前回の更新からもう一年以上経ちましたね(苦笑)
言い訳は活動報告の方で書いたので、ここでは省略。
そして、今回もキンクリが仕事をします。
――『あなたの事が、大嫌いなのよ』
アースラのブリッジに設置されたモニターに映るフェイトの母親、プリシア・テスタロッサがそう言い放ち、フェイトの根底にあったものを崩してから、いくらか時がたった。
「うおおぉぉぉぉおおおおおおおお……」
宛てがわれた部屋で俺は頭を抱える。大変なことに気付いてしまったのだ。
「……俺、ここから先、役立たずじゃねぇか」
いや、今までも別に役にたってはいないんだが、そんな事はどうでも良い。
これから無印はクライマックスを迎えるのだが、デバイスを持たない俺に出来ることは留守番を除いて他にないのだ。
デバイスがない→戦闘に参加できない→役立たず→ミッドに渡る理由が無い→ミッドに行けない→ヴィヴィオに出逢えない。
「ヴィヴィオォォォオオオオオオオっ!!!!」
俺は堪らず叫びながら部屋を飛び出した。すると、ちょうど通りがかった局員を発見。彼は俺を見てギョッとしているが、相手のことを気にしている余裕が俺には無い。膝と掌を付き、頭を床に叩きつける。
「俺にデバイスを下さい!!!!」
Episode フェイト
私は魔法陣を展開して母さんの元に向かおうとした、その時だった。
『俺にデバイスを下さい!!!!』
何か重いものを落としたような音がした後、最近知り合った男の子の声がきこえてきた。
『いや、僕にそんな権限はないんだが……』
相手の人も困ったように話している。
っと、盗み聞きしてる場合じゃなかった。早く行かないと。
『このままじゃ俺、何も出来ないじゃないですかっ。俺はフェイトの力になってやりたいんです。あいつは俺の大切な人|(ヴィヴィオの母親になる人的な意味で)なんですっ!!』
その言葉を聞いた私は顔が熱くなるのを感じた。
「……え!?……え!?」
酷く取り乱した私はその理由も分からぬまま、完成された転送魔法によって時の庭園へ送られた。
Episode 稔
……結局、俺は何も出来なかった。
あの後、別の局員の人が来て、部屋に閉じこめられてしまったのだ。
ようやく解放されたのが今。全てが片付いた事を知らされ、これからみんなを出迎えにいく所だ。
俺はとぼとぼと力無く転送ポートへと向かい歩いている。
転送ポートに着くと、そこには同じ様に出迎えに来た人達が数人居た。帰ってきたリンディさんやクロノさんと言葉を変わりたり、なのはを誉めたりしている。
落ち込んでいても仕方が無いので、とりあえず俺もみんなを迎える事にした。
「なのは、お帰り」
なのはは俺を見つけると笑顔を咲かせ、こっちに駆け寄ってきた。
「稔くんっ、ただいま!」
「よく頑張ったな」
なのはの頭を撫でてやると、くすぐったそうに目を細める。
「それからフェイトも。お帰り」
なのはの頭に手を乗せつつ、俺はフェイトの方を見た。
「え?……あ、その……」
するとフェイトはいきなり慌てだす。目を反らしたと思ったら、再び視線を合わせ、かと思うと直ぐにまた反らした。一体、どうしたのだろうか。
「うぅ……」
フェイトは走ってこの場から去ってしまった。
「……稔くん。フェイトちゃんと何かあったの?」
頭に追い立てが少し動く。なのはが首を傾げたのだろう。
「いや。お母さんの事で思うことでもあるんじゃない?」
俺はフェイトが去っていった方を向いたまま、答えた。
「そうかな?何か違う気がするの……」
なのはを見ると、何とも複雑な表情をしていた。
Episode なのは
私とフェイトちゃんはリボンを交換した。友情の証として。そして、また会える様にと願いを込めて。
「ところでフェイトちゃん」
あの時から気になっていた事。
「なに?なのは」
「稔くんと何かあった?」
さっき稔くんに声を掛けられた時もフェイトちゃんは落ち着かない様子だった。
稔くんはわたしの好きな男の子だし、フェイトちゃんは大切なお友達。できれば仲良くして欲しいの。
「えっと……」
フェイトちゃんはチラチラと稔くんを見て、目を伏せる。
「……分からないの」
しばらく言い淀むフェイトちゃんが徐に口を開いた。
「稔を目の前にすると緊張しちゃって。色々、お礼を言いたいんだけど、頭が真っ白になって……。でも、稔が嫌とかそいいうのじゃ無くて、寧ろもっと一緒に居たいくらいで……」
そこまで言うと、フェイトちゃんは再び黙り込む。
なんだ。そんな事だったんだ。
「フェイトちゃんも稔くんの事が好きなんだね」
フェイトははっとした様に顔を上げる。
Episode フェイト
「フェイトちゃんも稔くんの事が好きなんだね」
そう答えを提示したなのはを見つめる。
「稔が好き?」
私が聞き返すと、なのはが、うん、と肯定した。
「稔くんが好きだから、胸がドキドキしちゃう。稔くんが好きだから難しく考えちゃうんだよね?何も可笑しい所なんてないのに。稔くんが好きだから、ずっと一緒に居たいんだよ」
なのはは続けて私の不可解な症状の原因を説明する。
「私は稔が好き……」
わたしはもう一度、そう口にした。
――『あいつは俺の大切な人なんですっ』
「あっ……」
その言葉を思い出し、私は両手を頬に当てる。あの時以上の熱を顔が帯びているのを自分でも感じた。
「どうしようっ……私、稔が好きだよっ……」
そんな私をなのはは苦笑しながら首を振る。
「分からない。わたしも同じだから」
「……なのはも?」
「うん。わたしも稔くんが好き。流石にもう慣れたがら今は緊張しないけど、手を繋いだり頭を撫でて貰ったりするとここがドキドキする」
なのはは胸に手を当て、言葉を続ける。
「下手なこと言って変な子だって思われないか不安だけど、一緒に居られなかったり、お話しできないのはもっと辛いから。……人を好きになるって大変なの」
そう言うと、なのははまた苦笑いを浮かべた。
「そっか……なのはも稔のこと好きなんだ……」
なのはと同じ。何だか嬉しいけど、少しだけ胸がチクリと痛む。確かに、人を好きになるって大変だ。
ここでクロノ執務官がタイムアップを告げに来た。なのはと稔とは暫くお別れ。
足下に魔法陣が現れる。
「稔!ありがとうっ。独りっきりの私に声を掛けてくれて。私の味方になってくれてありがとう!」
これが私の第一歩。
稔の返事を聞く前に、私はアースラへと転送された。
彼の姿が視界から消えると、急に胸が苦しくなった。これで少なくとも裁判が終わるまでは会う事が出来ない。
「本当に、人を好きになるって大変だな」
誰の耳に届けるわけでもなく、私はそう漏らした。
なのはって本当に小学三年生?
この作品でシリアスを書く予定なんて無かったんだけどなぁ……。夜勤中に書いたのがいけなかったのか?
二話くらい前だったか、ノリで稔がなのはに杖を教えるみたいな事を書いたけど、その成果を出すシーンが無くて困っていますorz