なのは家、アリサ家、すずか家と共に、俺は家族と温泉旅行に来ている。
俺が温泉から出て、部屋に戻ると、イライラしているアリサとそれを宥めるすずか、何か考え事をしているなのはの姿があった。何でも、酔った姉ちゃんに絡まれたらしい。
「まあまあ。そんなんでイライラしてたら、十年後やっていけないぞ」
俺は前世の大学時代を思い出しながら言った。
脱ぎ出す者、泣き出す者、怒り出す者、騒ぎ出す者、絡む者。下手したら、犯罪者になる奴も少なくないのだ。
「何、知ったような事言ってんのよっ!?」
……ああ、アリサは飲んだらグチって絡むタイプだな。多分。
アリサの言葉を聞き、そんな事を思った。
「ま、年期の差だよ。俺はそこら辺をぶらついて来るよ」
そう言って、俺は立ち上がる。
「あんたも同い年でしょうが!!」
アリサのツッコミを聞き流し、俺は部屋を出た。
歩き始めてから十数分が経った。
山の中だけあって自然が多く、見通しが良いとは言えない。故に、こんな事も有り得るのだ。
「あれ?フェイトじゃん」
俺はフェイトに気付かれることなく、彼女の元にたどり着いたのだ。
俺の存在に気付いたフェイトは、右手に持つデバイスを俺に向け、臨戦態勢を整える。
「白いのの仲間が一体、何の用だい?」
オレンジ白の髪に獣耳、後ろから尾が伸びた若い女性が俺に睨みを利かせ、問う。
「散歩中に知り合いが居たから、声を掛けただけだよ。ここで会ったのは只の偶然」
俺は両手を上げることで戦意が無い事をアピールし、獣耳の女性、要はアルフに答えた。
実際、ここでフェイトに遭遇したのは偶然である。ここらでジュエルシードを賭て闘うのは知っていたが、フェイトがどの辺りに居るのかなんて、俺が知る由も無いのだ。
「嘘だっ!!どうせ、フェイトからジュエルシードを奪おうって考えだろっ?そうはさせないよ!!」
そう言うと、アルフは右手で俺に殴りかかって来た。
俺は右足を軸に、左半身を回し、逸らす事によって、それを回避する。
だが、アルフの攻撃はそれだけで終わらなかった。彼女は左手で凪払うように裏拳を放つ。俺はそれを左手で上に逸らそうとした。
「っ!!?!?」
逸らそうとしたのだが、頭に強烈な衝撃が走った為、頭を押さえ、うずくまる。
目の前ではアルフも同じ様にうずくまり、涙目になっていた。
俺はこの衝撃を知っている。俺は横で立っている、この衝撃を俺等に与えたであろう大男を睨みつけ、不平を言い放った。
「何すんだよ親父っ!!」
そう。我が親父である。
「何すんだだと?喧嘩は両成敗だと何時(いつ)も言ってるだろうがっ」
再度、俺の頭に衝撃が走った。
「で、喧嘩の原因は?」
親父が問う。
「……ジュエルシードっていう危険物が事故でバラまかれて、ユーノがなのはを魔法使いにして、それを集めてたら、こっちの二人も同じのを集めてて、それで取り合いになったんだよ」
ふてくされて、適当に説明するのだが。
「なるほどなぁ……。これまた、不思議な事もあるもんだ」
それで理解してしまうのが親父様である。
何かを考え込むように腕組みをし、考え事をする親父。
「よし。まずは飯を食いながら話をしよう」
そう言い、親父はアルフの腕を取った。
「蕎麦の道具を持ってきてるし、俺も蕎麦を振る舞おうじゃないかっ」
そのまま、アルフの腕を引き、歩いて行く。
「ちょっとっ、何するのさ!?」
アルフの抵抗も虚しく、二人の姿が見えなくなった。
「じゃあ、俺達も行こうか」
俺はフェイトの手を掴む。
「……え!?……え!?」
またもや、状況に着いて来れていないフェイトは抵抗する事なく、俺に引かれて歩いた。