上賀 輝積は勇者でない 【完結】   作:風墳K

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はい、第18話です。

ラストまであと二話。

急展開なのでご注意を…

それでは~


第18話 己

東郷さんと話して数日。

この頃、勇者部の皆がバラバラな気がする。なんというか、ギグシャクしてるというか…

まあ、あんなことがあったんじゃしょうがないよな。

 

休日、俺は少し遠くまで来ていた。何か東郷さん…こと鷲尾須美と銀、園子を救う方法を考えながら歩いていた。そしたら遠くまで来てしまった。休日だから、散歩も含めて歩いてはいたが…

 

しかも、携帯…家に忘れたし。

 

俺は取り合えず歩いていた。海沿いの道を歩いていた時、見たことのある女の子がいた。

 

「あ!夏凜!」

「輝積!?どうしてここに!?」

 

そこにいたのは夏凜だった。

 

「散歩してたらいつの間にかここにいた。」

「そ、そう。」

 

夏凜はそう答えると視線を目の前にあるアパートに移す。

 

「なんかしたのか?」

「あんたには関係ないわ。」

「そう言われると気になるな~」

「あーもー、監視よ。監視。」

「俺の?」

「違う!」

 

聞いた話しだと、風先輩が裏切るかもしれないということ。

風先輩は、東郷さんから色々と聞いたのだろう。そして、満開の代償…風先輩は左目、樹ちゃんは声を失うはずだった。俺が散華を代わりにしたが、本当は失うはずだった。その真実を聞いたのだろう。でも、風先輩はそんな人じゃない。もし、風先輩がそんなことをするなら、たぶん、樹ちゃんのためだろう…

 

「風先輩がそんなことするわけないよ。」

「私も…信じてはいる。でも…大赦からの命令だから…」

「そうか。」

 

そういえば、夏凜と二人きりとは案外珍しいのでは?いや、そうでも無いな。

 

「夏凜はさ、なんでそんなに頑張ってるの?」

 

正直な疑問だ。夏凜は努力家だ。でも、それには何か理由があるはずだ。

 

「…話す必要は…」

「話して。」

「しょうがないわね。」

 

夏凜は改めて話し始める。

 

「私にはね、兄さんがいるの。」

「お兄さんが…」

 

俺は元の世界の記憶が無い。なので家族がよくわからない。でも、夏凜の性格を見ている限りお兄さんはいい人そうだ。

 

「兄さんはね、運動、勉強、なんでも出来たの。でも、私はそこまで出来なかった。なんでも兄さんに負けてたわ。でも、勇者になれるって聞いて嬉しかったの。私にしか出来ないことがあるんだって。それが誇りだったの。だから、頑張るのよ。」

「…そうなんだ。」

 

彼女には、彼女なりの戦う理由があった。

 

「輝積~」

 

自転車に乗って銀が此方に向かっていた。

 

「銀!?」

「携帯、忘れてたよ~」

 

銀は汗をかきながら俺の携帯を持ってきてくれたのだ。

 

「銀!」

「夏凜!」

 

銀と夏凜は仲がいい。何故だか知らないけど。

 

「凄い汗ね。タオルあるわよ。」

「ありがとう。」

 

夏凜がタオルを出した。その時だった。夏凜は手に持っていた携帯を銀の足下に落としてしまう。銀は夏凜の携帯を拾おうと夏凜の携帯を持った瞬間だった。

 

「え!?」

 

銀が倒れる。

 

「銀!?どうした!」

「銀!どうしたの!?」

「だ、大丈夫だから…」

 

そう答え、銀は立ち上がる。

 

その時だった。アパートの一室から黄色い花びらが大量に出てくるのが見えた。

 

「なんだ!」

 

そこから飛び出す人影…風先輩だ!?

どうして!?まさか、裏切るのか!?

