Episode フェイト
母さんに成果を報告の為、時の庭園に来た私は、バインドで両手を拘束され、Yの字で吊されている。両足は地に着いているものの、私の自由が奪われていることには変わりが無かった。
正面から一本の線がうねりを上げ、こちらに迫り来る。
「あぁぁっ……!!」
それを魔法で防ぐこともせず、一撃を甘んじて受けた私は悲鳴を漏らした。
目の前では母さんが尚も手にする鞭を振るう。その度に乾いた音と苦悶の声が部屋に響いた。
何回、鞭で打たれたか、もう分からない。
「ロストロギアは母さんの夢を叶える為にどうしても必要なの。特にあれは、ジュエルシードの純度は他の物より遥かに優れている。……行って来てくれるわね?私の娘、可愛いフェイト」
母さんは冷たい声で私に言葉を掛けた。
「母さん……」
そんな母さんに私は言葉を返す。
「母さんはジュエルシードを集めて、どうしようとしているのですか?」
私の問いに、母さんが足を止めることは無かった。話を聞いているかすら分からないが、尚も私は言葉を続けた。
「何の事情も知らずに、争う必要が無いかもしれない相手と戦うのはもう嫌です」
「何を言っているの?」
母さんがようやく私の問いに答えたが、それは私の望む物ではない。再度、私は数発、鞭で打たれた。
「あなたは大魔導士である私の子。誰の助けも必要ない。無駄口を叩いている隙があるなら、早く行きなさい」
母さんが話し終えると、扉が閉まる音が響き、この部屋に残るのは私一人になった。
Episode 稔
「稔くん、わたしに杖を教えて欲しいの」
始まりは、なのはのこの一言だった。俺は彼女に杖を教える事になったのだ。
現在はユーノの張った結界の中。なのははバリアジャケットを身に纏い、既に準備を完了していた。
「分かっているとは思うけど、なのはは運動神経が壊滅的だ。なのはが杖を短期間で修得できるとは思わないし、増してや杖でフェイトと渡り合おうなんて論外だ」
俺が最初にそう言うと、なのはに影が下りたような気がするが、そんな事は気にしない。
「だから、俺は杖の基本の一つだけを教えるよ。なのははそれをひたすら繰り返し練習すること。フェイトと戦う時も基本は射撃で戦って、ここぞという時に杖を使うんだ。多分、通用するのは一回だけ。それでもやる?」
俺の言葉を聞いても、なのはの意志は変わらなかった。
「さ、それじゃあ始めようか」
これにて本作の引越し終了。