機動戦士ガンダム Silent Trigger 作:ウルトラゼロNEO
「何故私を助ける!? 私は敵だぞ!」
「しょうがないだろ、あんなの目の前で見せられたら!!」
続々とブレイカー0達へ差し向けられるバグ。
その対象はエピオンも含まれていた。
ケビン機のGN-XⅢのGNランスを手に取ったエピオンを援護しながら現地点の突破を試みるアークエンジェル隊。
エイナルが自分に手を差し伸べ、共に行動するアークエンジェル隊に疑問をぶつけると、いくら敵と言えどあのような光景を目にした以上、知らんふりなど出来なかった。
「軍に切られたあなたはもう敵じゃない」
「ぐっ……!?」
淡々と事実を言い放つレーアにエイナルは言葉を詰まらせる。
今まで身を捧げてきた軍に切り捨てられた。
認めたくなどなかったが、部下を殺された以上、なにも言えなかった。
「話は後! 今は脱出だ!」
グワデンから出てきたのだろう。
バグと共にMS隊もやって来る。
これ以上の話し合いはしても仕方がない。今は突破することが重要なのだから。
ショウマは話を終わらせると、先陣を切ってMS隊との戦闘を開始するのだった……。
・・・
「ちっ、よりにもよってアイツだけ残りやがったか」
「MS隊、次々と撃破されていきます! 突破されるのも時間の問題です!」
グワデンのブリッジにてオペレーターのベロニカがフロンティアⅠ内でエピオンのシグナルだけが残っている事に気づくと、心底残念そうに舌打ちをしながら呟く。
しかもエピオンは地球軍と思われるMS隊のシグナルと一緒にいる。これはもはや向こう側についたと考えても良いだろう。更にオペレーターが悪い知らせを伝える。
「───私が出るか」
そこに今までずっと控えていたルスランが静かに口を開く。
しかしルスランにはなにも答えず、ベロニカは艦長席から立ち上がった。
「アタシが出る。アタシの手ですり潰してやるよ」
ここまで奮戦するアークエンジェル隊やエピオンは予想外ではあったが、それでも彼らには恨みがある。
自分の手で始末出来ると思えば寧ろ喜ばしかった。
ベロニカはその後、オペレーターなどに指示を出して出撃の為、ブリッジを後にする。
・・・
「……切り抜けたな……。アンタ、これからどうするよ」
迫りくるバグや敵MS隊を撃破しながら宇宙港へと到着したアークエンジェル隊とエピオン。
ショウマが周囲に敵影がないことを確認すると、エイナルに問いかける。
流れでここまで来たとは言え、今の自分の置かれた状況にエイナルは俯き、何も言わず沈黙する。
「俺らと来ないか?」
「……だが……私は……」
今更、エイナルを敵として扱う気にはなれないのか、ショウマがゴッドを通じて手を差し伸べると、逆にエイナルは先程まで敵対していた為、その誘いに乗ることに躊躇してしまう。
「──……貴方はもう軍には戻れないわ。貴方達はここで全滅しなければならなかった筈。戻ったら確実に殺されるわ」
「しかし……」
「戦いから身を引くなら身分を隠して別の人生を生きればいい。その事で責める者はいないと思う」
躊躇しているエイナルに今度はレーアが声をかける。薄々分かっていたとはいえ言葉にして言われるとショックもある。
「でもそんな自分を許せるの?」
だが自分はコロニー軍の人間だ。
地球軍に寝返るなどして良いものなのか、そうエイナルの頭の中をグルグルとかき回していくが、レーアの放った言葉が切っ掛けにその頭の中でかつての自分の隊の面々の顔が浮かび上がる。
「……出来るわけ……が……な……い……。許せるわけが……ない……ッ……!!」
自分は彼らの死を越えて今、生きているのだ。
志半ばで死んでいった彼らを想うと身分を隠し、コソコソと生きるなど論外だった。そんなことは自分自身が許せなかった。
「頼む、私に部下達の仇を討たせてくれ!」
エイナルは部下達の仇を取る為、機体越しではあるがショウマ達に頭を下げ、彼らの仇を討つことを懇願する。
彼らの死に対するケジメはつけなくてはならない。
彼らがあのような死に方をして良い理由などどこにもないのだから。
「決まりね、じゃあとっととあの丸ノコの発生源を叩き潰しに行くわよ」
「……そこまで案内してほしい。貴方なら知ってる筈」
共に戦う存在となったエイナルを見て、彼が感じている怒りに共感しているのかリンが拳を手のひらに打ち合わせ宇宙港から宇宙へ続くルートを見ながら呟くと、リーナも頷きながらエイナルへ通信を入れるとエイナルは頷いて先頭に出る。
