その日は息子の小学校の卒業式があった。私は息子の晴れ姿を見ると、お昼御飯を作って待っててあげるために一足早く家に帰っていた。
「♪~」
鼻唄をうたいながら、お祝いの料理を作っていく。するとリビングの方で扉の開く音がした。
「あら?もう帰ってきたのかしら。」
料理の手を一旦止めて、リビングに向かう。
「お帰りなさ・・・」
そういいながら開けた扉の先にいたのは、包丁をもった知らない男だった。
痛い。 刺されたところから熱がどんどん出ていっている気がする。 寒い。
あの男は強盗のようだ。私を刺したあと家の中をあさっている。
「ただいま~」
!! あの子が帰ってきてしまった。来ちゃダメ、逃げて!そう言おうとするけと体は言うことを聞いてくれなくて、口がパクパク動くだけ。
やめて! あの子は見逃して!
そう願うが、現実は厳しく、私の目の前であの子は刺されてしまった。両目からこぼれる涙。倒れるあの子を見て、私は意識を手放した。
「オギャア オギャア」
気がつくと私は誰かの腕の中で泣いていた。
「あらあら、どうしたの?」
上から覗きこんでくる紫の目をした女のひと。
「なんであたしより先に子持ちになるんだよ。」
「ほっほっほっ。泣き顔もかわええの~。将来はどんなかわええ子になるんじゃろ~の~。」
「体が汚れて不快なのかしら?私が洗ってあげるわよ?」
「マイソフォビア。君が洗ったりなんかしたら彼女の心臓が止まってしまうよ。」
周りの人達も騒ぎ始める。私は突然過ぎる出来事にただ混乱して泣き続けるのだった。
私が意識を取り戻してから5年がたった。色々と考えてみたが、恐らく私は生まれ変わったのだろう。
意識を取り戻した当初はあの子のことなどで私はひどく落ち込んでいた。けれど、そんな私をかあさまや、ゼロフィリア等のみんなが励ましてくれたお陰で立ち直ることができた。けれど、ここで問題が出てきた。それは、私と同年代の遊び相手がいないのだ。仕方がないので私は1人で散歩に出かけるのだった。
「♪~」
心地いい風の中を歩いていくと不意に向こうからも誰かが歩いてくるのが見えた。
「こんにちは」
「・・・こん・・にちは」
「私はサクラ。あなたは?」
「・・・メビウス」
これが親友のメビウスとの出会いだった。
それから私とメビウスは暇さえあれば二人で遊ぶようになった。メビウスは頭がよく、私には様々なものを作る才能があった。メビウスの考えたものを私が作ったり、メビウスに作り方を教えたり。そんな日々を10年間過ごした。焔覇吐も実はこの時期に作った。
「早く買いに行かなきゃ。」
その日私は夕飯を作ろうと思っていた。献立は肉じゃが。けれど、みりんを切らしていた事を忘れていたため、今こうして夕暮れの町を走っているのだった。
「よかった。売り切れてなくて。」
私が店に着いた時、みりんはちょうど一本だけ余っていたのだった。
「さあ、早く帰ろう。」
明日は何を作ろう。そんなことを考えながら歩いていると、丘の上に人がいるのが目にはいった。私と同い年ぐらいの男の人。何をしてるんだろう。そう思い、声をかける。
「こんにちは。何をしてるの?」
「考え事さ。」
「何を考えてるの?」
「今日の夕飯にキムチを食べるかチャーハンを食べるか考えてるのさ。」
思わずキョトンとしてしまった。真面目な顔でこの人はそんなことを考えてたのか。そう思うと自然と笑えてきた。
「アハハハハハハハ」
「笑うことないだろう。僕にとっては重要なんだ。」
ムッとしたように男の人が言う。
「ごめんなさい。うふふ。両方食べるじゃダメなの?」
「そんなに食べれないんだ。」
「じゃあ、いっそのことキムチチャーハンを食べればいいじゃない。」
そう言うと男の人は動きを止めた。
「・・・その手があったか。」
男は立ち上がると笑顔で私の手を握った。
「ありがとう。君のおかげで悩みが解決したよ。」
「そう、それはよかったわ。ところで、あなた名前は?」
「ヨハンって言うんだ。君は?」
「私はサクラ。」
こうして私は運命の人と出会った。
それから私はメビウスと様々なもの(ドライバなど)を作り、ヨハンとは色々な問題を話した。そして私は段々と、ヨハンに惹かれていった。それはヨハンも同じだったようで自然と私達は愛し合うようになった。二人は結婚を考えるようになった。
私はかあさまにこの事を言うと、返ってきたのは反対の言葉・・・ではなく、
