機動戦士ガンダム Silent Trigger   作:ウルトラゼロNEO

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アイランド・イフィッシュ─友と戦い共に討て!─

 

「あれを見ただろう、マヒロ。あんなものを地球に落としてはいけない……! アレは人間には過ぎた代物だ」

 

デビルガンダムコロニーの周辺でアストレイR改がアストレイ天の機体を掴み、デビルガンダムコロニーを指しながら危険性を訴え、協力を促す。

 

「……なんなんだよ」

「なに……?」

「アレを落とせば戦争が終わるんだろッ!? なんで今更僕の前に現れて、まだ僕にごちゃごちゃ言うんだよッ!!」

 

だがマヒロから聞こえてきたのは予想外な冷たい反応であった。

ボソッとしたその言葉にティグレは顔を顰める。

今まで我慢してきたものを吐き出すように喋りだしたマヒロに戸惑っていると、マヒロはついに爆発したように大声で叫び、アストレイR改を蹴り飛ばす。

 

「僕は戦争を終わらせるんだッ……! 僕の邪魔をしないでよ……。邪魔をするなら……このまま死んでよ、兄さん!」

 

その瞳に憎悪を映したマヒロ。ビームサーベルを展開して襲いかかるアストレイ天に、アストレイR改もガーベラストレートを引き抜いて応戦する。

 

「止めろ、マヒロッ! アレは何れ全てを滅ぼす! 地球だけじゃない、コロニーさえもだッ!!」

「そんなことッ!!」

「ならば何故アフリカで私達を襲ったのだッ!? アレは人間が制御できる代物ではない……ッ! 何れ人類に牙を剥くッ!!」

 

アストレイ天の攻撃をひたすら受け流しながら、説得をするティグレにあり得ないと言わんばかりに反発する。

しかしティグレの問いかけには答えらず、そのままガーベラストレートでトリケロス改を切断されてしまう。

 

「お前は私よりも頭が回る……! どうするべきか分かる筈だッ!!」

「アンタがそれを言うのか……!? 僕のやる事なす事に文句を言ってきたくせにッ!」

 

アフリカでの一件はマヒロも答えることは出来なかったが、ティグレの言葉に強い口調で再び言い返す。

トリケロス改を破壊されてしまったが、そのままアストレイR改に組み付き、背部に装備された翼状のデバイスをアストレイR改に接触させ、コロイド粒子によって擬似連結させるとアストレイR改のバッテリーを強制放電させる。

 

「僕は兄さんが言うように自分が出来ることをしようとしてるんだよ……? だったら少しは褒めてくれてもいいだろ……!」

「……ッ!」

 

マヒロの本心からの言葉にティグレは息を飲む。

自分が今までマヒロに接し方がマヒロを追い詰めていたなど思いもしなかったからだ。

 

「……すまない、マヒロ」

「なに……ッ!?」

「私は常にお前にとって良き兄であろうと接してきたが……それがお前を追い詰めていたとは……」

 

アストレイR改は危機に陥っている状況でそのままアストレイ天の肩部に手をかけ、静かに今までのマヒロへの接し方を悔いるように話し始める。

 

「……だがマヒロ。私はお前を高く評価している……。自慢の弟だ。だから頼む、私と共に来てくれ」

「兄さん……」

 

ティグレの説得に心が動き始める。

それを表すようにマガノクイタチによる攻撃が収まる。

 

だが彼に一つ問題があった。

 

「……今更、地球軍で戦うなんて僕には出来ない……。僕は地球軍で……」

「私達が戦うのはあの悪魔だ。コロニーや地球などは関係ない。人類の為に私と戦ってくれ。もしお前が罪に苛まれるのならば私はお前の傍にいる。お前の罪を共に背負おう」

 

マヒロの心の中ではキュアノス隊のことがあった。

 

自分は彼らを見殺しにした。

マヒロはそれが罪だと認識していた。

ティグレはそれでもマヒロを説得し共にあろうとした。

 

「……分かったよ、兄さん。それが僕に出来ることなら」

「……ありがとうマヒロ。私達に出来ることをしよう」

 

ティグレの説得を聞き入れたマヒロは行動を停止させる。

ティグレは安心したように微笑を浮かべる。

 

「話は終わったみたいだね、悪いけど早速来るよッ!!」

「マヒロ、受け取れッ!!」

 

