ケッコンカッコカリ   作:割烹着みすちー

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24話

―――――side深雪

 

真っ暗な夜。そんな中、頼りになるのは自分の目と、感覚と、電探…そして、優秀な司令官からの指示だけ。

そして、今の私にはその全てがある…正直いう。

 

負ける気がしないッ!!

 

ドオォォォンッ!!!

 

爆音とともに私のすぐ近くに巨大な砲弾が落ちる。

ただ、当たらない。狙ってくるのが1人だけとか、夜だからとかあるだろうけど…それ以上に、当たる気がないッ!

 

深雪「おっ!…司令官!見つけたぜ、電だッ!」

 

みすちー『状況を詳しく教えて!』

 

深雪「敵は、手負いのワ級と南方棲戦姫!

電、ワ級のやつに捕まってる!」

 

みすちー『捕まってる…無事そうなの!?』

 

深雪「それは…(ドオォォォン!)くっ…遠くてまだわかんないッ!それに、金剛先輩の姿も見えないよ!」

 

また近くに着弾し、発生した波飛沫が襲いかかる。

ただ、着実に私と電の距離は近づいている!

 

みすちー『…深雪、残りの弾数を教えて』

 

深雪「えっと…主砲はまだ結構あるよ!ただ、魚雷は自発装填したし、あと8発だけ」

 

みすちー『…よし、まずは目の前のことよ…その手数で、何としても電を助けるッ!いいね!』

 

深雪「了解ッ!」

 

 

―――――side電

 

 

あれは…深雪ちゃん…!?

間違いない…助けに、来てくれた…?

 

南方棲戦姫「…先二行ケ」

 

ワ級「……(こくっ」

 

南方棲戦姫「……コチラ側二引キ込ンデアゲナサイ…ソノ子ヲ」

 

電「………」

 

南方棲戦姫の声に従い、私を縛ったワ級は速度を早めだす。このままじゃ…けど、今起きたら恐らくまた気絶させられる…

 

ガコンッ

 

電「……!」

 

今の音…さっき燃料を奪われる前に聞こえた時と同じ…

けど、もう燃料は一滴もないはず…

 

ゴポッゴボッ…

 

さっきよりも、さらにどろっとしたような液体の音が聞こえてくる…おかしい、この音はいったい…

 

電「……(パチリ…)…ッ!?」

 

私はワ級に悟られないように目を開ける、そこで見えたのは…

 

 

私を縛る管をとおる、真っ黒な液体

 

 

さっき、私の燃料を奪ったのはあの管から…なら、今度は?

…何かわからないけど、いい予感はしない…

けど、今の私が少し暴れても気絶させられるだけ…何か…何か方法は…

 

 

―――――side深雪

 

 

深雪「ッ!?司令官!電とワ級が離れて行ってる!」

 

みすちー『逃げる気!?…深雪…』

 

深雪「わかってる、南方棲戦姫なんてすり抜けてやるぜ!」

 

何度も砲撃が降り注ぐなか、ワ級とワ級に縛り付けられた電が少しずつ離れていく。

このまま行かれる訳にはいかない…けど、流石にあいつに接近するのはな…

 

みすちー『……深雪、聞いて…

最大船速で南方棲戦姫に接近』

 

深雪「え?」

 

みすちー『…そこから…―――――…できる?』

 

司令官からの指示。良い方法かもしれないけど、もしミスしたらそれだけ危険な方法…けど、今は…

 

深雪「…よし、やってみる!!」

 

みすちー『いいの?』

 

深雪「大丈夫!それにさっき言っただろ!司令官が指示を出してくれって!」

 

今は失敗した時のことなんて考えてる時じゃない!

 

みすちー『…ありがとう、タイミングは任せるわ…

いい、一度も当たらなければ、こっちの勝ちよ…お願いね!』

 

深雪「了解ッ!」

 

私は主機を一気に最大で回すと、南方棲戦姫に向けて直進する。

気持ちが乗り移っているのか、さっきから艤装の調子はすごくいい。

司令官も私ならできると思って言ってくれた…なら、あとは―――

 

深雪「―――するだけだぁ!!」

 

 

―――――side電

 

 

深雪「―――するだけだぁ!!」

 

電「……ッ」

 

少し遠くから、深雪ちゃんの声が聞こえる。

…どうせ、このままよくわからないもの入れられるなら…無駄でも暴れて…っ?

