神次元ゲイムネプテューヌV EXTRA ~四人目の弟の物語~ 作:白宇宙
今回もまた気分転換でほのぼのとした物語を書きました。
今回のテーマはお出かけ、四人の女神と四人の赤ちゃんたちはどこにおでかけするのでしょう?
それでは、ご覧下さい…。
馴れない子育てに奮闘し続けるプルルートたち、ここ最近はノワールやブランの協力も得て四人の赤ん坊の面倒を見る日々が続いている。
馴れないながらもミルクやおむつ交換、寝かしつけなど苦労することもあるが何とか四人の女神は子育てをこなしていた。
そして、とある日にプルルートはちょっと用事があるからと言ってアキラたち四人の赤ん坊とネプテューヌたちを連れてお出かけを提案したのだ。
「お出かけって、ぷるるん、公園デビューにはまだ早いんじゃないかな?」
「公園デビュー? ちがうよ~、今日はちょっと行きたいところがあるの」
「行きたいところって、この子たちも連れて行かなきゃいけないところなの?」
ノワールの問いかけにプルルートはこくりと頷いて答える。
「とりあえず、行けばみんなわかるよ~♪」
そう言うとプルルートは近くで遊んでいたピーシェを抱っこして首を傾げる三人にほんわかと柔らかな笑顔を向ける。
それにつられて赤ちゃんたちも小首を傾げる。
ぬいぐるみの中に紛れていたアキラも頭だけを出して不思議そうな顔をしている。
一体彼女は、これからどこに向かうつもりなのだろうか。
思えばこの四人の赤ちゃんたちと一緒に外に出るのは初めてのことだった。 イストワールが用意してくれた四台のベビーカーを四人で押してプラネテューヌの街並みを進むプルルート達、そして赤ちゃんたちは外の景色に興味津々なのか忙しなくきょろきょろと辺りを見渡し続けている。
「まさか、私たちがベビーカーを押すことになるなんて思ってもみなかったわ」
「ごめんね~、ノワールちゃんたちにもついてきてもらっちゃって~」
「私は別にかまわないわ……暇しないし……ただ……」
ブランはそう言うと、彼女が押すベビーカーに乗っているコンパへと目を向ける。
「ふぁ! ちょーちょですー♪」
目の前に現れた小さな蝶を見つけて身を乗り出さん勢いで手を伸ばすコンパ、ベルトで体を繋いでいるとはいえ見てるとなぜか落ちるのではないかとひやひやする。
「騒ぎすぎないか心配になるけど……」
「あはは~…」
苦笑いを浮かべるプルルート、すると今度はブランの隣にいるノワールが押しているベビーカーに乗るアイエフがふと声を発した。
「どこいくの?」
「え? わ、私に聞かれても……」
「あによ、わからないならこたえないれよね」
「むっ……」
生意気な盛りらしいアイエフの言葉にむっと顔をしかめるノワール、プライドの高い彼女はやはりこういう言葉に敏感なようだ。
子育てにおいて子ども相手でも、怒りや悲しみと言った感情を表情に出してしまうのはあまりよろしい事とは言えない、子どもと言うのはまず第一に視覚から情報を得るためいろいろなことを理解できる時期になった子どもは人物の表情からそれらの感情を読み取ることができるのだ。
「あ、だめだよノワールちゃん~、笑顔笑顔~」
「わ、分かってるわよ、私が子ども相手にムキになるはずないでしょ!」
プルルートがそれを知ってか知らずかノワールの表情を指摘すると、ノワールはちょっと不満げながらも表情を元に戻した。
彼女の表情が元に戻ったのを確認したプルルートは次にアイエフへと視線を向ける。
「まだ言えないけど、きっと楽しいところだから、もう少しまっててね~?」
「む~……しかたないからがまんしてあげゆわ」
「うん~、いい子だね~アイエフちゃん~」
生意気な口調だが一切顔をしかめることもせずに笑顔を貫くプルルート。 ここ数日で大分赤ちゃんたちの対応に慣れてきたようだ。
「いや~、でもなかなか体験できないよね、子育てって」
「まあ、私たちは女神だし結婚とかあまり考えたこともないしね」
「男っ気がない……ともいえるわね」
まだ慣れていない三人は子育ての体験を通して感じたことを題材にフリートークを始める。
女神メモリーによって選ばれ、国の運営と守護を司る使命を与えられた女神は仕事やらその責務に追われてなかなかそう言う出会いは少ないものなのだ。
そんな中で子どもたち、しかも赤ちゃんの子育てと言うのはなかなか苦労することが多いようだ。
「そう言えば~、ねぷちゃんってアイエフちゃんとコンパちゃんとは向こうの世界でお友達だったんだよね~?」
「うん、そうだよ! 八面六臂の大活躍を共にした私たちは、まさに切っても切れない関係! マブだよ、マブ!」