二機のインパルスはライジングとマスターによって行動不能に陥っていた。

フェズの注意に二人は意識をデビルガンダムコロニーに向けるとデビルガンダムコロニーの無数の触手は一つとなって地球を目指していた。

トリケロス改を失ったアストレイ天にティグレは素早くガーベラストレートを投げ渡す。

 

「これは……兄さんの……ッ!」

「ああ、そうだ。……お前になら託せる……!」

 

ガーベラストレートを受け取ったマヒロは兄が自分の武器を渡したことに驚いている。

今まで兄が愛刀を誰かに渡した姿など見たことなかったからだ。

だがティグレは自分だからこそ渡したと思うと口元に笑みが零れる。

二機のアストレイは同時に動き出し、同時に触手を切断する。

 

「行くぞ、マヒロ!」

「うん、今だったら……兄さんと一緒なら……なにも怖くないッ!」

 

触手を同時に斬りおとし、ティグレはマヒロに声をかけるとマヒロは頷き、二機のアストレイはデビルガンダムコロニーへと向かっていく。

 

「やれやれ……師匠、ショウマ達は動力部の破壊を目指すようです」

「ならば我らはここで食い止めよう」

 

ティグレとマヒロは一時期どうなるかと思ったが共に戦う姿を見て安心するフェズは先ほど、ショウマから伝わった作戦をそのままヤマトに伝え、ヤマトはデビルガンダムコロニーから放たれたデスアーミーを撃破しながら叫ぶ。

 

・・・

 

【レーアの感覚を感じる……。でもどこに……ッ!?】

「……ッ!」

 

ブレイカーRもデビルガンダムコロニーへと侵入し、レーアの捜索をする。

レーアの気配そのものは感じるが、どこにいるかまでは分からなかった。

すると翔が前方にいる何かに気づく。それは真紅の機体・ネメシスだった。

 

【ルスランッ!!】

「……ッ……無事でしたか、シーナお嬢さん」

 

しかしネメシスの機体は中破していた。

自分達が戦った時はまだここまでの損傷を受けていなかったはずだ。

シーナが思わず叫ぶと、エヴェイユ同士を通じてルスランはシーナの無事を知る。

 

「……何故お前がここに……? 随分と酷く損傷しているが……」

「……レーアお嬢さんだけでも救おうと思ったのだがな。一歩遅かった。私はヴァルター様……いや、あの男を止められずこの様だ」

 

ルスランが腕利きのパイロットである事は身をもって翔は知っている。

ならば何故ここまでの損傷を受けているのかを聞くと、ブレイカー0との交戦後、ヴァルターによって囚われたレーアを救おうとしたが返り討ちにあったことを口にする。

 

「レーアの居場所を知っているんだな? 案内してもらうぞ」

 

「……ああ、勿論だ。今の私に出来る事はそれぐらいだからな。だが気を付けろ。奴の力は凄まじい……。場所は……動力部だ」

 

ルスランの口振りからレーアの居場所を無理にでも聞き出そうとする翔だが、ルスランはあっさり受け入れる。元々、もうルスランに争う気はなかったからだ。こうしてブレイカーRと案内のもとネメシスは共に行動する。

 

・・・

 

「ぐあぁあっっ!!?」

 

ブレイカーRとネメシスが行動を共にした頃、動力部ではゴッドが地面に叩きつけられていた。

 

目の前にアフリカで出会ったデビルガンダムがガンダッヘッドが脚部として変形した姿だった。これはコア部分のみを自身の体内に独立させて作り出した姿だった。

動力部にすんなり到着したショウマ達だったが、このデビルガンダムに苦しめられていた。

 

「どうだ……。この何物にも抗えぬ究極の力は……ッ!!」

「なんて力なのよッ……!」

 

デビルガンダムの傍には乗り捨てられたバンシィ・ノルンが漂っていた。

デビルガンダム内にいるであろうヴァルターはその圧倒的な力を見せつけ、リンはボロボロの身体を何とか動かそうとする。

 

「こんな化け物相手にどうしろってんだよ……ッ!」

「このままでは我々も大気圏に落ちてしまうぞ……ッ!!」

 

幾ら攻撃してもその度にデビルガンダムは己の機体を修復する。

これでは何をしても無駄ではないだろうか。

 

