機動戦士ガンダム Silent Trigger   作:ウルトラゼロNEO

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機動戦士ガンダム INFINITY─愛戦士達─

 翔とナオキがシャンブロを撃破して数日後、雪山を再現したジオラマ、その頂上で白熱のガンプラバトルが行われていた。

 エフェクトによって振り続ける吹雪の中を強引に突っ込んで来るのはOVA【機動戦士ガンダム 第08MS小隊】に登場する架空の機動兵器・アプサラスⅡだ。

 

 

「……随分とアグレッシブだな」

 

 それを相手にするのは翔、あやこ、LYNXの三名だ。

 あやこはドムをカスタマイズした白色を中心としたカラーリングのメディックドム、LYNXはアストレイブルーフレームセカンドリバイをカスタマイズしたアストレイダークフレームSHを使用している。

 

 一方で翔が操作するのはカスタマイズの施していないフリーダムガンダムだ。

 カスタマイズを施していないとは言え、それでも完成度で言えば他の2機に遅れは取らない性能だ。

 それを証明するかのように突然、自分をすり潰されそうと自分めがけて、突っ込んできたアプサラスⅡの攻撃を難なく避けると、そのまま反転してクスィフィアス砲とバラエーナ砲を同時展開、フリーダムガンダムを象徴するであろうハイマットバーストを発射して、全てのビームはアプサラスⅡに直撃し、その動きを止めた。

 

「このタイミングでEXだッ!!」

 

 動きを止められたアプサラスⅡにLYNX操るアストレイDSHが急接近する。

 一気に雪原を蹴り、飛び上がるとグランドシェイカーを放ち、隕石のような一撃はアプサラスⅡの表面を凹ませるほどの威力を見せつけ、すぐさま離脱するとフリーダム達と合流する。

 

「皆さん、私の後ろにっ!!」

 

 後一歩のところでアプサラスⅡはその場で急回転し、勢いをつけるとともに回転したままメガ粒子砲を発射する。

 

 これは直撃したら危険だ。

 あやこが翔とLYNXに呼びかけ、二人が指示通り、あやこのメディックドムの背後に隠れると、メディックドムは手に持つガンダムシールドを突き出し、これを何とか受け止めた。

 

「如月さん、トドメは任せます」

「了解」

 

 メディックドムの背後に隠れながらLYNXが翔に通信を入れると、翔はGAIOSを覚醒させ、機体を赤みを帯びた光が包み込む。

 同時にメディックドムに守られている間にハイマットモードで一気に下降し、地面スレスレを進みながら、アプサラスⅡの近くまで来て、一気に上昇する。

 

 シールドを突き刺し、動きを止めるとメガ粒子砲の砲口にフリーダムのマニピュレーターを突き刺すように放ち、砲口を破壊するとそのままクスィフィアス砲を展開して、そのまま損傷を与えた砲口に撃ち続け、アプサラスⅡを撃破するのだった……。

 

 ・・・

 

「お疲れ様ですっ」

「やりましたね」

 

 アプサラスⅡを撃破し、シミュレーターから出てきた翔に一足先に待っていたあやことLYNXが出迎え、それぞれハイタッチをして喜びを共有する。

 

 《──ハ~イ! こちらはGGF(ガンダムグレートフロント)特設スタジオよ! 巨大MAアプサラスⅡの撃破、おめでとうございます! いつもながらの華麗なプレイお見事でした!》》

 

 すると三人の前に立体映像が現れ、そこにはあのイベントMCが映っていた。

 イベントMCの褒め言葉に、はにかんだ表情を見せる三人は年相応に可愛いものだ。

 

 《プレイヤーの皆さんのプレイは【新しい名場面が無限に生まれる】というこのバトルゲームのテーマに相応しいものになっております。お陰でバトルライブGは大盛況! ライブステージ前にはお客さんがいつも殺到して、整理券が必要かも? という状況になっちゃってます! 特にあなた方のプレイは人気で固定のファンまで付き始めてますよ!》

「なんだか凄いことになってますね……」

 

 イベントMCはワイプを出して、ライブステージを映す観衆モニターの状況を見せる。

 そこにはまさに人が粒に見えるほど、人でごった返しており、中々の賑わいだ。

 その事に思わずあやこが苦笑してしまう。事実、彼らには固定のファンが付き始めていた。

 

