「―――大変ご迷惑をおかけしましたぁーー!」
その言葉と共に俺は頭を下げた。当然土下座だ。
当たり前だ!彼女にふられて?胸を借りて大泣きし、あげくに泣きつかれて寝るとか高2の男のする事ではない。せめてもの救いは気持ちが落ち着いた事と、お姉様方しかいない事だ。
もし、同級生や後輩に見られたら軽く死ねる。つーか学校どころか家から出れなくなるだろう。まさかこの年で黒歴史を作ることになるとは………。
「あー、良いよ良いよ。子供は無理しないで泣きたい時に泣けばいいの」
どうもリーティ先生からすれば俺も子供らしい。まぁまだガキなんだろうけど何かモヤモヤする。
「それに可愛いかったわよ、兵藤君♪」
「ええ、何か母性本能を刺激されるものがありましたわ」
「おふっ、本当にスミマセン」
お姉様方からの評判は悪くなくて良かったが、こう、男としてのプライド的な何かが………。
「さて、それじゃあ次の話を進めましょうか」
俺が醜態をさらした事で止まっていた話の続きをしようとリアス先輩が提案する。本当にごめんなさい………。
「続きと言っても大した事ではないわ。先ずは兵藤君も感ずいていたけど貴方には神器が宿っているの。それを発現させてちょうだい」
「えっと、いきなり言われても………」
今日初めて聞いたのだ。出してと言われて出せるものでもない。
「それもそうね。ごめんなさい。では貴方が思い浮かぶ最強を想像して」
「俺の思い浮かぶ最強………うーん、ドラグ・ソボールの空孫悟のドラゴン波かなぁ」
あの作品は名作だ。もしエロに目覚めなければ未だにドラゴン波の練習をしてたかもしれない位大好きだ。
「そう、ではそれを力を望みながら全力でやってちょうだい」
「全力でですね、わかり―――――ってええっ!?」
俺にまた黒歴史を作れとおっしゃるのか、この紅いお姉様は!?
「どうしたの?早くしてちょうだい」
この人わかってる!わかってて言ってる!だって声が笑ってるし、凄い笑顔だ!
俺は助けを求める為にリーティ先生と姫島先輩に視線を送り―――
「大丈夫!私も付き合いで良くやるから気にしないよ!何なら一緒にやろうか?」
「あらあら、私も気にしませんわ。男の子らしくて良いではありませんか」
―――絶望した!味方がいねぇ!!
つーかリーティ先生の付き合いが謎すぎる!ドラゴン波撃つ付き合いってなんだよ!?あんた歳いくつだ?怖くて聞けないけども!!
………やるしかないのか?お姉様方は今か今かと待ち望んでいる。俺にその期待を裏切れるのか?それは否!!
「………わかりました。俺も男です。やりましょう」
そう宣言し両足を広げ腰を落とした。そして右側の腰辺りで拳一つ分を空け合わせる様に構え―――
「ドラゴン波ぁーーーー!!」
――――渾身のドラゴン波を放つ。ふっ、笑いたければ笑え!むしろ何か反応してくれないと心が折れる!そう思った直後、俺の左腕が激しい光につつまれた。
「本当に出たーーーーー!?」
何か今日の俺は叫んでばっかりだ。
つーかリーティ先生本当に一緒にやってくれてた!この人いい人すぎる!
そして光が止むと俺の左腕に赤い籠手が装着されていた。
「これが、俺の神器?」
思わず呟いた。
「ええ、その様ね。それは多分≪龍の手≫と呼ばれる神器ね。所有者の力を倍にする割とありふれた物ね。ただ―――」
リアス先輩が俺の神器の説明をしてくれているが何か腑に落ちないようだ。
何か問題あるのだろうか?
「私が見たことあるのとは結構形が違うの。もっとスマートな見た目だったはずよ。イレギュラーかしら」
どうも俺の神器は普通ではないらしい。
「何か問題あるんですか?」
「いや、ないと思うよ。神器においてのイレギュラーはむしろプラスになることが多いし。つーかそれ、≪龍の手≫じゃないし」
「お姉様ご存知なのですか?」
「うん。まだ完全に目覚めてないから≪龍の手≫に見えるけどそれ、≪赤龍帝の籠手≫だね」
「「なっ!?」」
何か凄く格好いい名前に変わったぞ?つーか先輩方の驚きかたが半端ない。うーん、よくわからん!
「確かそうだよ。何故知ってるかは歳バレちゃうから秘密で」
歳バレちゃうって、あなた見た目は25歳くらいじゃん。若作りにも限界あるだろうに、この人本当何歳だ?学園でも知ってる奴いないって話だし。学園七不思議の一つである。
「もう、お姉様のお歳は私が存じてますのに。まぁ良いわ。お姉様が言うなら間違いないわね。いい、兵藤君。貴方の神器は≪赤龍帝の籠手≫、この世に13個しか存在しない≪神滅具≫と呼ばれ、神や魔王をも殺す事が出来るといわれた神器の頂点の一つよ」
「は?………………え、ええーーーーーーー!?」
ちょちょちょちょちょった待って!?さっきありふれた神器って言ってたのにそれが神器の頂点ってなんぞや!?
