ハリー・ポッターと滅びゆく一族の末裔   作:水湖 玲

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試験がすべて終わり、5人は解放感を味わっていた。特にロンはハーマイオニーによる復習の嵐が終わってほっとしている。試験が終わった嬉しさはあるが、何かに引っかかるハリーはヴォルデモートについて思い悩んでいた。

 

「フラッフィーの出し抜き方がわからないうちは大丈夫だよ。ハリー、君、ぴりぴりしすぎだって」

「それにダンブルドアがいるわ。あのダンブルドアよ?」

 

ロンとハーマイオニーはなだめにかかった。セレーンは頷きながらも不安そうだ。

 

「ドラゴンの卵」

「それだ!行こう!」

 

真っ青なサムの一言にずっともやもやしていたハリーは立ち上がった。

 

「ドラゴンが欲しくてたまらないハグリッド。違法なドラゴンの卵を持っている人。この2人が簡単に出会うと思うかい?」

「まさか!」

 

走りながらハリーは言った。セレーンは2人の考えを理解して青くなる。ハーマイオニーも理解したようで走るスピードを上げた。幸いハグリッドは小屋の外で作業をしていた。5人に気づいて笑顔で挨拶してくる。ハリーはさっそく話しかける。

 

「ハグリッド!ノーバートをくれたのはどんな人だった?」

「さあな。マントを着たままだったからわからんよ」

「ドラゴンの卵を持ってる人なら動物についてとても興味があるんじゃないかな?例えば、フラッフィーとか?」

 

サムのさりげない誘導にハリーは目配せした。

 

「うん、そうだったな。三頭犬なんてめったにおらんから。やつは三頭犬を飼いならす腕があるんなら、ドラゴンを賭けてもいいって。そんで俺は言ってやった。フラッフィーなんか、ちょいと音楽を聞かせりゃすぐねんねしちまう。簡単だってな…」

 

ここで全員がハッとした。ハグリッドはバラしてしまったのだ。謎の男にフラッフィーのなだめ方を。

 

「いかん。こりゃ話しちゃいけねぇんだった」

 

慌てるハグリッドを残して5人は走り出した。賢者の石はもう、いつ奪われてもおかしくない。

 

「ダンブルドアのところに」

 

一旦玄関ホールで立ち止まったが、ハリーの提案に5人は再び走り始めた。曲がり角でマクゴナガルとぶつかりかけて急ブレーキをかける。マクゴナガルは怪訝そうにしていた。

 

「こんなところで何をしているのです?」

「ダンブルドア先生にお会いしたいんです」

 

ハーマイオニーは早口で言った。マクゴナガルはさらに怪訝な顔になる。

 

「ダンブルドア先生は10分前にお出かけになりました。魔法省からの呼び出しで今はロンドンへ向かっています」

「そんな!賢者の石が盗まれようとしているのに!」

「何ですって、ポッター⁈どうしてそれを…。いいですか、ポッター。あれは盤石の守りです。誰も盗めません。もうお行きなさい」

 

マクゴナガルはしどろもどろになったが、すぐにいつものきっぱりした声で言って去ってしまった。5人ともその場に凍りついていた。ハリーはぞっとすることを告げた。

 

「今夜だ」

「わたしたちで守るのよ。ねぇ、みんなそうしようよ!」

「わたしたちに何ができるの?」

 

セレーンの提案にハーマイオニーは不安そうだ。セレーンは誰の協力がなくても1人で行こうとするだろう。だが、相手はヴォルデモートだ。無事では済まない。5人全員で力を合わせる必要がある。

 

「守ろう。僕たちにはそれぞれに得意なことがある。大丈夫だ」

 

サムは力強く自信たっぷりだ。その姿に全員一致して賢者の石を守ることにした。

 

ハリーの透明マントを使って真夜中に寮を抜け出そうとした。しかしネビルに阻まれた。

 

「もう抜け出しちゃダメだ!僕、僕は立ち向かうぞ!さあ、かかってこい!」

「ネビル、ごめんね。ペトリフィカストタルス」

 

ハーマイオニーはネビルに全身金縛りをかけた。そしてみんなで謝りながら寮を出た。透明マントの下でぎゅうぎゅう詰めになってやっとたどり着いた。扉は少しだけ開いていた。

 

「まずいな。行こう!」

 

ハリーが扉を押し開けたところ、三頭犬は透明な5人の臭いを嗅ぎつけて激しくうなる。

 

「始めるぞ」

 

ハリーはハグリッドにもらった横笛を吹こうとした。その時、三頭犬の前脚が5人をなぎ払った。偶然当たったようだが、5人は床や壁に打ち付けられてしまった。突然現れた5人に三頭犬は吠えて襲いかかろうとする。焦ったハリーは横笛を探したが、すぐに見つけられない。三頭犬の手前に運悪く落ちたハーマイオニーに狙いを定めた一つの頭が彼女を襲おうとした。すかさずセレーンはハーマイオニーの前に立ちはだかり、出せる声の最大音量で歌い始めた。孤児院の近くの教会からよく聞こえていた賛美歌だった。セレーンが歌い始めた途端、三頭犬はとろんとした顔つきで身体を床に横たえた。残りの4人はセレーンの歌に聞き惚れていたが、セレーンが仕掛け扉を指差したのであわてて引っ張り開けた。

 

「セレーン、行くぞ!」

 

サムは先に3人が飛び降りたのを確認してセレーンを引っ張り、後に続いた。落ちた先には植物があり、クッションになってくれた。セレーンとサムを待っていたとばかりに植物が5人に巻きつき始めた。

 

「セレーン、君の歌、最高だったよ」

「それよりこれ、悪魔の罠だわ」

 

植物の様子に気づかないロンの第一声をあっさり無視したセレーンは今の状況の危険性をみんなに教えた。

 

「みんな、ちょっと眩しくなるぞ。ルーモスソレム!」

 

サムの唱えた呪文によってまばゆい光が満ちた。悪魔の罠はあっという間に萎びてハリーたちを解放した。そして5人は急いでその先の通路へ向かった。




少し駆け足気味になりました。今回は微妙なところでおわりましたが、あと2話くらいで『賢者の石』を完結させる予定です。もう少しお付き合いください。
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