトゼロは抑えることが出来たけどサテライトキャノンを破壊しグラン・ライスター少尉の利き目である左目を奪った……。そういう関係よ」

「えっ!?」

「……ッ」

 

 すると通信が割り込んできたティアから冷ややかにカレヴィとグランの間に起きた事件の詳細を告げられると何も知らなかったショウマ達は衝撃を受ける。

 

「おい、ティア!」

「事実じゃない。軍でも兄さんを知る者は大体知ってるわ。貴方達だって分かるでしょ? MSパイロットにとって利き目が見えない恐ろしさは」

 

 咎めるように叫ぶグランに兄に言われたことでバツが悪そうな表情を浮かべ、逃げ口を探すように翔達に同意を求める。

 MSパイロットにとって利き目が見えないというのは大きな負担となる。それが分かっているからこそ翔達は答えないものの表情を曇らせる。

 

「……ああ、事実だ。俺は暴走し、騒動を聞きつけ派遣されたグランの小隊と交戦して、その小隊に損害を出して……何よりグランの利き目まで奪っちまった」

 

 咎めるグランに対し、ティアに同意するカレヴィ。

 カレヴィの通信越しの言葉に翔は考えるように俯く。

 ゼロシステムの情報は一応は知っている。知識通りならば危険なシステムだが、カレヴィに異常は見れない。だがらといって安心しきれないのだ。少しでも精神的に弱っていたならば危険だ。

 

「……今は大丈夫だ。俺はもう過ちは繰り返さない。ゼロが示した未来じゃねぇ。俺は俺の意思で未来を掴み取る。ゼロには二度と屈しねぇ。これは俺の宣誓でありグランへの誓いだ」

 

 自身の決意を静かに、それで言って熱を篭った口調で強く言うと、それを聞いたティア以外のパイロット達は微笑む。

 

(……中々、良い眼をするようになったじゃねぇか、カレヴィ)

 

 それはグランも同じだった。

 口元に柔らかい笑みを浮かべるグランはカレヴィに期待をすると共に過去のプロトゼロとの死闘を思い出すのだった。




ということで、あっさり気味ですがカイリとの戦闘終了です。海中戦は地味にいつも以上に難しかったです。次回はプロトゼロVSXの過去編を少し書き、フェズも合流し本格的に地上作戦が開始されます。

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