上賀 輝積は勇者でない 【完結】   作:風墳K

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第10話です。

早くも第10話です。

今回はシリアス入れのギャグ回に…

と、兎に角どうぞ…


第10話 歌を

ある日

 

俺はいつも通りに勇者部に行った。だが、その日は日直のため少し遅れて…だ。

 

「すいませーん、日直で遅れまし…た…」

 

勇者部部室に入るとみんな鞄を持って部室から出ようとしていた。

 

「どうかしたんですか?」

「いや~今日の活動は終わりにしようかと。」

 

唐突だな…しかも、来たばかりなのに…

 

「それと、輝積、明日空いてる~?」

「一応空いてはいますが?」

「そう。なら、明日ここに集合ね。」

「あ、はい。」

 

俺は紙を渡される。紙には場所と時間、制服を着てくることとしか書いてはいなかった。多分、勇者部の活動だろう。

 

「それじゃあね、輝積君。」

「おう、さようなら、友奈、東郷さん。」

「さようなら。輝積君。」

 

友奈が東郷さんの車イスを押しながら帰る。

 

「それじゃ、明日遅れないでよ。」

「輝積さん、お疲れ様です。」

「ああ…お疲れ。」

 

そう言って脇を通っていく犬吠埼姉妹。お疲れって…何もしてないよ…俺…

 

「そんじゃ、帰りますか。」

 

俺は夏凜の方を見る。

 

「何よ…」

「え?帰らないの?」

「帰るわよ。」

「なら、一緒に帰った方がいいよ。」

「な、な、なんであんたなんかと一緒に帰らなきゃいけないのよ!」

「そうか~それなら、俺は一人で帰るね~」

「え!?ちょっと!?」

 

俺は部室から出て走るように(厳密には走ってない)帰った。

 

家に着き、玄関を開ける。そして、九尾と銀が出てくる。

携帯を充電器に挿し込み俺はジャージに着替える。

 

「どっか出かけるのか?」

 

九尾がエプロンを着けた状態で聞いてくる。

 

「少しジョギング。」

 

俺はそう言って外に出て時間を計りながらジョギングをする。この頃、暑くなってはきたが、夜は少し冷える。

俺はそんな中ジョギングをした。

俺は勇者なんて立派な者ではない。だが、戦えるのなら、戦う。記憶を失っても、体を動かしていた。もしかしたら戦うことが無意識にわかってたのかな。

無力なのは嫌だ。だから、俺は体を鍛える。ただそれだけだ。

 

俺はそんなことを考えて走っていた。素手に夕食時だ。

 

次の日

 

制服を着て俺は集合場所に行く。

 

「…」

 

集合時間より少し早く来てしまった。正直少し眠かったりする。

現在朝8時半。集合は9時半。一時間早い。

 

さて、何をしようか…

 

「あら、輝積君早いね。」

 

集合場所近くに車が止められ、そこから東郷さんが降りてくる。勿論車イスだ。

 

まさか、東郷さんが来るとは…

 

正直に言うなら、東郷さんは可愛いし料理も上手、更にはスタイルも。だが、彼女は友奈をとても大切に思い過ぎなくらい過保護だ。しかも、時よりの毒舌はかなり心にくるものがある。あ、付け足すなら愛国者だ。

 

「おはよう。東郷さん。」

 

東郷さんは車イスで此方に来ようとする。俺は直ぐ様東郷さんの所まで駆け寄り車イスを押す。

 

「ありがとう、輝積君。」

「いやいや、普段ここは友奈の特等席だけど、一回は同じ勇者部として押してみたいと思ってさ。」

 

俺は後ろから東郷さんを見る。

 

「鷲尾…」

「?どうかしたの?輝積君?」

「!?あれ?俺なんか言った!?」

 

俺は小さな声で誰かの名前を言っていたらしい。鷲尾って誰だよ。

 

「輝積君…」

「どうしたの?」

「私のことを知ってるの?」

「どういう意味?」

 

その後、聞いてしまった。東郷さんは交通事故にあって両足の機能と約2年間の記憶を無くしてしまったらしい。

 

「そうか…」

 