 

「風!?」

「夏凜は風先輩を追え!俺は銀を家まで連れていく。」

「わかったわ!そのあと、絶対に来るのよ!」

 

夏凜は銀が目の前にいるのにも関わらず変身して風先輩を追ってい行く。

 

「銀…大丈夫か?」

「ありがとう、輝積。私ね、記憶戻ったんだ。」

「!?本当か!良かった!」

「ねえ、須美は…」

「この前あったろ。東郷さん。彼女だ。でも彼女も記憶が無いんだ。だからわからなかったんだ。」

「よかった…皆生きてて。それと、園子に謝りたい。私…酷いことしちゃった。」

 

銀は泣いていた。

俺は…彼女を救えたのか?いや、まだだ。

 

「少し待ってろ。必ず肉体も取り戻してやるからな。」

 

俺はそう言って変身する。風先輩を追いかけないと。

 

「私も…」

 

銀も行こうとしていた。だが、俺は…

 

「待っていてくれ。必ず、戻るから。そしたら、園子との約束を果たそう。皆笑って…」

「輝積…」

「俺は、皆のことが好きだから…それは銀も同じだから。」

「え!?」

 

銀は顔が赤い。汗だくで顔が赤いのだ。たぶん、運動をしたせいで疲れたのだろう。

 

「それじゃあ、行ってくる。」

 

俺は、携帯を取り出して九尾を出す。

 

「行こう。九尾。」

「わかった。」

 

俺と九尾は飛び出す。

 

 

俺が来たときには終わってた。何がって?それは、風先輩が樹ちゃんに抱きついて泣いているのだ。これは、後で話しを聞こう。

 

てか、ここは…園子とあった場所じゃないか。驚きだな。いつの間にかこんな遠くまで来てるなんて。

 

俺は何もすることが無かった。でも、何か嫌な予感がしていた。

 

いきなり携帯が凄い音を立てて鳴り始める。

 

「な、何!?」

 

そして、樹海に…

 

そこで見たものは、空を被うような星屑の姿だった。数的には…万単位で済むかどうか…

 

そして、友奈が気が付く。結界のギリギリに東郷さんがいるのだ。そして、壁に空けられた大きな穴…東郷…お前…

 

「友奈、夏凜、東郷の所に行ってやれ。」

「輝積君!?」

「俺は、あの星屑を何とかする。」

「わかったわ、輝積。友奈行きましょう。」

「うん。無理しないでね輝積君。」

 

二人は東郷の元に向かった。

 

「さて…」

 

改めて見ると圧巻だな。俺は両刃刀を生成して右手に持つ。

 

「さあ、見せてやろうか、讃州中学勇者部上賀輝積の今の全力を。そして、決意を!!」

 

俺は星屑の群れに突っ込む。両刃刀を回転させて投げる。それはブーメランのように半円状の軌道を描き此方に戻ってくる。それを刃に気を付けて取り、更に次の星屑を倒す。

 

切り裂かれていく星屑。でもその数は減らない。

 

俺は一旦地面に着地する。星屑を踏み台変わりにしてジャンプしながら戦っていたが疲れる。しかも、星屑って結構柔らかいから足を取られてしまいそうになる。それに気を付けながら戦っているのだ。疲れる。

 

「輝積!?」

 

風先輩と樹ちゃんがいた。風先輩はいつもの風先輩に戻っていた。良かった。

 

「大丈夫ですか?風先輩?」

「大丈夫。完全復活よ!」

「お姉ちゃん、東郷先輩が…」

 

樹ちゃんが東郷の位置に気が付いたようだ。

 

「風先輩達も東郷の所に行ってやってください。」

「え!輝積は!?」

「俺は、ここで星屑を倒しておきます。」

「輝積さん…」

「東郷をお願いしますね。」

 

俺はそこからジャンプしてまた星屑を倒し始める。

 

壁の穴から次々と入ってくる。それを俺は倒していく。

 

