この世界は人の世だ。
数々の種族、人を含めた哺乳類、昆虫などの虫種、鳥類魚類など大まかに別けてもこれ以上存在する。
更に分ければこの倍どころか数千、もしくは数万、数億倍以上が存在し、未だに未確認の生物が存在する。
そしてその中において人間はこの星の頂点と言われる位には強い地位である。
それは人間の知恵にあった。
人は学び会話し成長する。
知らなければ学ぶ。分からなければ聞く。足りなければ足す。それでも無理なら想像し、創造し乗り越えて今の地位に、世界の代表となつた。
ただしこれは表の話だ。
それと言うのもこの世界には人が生まれる前よりも遥か昔より、人を超える存在、人を導く存在、人を脅かす存在があった。
神がいた。天使がいた。悪魔がいた。魔王が堕天使が妖怪が魔物が精霊が妖精がいた。
神話も事実で伝説も本物で伝承も本当であり、事実を基づいた本当の話であった。
そして神話が事実な以上、それだけ多くの勢力が存在する。
神話とは知名度、信仰によりその力をます。故に争うのだ。我らの神話が最高だと。
しかし神話の中では基本的に神話内で敵味方が明確化されており完結しているのだが、例外もある。
それが聖書の神、悪魔、堕天使による三大勢力である。
今では落ち着き、互いに過干渉をしなく小競り合い程度ではあるが以前は種族の存亡を掛けた程の戦争を行った程に仲が悪いのであった。
そして今回の俺の件はこの3勢力の所為とも言えた。
なぜならばどの勢力も戦力を欲し、自陣営を強化する事を望む。
故にここで人間に注目をおく。
人には限り無い可能性と神々の祝福、魔と契約できる知能を持ち合わせていたからである。
中でも神器と呼ばれる隔絶された力があった。
人間社会において低級の物でさえ変革を起こす力がある。そしてそれ以上は人外を超え、神や魔王すら消滅しかねない規格外の力を有する物もあるのである。
故に各勢力はこぞって人間の勧誘が始まった。
ここまでがざっくりと説明された内容だ。詳しく言えば俺を襲ったのが堕天使。そして俺を助けてくれたのが悪魔。天使はなんもしていない。つまりは3勢力の存在であった。
天使助けろとか、普通悪魔敵だろとか思わなくもなかったが概ねこんな所だ。
そして俺を助けてくれたリーティ先生なのだが
「全くお姉さまはいつもいつもっ!!」
「ご、ごめんってばーーーー」
現在説教されている。
その説教をしているのが我が駒王学園二大お姉様であらせられるリアス・グレモリー、三年生だ。
名前の通り日本人に無い堀の深い、そして誰が見ても美女と表する顔立ちに長く艶やかな紅髪。そしてリーティ先生には劣るも抜群のスタイルを併せ持つ才女である。
リアス先輩は悪魔でこの一帯の領主なのだとか。つまりこの街で一番偉い人である。
そう聞けば先生であるリーティ先生がリアス先輩に説教されているのも納得出来る。
ちなみに俺に事の説明をしてくれたのがリアス先輩の部下、または下僕である姫島朱乃、リアス先輩同様の三年生である。
姫島先輩もリアス先輩に並ぶ二大お姉様の一人だ。
彼女を一言で言うなら大和撫子。長い黒髪をポニーテールで纏め、日本人らしき顔立ちであるが、その中でもリアス先輩に劣らなく整っている。
何より劣っていないのは容姿のみにならずそのスタイルだ。彼女もまたリーティ先生に次ぐスタイルの持ち主である。
余談ではあるがリーティ先生、リアス先輩、姫島先輩は三人纏めてレボリューションズと呼ばれている。ちなみに命名は俺。
三人の平均バストサイズが100センチ前後と言う驚異的なバストレボリューション!直訳でおっぱい革命!故にレボリューションズだ。
決して間違いではない。何故なら誰しもがこの三人をレボリューションズと呼ぶことに違和感を感じていないのだから!
