ケッコンカッコカリ1
みすちー「………はぁ」
パラオ泊地の一室、提督室で紅い羽をつけた少女は小さなため息をついていた。
彼女の名前はミスティア・ローレライ。その特異的な羽から彼女が人間でないことはすぐにわかるだろうが…まあ、今はそれはどうでも良い。
そんなちょっと特殊な彼女を悩ませている原因がある…それは、彼女の机の上にある一枚の指令書と、三枚の紙だった。
既存の兵器が一切通用しない深海凄艦と、それに唯一対抗できる存在、艦娘の出現。
未だに、なぜ生まれたか原因がわかってないその2つの存在……ただ2つわかっていることは、前者が人間の敵であり後者が味方であることだけ。当然、当初は謎の存在であった艦娘は信頼される存在ではなかった。
だが数年と続いた戦争のおかげと言うべきか、その間に彼女等も徐々にだが一般市民にも受け入られてきた。
順風満帆とは言わないまでも、深海凄艦との戦闘も巻き返してきており、彼女も提督としてさまになってきたところだ。そんな時だ、横須賀鎮守府からこの書類が届いたのは。
『特殊偽装適性検査任務』
それは、内容をかいつまんで言えば艦娘の身体強化に関する書類だ。日本本土で見つかった謎の鉱物……深海凄艦が出現した時期と同時期に発見されたこの物質は、最近になり高練度の艦娘に持たせることによりさらに力を与えることができる物質と判明した。それだけならいい……ただ、とある鎮守府でこれを指輪に加工し艦娘に渡すという事態が発覚してから状況は変わった。
もとから、女性と変わりない姿の艦娘に恋心を抱いていた提督も少なくはなく、同時に提督に恋心を抱いている艦娘も少なくはなかったからかだろう。あちこちの鎮守府で艦娘にその指輪を渡す提督が現れ出したのだ。
大本営でも効果は変わらないため黙認されているこの事態に、ある人は実際の結婚とは違うこの恋愛を『ケッコンカッコカリ』と言いだしたようだが……
みすちー「ーーー正直、そんなケッコンカッコカリとか名前なんてどうでもいいのよね……」
私は『特殊偽装適性検査任務』と書かれた書類を恥に追いやると、残った三枚の資料に目を向ける。
それぞれの書類には、茶色っけのある髪をした気弱そうな少女、黒髪の元気満点と言える笑顔をした少女、そして髪をショートにした他の2人と比べて少し大人びた女性。
彼女等は、このパラオ泊地に所属する艦娘、電・深雪・比叡である。
彼女等は、このパラオ泊地に所属する艦娘、電・深雪・比叡である。
みすちー「………そんな簡単に……選べないわよ……」
私は机に突っ伏すと、彼女等の顔を順に思い出す。
最初から自分を支えてくれた頑張り屋の電。
まだ何にもわかっていなかった自分を支えてくれた深雪。
その火力と装甲、そして笑顔でいつも助けてくれた比叡。
そう前置きが長くなったが簡単にまとめるなら…….彼女はだれとケッコンカッコカリをするかで迷っていたのだ。