≪皆さん、そちらに大型敵機が接近しています! 注意してください≫
「……大型敵機だと?」
そこにルルからの通信が入る。
アークエンジェルが捉えた大型機体は自分達に向かって来ているのだという。
翔はその報告にエイナルなら心当たりがあるだろうとエピオンを見る。
「恐らくはラフレシアだ。奴の武装は全方位に隙が無い……。そしてそれに乗るのは恐らく……。行くぞ、私に付いて来てくれ!!」
翔の呟きを通信越しに話を聞いたエイナルはそれがなんであるかはすぐに分かった。
そしてそれに乗っているであろうパイロットも。
すぐさま機体を動かし、宇宙港を出るエピオンにアークエンジェル隊も続く。
・・・
「見えたぞ、ラフレシアだ!!」
フロンティアⅠを出たエピオンとそれに続くアークエンジェル隊は宇宙に咲く赤い花を思わせるその大型のMA……ラフレシアを捉えていた。
エピオンはアークエンジェル隊に伝える。
ラフレシアその物もこちらに向かって来ている為、見つけるのは早かったのだ。
「あんまり無茶すんなよ! おっさん!!」
「分かってはいるが、おっさんは止せ!」
部下の仇を討つ為に冷静さを欠けないようにと、あえてエイナルを茶化すように注意するショウマに自分はまだそのような年齢ではないと止めさせようとする。
「のこのこと現れたね、糞虫ども……ッ! さぁどう料理してくれようか!!」
ラフレシアに乗るベロニカも既にエピオンとアークエンジェル隊を捉えていた。
まもなく戦闘域に入る。
気に入らないエイナルや苦汁を舐めさせられたアークエンジェル隊のMS。
それを自分が相手出来ると思えば、寧ろ喜ばしかった。
舌なめずりしながらベロニカは戦闘を開始する。
「教えろ、何故あのようなことをした……ッ?」
「あぁっ?」
「何故私の部下を殺す必要があったのだッ?!」
容赦なくこちらに放たれるビームを掻い潜りながらラフレシアへエイナルは通信を入れる。
怒りを感じてはいるが、その理由を何とか平静を保って聞き出そうとする。
しかし人を小馬鹿にしたようなベロニカの反応がエイナルの神経を逆撫でし大声を出させる。
「ソイツは誤解だ。殺したかったのは、お・ま・え・だ・け」
ベロニカはあえてエイナルを煽る。
彼が怒りに燃え、屈辱の顔をしたまま殺したいからだ。
「ちょっとした出来心さ。正義面が気に食わなかったんだよ」
だがその言葉に偽りはない。
エイナルと初めて会った時から感じていたことだ。
「でもあっさり敵に尻尾振っちゃう所はイイねぇ。なぁ負け犬のエイナル・ブローマン!」
「もう良い……ッ……! 黙れ下衆がァアッ!!!」
ベロニカはエイナルを心底楽しそうに侮辱する。
自分の部下が死んだ理由がそのような事だと知ったエイナルは自分への侮辱よりもその理由に激昂し、テンタクラーロッドをGNランスで破壊しながらラフレシアへ向かっていくのだった……。
・・・
(始まった、か……。ここまではヴァルター様の筋書き通りではあるが……)
「───現宙域に未確認機が出現ッ! バグを破壊しながら、ラフレシアへ向かっていきます!!」
ラフレシアとアークエンジェル隊が戦闘を開始して数分後、その様子をモニターで見つめながら、ルスランは1人思案する。
ヴァルターがラフレシアを与えたのも意味があるからだ。
オペレーターが何かを察知して報告すると、ルスランが反応する。
グワデンに搭載されているセンサーを見れば、確かに反応があった。
「あの機体は……ッ!!」
モニターには乱入するように現れたライトグリーンの機体を見て、驚きで目を見開く。
それはかつてシーナの命を奪った機体と同一のものだったからだ。
すぐさまその瞳にどす黒い憎しみを宿し、ブリッジを飛び出すルスラン。
・・・
「──コイツは姉さんを襲った!?」
ラフレシアと戦闘を開始してから10分が経とうとしていた。
一機ではあるもののラフレシアの攻撃は凄まじく近づくことすらままならなかった。
この状況を打破しようとしていたアークエンジェル隊だったが、それを嘲笑うかのように乱入してきたMSがいた。
いきなり現れ、自分達やラフレシアに攻撃をしかけるこのMSにレーアは戸惑う。何故、このタイミングで現れたのかと。
【ッ……!】
(……どうした?)