「ねぷてぬ……まぶ?」
プルルートがふと、ここ最近判明したネプテューヌとアイエフ、コンパとの関係を話し始めた。
そう、実はアイエフとコンパの二人はネプテューヌの元いた次元では共に過ごした仲間だったのだ。
今でこそ赤ちゃんの二人だが、向こうの世界ではもう立派な大人らしい。
「赤ちゃんの時のあいちゃんやこんぱのこと知らなかったから、初めて二人を見たときは気づかなかったよ」
「でも、ピーシェとアキラは会ったことないのよね?」
「うん、まあね、でももしかしたら二人も私の世界のどこかにいるのかな?」
「だとしたら、二人ともそっちの世界の二人と一緒で大きくなってるのかしら?」
「そうなのかなぁ?」
そう言われてみればと、ネプテューヌが自分が押しているベビーカーに座っているピーシェとプルルートが押しているベビーカーに座るアキラに視線を向ける。
「あっ! にゃー、にゃー!!」
「あーこらぴー子! そんなに暴れたら落ちちゃうよ!? ただでさえぴー子は赤ちゃんのくせにバカ力なんだから!」
しかし、ピーシェは近くを通った猫に興味津々でそれどころではない。
身を乗り出して猫に少しでも近づこうとするピーシェをネプテューヌが慌てて制止する。
「ピーシェちゃんは今日も元気だね~、ね~、あきくん?」
二人の様子を見て微笑ましいと思ったプルルートはアキラにそう問いかけるが……。
「………」(がくがくぶるぶる
いきなり外に出て緊張しているのか、あるいは人見知りが爆発しているのか、慣れない環境にいきなり晒されたアキラはベビーカーの上で尋常ではないくらいのレベルでビビりまくっていた。
「……やっぱり、アキラを連れてくるのはまだ早かったんじゃない?」
「う~ん……」
アキラの様子を見たプルルートは悩ましげな声を出しながら、苦笑いになる。
「それにしても、なぜ姉弟でこうも違うのかしらね……」
「確かにね、ぴー子はこんな感じがデフォだけど、あっきーは正反対だもんね、いったいどうしてかな?」
「イストワールによると、二人はいつの間にか捨てられてたのよね……何かあったのかしら?」
二人がどういう経緯で教会に預けられたのか、三人が疑問を感じ首を傾げる。
しかし、プルルートはそんな会話に構うことなく、ベビーカーの前へと回り込むと、座っているアキラの固定用ベルトを外してそっとアキラを抱き上げる。
「大丈夫だよあきくん、怖くないよ~?」
「あう……ぅぅ…」
「よいしょ……ほら~、わたしもいるから、ね?」
今にもぐずり出しそうなアキラを抱き上げて顔を覗き込みながら笑顔を向けるプルルート、そんな彼女の顔をアキラはじっと見つめる。
やがて、ビビりまくって挙動不審になっていたアキラが徐々に落ち着きを取り戻し始める。
「……やっぱあっきーってぷるるんに一番懐いてるよね」
「え~? そうかな~?」
「そうだよ、だって私が抱っこしようとしても、あっきー必ず泣くのに、ぷるるんが抱っこするとすっごい落ち着くんだよ?」
彼女の言う通り、アキラを抱っこすることができたのは今現在プルルートのみであり、ネプテューヌを含めた三人は未だにアキラを抱っこすらできないでいる。
「ある意味、もうすっかりあっきーのお母さんだよ、ぷるるんは」
「お母さん………」
それ故に感じたことをネプテューヌが口にしたとき、一瞬だがプルルートの表情が一瞬、曇ってるように見えた。
どこか寂しげで、悲しげな目を一瞬だが、彼女が浮かべたのをノワールは見逃さなかった。
何故そんな目をしているのか、ノワールは知っていた…。
小さなころから一緒にいたノワールには、理解できてしまったのだ…。
「ちょっとネプテューヌ、冗談はそのくらいに」
「大丈夫だよ、ノワールちゃん」
「……でも」
ネプテューヌを注意しようとした彼女を、プルルートが制止しさっきの表情とは打って変わった朗らかな笑顔を浮かべる。
しかし、その笑顔の下でプルルートが何を思っているのかノワールは知っている…。
(………プルルート、やっぱり……あなた……)
彼女にとっては昔の事、それでもなお彼女の心に残っている深い影…。
「ほら、そんなことより、もう着いたよ~?」
ノワールの心配などは露知らず、話をそらしたプルルートがアキラを抱っこしながらベビーカーを押してある店の前で足を止めた。
そこは大手とは言えない、小さいながらもしっかりとした佇まいを見せる、一件のおもちゃ屋であった。
「おもちゃ屋…?」
「“みんな楽しいおもちゃ堂”……なんだか胡散臭い名前ね……」
「ぷるるんが行きたがってたところって、ここの事なの?」