ショウマ達の心は折れかかっていた。

それにここでゆっくりしていてはこのままデビルガンダムコロニーは地球へ落ちてしまうだろう。

 

「まったく私は幸運だった……。このデビルガンダムの生体ユニットが私の元に帰って来たのだからな……ッ!」

「生体……ユニット……!?」

 

くつくつと笑うヴァルターの言葉を聞いたリンは驚く。

生体ユニットとはどういうことなのだろうか、と……。

するとデビルガンダムはまさに見せつけるように胸部を開くと、その中には触手によって絡められ生体ユニットとなったレーアとヴァルターがいたのだ。

 

「争いを起こす人類を抹殺し、アルティメットガンダムによって浄化された地球をレーアと私は永遠に過ごすのだ……。そう……このまま地球に降り立ち、我ら親子の願いを実現させるのだッ!!」

 

ヴァルターは過去にレーア達に言った。

地球の本来の姿を見せると。それをヴァルターは叶えようとしているのだ。それはある意味、失った娘との願い、残った娘への想い。だがそれはどこまでも歪んでいた。

 

「あの野郎……ッ!!」

「どうすんのよ、レーアがいるんじゃ迂闊に攻撃できないわッ!」

 

ショウマ達は純粋に怒りを感じていた。

生体ユニットなどと道具のように扱っている癖にレーアをどうこういうヴァルターに。

だがリンの言うように下手にデビルガンダムを攻撃すればレーアの身が危ないのだ。

 

「──そこにいたか」

「「「翔!」」」」

 

背部のデビルフィンガーで攻撃をしかけようとするデビルガンダム。

だがそれはゴッド達の背部から無数に放たれた大量のビームによって破壊される。

見ればフィンファンネルとファンネルを周囲に展開したブレイカーRとネメシスだった。

 

「まさかと思っていたが、こうなるとはな……ッ!!」

【……お父様……! 貴方の言う人は……ッ!! 私もレーアもこんな結果は望んじゃいないッ!!】

 

先ほどデビルガンダムが見せつけた光景は後方から来ていた翔たちはルスランを通じて知っていた。厄介そうに呟く翔と怒りを露わにしてシーナは強く叫ぶ。

 

「……レーアお嬢さんは返してもらうぞ」

「ルスラン……。折角、見逃してやろうと思ったが、のこのこ帰ってくるとはな……。そこまで恩を仇で返したいのか?」

 

今の中破したネメシスは左腕部のビームトンファーとファンネル、そしてヴェスパーが武装としてある。左腕部のビームトンファーをデビルガンダムに向け、敵対を示すルスランに先ほどの交戦で返り討ちにしたのにのこのこ戻ってきたルスランにヴァルターはため息をつく。

 

「……もう貴様は私が敬愛していたヴァルター様ではない。これ以上、その姿で罪を増やさない為にも……私の手で貴様を討つッ! それが……私に出来るヴァルター様から受けた恩に報いることだッ!!」

 

復讐の道を共に進み、ヴァルターに従うことで恩返しとなると思ってきた。

だがそれは間違っていた。シーナとの再会でそれを悟ったルスランは己の意思を示す。

 

「ならばやって見ろ、このアルティメットガンダムにッ! シーナを失ったから私はこの力を手に入れた! あの過去があったからこそこの力があるのだッ! そんなアルティメットガンダム(私達)に貴様らが勝てるはずがないッ!!」

 

再生したデビルフィンガーを大きく広げ、その姿を圧倒的なまで見せつける。

それ程までに負ける要素はヴァルターにはなかった。

 

「どうかな……。アンタは過去に拘り過ぎた……。そんなアンタに未来を欲する俺達が負けるはずがないッ!!」

【終わりにしよう、お父様ッ!!】

 

GNソードⅢの切っ先を向け翔とシーナは叫ぶ。

彼らも過去に拘るのは決して悪いとは思っていない。だが、自分達は未来を目指す。

ヴァルターと同じだ。二人は負けるつもりなどなかった。

 

「みんな、行くぞ……。あのガンダムを破壊し、レーアを助け出すッ!!」

 

仲間達にそう告げて、翔とシーナのブレイカーRは飛び出し、それに続くようにネメシスとゴッド達も続く。未来をかけた最終決戦が今、始まる──。




次回、本編最終回
アイランド・イフィッシュ─願い─
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