胸の中で激しい騒めきを感じた。
シーナが反応しているのだ。
翔はその事を問いかけた瞬間、未確認機はブレイカー0を標的に変え、襲い掛かる。
「──見つけた……」
「……なに……!?」
間一髪攻撃を避けて、距離を取ろうとするブレイカー0をしつこく食いつこうとする。
未確認機の右腕のアームユニットから伸びたビームサーベルを自身もビームサーベルを抜きぶつけ合う事で鍔迫り合いが発生する。
翔はこの機体を知っている。
ターンXと呼ばれる機体だ。
そして、そのターンXから接触回線で通信が聞こえる。
「お前が妙な光を放つガンダムだな……!」
「だったらなんだ……!?」
接触回線から聞こえる苛立った問いかけの声に翔が答えると、ターンXのパイロットは憎しみすら感じる声でその攻撃の勢いを増す。そう、それはかつてシーナを殺し行方不明となっていたインゲンスだった。
「あの光……気に入らねぇんだよ……! うぜぇことを思い出させるからよォッ!!」
身を隠し裏で生きていた彼だが核兵器を阻止した存在でありアフリカタワーでも機体に光を纏い超常現象を起こした翔の存在を知り、映像で見た時やその活動を耳にする度に、同じように光を纏いかつて殺したにも関わらず自分へ言葉を届けた不快な存在であるシーナを思い起こし、人知を超えたあの光を纏う存在であるエヴェイユを抹消する為に態々調べあげ、動いたのだ。
「翔!」
「来るな……! コイツの狙いは俺みたいだ……ッ!! 俺が何とかするから、ラフレシアを頼む……!」
ターンXに一方的に狙われているブレイカー0にレーアが助けに入ろうとするが、それを拒み、ラフレシア達から更に距離を取り、ターンXを引き付けようとする。
「ちょろちょろ飛び回りやがってェッ!!」
「フィンファンネルッ!!」
彗星のように尾を引きながら飛び回るブレイカー0とそれを追撃するターンX。
ターンXが機体を分離させオールレンジ攻撃を行うとそれに対抗してブレイカー0がフィンファンネルを射出する。
【翔……。この人に勝つのは……難しい……ッ!!】
「……ああ……。だが……引くわけにはいかないッ!!」
胸の内側で苦し気な声を上げるシーナに攻撃を受けるフィンファンネルを見ながら実力差を感じながらでも翔が叫ぶ。自分はここで死ぬつもりなどないのだ。
「チィッ……!!」
自機に向けられる無数のビームに対応しきれなくなった翔はこのままではやられると感じ、素早くフィンファンネルを操作する、
ファンネルを頂点として四角錐型のビームバリアを張り、機体の全周囲に展開されたビームシールドによって何とか攻撃を防ぐことには成功する。
「防御か……。攻撃を捨てて哀れなもんだ……ッ!!」
フィンファンネルによるバリアを見ながら嘲笑するインゲンス。
英雄などと言われた存在も所詮はこの程度だと寧ろ落胆さえ覚えていた。
「出し惜しみはしない……ッ! 行くぞ、シーナ!」
【……うん……!】
このままではバリアを突破されるのも時間の問題。
故に翔はシーナと共にエヴェイユの力を解放する。腕部の装甲が展開しその機体を青白い光が包み込む。
「その光……ッ! 本当に似てる……。だからこそイライラするんだよッ!!!」
二人のエヴェイユの光を纏っているブレイカー0にかつてのシーナのトランザムとはまた違った光を纏ったダブルオーライザーを思い起こさせ、その怒りも頂点となりオールレンジ攻撃を止め機体を再び合体させ、溶断破砕マニピュレーターを向け突っ込む。
「──あぁッ!?」
ブレイカー0へ向かっている最中に四方からビームがターンXに襲い掛かり、それを何とか避けビームの発生源を探す。
すぐに見つけることが出来た。
その赤い機体は自身を見下ろすように佇んでいたのだ。
「……見つけたぞ……。シーナお嬢さんの仇を!!」
ファンネルを戻しながらターンXに憎しみが籠った視線をぶつけるのはネメシスに搭乗しているルスランだ。
グワデンからターンXを確認しここまで向かってきたのだ。
二つのビームアックスを連結させビームナギナタにすると再びファンネルを展開して、ルスランは自身もエヴェイユとしての力を解放する。
その機体を包む禍々しささえも感じるその紅い光と共にまさに彗星の如くネメシスはターンXへ向かっていくのだった……。
さて再登場のインゲンス。これを撃破するのは翔(シーナ)とルスラン。とはいえ二人とも、一緒に戦おうぜ!ってキャラでもないので一筋縄ではいきません。
さてここ最近、ブレイカー3の話題ばかりですが、ふとウイニングガンダムが出るのか気になりました。主役キャラですし目玉でもある御供機体に参戦しないのだろうかと。でも見る限り、Legend BBで統一されているっぽい…?いやいや、キャプテンガンダムの参戦は私、まだ諦めてませんよ、なんせ初めてのSDはSDガンダムフォースなんですから。