そして俺は今
「幸せだぁ~」
幸福を感じていた。
姫島先輩が説明のため少し動くだけで大きなお胸様が優しく揺れる。
リアス先輩がリーティ先生を叱る度にお乳様が激しく跳ねる。
リーティ先生がリアス先輩に叱られうつ向くだけで乳神さまがその全貌を表す。
ここは夢の世界であった。
◇◆◇◆◇◆
幸せを噛み締めている間にリーティ先生への説教が終わったらしい。リアス先輩は一息つくためにお茶を飲み、リーティ先生はソファーに座るリアス先輩の横の床に正座して泣いていた。
どんだけ怒られたんだ?絶対に今回の事だけじゃないだろ。水道管ぶち抜いたのはやり過ぎかもしれないが、被害は俺とリーティ先生だけの様だし、先生が連絡した直後にリアス先輩と姫島先輩現れて悪魔の力で直したみたいだし。
まぁ失礼だが泣いているリーティ先生が可愛いくて頬が緩む。何やら姫島先輩が赤く染まった頬に手を当て興奮した様な息使いだが、この人結構ヤバい人なのでは?と思ったのは俺だけの秘密だ。
「ふぅ、さて兵藤一誠君。説明はどこまで聞いたかしら?」
「えっと、とりあえず俺達人間以外にも悪魔や天使、堕天使とかいて、神器とか凄い力があるとか聞きました」
一息ついたリアス先輩が問いかけて来たので、俺が理解出来た事を簡単に纏めて伝える。
「そう、だいたい聞いてるみたいね。では何故貴方が襲われたのか………わかる?」
「………わかりません。いや、話の流れで俺に神器があるんじゃないかって事は思いましたが殺される様な事は流石に………」
「まぁそうよね。だったら教えましょう。堕天使は神器所有者を発見した場合、調査し、有能なら連れ去り、危険なら消すの。つまりは殺すってことね」
全くどっちが危険なんだかと言ってリアス先輩はお茶に口をつけた。
リアス先輩は当然落ち着いているが、俺はかなり同様していた。
「まっ、待ってくれ!それっつまり、俺と付き合ったのって」
「あら、その堕天使そんな手で貴方に近づいたの?お姉様の言う通り腹黒そうね。そうね、あくまで予想だけど兵藤君の調査の為でしょう。そして調査の結果殺す事にして、お姉様な助けられたのね」
おいおい、マジかよ。あの笑顔も、恥じらった表情も、一生懸命そうな雰囲気も全部演技だって言うのか?
嘘だって思いたい。嘘だって信じたい。でも
『死んでくれないかな?』
そう夕真ちゃんが言った時の冷たい笑顔が忘れられなかった。
そして俺は頭を抱えて震えた。
だって仕方ないだろ。俺だけ舞い上がって、でも嘘で、それでも信じたくて、殺されかけて………。
もう俺にどうしろって言うんだ?どうすれば良いんだ?わけわかんねぇよ。
「え?」
ふと暖かい物に頭が包まれる。突然の事で声が漏れるがどうやら俺は抱き寄せられた様だ。
「泣いて良いよ。君を見てればわかるよ。好きだったんでしょ?おねーさんが胸を貸してあげよう」
俺を抱き寄せたのはさっきまで泣いていたリーティ先生だった。
普段の俺ならリーティ先生の大きな胸に頭を埋めている事に興奮し顔をだらしなく緩ませていただろう。
だけど今はできねぇよ………だってリーティ先生が言った事は事実なんだから。
「っ。好きだったんだ。本当に大好きで、嬉しくて………」
もう無理だ。我慢出来ない。
「初めてだった。ひ、人に好きって、い、言って貰えたの。初めて、本気で人、を好きになったのも」
今まで訳がわからない状況が続いて忘れようとした。忘れたかった。でもこんな優しくされたら………
「初めて、だ、だった、んだ!デート、やく、そくして、プラン、考えて、まち、あわせして!嬉しくて、たの、しみ、っ!馬鹿みたい、早く来て、ずっとそわ、そわして、ゆうま、ちゃんが来たら、やっぱり、う、嬉しくて、でも全部、全部嘘で!」
誰も声を出さない。俺だけが独り言の様に言葉を紡ぐ。つっかえつっかえで情けない男の泣き言。さぞ滑稽だろうな。
ふと手が何かに包まれる。すべすべな手触りで暖かい何か。
視線をそちらに向けるとリアス先輩が俺の手を何も言わず、真っ直ぐに俺を見ながら握ってくれていた。
本当になんでだ?
