機動戦士ガンダム Silent Trigger 作:ウルトラゼロNEO
(撃ってくるか?)
ビームライフルに持ち変えた目の前のガンダムにエイナルはすぐに対応すべくバーニアを操作しようとするが、いきなりビームライフルの銃口はそれぞれ両隣に分身のように現れ、エイナルの表情は驚愕に染まった。
驚く時間も束の間、三つの銃口からそれぞれ高出力のビームが放たれた。
その一発一発は自身のトールギスのフルパワーのドーバーガン並みの威力を持つと咄嗟に判断したエイナルはすぐさま機体を操作して避けるが…。
「クッ!?」
だが避けた場所には既に翔のガンダムが回り込んでおり、バックパックのビームサーベルを引き抜き、斬りかかる。だがエイナルもエースパイロット。すぐに自身の持つサーベルで鍔迫り合いに持ち込もうとする。
鍔迫り合いとなる二機であったが、翔のガンダムのビームサーベルは身の丈以上あるであろうと言うほど肥大化し、その圧倒的なエネルギーを持ってトールギスのビームサーベルを持つ腕ごと切り裂いたのだ。
「バカなっ!? どこにそこまでのエネルギー量がッ!?」
その力を目の辺りにしたエイナルはあり得ないと言わんばかりに叫ぶ。
機体の性能を底上げするシステムが存在することは聞いたことがある。しかし目の前のガンダムはそう言ったものではなく、まるでオカルト染みた力を発揮しているのだ。
腕を切り裂いたと思えば今度はそのまま蹴りを浴びせ、トールギスは地面に叩きつけられた。衝撃によって息が詰まり、呼吸さえ難しくなる。
「退いて……退いて、ください……」
あまりの衝撃に息をつまらせるエイナルが見たのはコックピットに向けてビームサーベルの切っ先を向ける翔のガンダムだった。オープン回線でエイナルへ呼びかける翔の声は消耗しており、少しの気の緩みで意識を失いそうな程、か細かった。
「エイナル……退け。この状況を理解できないお前じゃないだろ」
今度はカレヴィの通信が割り込んできた。
その通信を聞いて己の状況を素早く認識する。とはいえ認識出来ているからこそ、今の自分が悔しいのだ。
「……限界か。良いだろう、カレヴィ勝負は預ける!」
とはいえ曲がりなりにもエイナルは軍人だ。
すぐに気持ちを切り替えるとトールギスは素早く動き動けない副隊長機を回収してからカレヴィに通信を入れる。
「そして貴様もだ」
翔にも通信を入れるエイナル。返答をしない翔にエイナルは残った部下と共にその場を引き上げていった。
「ったく……勝負とか言ってんなよ、恥ずかしい……。お前も目をつけられちまったな」
昔と変わらず熱血気質なエイナルにカレヴィは苦笑して翔にも話題を振ると、翔は黙りっぱなしでこれにはカレヴィも一人、肩を竦めてしまう。
「けどさっきのあの光は……」
「──あーあー。聞こえますか?」
今は発光していない翔のガンダムだが、やはり先程の現象が気になるのかカレヴィが話を振ろうとするが、そこからまだ少女というべきであろう声の通信の割り込みが入る。
「こちらアークエンジェルブリッジ、ルル・ルディエンス中佐です。現時刻よりアークエンジェル艦長代行に着任しました」
「……そういや地球に降ろすために人を送るって聞いてたな。随分早い到着だが今までどちらに?」
どうやら目の前のアークエンジェルからの通信らしい。三機はアークエンジェルの甲板へと移動し、カレヴィが代表して艦長代行のルルと通信する、
「えーっ……と……。それは……」
「捕虜になってたと?」
返答に困っているルルに予想がついていたのかからかうようにカレヴィが肩を竦めると、ルルは不甲斐なさから「うぅっ…」と可愛らしい唸ってしまっている。
「──副長代行のマドック少佐だ。すまんが発進の為に宇宙港を開けてもらいたい」
「了解した」
埓が明かないと思ったのか今度は初老の男性と思われる声が割り込んでくると、そちらに対してはカレヴィも真面目に答えた。
・・・
「艦長代行、随分若く見えたけど……」
数分後、マドックの指示で宇宙港のハッチを開きに移動していた。
本来ならコンピューターで開閉可能だがこの戦闘で故障して手動での開閉が必要だった。そんな移動の最中にレーアが唐突に翔とカレヴィに通信を入れる。
「お偉いさんのご息女らしくてな。安全な移送任務を与えられられたんだろうが……」
「……愛されてるってことでしょ」
とはいえ翔はなにも知らないので黙っていると事情を知るカレヴィの言葉に親に関することで何かあるのか、レーアはどこか複雑そうな様子で呟いていた。
「──接近警報!?」
ハッチを開けようとした直前にコックピット内には警報が鳴り響く。カレヴィ達は警戒していると突然、カレヴィ達の数m前方の地面が下から何発かの極太のビームによって撃ち抜かれ、次の瞬間、爆発した。
・・・
「二人とも無事!?」
「なんとかな!」
「一体、何が……」
気が付けば自分達は果てしない宇宙に放り出されていた。
レーアはすぐさま通信をいれると、カレヴィと翔はそれぞれ答える。
「コロニーが……。なんてこった……!!」
(ガンダム作品じゃコロニーってよく壊されるけどまさか目の当たりにするとは……)
周囲の状況を確認すれば、先程のビームの影響か、コロニーは大破していた。それを見て唖然とするカレヴィの声を他所にアニメなどとは比べ物にならない程の凄惨な現状に翔も言葉を失ってしまう。
「───ネズミがッ! 逃げられると思うな!!」
言葉を失う翔達の前を高速で横切る巨影。
それと同時に放たれたオープン回線による血気盛んな印象を抱く若い青年の声が響き渡る。
「ルスラン・シュレーカー……?」
青年の声には聞き覚えがあるのかレーアは驚いたように眼を見開いて、か細い声で青年の名前だと思わしき名前を呟いていた。
「このガンダムと私が来たのだからな!!」
巨大な影をロックする翔は開いた口が塞がらないのか、口を大きく開けて呆けている。翔はその機体にも覚えがあった。
機体右側面に装備される全長90mあろうかというビーム砲。
機首の左側面に固定されているアイフィールドジェネレーター。
機体下部に装備されている二つの巨大なハサミのようなクロー・アーム。
機首上部には巨大な箱状の武器コンテナが2つ付けられている。
そしてその中心にコアのように存在する一機のガンダム……GP03 ステイメン。
──RX-78GP03D デンドロビウム。
(そんな馬鹿な……! デンドロビウムだと!? まだ宇宙にも慣れていないのに、こんなことって!)
宇宙に放り出され、はじめての宇宙に思うように動けずまだ慣れていないにも拘らず、圧倒的火力を持つデンドロビウムが立ちふさがるこの状況で見たら絶望する以外になにもないだろう。だがそんなこともお構いなしにデンドロビウムは突っ込んでくる。カレヴィの注意と共にデンドロビウムは襲いかかってくるのだった。
実際にガンダムを知っている人が僅か三機でデンドロビウムの相手をしろと言われたらどんな気分になるんでしょうね。
覚醒中の銃口が増えて~のアレはEXactionのスペクトラルショットです。覚醒中などはEXactionがある程度使えるという設定でやろうと思ってます。そして次回、デンドロビウム戦をもってフロンティアⅣ編は終了です。