少しの沈黙。これは本人が一番辛いはずだ。

 

「それなら、俺もその2年間の記憶を取り戻せるように手伝うよ。」

「ありがとう。でも、私は今が楽しいから、いいわ。気持ちだけ受けとるわ。」

「それに、俺の記憶も関係ありそうだし…」

「記憶?」

「えーと…誰にも話さない?」

「内容次第には…」

 

俺は東郷さんに自分も記憶が無いことを話す。いや、東郷さんより重症で自分に対して全部だ。

 

「そんな…こと…苦しくは無いの?」

「苦しく無い…て言ったら嘘になるな…でも、勇者部のおかげで毎日が楽しいよ。」

 

そう話していると、友奈が走って来る。

 

「東郷さん、待って~」

「もう、友奈ちゃんが起きないのが悪いんだよ。」

「ごめん!東郷さん。」

 

俺は東郷さんを押す権利を友奈に渡す。

 

「おはよう、輝積君。それと、ありがとうね。でもここは、私の特等席だから。」

「おはよう。いや、勇者部としては、やっておきたかったからさ~」

 

友奈と東郷さんと会話をする。東郷さんは俺の話しを内緒にしてくれるみたいだ。いや、俺が自ら話さないといけない。その時まで話さないだろう。

 

そして、集合時間。勇者部六人が揃い、いざカラオケへ…カラオケ!?

 

「ちょ!風先輩、聞いてないっすよ!」

「あれ~言って無かったっけ?」

 

絶対面白半分で俺のこと誘ったな…。と思ったけど、なんでも樹ちゃんの歌の練習をするらしい。そして、なんで制服かというと学割が効くそうだから。あれ?これなら、俺、制服の予備があるから、九尾とカラオケ…やめておこう。いや、制服的に。

 

カラオケに着いて、早速風先輩が歌う。

目茶苦茶上手い。点数が92点。因みになのたが、ここのカラオケは採点付きだ。

友奈が夏凜と一緒に歌おうとしたが、夏凜が嫌がる。だが、風先輩が油に火を注ぐ。ようは、夏凜を挑発するわけだ。

そして、友奈と夏凜が歌う。どんだけ歌が上手いんだ!?この部活は!?また92点だよ。

しゃあない、今度は俺か。

 

「あれ?この曲誰が入れたの?」

「俺す。」

 

カラオケの画面に赤いツインテールの女の子が写し出される。

 

「Why? 君と問いたい そのアツい情熱の進化~♪」

「まさかのアニソン…」

「私、このアニメ知らない…」

 

歌いきる。他の勇者部達は圧巻しているようだ。点数は…

 

「97点…」

「これが、アニソンじゃなきゃ、凄かったのに…」

「え~でも凄く上手いよ~」

 

そして、次…

樹ちゃんの番だ。

率直な感想だが…

 

「緊張し過ぎな気がするな…」

 

そう、声が緊張してしまい、折角いい声を出し切れていない。点数は…まあ、見ないようにしよう。

 

「樹は一人で歌う時は凄く上手いのに。」

「そうなんですか!!」

 

友奈のオーバーリアクションが本当いいところで出てくれるよ。友奈は素でわかる人だ。

 

風先輩も樹ちゃんのことを励ます。それぞれ勇者部で樹ちゃんに出来ることを考えることにしよう。

風先輩は兎に角カラオケを楽しもうと言って来たので楽しむことにした。

 

そして、東郷さんの出番…

これは…軍歌…

さ、流石愛国者。もしかりたら、艦〇レやってたり…いや、もしや、ガ〇パンなども知っていたり…なんか、東郷さんのキャラが俺の中で崩れ始める。しかも、勇者部(夏凜と俺を覗いた)は敬礼をする。何なのこの部活…

 

「それじゃ…今度は私が…」

「現実は何となく超絶な私達の日常…~♪」

 

はっはっは!先に入れたのは俺だ!