なんでこの人達はこんなにも優しいんだ?
ただでも我慢出来そうもなかったのに、何でこんな話をそんなにも真っ直ぐに聞いてくれる?包んでくれる?
「っ!うぁ、ああぁぁぁ!」
もうどうでも良いや。どうとでもなれ。
俺は泣き叫ぶ。子供の様にただ感情のままに。
泣いて鳴いて、そして泣いて鳴いて、さらに泣いて鳴いた。
どれだけ泣き続けたのかわからないけど意識が遠くなった。
だから意識が遠くなる前に伝えたい事がある。
「ごめんなさい、そしてありがとう」
そう、枯れた声で伝えて、俺の意識は途切れる。
◇◆◇◆◇◆
「寝ちゃった、か」
「そのようですね」
お姉様が小さな声で呟き、私もまた小さな声で返す。
正直言うと今回の彼の件は面倒だ。不憫ではあるが私にはあまり関係がなかったから。
勿論何か起これば対処するし、本人が望めば悪魔の契約の下で助けもしただろう。
だが今回はある意味お姉様が巻き込まれ、そして表の住人の彼が殺されかけた事でややこしくなった。
何故なら此処は私の領地。私は此処の領主。領民を守る義務がある。
ただ兵藤君が知っただけなら記憶を消して終わりだ。だがそうすると彼は殺されてしまう。そんな事を許容出来る私ではない。
そして説明をしてこれだ。
彼の独白を聞き胸が痛くなった。切なくて、悲しくて、彼にここまで思われる堕天使が羨ましくて、嫉妬して、憎たらしい。
そして同時に可愛いと思った。
私は家族と友人、眷属を除けば基本的に他人に無頓着だ。ある程度の友好は示すし、親切な行動も心がけている。しかしそれは悪魔の特徴である合理的な自分がさせた事だ。
人に親切にされたければ先ず自分が親切にならなくてはならない。人間関係はギブアンドテイクで成り立つ。
私はそれを意識して実行していただけだ。
まぁお姉様はただのお人好しだけど。
そんな私だが初めて他人を、初対面の少年を可愛いと思った。
真っ直ぐな彼を好ましく思った。
気が付いたら彼の手を握っていた。
そして彼の話に耳を傾けて、真っ直ぐに彼を見つめて、そして泣きつかれて寝てしまった彼。
そんな彼を見て私の欲望が疼く。彼が欲しいと、彼を私の物にしたいと思った。
まぁそれは私の一存では決められないし、決めたくない。私の物になるなら好かれたい、憎まれたくない。
そしてお姉様が許さない。
私はお姉様が大好きだ。ある意味両親と兄以上に信頼している。
だからお姉様に怒られるのは一番反省するし嫌われたくない。まぁ普段は私がお姉様に小言を言っているのだけど。
とにもかくにも
「このまま寝かさてあげようか」
「はい、彼が起きるのを待ちましょう」
彼が起きるのを待とう。
この真っ直ぐな少年を。
全てはそれからだろう。
「あ、リアスちゃん。どうしよう!?私達ずぶ濡れのままだ!」
こんな締まらないお姉様も
「ふふ、彼が起きてしまいますので我慢してください。あっ勿論兵藤君の服は既に朱乃が乾かしていますのでご安心を」
「そんな!じゃあ私も!!」
「ダメです♪」
「なんでーーーーー!?」
大好きだ。
感想お待ちしております。