 《さて、アプサラスⅡを撃破したみなさんに更に激しく熱いミッションへ身を投じていただきます! あなた方のランクまで到達したプレイヤーさんはまだ多くはありません、今まさにトップグループのプレイヤーの一人なっていますよ!》

「ますます頑張らないといけませんね」

 

 翔とナオキが撃破したシャンブロ、そして今回のアプサラスⅡ。

 どうやら新しいミッションを行うためのランクアップは大型MAの撃破が鍵のようだ。

 イベントMCの言葉にLYNXは自信を感じさせる。

 

 《GGF(ガンダムグレートフロント)の開催期間も半分を過ぎました。バトルライブ、そしてあなた方のプレイを楽しみにしているみなさんのためにもこれからも頑張ってください!》

 

 イベントMCが言葉を締めくくると翔達の前に流れていた立体映像が消える。

 その場に残された翔は言葉は発しないもののその瞳はまさに少年のような情熱が満ちていた。

 

 ・・・

 

 イベントMCからの話を聞き終え、隊長からはこれからの戦場には最強クラスのMSが配備されるだろうと告げられた。そこで一つ、翔は考えていることがあった。

 

「──あれ、どうかしたんですか?」

「ん……」

 

 翔が今いるのがGGF(ガンダムグレートフロント)の為に拡大出店したガンダムカフェだ。

 昼食の為に訪れ、席に座って頬杖をついていた翔に居合わせたあやこが声をかける。

 その腰まであるのではと思う黒く艶やかな髪を靡かせながら、同席してもいいですか、と彼女は翔に同席の了解を尋ねると、言葉は発しないものの手で席を勧める翔に笑顔で向かい側に座る。

 

「……そろそろ俺も自分のカスタマイズしたガンプラを作ろうかなって」

「あー……なるほど。実は私もそろそろメディックドムから違うのにしようかなって考えてたんですよ」

 

 翔は今までジムやフリーダム、他にもνガンダム、ユニコーンガンダムなどといった様々なガンプラをカスタマイズせず、そのまま使っていた。

 

 しかし、これから戦況も厳しくなってくる。

 周りが自分好みのカスタマイズを行っているようにそろそろ自分もカスタマイズしたガンプラを作ろうかと考えていたのだ。

 するとそれは、あやこも同じだったのか彼女も同意しつつ期間限定のドリンクを飲みながら答える。

 

「GAIOSはどんどん学んでくれてる……。今のGAIOSとなら、色んな事だって出来る。そんな気がするんだ」

「そう言えば、私達の隊で初めて“覚醒”をしたのって如月さんでしたね」

 

 翔の言葉にあやこはある出来事を思い出す。

 それは翔が仲間達とミッションを行い、その最後に現れたPG(パーフェクトグレード)クラスのZガンダムとの戦闘中、後一歩のところでZガンダムは異常な発光を見せ、所謂ハイパー化をした。

 そしてそれに対抗するかのように翔のGAIOSも翔のガンプラを発光させ、機体の性能を急上昇させた。

 その後、バトルシステムの開発リーダーが個人的に連絡を取って来た所、PG機体とプレイヤー機の発光現象は翔だけに起きていたわけではないらしい。

 開発部はあの現象を“覚醒”と呼び、そもそもあの現象は開発部の意図するものではなく想定外のこととのこと。

 しかし覚醒はバトルシステムにとってはバグやエラーとは認識してはおらず、それがシステム上問題なく稼働し、ゲーム性や攻略性を向上させるものならば詳細を調査し仕様化することを考えているらしい。

 言葉通り、現在では翔以外の者達も覚醒を行っている者もちらほら見受けられる。

 

『しかし君のプレイ、そしてパートナーGAIOSは特に目を見張るものがある。これからも最優先の調査対象として君のプレイを追跡させてもらいたい。君のプレイスタイルは個人的にも好みなのでね……。君とそのGAIOSがどこまで行けるのか楽しみにしているよ』

(……まぁ……期待されるのは悪い気はしないが)

 

 開発リーダーとのやり取りを思い出しながら、自分もあやことは違う期間限定ドリンクを口にしながら考える。まず自分のプレイスタイルに合わせて考えなくてはいけない。

 

