機動戦士ガンダム Silent Trigger   作:ウルトラゼロNEO

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アドヴェント
スペース─立ちはだかるもの─


 

 

「敵戦艦からのMS隊がこちらに接近中です!」

 

 宇宙へ上がったアークエンジェルは地球攻略作戦阻止の作戦の為に本隊への合流の為に動いていた。

 しかし、その行く手を遮るように黒いアークエンジェル……ドミニオンが立ち塞がる。

 ドミニオンはアークエンジェルへMS隊を送り、オペレーターはそれを艦長席のルルに伝える。

 

「足止めと見るのが妥当でしょうな」

「……ええ」

 

 艦長席に座るルルの背後に控えるように立っているマドックがドミニオンの行動を見てその行動目的を見極め、ルルはか細い声で答える。

 

「第一戦闘配備急げ!!」

 

 恐らく翔が原因なのだろうが、それについて言いたいことはあっても今はそんな状況ではない。マドックは指示を繰り出す。

 

 ・・・

 

 医務室にはドクターとカプセル内で眠っている翔、そしてそのカプセルの前にはショウマが立っていた。眠っている翔の顔を見ながらショウマは拳を握る。

 

「ドクター……。俺は俺に出来ること、全力でやるよ。翔が生きて目を覚ませるように」

「ああ」

 

 翔が眠るカプセルをそっと撫でるショウマはカプセルを挟んで向かい側に立っているドクターに強く話す。

 フェズも翔も自分に出来ることをした。今度は自分の番だ。ショウマの強い意志を秘めた瞳を見て、ドクターも力強く頷き、ショウマは医務室を出る。

 

 ・・・

 

(黒いアークエンジェル……。エイナルの隊か! クソッ……面倒な奴が……!)

 

 格納庫では、パイロットスーツに着替え、準備が整ったプロトゼロへ乗り込むカレヴィは敵部隊の情報を見て苦虫を潰したような表情を浮かべる。

 エイナルとはプロトゼロ受領の一件以来だが、厄介な相手に変わりない。

 発進準備を進める中、カレヴィは格納庫へ入ってきたパイロットを見つける。

 

「ショウマ……? いけるのか」

 

 フェズの一件以降、塞ぎこんでいたショウマを見つけた。

 まっすぐビームスマートガンを装備したゼータプラスへ向かうショウマを見て、どこか心配そうな表情を浮かべるが、ショウマの力強さを感じる顔を見てそれが杞憂であることを知るとカタパルトデッキへ移動する。

 

「プロトゼロ……出るぜ!!」

 

 カタパルトデッキへ移動したプロトゼロは発進準備完了の合図と共に一気に発進すると、エクシア、ゼータプラスも続くように発進するのだった。

 

 ・・・

 

「残念だが貴様達はここで足止めだ!!」

「エイナルッ!」

 

 アークエンジェルから出撃したブレイカーFBを除くMS達。

 それを確認したドミニオンのMS隊のGN-XⅢを率いる隊長であり先行するエピオンに乗るエイナルが叫ぶ。プロトゼロを駆るカレヴィもエイナルの名を叫んだ。

 

「お前達は自分達がなにをしようとしているのか分かってるのかッ?!」

「地球を攻略して戦争を終わらせるッ!」

 

 プロトゼロとエピオン、互いがそれぞれの存在を捉えるとどちらもサーベルを展開、一気に加速してサーベルとサーベルでぶつかり合い、剣戟を結びながら接触回線を使って怒鳴るように言い合いをはじめる。

 カレヴィは核兵器を使用したこの作戦に純粋な憤りを感じ、それを遂行しようとするエイナルにも感じていた。だがエイナルも負けじと答える。

 

「核だぞ?! 民間人の被害も見当もつかんだろうがッ!!」

「私は軍人だ……。私は軍人なのだ……ッ! 命令に従って行動している!! 学生時代のセンチメンタリズムを抱えて軍人が出来るものか!!」

 

 エース同士の剣戟は周囲にスパークを起こしながらもどちらも致命的な一撃は与えられていないが、所々に細かい損傷が互いに与えられていく。

 カレヴィの民間人という言葉に反応したエイナルは自分に言い聞かせるように答える。

 彼もまたなにも思っていない訳ではないのだ。それを聞いたカレヴィは表情を険しくさせる。

 

「お前は戦う理由を他人に依存しているだけだッ!!」

 

 カレヴィの言葉に驚いたエイナルは言葉を詰まってしまう。

 なにか言い返したくはあるが言い返せる言葉がない。自分が自覚している部分があるのだからか?

 

「戦争に勝つ為だったらなにしたって良いのか!? 軍がやれって言えば民間人だって犠牲に出来るのか!? 戦争を終わらせるための必要な犠牲だとでも言うのか!?」

「クッ……」

 

 エピオンの動きに動揺が見られる。

 明らかにエイナルが動揺しているのだ。

 畳み掛けるようにカレヴィが叫ぶ。それは勢いに乗ってプロトゼロがエピオンを押して行く。エイナルはエピオンのゼロシステムに耐えながらカレヴィの言葉に歯を食いしばるのだった。

 

 ・・・

 

「──ローエングリンの準備を! ここを突破します!」

 

 緊迫した空気が流れるアークエンジェルのブリッジにルルの命令が下る。そのことにマドックが驚く。彼女の先ほどの様子からは考えられなかった。

 

(翔君との約束だもの……。絶対に果たさないと……顔向けできない)

 

 フェズを失い、翔も意識不明。

 なにも思わないわけではない。

 寧ろ悲しみにくれているところだ。

 

 だがいつまでもそうする訳には行かない。

 自分も軍人なんだ。

 翔が元気でなければなにも出来ないわけじゃない。

 そんな彼女に少しは見直したかのようなクルーもぐに作業に取り掛かる。

 