 

「夏凜ちゃん、もう一回やろう。」

「嫌よ。」

「いくつもの星の名前を知って キミと出会った 幼い日~♪」

「あ~輝積はほっとこう。」

「けど、輝積さん、歌上手いですよ。」

「アニソンじゃ無かったら…ね。」

「『限界なんて無い』ってキミの言葉に憧れてこの手を伸ばしたんだ~♪」

「また歌ってる…」

「あれ…これって…」

「どうかしたんですか?風先輩?」

「いや、気のせいよね…」

「ケモケモケモ けもけもけ~♪」

「…」

「お姉ちゃん?」

「ねぇ、友奈、樹、夏凜、東郷、少し耳塞いて置いて。」

 

風先輩がなんか指示を出しているが、関係な…

 

「あんた!それ、2014秋アニメばっかじゃない!てか、一応放送局が一緒なのもあるけど、そんな万々に別アニメのOPを歌うな!!ある意味引っかかるわよ!」

「…確かに…」

「それに、皆でカラオケしないと意味ないじゃない。」

「わかりました。風先輩。あと、メタ発言ありがとうございます。」

「もう、やらないわよ。てか、なんで私がツッコムのよ。」

「いや~風先輩ならわかってくれると…」

「次やったら、容赦しないから。」

「本当すんません。」

 

俺は、初めて風先輩が怖いと感じた。

 

「皆、耳塞ぐのやめていいわよ~」

 

友奈達には聞こえてないようだ。東郷さんが一瞬手を離したように見えたのはなぜだろう。だって、さっきの風先輩の言葉は聞こえてないはずなのに…

 

何とかゼスチャーで耳を塞ぐことを止めさせた。これでいい。よし、俺は出来るだけ自粛して歌いますか。

 

こうして、楽しいカラオケが…

 

「ねえ、夏凜、一緒に歌おう~」

「な、なんであんたと歌わなきゃいけないのよ!」

「あー、輝積君と夏凜ちゃんのデュエット聞きたい!」

 

友奈が賛成してくれる。

 

「アニソンじゃなきゃいいわよ。」

「私も気になります。」

「応援するわ。」

 

皆ノリノリですな。引き下がれません。

 

「…しゃあない、やるわよ、輝積。」

「よし、きた!」

「「~♪」」

 

いや~楽しい時間だった。

 

次の日、樹の歌のテストのために、夏凜が喉にいいサプリメントを部室に大量に持ってきた。

 

「夏凜さん…これは…」

「樹、これを全部飲めば、声が良くなるはずよ。」

「なら、実践お願いします。」

 

俺が言う。

 

「それなら、輝積もやってみれば?少し声枯れてるわよ。」

 

確かに、昨日歌い過ぎた。そのため少し喉がガラガラする。

風先輩は夏凜に挑発をするわけで…

 

「いいわよ、全部飲んでみせるわ!」

「あの…俺もやらなきゃダメ?」

「ダメ。」

 

風先輩に笑顔で返された。

 

「くそ!やけくそだ!」

 

その後、トイレに直行する勇者部の二人がいた。てか、その内の一人は俺の訳で…

いや、味がどうとかそういうレベルではない。なんか…体にいいものを大量に摂取した時に逆に良くない感じがする、そんな感じだ。二度とサプリメントをオリーブ油で飲まない。いや、普通しないか。

 

その後の部活中、友奈や風先輩の閃きで樹に激励のメッセージを書くことに。

俺は…

 

樹ちゃんなら、きっと出来るよ。俺が、いや俺達がついてる。

 

と書いた。

いや、本当なら、ネタに走って、

お前を信じる俺を信じろ

とか書いてみたかったけど、やっぱり、こういう時は真面目にしないとね。

 

結果から言うと樹ちゃんは合格した。

今度、緊張していない樹ちゃんの声を聞けたらいいな…。




はい。

ネタのアニメは、風が言う通り、2014年秋アニメOPです。はい、一応謝っておきます…スミマセン。
でも、後悔してない。

まあ、メタ発言はこの話しだけなので(予定だと)次の話から普通にしていきたいと思います。

ではでは、次回予告を…

次回予告

「あんた達…」
「よーし…」
「言われなくても…」
「わ、私も叶えたい夢が…」
「頑張って皆を、国を…」

「あれは…満開…」

次回 守りたい者
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