「……私も新しいカスタマイズ機作ろうと思うので一緒に良いですか?」

「良いよ、別に。けどすぐにはイメージが分かないから色んな人達のを参考にしようと思ってる」

「やった、ありがとうございます! 如月さんもガンプラ作り上手いですし、色々と教えてください!」

 

 あやこが少々、遠慮気味に尋ねてくると特に問題もないため翔はそれに頷くも他の人達は一体、どんなガンプラを作ったのか、参考にする為、善は急げと言わんばかりに立ち上がり、あやこもその後ろをついて行きながら人懐っこい笑顔を浮かべる。

 

 ・・・、

 

「んっ? 二人揃ってどうしたの?」

 

 このGGF(ガンダムグレートフロント)の会場にはプレイヤー専用のガンプラを作る作業ブースがある。

 そこに翔とあやこの二人がいた。

 なぜならそこには他のプレイヤー達がいるからだ。二人に真っ先に気づいたのはアカネだった。二人は今までの経緯を説明する。

 

「あーっ……成程ね。二人もそうだったんだ……」

「というと……?」

「そう、私も。ううん……私だけじゃなく他のプレイヤーさん達もランクアップとともに新ガンプラを作ろうとしてるの。そして私もそろそろ出来そうなの」

 

 合点がいったように顎に手を添えながらうんうんと頷くアカネにあやこは可愛らしく首をかしげる。

 するとアカネは身体をずらして、その背後のテーブルに置いてあったガンプラを見せる。

 

「バーニングゴッド……。この大会で学んだこと、そして真龍館で学んだこと、私の全てを注ぎ込んだガンプラなの。まだまだ調整は必要だけど形にはなったわ」

「バーニングゴッド……」

 

 ゴッドガンダムをベースにバックパックにオーライザーを取り付けたそのガンプラはグレーが中心のカラーリングだが、所々でその名に恥じぬ紅色が塗られていた。

 アカネは調整が必要だと言っていたが、今の見た感じでも惚れ惚れする。翔は食い入るように見つめていた。

 

「──見るならこっちも見てーっ!」

「ルミカさん! ……っと、それはノーベルガンダムですね」

 

 二人がバーニングゴッドに釘付けになっていると、横から割って入ったのはルミカだ。

 彼女もガンプラを作っていたのか二人に見せる。そのガンプラはあやこの言うようにノーベルガンダムなのだがバックパックはランドセル、そして彼女らしいピンク色のカラーリングだ。

 

「みんな、良い機体ばかりだなぁ」

「ダイテツさんっ……。その機体は……っ!」

「やはり俺らしさを出したいからね」

 

 ガンプラについて話し合っていると、ダイテツが話に入ってくる。

 もはやファンである翔は心なしか嬉しそうな表情を浮かべながら、ダイテツの持つガンプラに気づくとダイテツはそのガンプラを見せる。

 それはフルアーマーダイテツの名に恥じぬ、ヘビーアームズをカスタマイズしバックパックにI.W.S.Pを取り付けたものだ。

 その後、その場にいた制作を始めたばかりのレイジやLYNX、ユーゴから意見を聞いていた。

 

 ・・・

 

「みんな、自分らしく、そして今までの全てを注ぎ込んだ凄いものばかりだったな……」

「ええ、正直、みなさんのガンプラに圧倒されちゃいました」

 

 その後、二人は制作室の片隅に腰掛けながら仲間達のガンプラを思い出す。

 まだ未完成とは言え、あそこまで人を魅了するのはクオリティだけではなく、作った本人の想いがあるからだろう。

 

「俺……ベースのガンプラはHi-νガンダムにする」

「えっ……でも、如月さん、ファンネルは……」

 

 自分達も負けてはいられない。いま手持ちのランナーから選んだ翔の機体のチョイスにあやこは意外そうな顔をする。

 何故ならば翔はファンネルが苦手だと言っていたからだ。

 以前使った際、GAIOSもいきなりファンネルは難しかったのか動きが単調だった。

 マニュアルでやったのだが上手くコントロールが出来ず、簡単に言えば複数のラジコンを同時に動かす感覚だろうか。

 

「俺だけだったらファンネルは使いこなせない……。けどGAIOSがいる……。俺はここで戦って色んな人に出会い教えられた。けどそれは何時だってGAIOSと一緒だったんだ……。GAIOSと共に戦うならきっとファンネルだって……」

 

 だけど今は違う。今の自分とGAIOSならば出来る。そう確信があった。

 