「無理するなよ。」

「無理させろよ。俺が何とかしないと、ヤバイんだから。」

「まさか、勇者に裏切り者がいるなんてな。」

「満開システムが悪いんだろ。」

「満開システムが無かったら俺と会えなかったんだぞ!?」

「そもそも、俺勇者じゃねーし。」

「おいおい、そんなこと言わないでくれよ。」

 

九尾とそう話しながら戦う。

 

だが、それが油断だった。

 

俺は両刃刀をブーメランのように投げる。その時だった。横から攻撃を受ける。

 

「ぐ!?」

「ち!」

 

舌打ちする九尾。その攻撃は九尾によって止められたが、俺にも衝撃が来る。正直痛い。

 

攻撃した方を見ると、射手座のバーデックスが此方を狙撃していた。

 

「バーデックス!?しかも…」

 

星座型が四体。

 

乙女座のバーデックスがファン〇ルミサイルみたいなものを次々に撃ってくる。それを避けようとするが、射手座のバーデックスから大量な矢が打ち出されて移動範囲が狭まる。

此方は空を飛べない。なので常に星屑の上でバランスを取ったりしなければならない。更には武器の両刃刀が無い。投げたあと蠍座のバーデックスに叩き折られた。

 

武器を生成しようにも、避けるのが精一杯だ。ファンネ〇ミサイルが俺に当たる。だが、それを九尾がガードする。そう、ファンネ〇ミサイルだけを…

 

グサと嫌な音が響く。俺はそれに気が付き、その音の方向を見る。喉から、何か込み上げるものを感じながら見る。

 

大きな針のような物が俺の腹から出ていた。

 

口から何かを吐き出す。血だ。

 

「輝積!!」

 

九尾が呼んでくれているが、どんどん遠くに聞こえる。

針は蠍座のバーデックスの物。針は俺の背中から腹まで貫通していた。蠍座のバーデックスは俺を森の方へ投げ飛ばす。

 

全身に痛みが走り自分が地面に叩きつけられたことがわかる。

 

だが、同時に痛みがあるということは生きているということだ。

 

俺は半目でバーデックスを睨む。だが、意識は徐々に死に誘われて行く。

 

そうか…俺は死ぬのか…

 

…何か…大事なことが…

 

約束…皆でうどん…食べる。

 

この時、俺は、本当の…いや、元の世界の記憶が戻る。

 

自分が何者で、何をしていたか…そして

 

たとえ記憶を失っても心は変わらないことを。

 

 

 

九尾は焦っていた。自分の不注意で主人を…大切な友達を死なせてしまいそうだったから。

 

「おい!死ぬな!!」

 

九尾は必死に神樹の力を使い輝積を治そうとしていた。だが、神樹の力を拒絶するかのように傷口は塞がらない。

自分がいながら…

 

そう思った、その時だった。

 

輝積の背中から翼が生え輝積を包み込む。

 

これは…あの時と同じだった。だが、九尾は気が付いた。あの時にはない、神々しさを感じたのだ。

 

「輝積…君は…」

 

九尾はこの時、輝積の正体に気が付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その少年は白に近い黄緑色の翼を持つその姿は神々しさを感じる服を着ていてまるで西洋の天使の羽を持った、東洋の神のようだった。

 

少年は火の玉を出すバーデックスを見ていた。

 

「大丈夫なのか?」

「何がだ?」

「いや…何となく言ってみただけだ。」

「そうか。」

 

左上に浮いている狐と話す。

 

「よし、ちょっと前にも宣言したけど、もう一回、今度は完全版でやるか。」

 

少年は右手の拳をバーデックスに向けて言う。

 

「讃州中学勇者部、上賀輝積、俺は…」

「現人神である!!」

 

ここに、別世界からの神が現れた。




はい、とうとう主人公の正体が明かされました。

主人公が最強…やっとタグの意味が…

さてさて、後二話で最終回。

ではでは、次回予告

「全く…」
「お帰りなさい。…」
「そこかーーー!」
「ごめん!大事な時に!!」
「嘘よ!」
「友奈…お前は…」
「私は…」

次回 本当の力
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