ネプテューヌの問いかけにプルルートはこくりと頷いて返事をする。
「うん~、そうだよ~」
「でも、なんでおもちゃ屋なの? ぬいぐるみとかならあなたの部屋にたくさんあるじゃない」
ノワールの言う通り、ぬいぐるみなどの類はプルルートの趣味による影響でかなりの数が作られているはずだ。
実際、それらのぬいぐるみは赤ちゃんたちによって有効活用されているはずだが……。
「だって、ぬいぐるみ以外のおもちゃがなかったから……」
「あ……そういうことね」
確かに、言われてみればそうだった。
さっきも言った通り、ぬいぐるみは困らないほどの量があるのだが、逆に言えばそれ以外のおもちゃが極端に少ないのだ。
あるとしても、よくネプテューヌやプルルートが遊んでいるゲームくらいのもので赤ちゃんにちょうどいいおもちゃがないのである。
「だから、今日はみんなを連れてこのおもちゃ屋に来たってことなんだね?」
「うん~、そういうこと~」
プルルートは片手でベビーカーを押しながら目的地であるおもちゃ屋の自動ドアをくぐり、中へと入る。
一切の迷いなく中に入って行ったプルルートに後押しされ、慌てて三人もベビーカーを押して中へと入る。
店の中はそれなりの高さの商品棚が並び、その上にはいくつものおもちゃが並んでいる。
男の子向け、女の子向け、対象年齢、作品別、ちゃんと区切られた敷居を忠実に守って商品が並べられている。
さらには高いところに手が届きやすいように足場が用意されていたり、ちゃんとコーナーを示す表示の文字列には子供が分かりやすく読み仮名も降ってある。
床もきれいに掃除されていて、空調設備も程よく調節されている。
これらを見るあたり、おそらく店主もまじめな性格ではないのだろうかとノワールは予想する。
「へえ、小さい割には結構しっかりしてるじゃない」
「隠れた名店、ってやつかもしれないわね……」
「あ、ゲーム機もある! しかも………これけっこう古いタイプなのに新品同様!? プレミアものじゃん!」
初めて来店した三女神たちはきっちりとした店の内装と品揃えに感心しまじまじと店の中を見回す。
「あ、どあごん! どあごん!」
「あのたこさんかわいいれす~♪」
「にゃー! ぴぃ、にゃー!!」
ベビーカーに乗っている三人の赤ちゃんも興味津々に店の中にあるおもちゃに目を向けている。
「あきくん、なにか欲しいのある?」
プルルートもほかの三人と同じようにアキラがなにか興味を示すものがないかを探す。
試しに立ち寄ったのは男の子の赤ちゃん向けのおもちゃが並べられた商品棚だ。
今を輝く子ども向けアニメや
キャラクターをかたどったおもちゃがきれいに並べれられている。
「………?」
しかし、アキラは小首を傾げてこれと言った反応を見せない。
ここにはアキラのお気に入りはないのだろうか?
「う~ん、ちょっと選ぶのは難しいかな~?」
「そう言えば、アキラって何が好きなのかしら?」
「えっと……あれ? なんだろう~?」
言われてみれば、アキラの好きなものははっきりとわかっていなかった気がする。
他の三人、アイエフはカッコいいもの全般、コンパは可愛いもの系、ピーシェは動物系のなにか…。
なのに対して、アキラはこれといって好きなものも嫌いなものもないように思えるのだ。
ただでさえ人見知りが強いアキラが好みそうなものと言えばなんなのだろうか…? ふとプルルートが考えていると……。
「いらっしゃーい」
店多くから声が聞こえ、誰かがこちらに近づいてくる足音が聞こえてきた。
声色からして男、しかも結構若いようだ。
この店の内装の様子や、商品の並べ方や客への気遣いを見るにどんな好青年だろうかとノワールを含める三人がその人物に目を向ける。
そして、店の奥から顔を出したのは………。
「あ? んだよ、またお前ぇか……今日は何の用だ? 冷やかしならお断りだぞ?」
………一見すると、“チンピラ”以外の何者でもなかった。
無造作に整えられた髪は金色に染められ、目にはサングラスをかけている。
顔の輪郭や声色からそれなりに若い年齢のはずだが、口元には煙を上げる一本の煙草がある。
服装も店のものと思われるエプロンをしてはいるが、首元には髑髏マークのネックレス、両耳にはピアス、そして右手の指には同じような装飾の指輪がいくつか嵌められている。
まだわかりやすく言うならヤンキー、細かく言うなら完全にやっちゃってますよ系のチンピラ風の人物の登場にノワールとブランとネプテューヌの三人は固まった。
(な、何この男……か、完全に危ない奴じゃない!)