「……なら、私はサザビーにします」

「サザビーか……。良い機体だな」

「はいっ! お互い頑張って作りましょう!」

 

 あやこはどうやらベースにサザビーを選択したようだ。

 翔の言葉に笑顔を向けるあやこ。こうしてHi-νとサザビーのカスタマイズが始まった。

 

 ・・・

 

「……くそっ」

 

 あれからミッションの合間を縫ってガンプラ作りに勤しむ翔だが、机に肘を置き。手は髪を掻き毟るように動かしている。

 少しスランプのような状態だった。

 それはというのもガンプラ作りが上手くいかないのだ

 

「どうしたんだね、如月君」

「ソウゲツさん……」

 

 そんな翔を見兼ねてシンイチロウが声をかける。

 気づいた翔にシンイチロウは横、失礼するよ、と翔の隣に腰掛ける。

 

「……なんだかガンプラ作りが上手くいかなくて……。ファンネルもそう……全てが上手くいかない……。他のプレイヤーさん達のガンプラを思い出すとこんなんじゃダメだ、ってなるんです……」

 

 ガンプラのカスタマイズの前に見たのがいけなかったのか、翔は知らず知らずにプレッシャーを受けていたようだ。それが機体作りに反映され、上手くいかなくなっていた。

 

「如月君、君はナーバスになって大事なことを忘れているぞ」

「えっ……?」

 

 それを聞いたシンイチロウはまるで困った我が子を見ているかのような優しげな苦笑を浮かべ、翔に話しかける。

 大事なこととはなにか、翔はシンイチロウの顔を見て、続きを待つ。

 

「ガンプラ作りというのは何時だって楽しんでやるものだろう? 君がガンプラを作ってきた理由はなんだ? 好きだからだろう? 作業のように険しい顔をして作るものではないはずだ」

「楽しむ……」

「それにもう一つ、私達は共に戦ってきたガンダムブレイカー隊の仲間だ。いつだって仲間に頼る事も忘れちゃいけないぞ」

 

 少しでもダイテツなどのガンプラに追いつくために必死になって作っていた。

 その過程でガンプラを楽しむ気持ちを忘れていた。シンイチロウの言葉に心の中のもやが晴れていく気分だ。

 シンイチロウは翔の肩に手を置く。それは悩むのなら自分達仲間を頼れという表れだ。

 

「……じゃあシンイチロウさん……手伝ってもらってもいいですか……?」

「喜んで引き受けよう。私もファンネルタイプのガンプラを作っていた最中だからね」

 

 元々、人に頼むようなタイプではなかったからか、おずおずとシンイチロウに頼みこむ。

 するとシンイチロウは穏やかながらも少年のような笑顔を浮かべ、快諾する。

 

「さて如月君はどんな機体だ? サザビーか? キュベレイか?」

「ガンダムです」

「……」

「ガンダムです」

 

 ジオン系にしようよ

 

 やだよ

 

 そんな風に目で会話する二人。

 するとシンイチロウはまさに絵文字などのショボーンとした表情を浮かべる。

 生粋のジオンオタクな彼の中ではガンダムという選択肢がなかったのだが翔はそもそもHi-νガンダムでのカスタマイズを望んでいたのだ。

 そんな事もありながらも翔はシンイチロウの教え、そしてダイテツやアカネ達など仲間達に教えられたこともあって着々と自分が望んだガンプラを作り上げていく。

 

 ・・・

 

「──如月さん、私出来ましたっ!!」

「……それ?」

「はいっ! F-ナイチンゲールです!!」

 

 あれから数日が経ち、最終日へと近づくなか、制作室のテーブルに突っ伏して眠っていた翔を起こし、あやこが見せたのは白いサザビーだった。

 いや、厳密には違う。

 胴体と手はキュベレイ、バックパックはシナンジュといった組み合わせの純白のカスタマイズ機だ。しかしそれらはアンバランスではなく綺麗に纏まっていた。これには寝起きの翔も唸る。

 

「如月さん、このガンプラは……?」

 

 すると、あやこは翔の前のテーブルに置かれたガンプラに気づく。

 確かにHi-νガンダムを彷彿とさせるが所々のパーツが違い、なによりもその出来栄えは今までの翔のガンプラとは段違いなのだ。

 

