「......」
「........そんなに見つめないで。俺困っちゃう」
「ふざけないでください」
「.....ハイ」
やべえ、超気まずい。いや、超怖い。俺は今森の上で身に覚えのない本質?がどうとかで思いっきり睨みつけられてる。
なにこれ?拷問?拷問だよね?なんで俺こんなことになってんの?やっぱり俺は、理不尽という名の悪夢に襲われ続ける運命なのか?
自分の性分を恨みつつ、この状況から脱する算段をしていく。
────このまま飛んで逃げるか?
いいや、却下だ。
彼女はさっき言ってたじゃないか。『自分は幻想郷最速の鴉天狗』だと。
それを抜きにしても、俺は空を飛んでまだ1時間も経ってないズブの素人だ。昨日の幼女が飛んでいた様に、妖怪は飛ぶのがデフォルトの様なモノだと考えると、更に勝機は失せてゆく。しかも彼女は鴉天狗ときた。
.....鴉は鳥。あれ?もしかしなくても詰んでね?じゃあどうする、能力を使うか?電車とか道路標識とか発射しながら逃げる...これも却下だ。理由も無く攻撃はしたくない。
それに、使ったところで『人間不可侵』があったら...いや、あれはセプテントリオンだったか?確か土曜日の侵略者...いやいや、今そんなことはどうでもいい。最速から逃げるには........
よし、これだ。これしかない。成功するかは運任せだが、うまくいけば完全に逃げれる!
「すいません、文さん」
「え?ちょっ───」
両脚を振り上げ身体を半回転。
地面に向けて垂直に落ちていく。そのまま更に加速し、地面すれすれで体を捻りながら方向転換。俺を捕まえようとする彼女の手をMGS2のハリアーの様に、右へ左へと身体全体をロールして躱し『金属操作』で作った鎖を太い木の枝に巻きつけて体を後ろに引っ張る。
とてつもない衝撃が全身を襲うが、気にせず行動を続行する。
「──ッ?!どこに?!」
彼女が振り向く前にわざと斜面を転がり、人里らしき場所に突っ込む。身体中が痛いが、なんとか離れる事には成功した。
後は身を隠して適当にやり過ごすだけだ。ふぅと息を吐いて額の汗を拭う。ああ、なんで俺は
「君!大丈夫か?!あぁ、酷い怪我じゃないか!今すぐ治療しなければ!」
「酷い怪我?そんなに痛みは無いけど....」
そう言いながら肩を触ると....
「.....?ぶよぶよしてる?」
折れていた。というより、砕けていた。ふと気になって、先程汗を拭った手を見ると、大量の血がべっとりと付いていた。
「....ぁ、やば────」
「ああ!た、大変だ!!妹紅──ッ!」
俺の視界は、そこでブラックアウトした─────
◇
諸君、初めまして...ではない気がするが、自己紹介をしておこう。私は
さて、話題を寝ている青年に変えてみよう。この青年は、突然道のど真ん中に転がり落ちて来た、かなりやんちゃな奴だ。妹紅いわく、やんちゃでは済まない登場の仕方だったそうだが、怪我の手当てに専念している妹紅の真剣な表情を見ては、何も言えなかったよ。
さて、この青年だが、実のところ、私は彼を女だと思っていた。てっきり、暴漢に襲われてここに逃げてきたのかとも思ったが、どうやら違うらしい。因みに、私が男だと気付いたのは、妹紅が服を脱がした時だ。いや、あの時は驚いた。男の服をためらいもなく、顔色一つ変えずに脱がした妹紅にもだが、それ以前にこの青年が男だという事にだ。
何故って、男っていうのは皆『勇ましい』とか『渋い』とか、そういった顔をしているものだろう?中性的な奴もいたりするが、彼の顔は完全に『少女』だったのだ。膝裏ほどまである長い髪は黒壇の様に艶やかで、とても細かい、撫でつけたくなる髪だった。肌も綺麗だった。つくづく女の敵だな、この青年は。
「よし、終わったぞ。あとは安静にしていれば大丈夫だ」
おや、怪我の手当てが終わったようだ。
「あぁ、すまない。助かったぞ、妹紅。感謝する」
「....別に...ただの応急処置だ」
おうおう、顔を赤くしてそっぽを向いている。可愛い奴め。
「可愛い奴め!撫で回してやる」
くしゃくしゃと頭を撫でてやると、驚いたような顔をするが、すぐに抗議を始める。
「うわわ!やめろぉ!」
「はっはっは!そんなこと言っても可愛いだけだぞ〜」
「うわぁああああああ!」
必死に手を振っているが、全然届いていない。更に妹紅の顔が赤くなるが、どれだけ抵抗しても、更に可愛いくなるだけだった。
「俺は、仮面ライダー...3号」に思わず涙が溢れてしまった。やはり仮面ライダーはカッコいい。