俺は歓喜した。転生先であるこの場所は海鳴市。もしやと思い、私立聖祥大学付属小学校という名の学校を探してみると、簡単に見つける事が出来た。
つまり、ここは魔法少女リリカルなのはの世界なのだ。
後々、とらハの世界である可能性もあった事に気付くのだが、それはまた別の話である。
しかし、その喜びは長く続かなかった。
カレンダーを見てみると、現在は20世紀終盤である事を知った。要するに、無印開始前なのだ。当然、ヴィヴィオは居ない。
それに、うちはごく普通の家庭である。魔法なんて摩訶不思議な物との接点なんて何一つ無い。
歓喜の後、俺は絶望へと突き落とされた。神は何て残酷なのだろうか……。
そこで、ふと、過去の偉人の言葉を思い出した。
――ああ、そうだ。神は死んだんだったな。
精神年齢はいい大人である俺は肉体年齢相応に公園へ遊びに来ている。
親は自営業で、いつも家に居るのだが、両親共に働いているので、その間、俺は近所の公園に居るのだ。
今日は何をして遊ぼうかと考えていたら、ベンチに座って俯いてる栗色の髪をツインテールに結んだ少女を視界に捕らえた。
どう見ても、幼少期のなのはさんです。その姿をみると、残酷な現実をまざまざと突きつけられる。
――いや、待てよ?
仮にミッドチルダの結婚可能年齢が日本と同じ十六歳だとしよう。すると、ヴィヴィオが結婚可能年齢に達した時、俺はまだ三十代前半。これは十分にいけるのでは?
そして、目の前には将来、ヴィヴィオの母親になるなのはが居る。今の内からお義母さんと良い関係を築いておくに越した事はない。
よし、そうと決まれば即、実行だ。
俺は栗色ツインテールの少女に近付く。
少女の近くで立ち止まると、彼女は俺の存在に気付いたらしく、俺の顔を見上げた。
やはり、なのはで間違いない。歳は俺と同じ位だ。表情は暗い。父親が大怪我をした時期なのだろう。
俺はなのはの前で両膝を付き、頭を下げて言った。
「お義母さん、娘さんを僕に下さいっ」
「……ほえ?」
頭上から困惑した声が聞こえ……って、しまったあぁぁぁあああああああああああああああっ!!!