「このイベントで培った経験……。今の俺に向いているガンプラ……。ガンダムブレイカー0だよ」

「ゼロ……。この作りこみ……凄いです尊敬しちゃいます! 如月さん私にも技術を教えてくれませんか!?」

 

 ガンダムブレイカー(ゼロ)……。頭部、バックパックはHi-νガンダムであるのだが、腕部はユニコーンガンダムDM(デストロイモード)、脚部はストライクフリーダムガンダム。胴体とカラーリングはどちらかというとνガンダムであり、全体的にνガンダムに近い機体だ。

 その機体の完成度にあやこは興奮気味に翔に迫ると翔は苦笑気味に笑い……。

 

「俺だけで作ったんじゃない……。俺は今までここで色んなことを学んだ。だから俺はこのガンプラにガンダムブレイカーの名を与えた。皆でここから……0から進んでいくんだ」

 

 翔だけでは決して作れなかった。

 だが、ガンダムを愛しガンプラを愛するガンダムブレイカー隊の戦士達が導いてくれたから、このガンプラは存在するのだ。

 そんな翔の想いに触れあやこは優しげな笑みを浮かべる。

 しかしその表情もやる気に満ちたものに変わる。

 簡単だ。出来たのであれば動かしたいと思う。それは翔も同じなのか彼女に頷いてガンダムブレイカー(ゼロ)を手に取り、シュミレーターへ向かう。

 

 ・・・

 

「よぉ、翔。出来たみたいじゃん」

 

 シュミレーターに到着した翔とあやこ。

 するとそこにはガンダムブレイカー隊の面々が待ってましたと言わんばかりに出迎える。代表してナオキが声をかけ、翔は力強く頷く。

 

「よし、ならば翔、ナオキ、あやこプレイヤー三人に最終フェーズへのミッションを遂行してもらう」

「「「了解!」」」

 

 翔とあやこの様子を見て、隊長は最終フェーズのためのミッションを翔達に言い渡すと若者三人はシュミレーターへ移動する。

 

「見せてもらおうか、今の君の成長とやらを」

「任せてください」

 

 最後にシンイチロウとやり取りをしてシュミレーターに乗り込む。

 寧ろ言われなくても見せたかった。このガンプラを作る事が出来たのはシンイチロウのお陰でもあるからだ。

 

 ・・・

 

 《機体チェック、GAIOSリンク、オールグリン! 発進どうぞ!》

「ストライクレッド改行くぜっ!!」

 

 オペレーターからの指示に真っ先に出撃したのはナオキだ。彼もまた例に漏れず機体をカスタマイズしていた。その機体はエールストライクをベースに脚部はアストレイレッドフレーム改のものだった。

 

「F-ナイチンゲール出ます!」

 

 その後に続いたのはあやこだ。

 その巨体なガンプラは嘘のような機動性を見せ、出撃していく。

 

「如月翔、ガンダムブレイカー(ゼロ)行きます!」

 

 最後に発進したのは翔のブレイカー0だ。

 カタパルトを出た三機は荒野のジオラマを駆ける。

 他のガンダムブレイカー隊の面々、そしてバトルライブGのライブステージ前では機体を変えた翔達の戦闘を見ようと集まっていた。

 

 《前方に敵巨大兵器を確認! 目標・拠点防衛用MAゲルズゲー!》

「俺達がマジスゲー! ってところを見せてやろうぜ!」

 

 オペレーターの報告通り、前方には今回の相手であるゲルズゲーを確認できた。

 するとナオキは翔とあやこに通信を入れ、活気をつけようとするも翔は呆れ顔、あやこは苦笑いだ。

 

「おれが滑ってるみたいな空気止めろよな!」

 

 二人の反応に居た堪れなくなったナオキは叫びながら、ブレイカー0のレール砲とビームライフル、そしてF-ナイチンゲールのビームマシンガンと共に射撃を開始するもゲルスゲーの両肩部装甲上に装着された陽電子リフレクターで防がれてしまう。

 

「真正面がダメなら……。GAIOS!」

 

 ビームが防がれる様を見て、翔は叫ぶ。音声認識されたのかGAIOSはフィンファンネルを展開、GAIOSのサポートと共にファンネル達は陽電子リフレクターの展開されていない後方へ凄まじいスピードで回り込み射撃攻撃を浴びせる。

 

「サポートは私がっ! だから二人は前に進んでください!!」

 

 小煩いファンネルを操るブレイカー0を落とそうとゲルズゲーがアームのビームライフルからレーザーのようなビームを撃ってくると、それをF-ナイチンゲールが前に出て受け止め、翔とナオキに通信を入れる。二人は頷き……。

 

「ああ! 俺達はこの感情のまま前へ走り続けるんだ!!」

「そう、自分らしく……このッ……気持ちのままッ!!」

 

 ナオキと翔は叫ぶ。

 ガンプラを作るのは楽しい。

 そしてそれでバトルをするのはもっと楽しい!