「ッ!? 敵戦艦、ローエングリン展開!!」

「っ!」

 

 モニターに写るドミニオンもまたアークエンジェルと同じように両艦首に1門ずつ装備されている陽電子砲を展開させていた。オペレーターの報告にルルは息を呑む。

 

 ・・・

 

「撃たせなきゃ良いんだろうッ!?」

「そうだけど……。なにか方法があるのっ!?」

 

 ドミニオン周辺で戦闘を行っていたショウマとレーアもドミニオンのローエングリンの存在に気づいていた。しかしGN-XⅢ隊との戦闘で中々進めずにいた。

 

「俺だって翔ほどじゃないけど射撃は出来るッ!!」

 

 MAへ変形して自分が狙える位置へ移動してMSに変形するとビームスマートガンをローエングリンへ向けて照準を定める。

 ここで失敗したらアークエンジェルに甚大な被害が齎されるだろう。

 しかしそこにGN-XⅢ達がゼータプラスを撃ち落そうと接近してくる。

 

「させないっ!!」

 

 そこにエクシアが動く。

 自分が引きつけようというのだろう。

 しかし幾らオリジナルの太陽炉とはいえ擬似太陽炉を搭載したMS隊の相手をするのは無茶だ。それが分かっているからショウマの額に汗が流れる。

 

「っ!」

 

 ショウマの口から言葉にならないような叫びが漏れる。

 引き金が引かれてまっすぐ伸びたビームはローエングリンのひとつを破壊する。

 一息つくのも束の間、すぐにもう一基破壊せねばならない。

 

「──っ!?」

 

 破壊しようと再びビームスマートガンを向けるゼータプラスだったが下方からエクシアから逃れたGN-XⅢの一機がゼータプラスに射撃攻撃を仕掛ける。

 それを何とかギリギリで避けるゼータプラスは射撃攻撃をしながら接近してくるGN-XⅢの相手をせざるえなかった。

 

「くそっ! 間に合わないっ!」

「いや、一つ破壊できただけでも十分だ!!」

 

 どんどんエネルギーが収束されていくドミニオンのローエングリンを見て何とかしなければと焦ってしまう。

 しかし目の前のGN-XⅢはしつこく射撃の隙を与えない。

 そこにマドックの声が響く。今まで聞いたことのないくらい力強い声だ。不思議と安心感も感じられる。

 

 ・・・

 

「ゴッドフリート、一番二番撃ちつつ取り舵いっぱい!!」

 

 マドックの素早い指示が飛び、クルーは慌しく動く。

 今は兎に角マドックの指示に従わねば生き残れない。

 そうしている間にもエネルギーは溜められ、ドミニオンからはローエングリンが発射される。

 

 破壊した方へ避けた為にローエングリンはギリギリのところで避けられる。

 一基だけしか残っていないからだ。その間にもこちらのローエングリンは発射準備が整い……。

 

「射線上のMSは退避だ!」

「ローエングリン発射!!」

 

 マドックとルルの言葉と共に二つのローエングリンが放たれ、射線上のこちらに向かってきていたGN-XⅢ達を破壊しながらドミニオンへ直撃し、そのまま互いに艦砲射撃を繰り返しつつすれ違う。

 

 ・・・

 

「限界か……。しかし時間は十分稼いだ」

「待てエイナルッ!」

 

 ビームサーベルで切り結ぶプロトゼロとエピオン。

 エイナルはアークエンジェルとドミニオンの戦闘を見て、一人呟く。

 その言葉通り、すれ違ったアークエンジェルに対しドミニオンやGN-XⅢ達が追撃することはない。

 

 寧ろエクシアやゼータプラスを攻撃しつつ帰還していた。

 撤退しようとするエイナルをカレヴィが止めようとするが……。

 

「カレヴィ……。私達は戦争をしているのだ……。理想論だけではどうにも出来ない」

「ぐっ!!?」

 

 剣を振り払い、脚部で蹴りを浴びせることで距離を取ったエイナルはそう呟くとMAへ変形してドミニオンへ合流する為にプロトゼロから離れていく。

 体勢を整えたプロトゼロだが、もうエピオンは遠くここからの射撃では避けられるだろう。

 アークエンジェルにはゼータプラスもエクシアも帰還した。

 やりきれない想いのまま¥自分も合流するため、MAへ変形しアークエンジェルへ向かうのだった。

 

 ・・・

 

「これが地上攻略作戦の為の兵器なのか……!?」

 

 一方、地上攻略作戦阻止の為の本隊では今まさに阻止のためコロニー軍と激闘を繰り広げていた。

 その中で戦艦マゼランの艦長はコロニー軍と戦闘をしているところに現れた目の前の巨大な白いMAに驚き、恐れていた。

 

「悪魔ではないか……!?」

 

 天使のような羽を持ちながらもおぞましさを感じるその頭部。

 そのメインカメラはこちらをジッ……と捉えている。

 

 逃げられない。

 艦長の額に汗が滲み、ガタガタと震える中で思ったままのことを呟く。

 それと同時に白いMAは腕を一振りしてマゼランを撃沈させてしまう。

 

「──いよいよだ……。私は負けられない」

 

 それを見ていたのはルスランだ。

 彼もまた地上攻略作戦の為に戦場に出てきていた。

 マゼランを撃破した白いMAの周囲には同じMAが七機存在している。

 ルスランは決意を表すように首にかけられている宝石のような物がついたペンダントを握り締め、決意を露にするのだった。




ちょっと間があきましたが更新していきます。さて次回からゲーム前半の締めとも言えるミッションの話へ突入していきます。そして翔は…?

後ネタバレしてしまいますがルスランの搭乗する機体は違います。
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