(店の雰囲気に騙されたけど……まさかここは、ヤ○ザか何かのアジト……!? あの男はその下っ端……?)
(いやいやいやいやいや、やばいよやばいよやばいよ!? いくら私たちでもこんな類の人とあまり接したことないって! あったとしてももっと中二センスバリバリだったり、ロボットだったりするのに、ガチじゃん! ガチな人じゃん!!)
完全に男の威圧感に飲まれて警戒しまくりな三人。
同様に四人の赤ちゃんも若干怯えているようである…。
これからどうなるのか不安さえ感じ始めるが、一番の問題は子どもたちだ。
あんな見た目をした男なら子どもでも容赦なく接してきそうだ……いざと言うときはこの男を取り押さえなければいけないかもしれない…。
(大丈夫、私たちは女神なのよ? たかがチンピラ一人、どうってことは……)
ノワールが若干身構えながら男を睨み付ける。
だが、
「うん~、ちょっと今日は探し物があってきたんだ~」
プルルートは緊張感が全くない声で男に返答を返していた。
「ちょ、プルルートなに普通にしゃべってるのよ!? 下手すると何されるかわかったものじゃないのよ!?」
変に刺激して妙な行動をされると恐れたノワールは慌てて彼女を注意する。
「あ? 探し物ぉ? ………ん?」
それを聞いたチンピラ風の男がサングラスを少し下にずらして目元を覗かせた。
その視線に写ったのは四人が行動を共にしている子どもたち。
(まさか、いきなりこの子たちに手をかける気……!?)
いよいよまずい状況になったかと、ノワールが本気で身構える。
「っておい、赤ん坊連れてきてんのかよ!? おいおい先に言えよ、煙草の煙吸ったら危ねぇだろうが!」
だが、男は赤ちゃんたちを見るや否や咥えていた煙草を慌てて口から離し、店のカウンターに置かれていた灰皿に押し当ててすぐさま消火した。
予想外の行動に身構えていたノワールは呆気にとられてしまう。
「で、なにか? 今日はその赤ん坊たちが客ってことか?」
「うん、そうなんだ~、なにかおすすめある~?」
プルルートがそう聞くと、男はエプロンのポケットに手を突っ込み、そこからマスクを取り出すとそれで口を隠し、彼女に近づく。
「おう、何か欲しいもんはあるか?」
「ひぅ………ふえぇ……」
そう言いながらサングラスを外して、男はプルルートが抱っこしているままのアキラに声をかける。
だが、アキラはいきなり現れた他人に対し、人見知りを発動させて今にも泣き出してしまいそうになっている。
「おいコラ男が人前で泣くんじゃねぇよ……そうだな……そら、こいつでどうだ?」
そう言って男は近くの棚の奥に隠されていた一つのおもちゃを取り出す。
でんでん太鼓、昔懐かしのおもちゃである。
男はそれを手に持ってアキラの目の前で回し、とんとんと音を鳴らして見せる。
「う? ………あぅ?」
「気になるか? ほらよ」
男はでんでん太鼓をアキラに手渡すとアキラはそれを手に取り、同じように回して音を鳴らす。
すると、アキラはさっきとは打って変わって表情が柔らかなものになった。
「……♪」
「わ~、あきくんよかったね~♪」
「ったく、いきなり来たと思ったら人見知りのガキとはなぁ……おい、そこの奴らもおもちゃが欲しいのか?」
一瞬にしてアキラの人見知りを見抜いたという発言をした男は今度はノワールたちの釣れている三人の子供に目を向ける。
「え……ええ、そうよ」
「四人連れか………しゃあねぇ、纏めて面倒見てやるよ」
見た目とは裏腹にどこか面倒見のいい男、彼の発言にノワールたちは終始、戸惑うばかりだった。
いかがでしたか?
このお話は次回に続きます。
それでは…