 この楽しみ続ける気持ちのまま突っ走るんだ。

 

 そう二人の気持ちは一致し、同時にGAIOSを覚醒させ機動力を活かしてゲルスゲーを翻弄しつつ接近する。

 

「俺の距離だァッ!」

 

 ゲルズゲーが苦手とする接近戦に持ち込む覚醒状態の2機。

 ナオキのストライクレッド改はガーベラストレートとタイガーピアスの二刀流で舞い上がるようにクルリとクローを切断する。

 

「ここでは止まれない……。俺達皆で……最後まで!」

 

 背後から上半身が剥き出されているストライクダガーに組み付き、ゼロ距離でレール砲を発射するブレイカー0はそのままビームトンファーを展開し背後から装着された陽電子リフレクターを貫く。

 

 するとゲルスゲーはスラスターを使い、振り落とそうとするもいつの間に回り込んだF-ナイチンゲールが発動させたEXアクション、バーサーカーバレットとブレイカー0のファンネルによって破壊される。

 ファンネルはブレイカー0の下へ戻せると、ブレイカー0はクルリと一回転しストライクダガーから離れ、ストライクレッド改の隣に着地する。

 

「「いっけええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーっっっ!!!!!!!!」」

 

 ブレイカー0はビームトンファーを、ストライクレッド改はガーベラストレートを天につき出し、覚醒によって肥大化された刀身をそのまま熱き思いのまま振り下ろし、ゲルズゲーを撃破する。

 その映像にガンダムブレイカー隊の面々は嬉しそうに頷いたり、安堵したりと様々な反応を見せ、ライブステージ前も盛り上がりを見せていた。

 

 ・・・

 

(凄い性能だ……。俺一人じゃ扱いきれない……けど……俺とGAIOSなら……!!)

「──ほら如月君、こっち来て!」

 

 ゲルズゲーを撃破した翔はシュミレーターから出ながら内心でブレイカー0の性能に驚いていた。

 仲間と共に作った機体は自分では扱いきれないほどの機体に仕上がったが、それでも翔はたまらなく嬉しかった。仲間と作ったガンプラがそれほどの出来だからだ。

 するとアカネが呼んでいる。見れば、アプサラスⅡの時と同様、イベントMCからの立体映像が流れていた。

 

 《ここでバトルライブG参加プレイヤーの皆さんにお知らせがあります! GGF開催期間内に全ミッションをクリアしたプレイヤーを対象にその中でも成績上位の方をバトルライブG選抜プレイヤーに認定! GGF最終日のグランドフィナーレとして、この選抜プレイヤーによるスペシャルエキシビションマッチが決定しました!どの方もこの選抜プレイヤーに選ばれる可能性を十分に秘めていますよ! 頑張ってください!》

 

 イベントMCから伝えられた情報はイベント最終日のことだった。

 イベントMCは説明を終えると立体映像が切り替わり、その場にはプレイヤー達が残っていた。

 

「選抜プレイヤーか……」

 

 どうせなら選抜プレイヤーに選ばれたい、

 そう思うのは誰しも当然の事だろう。

 

 それは例外なく翔もだ。

 ふと、翔は周囲を見渡すと仲間達や他のプレイヤー達も同じように闘志を燃やしている。そう、ここからは仲間でありライバルなのだ。彼らは情熱を燃やし続けるのだった……。




過去最高の文字数になってしまいました。ゲームのゲルズゲー戦にあやこはいませんがこちらでは登場しました。ゲームだとゲルズゲーは本当に苦戦した印象です。こちらはあっさりめで終わりましたが…。次で記念小説もラストですがこのままお付き合いください。

感想や評価、ありがとうございます!なによりも読んでいただけることが本当に励みになり、筆も進むような勢いです。
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