―――――side電
電「………(てくてく」
比叡「……(かつかつ」
電&比叡「「………あ」」
私が提督室に向けて歩んでいると、ちょうど反対側から同じように比叡さんが歩いてきた。
どこか覚悟を持ったそのような顔に、私は比叡さんが自分と同じ事を考えているのではないかと想像する。
比叡「……」
電「……比叡さんも、なのですか?」
比叡「……電ちゃんもなんだよね?」
それ以上私達は何も言えず、お互いを見つめる。
別に争う気があるわけでもないし、けどここで引く気もない。
お互いに何を考えているのかは痛いほどわかる…だから、私はこう切り出した。
電「…一緒に、行きますか?」
比叡「――ッ!?」
電「別に、私達は喧嘩をしたいわけじゃないのです…そうですよね?」
比叡「…そうね。深雪ちゃんにばっか負けてられないし…行きますか」
私達はお互いに頷くと、提督室の前に立ち、両開きの扉のとってを片方ずつ持つ。
その時―――
深雪「あ!?比叡さん!電!」
比叡「え?」
電「み、深雪ちゃんッ!?」
扉を開けようとした直後、曲がり角を滑るように深雪ちゃんが現れ、私達は思わずとってから手を離してしまう。
深雪「2人とも司令官見なかった!?」
電「司令官さんですか?それならきっと中に…「あんがとッ!」ああッ!」
深雪ちゃんは私の返答を聞くとノックもせずに扉を開け入ってしまう。
あまりのタイミングの良さにワザとではないかと一瞬思ってしまうが、深雪ちゃんがそんな事するわけない。
よほど重要な用事なのだろうと思い私は比叡さんに目配せすると、比叡さんもそう思っていたのか、気を引き締め続けて提督室に入室した。
―――――sideみすちー
深雪「司令官!緊急入電ッ!」
みすちー「ふぇ!?(ガタッ)…え!?何事!?」
金剛が比叡の様子を見に行ってから、私は結局仕事にも手もつかず机に突っ伏しただ悶々と頭を悩ませていた。
そんな中、急に扉の外が騒がしくなったと思い顔をあげると…渦中の一人である深雪が飛び込んできたではないか。そして、続けざまに比叡と電も入ってき、私は慌てながら頭の帽子を整え姿勢をただす。
深雪「通信室で大淀さんが新司令とこの遠征部隊から通信受けたって!
南方海域に妙な輸送部隊が発見、だってさ。詳しい事はこれに書いてあるから」
みすちー「わ、わかったわ」
電「電も見るのです!」
比叡「わ、私も見ます!」
同時に入ってきたようだが、電と比叡はまだ資料の中身を知らないらしい。
私は二人にも見えるように資料を机に広げその中身を確認する。そこには……
【発 岩川鎮守府所属 第3遠征部隊旗艦 白露型 涼風
宛 パラオ泊地 提督 ミスティアローレライ
我、南方海域ニテ遠征任務中、『南方棲戦姫』ヲ含ム輸送艦隊ト遭遇。
敵ノ輸送艦ハワ級elite一隻 残リハ戦艦タ級flagship一隻、駆逐ハ級flagship二隻
敵艦隊ハAL海域カラサーモン海域北方ヘ向カッテルモヨウ
我ガ部隊、敵艦隊ノ目標地補足後、撤退ヲ開始シヨウトスルガ、敵ニ補足サレ攻撃ニアイ、同部隊所属 荒潮・中破 夕立・小破 ノ被害
敵部隊ニ追撃ノ意思ガナカッタタメ、同部隊、南方海域ヲ離脱
現在、パラオニ向ケテ撤退中 受ケ入レヲ求ム】
みすちー「な…南方棲戦姫含む、輸送部隊ッ!?」
電「被害があるって…司令官さんッ!」
みすちー「うん。深雪はすぐに明石の所に行って受け入れ態勢の準備をして!
あと、二航戦に哨戒機を飛ばすように!涼風達を見つけ次第誘導するように!」
深雪「わ、わかったッ!」
私は深雪に命令すると、まだ電文に続きがあることに気づきそれを読み始める。そこには―――
【追記
我ガ部隊ト遭遇シ輸送部隊 敵ノ重要部隊デアルト推測
岩川カラデハ同敵部隊ノ追撃は不可能 可能デアルナラ、パラオカラ追撃部隊ノ派遣ヲ要請スル
詳シクハ、パラオニ到着次第伝エル
ナオ、コノ要請ハ私ノ独断デアル】
比叡「独断…涼風さんのあくまでも予想ってこと…」
みすちー「……そうね。けど、涼風は私よりも長く戦ってきた先輩よ
彼女なりに何か思う所があると思うんだわ…それに、南方海域の実質のボスである南方棲戦姫が出張るなんて、よほどの事だわ。
囮にしても、何のための囮かわからないような部隊だし…ほぼ間違いなく、何か重要な物を運んでいると思うわ。
進路ハ」
電「……AL…海域……」
みすちー「……ッ
…AL海域は北方の方面。なんでそんな場所から来たってわかるのか気になるけど、とにかく今は涼風達が来るのを待ちましょ」
比叡「は、はい!」
電「…了解…なのです…ッ!」
私はそう締めくくると、騒がしくなりつつある鎮守府の中を統制すべく、行動を開始した。
―――――一抹の不安を、胸に抱きながら。
追記;
撤退理由を、敵艦隊からの反撃から敵部隊に補足されたためによる攻撃に変更