ヴィヴィオ一途なのに……   作:碧河 蒼空

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8話 稔出陣

 俺と親父がアルフとフェイトを旅館に連れてくると、アリサがアルフを指差して叫んだ。そういえば、さっきアルフと一悶着あったんだっけ?

 親父の後ろから俺がフェイトを連れて中に入ると、なのはは目を見開いて驚きを表す。

「士郎さん、席を二つ追加だっ」

 親父がなのはの父、士郎さんに声をかけると、彼は苦笑しながらそれを了承した。士郎さんも親父の拉致癖には慣れている。

「それで、今回はどうしたんですか?」

 どうしたとは、この二人を連れてくるまでの経緯だ。士郎さんはどれだけ慣れても、これだけは聞いてくる。

「ジュエルシードって危険物が事故でバラまかれて、そこのユーノがなのはちゃんを魔法使いにして、それを集めてたら、 こっちの二人も同じのを集めてて、それでさっき稔とこっちの嬢ちゃんが喧嘩してたんで、連れてきた」

 親父が説明すると、士郎さんは顔に手を当て、口を開いた。

「……済みませんが、もっと詳しく聞かせて頂けないでしょうか」

 多分、この説明で理解出来るのは親父だけであろう。

「……詳しくは俺から説明します」

 このままだと埒が明かないので、俺がこの場で説明する事にした。

 説明を聞いたみんなの反応はそれぞれだ。秘密にしていたことがバレてしまい、居心地の悪そうななのは。この街と、何よりなのはを巻き込んでしまった事に改めて落ち込むユーノ。こんな話を疑いもなく信じてくれて、心配そうな顔をするアリサにすずか。何を考えているのか読めない母。そして、親父と俺の言葉だから嘘だとは思っていないだろうが、信じられないと言った様子のその他全員。

 親父は蕎麦を茹でてくるから話を始めとけと言い、部屋から出て行った。なんとも無責任な話である。

「……フェイトちゃんはどうしてジュエルシードを集めてるの?話しあいじゃ解決出来ないの?」

 最初に口を開いたのはなのはだった。

「私はジュエルシードを集めないといけない。そして、あなたも同じ目的なら、私達はジュエルシードをかけて戦う敵同士」

 なのはの問いに対するフェイトの答えはNO。

「だから、そういう事を簡単に決めつけない為に、話し合いって必要なんだと思うっ」

「話しあうだけじゃ、言葉だけじゃきっと何も変わらない」

 お互いの言葉を否定しあうなのはとフェイト。

「だからって……」

 なのはが反論しようとした所で、ジュエルシードがこの付近で発動したのを感じた。

「アルフッ」

「ああ」

 フェイトがアルフに声を掛け、外へ飛び出す。

 アルフもフェイトに続いた。

「待ってっ」

 ユーノがなのはの肩に乗ると、なのははフェイトの後を追うように、ジュエルシードの元へ向かう。

 俺も続こうとした、その時。

「おい、稔。蕎麦が出来たがら、お前も運ぶの手伝ってくれ」

 蕎麦を持つ親父が戻ってきた。

「ごめん。ジュエルシードでなのはとフェイトが出て行ったから、行ってくる」

 俺は親父に殴られるのを覚悟で、走り出そうとする。相手が親父なので、最低限の説明で済ませる。

「待て」

 親父が俺を呼び止め、こちらに麺棒を投げてきた。

 俺が唖然とすると、親父が口を開く。

「喧嘩は両成敗だが、男にはやらなきゃならねぇ時がある。今回は特別に手加減してやる」

 拳骨のジェスチャーをしながら、そう言った。

 そんな親父に、俺は笑って返す。

「そこは目を瞑ってよ」

 そう言い残し、二人の元へと駆け出した。

 

 

 

 

 おまけ ~その後の親父~

 

「行かせたんですね」

 稔の走って行った方を見つめる親父に、稔の母が声を掛ける。

「ああ。いけなかったか?」

「いえ。むしろ、あなたが引き止めるようなら、私が行かせました」

 二人は穏やかな表情で話している。

「稔の嫁候補達だからな」

「ええ」

 この二人にも、真に稔が見ている者を見抜く事が出来ないでいた。




 真面目な話かとお思いきや、最後にちゃんとオチが入りました(笑)
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