「ただまだ完全に目覚めていないみたいね。能力は≪龍の手≫と変わらないと思うわ。ただ本当の能力は極めて強力よ。お姉様は詳しくご存知ですか?」
「詳しいって程じゃ無いけどある程度はね。≪赤龍帝の籠手≫の能力は10秒毎に力を倍にしていくの。始まりがどんなに弱くても10秒毎にどんどん強くなり、いずれは魔王や神も殺すらしいよ。やったね!凄くお得だね!」
やほーいと言いながら飛び跳ねるリーティ先生。俺この先生がわからなくなってきた。
「兵藤君、お姉様はもう無視して良いわ。とりあえずそれが貴方の本来の力よ」
先生から「酷い!?」と聞こえたが、先輩が言うのでひとまず無視して頷いた。
「そう、それは何よりだわ。それでは最後になるんだけど、まぁ私的にはこれが本題ね。あなた―――」
先輩はソファーから立ち俺の正面に来て俺の手を握り、しっかり合わせてきた。
うっ、と声を出してしまう。だってこんな綺麗な人に見つめられたら緊張する。
何なんだ?この人は何を言うつもりなんだ。変な宗教の勧誘とか嫌だよ?この人に頼まれたら俺断れる自信ないもん。
そして言葉が紡がれる。
「―――悪魔にならない?」
「先輩、変な宗教とかだったら―――へっ?」
拝啓、お父様、お母様。不肖の息子兵藤一誠は
「えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーー!?」
人間やめるかもしれません。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「お姉様。どうしましょう。私、凄く心配です」
「待つしかないでしょ。良い女は待てる忍耐力も必要だよ。そして出来る男は女を待たせないものさ」
兵藤君は結局悪魔になることを拒んだ。勿論悪魔に転生する条件、メリットやデメリットを伝えた上で断った。ただし条件付きで悪魔になる事を了承していた。
「そうは言いますがお姉様。゛人間として死んだら悪魔になる゛だなんて悪魔になると言っているものではありませんか!」
そう、それが兵藤君が出した条件。
彼は堕天使の少女に会うつもりだ。それは=彼の死を示す。
あの堕天使は間違いなく兵藤君を殺す。だから私達は止めたし、もし会いたいなら私達の誰かが護衛に付くとも言ったのだけど――――
『ありがとうございます。でも俺が一人でけじめをつけなきゃいけない気がするんです。ほら、一応俺の彼女ですし、もしかしたら仲直り出来るかもしれないし!まぁ俺死ぬと思いますよ。凄く怖いです。我ながら女々しい野郎ですけど人として死ねば夕真ちゃんの事を吹っ切れるかもしれない。………それで、そんな俺で良ければ貴女の下僕にしてください。我が儘ばかりすみません。でもそうしないと前に進めない気がするんです』
―――――こんなこと、こんなにも覚悟を決めてしまわれたら止められないだろう。
ちなみにこの時リアスちゃんと朱乃ちゃん表情に変化があったことは見逃していない。いやー、青春だねー!
「どっちみち今は待つしかないでしょ。あれだけの覚悟を決めてるんだ。手を出したら多分本気で怒るよ?あの子」
「わかっています!理解もしています!でも納得なんかしたくありません!」
あー、これはあれだ。リアスちゃんは完全に兵藤君を身内としてカウントしている。もしくは惚れたか?
「もう、そんなに心配なら今日はうちに泊まる?なんか兵藤君の家はうちからそんな距離ないみたいだし、此処で悶々としているよりは良いでしょ。いざとなれば直ぐに駆け付けられるよ。多分」
「ふふ、多分って。本当に締まらない方ですねお姉様は。ではお言葉に甘えさせて頂きます」
「OK、OK!朱乃ちゃんもどう?久々に女子会でも開こうか!小猫ちゃんも呼んで!あ、でも祐斗君は………女の子みたいな顔だし良いっか!呼んじゃえ呼んじゃえ!今日はグレモリー眷属+私で酒盛りだ!」
今日は騒ごう。そんな気分だ。みんな呼んで兵藤君の結果を待とう。
皆夜の仕事もあるけどそれはうちでも出来るし問題はない。リアスちゃんの姉分として、妹のケアも私の仕事だしね。
朱乃ちゃんに連絡をしてもらい、全員から了承を得たので私の家に集合し、予定が入るまで騒ごうと計画した刹那、リアスちゃんが召喚された。
あーあ、やってくれたねあの堕天使。
文字数少ないとポンポンかける!