 

電「……(ニヤリ」

 

思わず笑みが浮かぶ…そうだ、これがあった。

艦娘になって本来の用途で使うことも無くなったこれが……これなら。

 

ガチャ――!

 

ワ級「ッ!?」

 

大きな音が私の艤装から鳴り響き、驚いたのかワ級がこちらに顔(?)を向ける。

その顔に私は笑顔を向け言い放った。

 

電「…油断…大敵なのです…」

 

直後―――

 

ガコンッ!

 

電「くぅッ!」

 

ワ級「!?」

 

―――私とワ級は何かに引っ張られその場から動けなくなってしまう。

ワ級は必死に主機を回しているようだが、動けそうにない。

当然だ…今私の体…いや、主機は、海中に落下した錨で固定されてるのだから。

 

ギギギギッ!!

 

ロックを外され海中に落ちた錨と、それを結ぶ鎖が甲高い金属音をあげる。

こうなったら私もワ級も動けない…

…ただ…

 

ドプッ…ドプッ…

 

管を通る黒い液体はゆっくりとだが私の艤装に迫っている…

…お願い…間に合って…

 

 

―――――side深雪

 

 

深雪「……ッ!!」

 

もう何度目かわからない砲撃。接近してきて副砲による砲撃も増えてきたのか、至近弾も徐々に増えて来ている。

 

南方棲戦姫「…沈メッ!」

 

近づけば近づくだけ直撃の可能性は増える。

だから――――

 

みすちー『…そこから…ギリギリまで接近して…直撃する砲弾をブレーキを抑えて回避、発生した水しぶきの中を直進して南方棲戦姫をやり過ごして…できる?』

 

――――司令官の指示…できれば一気に電に近づける…絶対にやってやる!

 

南方棲戦姫「…ッチ!」

 

深雪「ッ!!」

 

ドオォォォンッ!!!

 

 

―――――side電

 

 

電「――――ッ!?」

 

深雪ちゃんの姿が水しぶきの中に消えて見えなくなる…そんな、まさか…

 

南方棲戦姫「………(ザパァ!)ッ!?」

 

深雪「――――貰ったぁッ!!」

 

水しぶきの中から深雪ちゃんが躍り出ると、目の前にいる南方棲戦姫に向けてゼロ距離で魚雷を放つ。そんなもの回避できるわけもなく…

 

ドドドドオォォォンッ!!!

 

巨大な爆発音と爆炎に包まれる南方棲戦姫、そして―――

 

深雪「わあああ!?――――くっ、電ッ!」

 

電「み…深雪ちゃん…ッ!?」

 

爆発に吹っ飛ばされると、ちょうど私達の頭上を通って、こちらにその主砲を向けた。

 

ドンッ!

 

ワ級「ッ!?」

 

10cm高角砲から発射された弾は私を縛る管を破り、ワ級の装甲に突き刺さる。

同時に私の拘束もなくなったのだが…艤装が動いてない私はそのまま海に落ちそうに―――

 

深雪「電ッ!(がし)…大丈夫か…?」

 

電「…大丈夫…なのです…

深雪ちゃん…無理しすぎ、なのです…」

 

深雪「電には言われたくないな…電?」

 

電「え…あれ…?」

 

沈みきる前に、深雪ちゃんが肩を貸して支えてくれる。

…安心したのか……あれ…?

 

深雪「…よかった、もう大丈夫だから…」

 

電「ぐずっ……うう……」

 

深雪ちゃんに背中を撫でられ…私が最後まで持ってたものが決壊する…

…まだ…生きてる…生きてるんだ…

 

 

―――――side深雪

 

 

私が背中をなでると、その度に電が嗚咽を漏らしながら私を強く抱きしめる。

…よっぽど、怖かったんだな…

 

深雪「…司令官、電救出…無事だぜ」

 

みすちー「……完璧よ、ありがとう…本当に…ありがとう…!」

 

どこか泣いてそうな司令官の声に、私は思わず笑みが浮かぶ。

…やっぱり、司令官には―――

 

ドドンッ!!