「あなたが幸せならばいいんじゃない?」
と、なんとも軽い返事だった。
それから紆余曲折があり、私とヨハンは夫婦になり、二人の間にハヤトが産まれた。
「ふぅ。大分昔の事を思い出したわ。」
森の中を歩きながら昔の事を思い返していた。
森の少し開けた出ると、向こうからも女の人が出てくる。
「今晩は。今日はいい夜ね。」
「ええ、本当に。それでサクラさん。あなたの答えは?」
女は笑顔で聞いてくる。
「答えね~。私の答えはNOよ。」
「はあ~。やっぱりこうなっちゃうわけね。めんどくさ。」
とたんに女の雰囲気が豹変した。
「そっちのあなたのほうが本来のあなたなのね。」
「そうだよ。相手と接触するときは少しでも印象よくするために笑顔でいないといけないんだけど、おかげで顔が痛くなるんだよね。」
「あなたも大変ね。あなた、名前は?」
「オリエンスだよ。最終確認だけどあんたの答えはNOで間違えないね?」
「ええ、どんな条件だろうとあなたたちに協力する気はないわ。」
「そうかい。私の受けた指令は焔覇吐とか言うやつの奪取とあんたのスカウトだよ。ただ、スカウトに失敗したら、殺していいって言われてるけどね。だから、」
オリエンスは両手を広げると
「死にな。」
その手をサクラに向けてふるった。
オリエンスがウデヲ振るった瞬間、オリエンスを中心に、暴風が吹き荒れる。それも、並みの人間では体がちぎれ飛ぶレベルの風である。
しかし、サクラはそんな風をもろともせずにオリエンスへと駆けていく。
「チッ」
舌打ちと共に後方へ飛ぶ。すると、さっきまでいた場所にサクラの拳がささり、
ドガーン
クレーターを作り上げた。
「ハッ!冗談だろ!?」
あまりの破壊力に思わず息を飲む。
「あら?こんなもん?」
「ハハッ。冗談はそれぐらいにしておきな!」
そう言うや否や、サクラに向けて両手を降り下ろす。すると、それに合わせてサクラの頭上から空気の塊が落ちてくる。だが、
「おいおい、いくらなんでもそれはなしでしょ。」
サクラの周りの大地が空気の重みに耐えきれず沈んでいくのに対し、サクラの立っているところだけが何も変化していなかった。
「私の体質上、こういった特殊な力によって発生する事象は無効化できるのよね。」
そう言うと鬱陶しそうにうでを払う。それだけのことで降り注いでいた空気の塊は霧散していった。
「そういうことかよ。なら、これはどうだ!」
そう叫ぶと地面から木の根っこがサクラに向かっていく。
「植物の根を成長させているのね。確かにそれは無効化できないわね。」
サクラは横に飛び、その攻撃を躱す。
「ケヒヒ!バカが。くらいな!」
横に避けたサクラの周りを木の根が取り囲む。そしてオリエンスの一言で一斉にサクラに向かってくる。
「とりゃ!」
対するサクラは掛け声と共に地面を殴り付ける。すると、
ドンッ
驚くことに小規模の地震が発生した。それにより、木の根は軌道が変わり、オリエンスまでの道が現れた。
「吹っ飛びなさい!」
木の根を抜けてオリエンスに近付くとパンチを1発叩き込んだ。
「ガッ!?」
殴られた方向に飛んでいくオリエンス。しかし、殴った本人であるサクラは手を開いたり閉じたりして、感触を確かめていた。
「ケヒヒ。あんた強いね。正直侮ってたよ。」
「そう言うあなたこそ。今の一撃。自分に向かって風を吹かせてダメージを軽減したでしょ。」
「さすがにわかるか。でも、それをしたにも関わらずあばらを5、6本持ってくあんたはもはや化けもんだよ。」
お互いに牽制をする。
「母さん!!」
すると、そこにサクラの守るべき存在が現れた。
「ハヤト!?」
「ケヒヒ、そういえば、あんたも殺害対象だったね。ついでだ。あんたも死にな!」
木の根のターゲットをハヤトに変える。ハヤトは突如のことに対処できず、
ドスッ
木の根が突き刺さる音が鳴り響いた。
はい。というわけで、第七話でした。皆さん如何だったでしょうか。オリエンス戦は今回だけにするつもりだったのですが、次回に続くって感じにしました。ただ、今回でメインは大体書けているので次回は短くなるかもしれません。あと、サクラさんについてですが、CODE:BREAKERの桜小路桜さんをモチーフにしています。
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