 

深雪「なっ?!」

 

電「はにゃー!?」

 

南方棲戦姫「……(ギロッ」

 

みすちー『――ッ!?何の音!?深雪!?』

 

まさか…まだ動けるのかよッ!?

 

深雪「…南方棲戦姫、まだこっちに迫ってきてる…!」

 

電「…しつこいのです…ッ!」

 

電を再度動きやすいように肩にかけ直すと、私は周りを見渡す。

南方棲戦姫は右腕の艤装が全て吹っ飛び砲塔もへしゃげているが、まだ数門生きてる左腕をこちらに向けている。

島は遠く、近くに岩のようなものもないからそれらを迂回するのは無理…

仕方ない、時間がかかるけど大回りするしか…

 

みすちー『…深雪、聞こえてるわね』

 

深雪「司令官?」

 

みすちー『そのまま、少しだけ南方棲戦姫を迂回するように前進して』

 

深雪「え?でもそれじゃあ…」

 

みすちー『大丈夫…『皆』、無事に帰れるから』

 

深雪「…わかった。電、行くぞ」

 

電「は、はい…」

 

私は電の手をしっかりと握ると、錨に繋がっている鎖を外し、指示通りに動き出す。

南方棲戦姫もゆっくりとだがこちらに向かって進み出す。当然左腕の主砲はこちらを狙っている。

このままじゃあすぐに直撃を食らう…そのとき。

 

ドオォォォンッ!!!ドドンッ!!

 

南方棲戦姫「ッ!?」

 

深雪「砲撃!?」

 

電「……戦艦の主砲…」

 

??「Wow!Congratulations!さすがの命中度ねぇ!」

 

??「お姉さまも、流石ですッ!」

 

??「深雪ちゃんと電ちゃんを確認!!」

 

通信機から聴き慣れた声が聞こえてくる…これって、やっぱり!

 

??→金剛「OK!2人とも、次の私達の砲撃に合わせて、突撃してください!

行きますよ…Burning Love!!」

 

??→比叡「全主砲!一斉射ッ!いっけーッ!」

 

ドォンッ!ドオォォォンッ!!!ドドンッ!!

 

金剛先輩と比叡先輩の声とともに、再度南方棲戦姫に徹甲弾の雨が降り注ぐ。

その隙に、最上先輩と利根先輩がこちらに向かって来た。

 

最上「2人とも大丈夫!?」

 

電「は、はい…大丈夫なのです…」

 

利根「うむっ、無事に救出できたようじゃな!さすが深雪じゃ!(ガシガシ」

 

深雪「と、利根先輩痛いって…」

 

頭撫でるのはいいけど勢いが…

 

利根「ふむ…ん?まだ沈んでおらぬのか…」

 

深雪「え?…あ」

 

私が利根先輩の見ている方向に視線を向けると、そこにはさっきまで電を縛っていたワ級が鎮座していた。

主機も壊れたのか、それとも気を失ってるのか、その場から動こうともせずただ浮かんでいる。

 

利根「…死体にムチを打つようじゃが、本来の目的はこれじゃ…」

 

利根先輩はそう言うと、艤装に付けられたアームを操作し、その主砲を…撃った。

 

ドンッ!

 

電「……あ」

 

深雪「…電?」

 

電「…いえ、なんでも無いのです…」

 

最上「電ちゃんは優しいからね…」

 

一発の発砲音と共に、ワ級はゆっくりと沈んでいく…

 

その後、私達は大破した南方棲戦姫には止めを刺さず、6人全員で南方海域から撤退した。

南方棲戦姫に止めを刺さなかったのは、大破しつつも抵抗する南方棲戦姫によって、こちらが被害を受ける可能性があったことと、沈めるのに時間がかかれば、さらに別の艦隊が来るかもしれなかったからだ。

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